佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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こいつは驚いた。
"仮面ライダー"という存在が過去にも存在していたとは……
彼らも、人類の平和と未来のため戦っていた。
この意志を無駄にするわけにはいかない


葛城巧


第六話 正義のマッドサイエンティスト

「―――と!」

 

「――んと!」

 

「戦兎ー!」

 

「いってぇー!!」

 

俺の空白の一年が判明した。しかしそのあと俺がどうしたかは覚えていない。

 

覚えているのは、今マスターに頬をつねられていること。

 

「よぉし!」

 

「いきなり何すんだよ……!」

 

「戦兎!よくやった!よく鍋島を奴らから取り戻してくれた!」

 

「え?ぁあ……」

 

「実はな、既に鍋島の家族を呼んである」

 

「は?何してんの?」

 

「別にここ俺の家だからいーじゃん!

鍋島を保護してもらいたくてな。快く承諾してくれたよ」

 

 

「うぅ……」

 

鍋島が目を覚ます。

 

「おい鍋島!」

 

「……」

 

「俺の顔知ってるだろ?万丈龍我だよ!」

 

「……誰だ」

 

「ギャグだとしたら笑えねぇぞ!」

 

「……誰なんだよ!俺も……お前も!」

 

「まさか、あんた……」

 

 

「スマッシュにされたせいで記憶がなくなっちまったか」

 

 

「パパ?あたしたちのこと覚えてないの?」

 

鍋島の娘が問いかける。

 

「……誰なんだよ…………」

 

娘が鍋島にあやとりを披露する。

仕事でめったに会えない彼に見せたくて今まで練習してきたらしい。

 

「どう?すごい?」

 

「……俺は、お前が誰なのか……」

 

「――――じゃねぇよ

 

お前が誰かわからないじゃねぇよ!」

 

「万丈!」

 

「見てやれよ!褒めてやれよ!『パパ』って言ってるの聞こえるだろ!お前の娘なんだよこの子は!」

 

「……」

 

「これから先、記憶がなくなった分……いや、それ以上の思い出作っていけばいい。

 

俺の冤罪については……記憶が戻ったらでいい。戻ったら教えてくれよ」

 

「……ああ」

 

 

 

―――――――――――

 

 

翌日、俺は研究所に顔を出した。

 

 

「ん?桐生じゃないか。どうした」

 

「ちょっと調べたいことが。葛城さんの事で」

 

「ふーん……」

 

研究所の日誌を漁っていくと、氏名が『葛城巧』の日誌を見つけることに成功した。

 

 

彼が書いた日誌の最後にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

PROJECTBUILD

これは無限の可能性を秘めている。

 

 

嗚呼、君子Bは杖を撃て

 

葛城巧

 

 

 

 

 

 

「葛城について何か知りたいようだな」

 

「所長」

 

「……彼は、タブーを犯してしまった」

 

「え?」

 

「『ネビュラガスを使った人体実験をしたい』こう申請してきた。この研究所ではこういう思想を抱くものを危険人物としてここから追放している」

 

「……」

 

 

 

――――――――――――

 

 

「これはアナグラムだ」

 

「はぁ?」

 

「葛城の真相に近づけると思う。

 

まず、『嗚呼、君子Bは杖を撃て』をローマ字にする」

 

 

「AA KUNSHIBHA TSUEWOUTE か?」

 

「そ。これを並び替えると……

 

 

 

全てを母に託す(SUBETE WO HAHANI TAKUSU)

 

 

になる」

 

「おぉ……」

 

「葛城の母親のもとへ行けば、何か情報が手に入るはずだ」

 

「だとしたら、香川を出るしかないな」

 

「……何でマスター知ってるの?」

 

「い、いや~?べっつに~」

 

「で?バイクだとガソリンがもたねぇぞ」

 

「俺のマシンビルダーでもなぁ……」

 

「え?戦兎なんで俺の事見てるの?万丈まで!?」

 

「「金……」」

 

「あるわけないだろバカチンがぁ!」

 

結局、俺の給料から旅費を出すことに。

まだボーナスじゃねぇんだよオラァ!

 

「戦兎、こいつを持ってけ」

 

マスターが白いフルボトルを投げる。

 

「パンダフルボトルだ。少しでも癒しになればいいんだが」

 

前からそうだけど、なんでマスターがボトルを持ってるんだ?

 

―――――――――――――――

 

 

 

「桐生戦兎が例の場所へ向かった」

 

「何?」

 

とある場所の地下。ここで二人の男が対談をしていた。

 

「さぁ、お前ならどう動く? あ、俺はパスで」

 

「……」

 

一人の男がバットフルボトルを拳銃型の武器に装填する

 

〔BAT!〕

 

「蒸血」

 

〔MIST……MATCH……!〕

〔BAT……BA BA BAT……! FIRE!〕

 

男はナイトローグへと姿を変え、もう一人の男 ブラッドスタークに肉薄し、短剣 スチームブレードを彼の首に構える。

 

「……まぁまぁそんなに慌てなさんな。ついていけばいいんだろ?」

 

 

―――――――――――――

 

 

「おい戦兎」

 

「あ?」

 

「これ、何だよ」

 

龍我が四足の小さなドラゴンを指さす。

 

「クローズドラゴン。お前は何するかわかんないからなぁ。お前用のペット兼監視役だ」

 

「こいつが監視役?できるわけねぇよこんなチビに―――

 

あっちぃ!」

 

クローズドラゴンにちょっかいを出した万丈がドラゴンの吐いた炎で軽いやけどをする

 

 

「そこまでだ」

 

 

「ナイトローグ……」

 

「ここから先は通さんぞ」

 

「いや、強引にでも突破する!」

 

〔NINJA!〕

〔COMIC!〕

〔BESTMATCH!〕

 

〔忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!Yeah!〕

 

 

〔風遁の術!〕

 

〔竜巻斬り!〕

 

この隙にナイトローグを突破。目的地へ向かう。

 

「スターク!」

 

「はいはい……人使いの粗い人だこと」

 

〔FULLBOTTLE!〕

〔STEAM ATTACK!〕

 

 

「うお、やばっ!」

 

俺たちの後ろをミサイルのような弾が追いかけてくる。

 

「えっ!?」

 

と思った矢先、弾はUの字に曲がり、地面に着弾する。

 

 

 

 

 

 

「スターク……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか」

 

「そうみたいだ」

 

葛城さんの母の家へついた。

そこでは子供たちが何やら勉強を教わっていた。

 

「じゃあね先生!」

 

「じゃあね」

 

「おい、あんた葛城の母ちゃんか?ちょっと聞きたいことが……あっ」

 

万丈が自分の今の状況を思い出し黙り込む。

 

「万丈龍我……帰って!今すぐここから消えて!」

 

「……」

 

今聞くのはまずい。

 

「退くぞ」

 

―――――――――

 

「……」

 

「ねぇ、おじさんたち」

 

「あ?」

 

「葛城お兄ちゃんの知り合い?」

 

先ほどまで葛城さんの母の授業を受けていた子供たちだ。

 

「まぁ、そんなかんじ」

 

おじさんじゃねぇだろ。お兄さんだろ……

 

「先生、今でも兄ちゃんが好きだった卵焼き、焼いてるんだって。

 

変でしょ?もう兄ちゃんは帰ってこないのに」

 

「みんな!早く帰りなさ…… まだいるの?どこまで私を苦しめれば―――」

 

「待ってください!こいつは、冤罪なんです」

 

「冤罪?」

 

「はい。真犯人は他にいま―――」

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

突如、子供の叫び声がする。

方角からするに、さっきの子たちだ。

 

 

 

「よぉ!また会ったな!」

 

「スターク!」

 

スタークが子供に短剣を向けている。……まさか!

 

「やめろ!」

 

 

〔DEVIL STEAM!〕

 

 

「ぁアアア!!」

 

子供がスマッシュになり、辺りを暴れまわっている。

 

「どうだ?お前には一度言ったが、これならいつでもどこでもスマッシュを生み出すことができる。すばらしい発明だと思わないか?」

 

「そんなもん……発明なんて言わねぇんだよ!変身!」

 

 

〔ニンニンコミック! Yeah!〕

 

〔火遁の術!〕

〔火炎斬り!〕

 

これでスマッシュをダウンさせる。倒さなくても動けなくすればいい。

 

「今だ万丈!成分を採れ!」

 

万丈が成分を回収し、その子供のもとへ駆ける。

 

「大丈夫か?」

 

「おじさん……ぼく、死んじゃうの?先生みたいになりたかったのに……」

 

「そんなことない!……もし先生になれたら、俺にも勉強教えてくれよ。約束だ」

 

子供を葛城さんの母に預け、ドラゴンフルボトルを手に戦線に加わる。

 

 

 

〔PANDA!〕

〔GATLING!〕

 

「ビルドアップ」

 

パンダの右腕の爪とホークガトリンガーで遠近の対処を可能にし、スタークに射撃。

 

「なるほど。良い組み合わせだ。だが……」

 

〔FULLBOTTLE!〕

 

スタークが青いボトルを装填する。

 

「これはどうかな?」

 

〔STEAM ATTACK!〕

 

真っすぐこちらへ向かってくる、と思いきやいきなり旋回する銃弾。

 

「誘導弾!?」

 

ホークガトリンガーで狙おうとするが命中せず、急上昇し俺のもとへ急降下する。

 

「ぐあぁぁ!!

 

し、しまった……!」

 

変身が解除され、ガトリングボトルが自分の手の届かない場所へ飛んでしまった。

 

それに近づくスターク。

 

 

〔CROSS-Z FLAME!〕

 

 

しかし先にクローズドラゴンが回収。背中に装填し小さな銃弾のような炎をまき散らす。

 

「あのチビ、やるじゃねぇか!俺も!」

 

万丈がスタークに殴りかかる。しかし

 

「あっつ!熱い!あっちぃ!!」

 

クローズドラゴンの吐く炎に当たってしまい、熱さを紛らわすように暴れながら格闘する万丈。

 

その最中にスタークの武器にセットされたボトルを奪う。

 

「使え!」

 

俺にそのボトルが投げられ、キャッチする。

 

 

〔PANDA!〕

〔ROCKET!〕

 

〔BESTMATCH!〕

 

「ベストマッチか!」

 

〔Are you ready?〕

 

「変身!」

 

 

〔ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ!Yeah!〕

 

 

強靭な爪とロケットを模した左腕を備えるロケットパンダフォームに変身。

 

左腕の外装をロケットとして発射。スタークに命中。

 

「キャッチ!」

 

外装をキャッチし、ボルテックレバーを回す。

 

 

〔READY GO!〕

〔VOLTEC FINISH! YEAH!〕

 

惑星軌道のグラフにそるように、さらにスイングバイのように加速。

スタークを爪で切り裂く。

 

 

「―――っと。ハハ、また強くなったな。

 

そうだ、一つ教えておこう。葛城巧とファウストについてだ」

 

「……」

 

「葛城の"体"は生きている。そして、ファウストは……大赦が作り上げた組織だ!!」

 

「な、何……!?」

 

「お前は戦う道を選んだ。さぁ、どう動く?」

 

 


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