佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第十一話 龍のウェイクアップ

勇者部が帰り、スマッシュの反応もないまま数日が過ぎた。

戦兎は暇つぶしもかねて

PROJECTBUILD&REBOOT OF LEGEND KAMENRIDER(以下 PB&ROLK)

に『ブラッドスターク』と打ち込む。

 

すると、一本の動画が見つかった。

 

『これは、ブラッドスターク。

ビルドのハザードレベルを上げるライバルってとこだ。

声も自由に変えられ、手のひらから蒸気を出し、物を変形させることもできる』

 

「なんだよ、スタークまでそいつが作ってたのかよ!」

 

『その源が、トランスチームシステム。

ライダーシステムと違い、ハザードレベルは固定されている』

 

ここで動画が終わる。

 

「俺もあいつらも力の根源は同じ。戦う意味はあるのかねぇ……」

 

「あるに決まってんだろ!ファウストは罪のない人々を散々玩具にしてきたんだぞ!」

 

「そういうと思った」

 

戦兎は先ほど入手した浄化前のボトルを機械に入る。

そして横になるとした瞬間、彼の携帯が鳴る。

スマッシュを探知した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何してんだよ」

 

「何ってバードウォッチャーに扮して敵をいち早く見つけ――――」

 

「どう見ても怪しいのはここだろ」

 

早速現場へ行く二人。

万丈がバカやってる間にずんずん廃工場へ入る戦兎。

 

「待っていたぞ。さあ、ボトルを差し出せ」

 

そこにいたのはタコのようなスマッシュとナイトローグだった。

 

「そういうことか」

 

「そういうことかじゃねぇよ待ってましただよ。来い!」

 

万丈が叫ぶと、それに呼応するようにクローズドラゴンがガジェットに変形し彼の手に落ちる。

 

そしてボトルをセットしようとするとドラゴンがそれを拒否した。

 

「またかよ!」

 

「万丈、お前は下がってろ」

 

〔YUUSYA!〕

〔LOCK!〕

〔BESTMATCH!〕

 

「あ?……ああそういうことか。スマッシュは任せろ」

 

〔Are you ready?〕

 

戦兎のスナップライドビルダーには、

前方に薄紫、後方にシャンパンゴールドの半身が形成される。

 

「変身!」

 

〔縛られた運命!フィクシング(FIXING)ブレイバー! Yeah!〕

 

その二つが合わさり、彼はビルド フィクシングブレイバーフォームへと姿を変える。

 

「ッしゃあ!」

 

龍我がドラゴンフルボトルをシェイクし、スマッシュに殴りかかる。

戦兎もローグに格闘戦を仕掛ける。

 

「ん……?」

 

身体に力が入らない。

キードラゴンとは別のわけでコントロールが難しいと悟る。

 

「ロックボトルのせいか……!」

 

現時点での勇者フルボトルの力はドラゴンほど強くはない。

逆にロックのせいで必要以上に抑えられてしまっている。

 

「戦兎!これ使え!」

 

ローグに劣勢の戦兎に龍我からドラゴンボトルが渡される。

 

〔DRAGON!〕

〔BESTMATCH!〕

 

〔キードラゴン!Yeah!〕

 

このフォームになった途端、身体のバランスが急激に変わる。

フィクシングブレイバーは悪い意味で軽く、

キードラゴンは重過ぎる。

まともに戦えない。

 

「身体が……!くっ!」

 

ついに変身解除に陥る。

 

「ボトルを渡せば、命だけは助けてやる」

 

「戦兎!」

 

「―――――俺に内緒でボトルの回収とは精が出るねぇ」

 

「スターク……」

 

「スタークゥゥゥ!!」

 

ドラゴンボトルを回収し、現れたスタークに殴りかかろうとする龍我。

 

「無茶だ!」

 

龍我の腕をつかみ制止させる戦兎

 

「離せ!あいつはファウストの関係者なんだぞ!」

 

「おいおい、それでも俺はかなりマシな方だと思うぞ?」

 

「ふざけんな!俺の冤罪のことも全部、てめぇがやったんだろ!」

 

「はぁ?ちげえよ!それはこの――――」

 

「スターク!!」

 

何かを言いかけたスタークにスチームブレードで斬りかかるローグ。

スタークはそれを軽く受け流し

 

「ほら、今のうちだ!早く行け」

 

 

「させるか!」

 

ローグは撤退する二人の背中に銃口を向けるが、

スタークの投げたパイプ椅子により射撃のタイミングを失い、二人を逃がしてしまう

 

「何をする!」

 

「なんだよ、お前はあいつが持ってるデータで作った物欲しいんだろ?

今殺したら何もかもパーだぞ?」

 

「……」

 

「所詮、俺たちはプロジェクトビルドの試作品。どれだけ戦ってもハザードレベルは上がらない。下がることもない。いつかあいつらに抜かれ、倒される」

 

「何が言いたい」

 

「お前は権力におぼれた哀れなワンちゃんってこと。吠えるだけ吠えといて成長の見込みもない。

 

なぁ、ファウストはこんなことする為につくられた訳じゃないってこと、知ってるだろ?」

 

「……」

 

「お前が計画してる『勇者暗殺計画』、俺は絶対認めない」

 

 

 

 

 

 

 

 

〔You got a mail……〕

 

翌日、ローグへの対抗策が思いつかない戦兎。

そこに一通のメールが入る。

 

『コウモリと怪人がお呼びだ。行ってやれ』

 

送り主はブラッドスタークだった。

 

 

 

 

 

「変身!」

 

〔キードラゴン!Yeah!〕

 

現場に到着した戦兎はキードラゴンフォームに変身。

短期決戦を狙う。

 

〔READY GO!〕

〔VOLTEC FINISH! YEAH!〕

 

スマッシュにチェーンを飛ばし、動きを拘束するはずであったが、

横からの銃撃で中断されてしまった。

 

「懲りずにまだその姿で戦うか」

 

「余計な……お世話だ!」

 

目標をスマッシュからローグに切り替え、拳をたたきつけようとするが、

その直前にドラゴンボトルの力が制御不能になり、ロックボトルの力で強制的に変身が解除される。

 

戦兎は倒れた自分を盾にするようにボトルを守る姿勢をとる。

だがローグにそれは通用しなかった。

 

「大人しくボトルを渡せ」

 

戦兎はドラゴンとロックを身体の下から出す。

 

「そうだ。その二本だ」

 

「戦兎!ボトルとドライバーをよこせ!」

 

ローグの腕を振り払い、

二本のボトルとビルドドライバーを龍我に投げ渡す。

 

 

龍我が受け取ったドライバーを身に着け、

ボトルを握りしめ、ローグに迫る。

 

「オラぁ!」

 

「迷いのあるお前に、私は倒せない」

 

「……今の俺に迷いはない!

人のため力を使う。これをしてる奴の考えはわからない。

でも……」

 

「ッ! ハザードレベルが上がっている……!」

 

「それが無駄じゃないってことはわかる!

俺はもう、力を私利私欲のためだけに使う人間じゃない!」

 

龍我がローグを殴り飛ばす。

そしてクローズドラゴンがガジェットに変形し、それにドラゴンボトルを挿す。

 

〔WAKE UP!〕

 

「力を貸してくれ……!」

 

さらにこれをドライバーにセットする。

 

〔CROSS-Z DRAGON!〕

 

ボルテックレバーを回し、スナップライドビルダーを展開する。

 

〔Are you ready?〕

 

「変身ッ!」

 

形成された半身が合わさり、さらにその上から龍の頭と翼を模したアーマーが被さる。

 

〔WAKE UP BURNING!

GET CROSS-Z DRAGON!YEAH!〕

 

 

「あのバカ、やりやがった……!」

 

「ハァ!!」

 

龍我が変身を遂げた仮面ライダークローズがスマッシュを一撃で殴り飛ばす。

 

「オラオラオラオラ!!」

 

その直後、乱暴にレバーを回し必殺技を放つ。

 

〔READY GO!〕

〔DRAGONIC FINISH!〕

 

クローズの背後に青龍が現れ、それの吐く炎の勢いに乗りながら回し蹴りをかます。

スマッシュを一撃で戦闘不能にさせる。

 

「一撃だと……?」

 

〔BEAT CLOSER!〕

 

専用武器 ビートクローザーを召喚し、グリップエンドを引っ張る。

 

〔ヒッパレェー!〕

〔SMASH HIT!〕

 

地面に攻撃し、煙が上がったとともにローグに急接近。

 

〔ヒッパレェー!ヒッパレェー!〕

〔MILLION HIT!〕

 

「どこからそんな力が……!」

 

「強いのは、俺だけの力じゃねぇからな!」

 

腰のホルダーにストックされているロックボトルをクローザーのスロットに挿し、グリップエンドを二回引っ張る。

 

「今の俺は――――」

 

〔SPECIAL TUNE!〕

〔ヒッパレェー!ヒッパレェー!〕

〔MILLION SLASH!〕

 

「――負ける気がしねぇ!!」

 

フルボトルを装填し、強化されたクローザーでローグを振り払う。

 

「――――――こんなはずでは……」

 

ローグが撤退する。

 

 

「香澄、戦兎……サンキュー」

 

「万丈!スマッシュ!スマッシュ!」

 

「あっ!忘れてた!」

 

 

 

 

 

 

 

「これはこれは。惨敗したようだな」

 

「……油断していただけだ。新しい仮面ライダーごときに…………!」

 

「新しい仮面ライダー?

ビルドドライバーで変身できるライダーはビルドだけのはず……

ああ、あいつか。

それより、後三か月だ。後三か月でヤツらの侵攻が再開される」

 

「その隙に奴らを……」

 

「だから言ってんだろ?あの二人を、勇者を、殺させはしない。

 

 

 

 

 

 

葛城巧の名に懸けて」

 


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