佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第十五話 知りたくないミステリー

「おい、こいつが葛城ってどういうことなんだよ!」

 

「……勇者ボトルの存在の認知、スタークの能力、そして俺のメールアドレスを知っているのは―――」

 

「万丈と俺だけ。他にも葛城と石動の共通点はある」

 

「…………あんた、どっちが本当のあんたなんだよ」

 

「葛城巧が本当の姿さ。訳あって変装してただけで」

 

「あれのどこが変装なんだよ」

 

「あ、言い方が悪かったね。俺の研究データのブラッドスタークの項目、

見てくれたか?あれ、本当はスタークじゃなくて変身者の俺自身の力なんだよ。

君以上にガスを吸いすぎてね。色々あったのさ」

 

「じゃあ、今までの行動は……」

 

「君たちのハザードレベルを上げるため」

 

この言葉と同時に変身を解除するスターク。

声の主である葛城が姿を現す

 

「ふざけんなよ!何であんなことをした!どうして子供をスマッシュなんかにした!

死ぬところだったんだぞ!」

 

「……本当は最初から味方として特訓してやりたかったさ。

でもこれでは効率が悪い。バーテックス襲撃に間に合わない。

 

あの子供の件だって、ちゃんと考えてたさ」

 

「そういう問題じゃねぇだろ!」

 

「けどそのおかげで、ファウストの情報も手に入った。

 

大赦にいたスパイの事も」

 

「……」

 

「君の両親だよ」

 

「え……?」

 

「君の家柄は本来大赦に属せない。けど属すことができた。

それはどうしてか

 

答えは簡単。ファウストが手を回していたからさ。

ファウストの長は乃木・上里家と肩を並べる家柄の人物。誰も逆らえない。

 

三好夏澟が君を家から引きずり出したのは君がファウストの戦闘員として訓練される前にこちら側へ引き込むため。全ては俺の計画通り」

 

「じゃあ……俺と笑った父さんは何なんだよ……!

俺に『生まれてきてくれてありがとう』って言ってくれた母さんは……!

全部嘘だって言うのかよ!!」

 

「全てが嘘というわけじゃない。君は親に我儘をたくさん聞いてもらっていたそうだね。

これは『〇〇をすれば〇〇してあげる』という精神を植え付けさせ、将来人殺しさえためらわず首を縦に振って行う人間に育てるため」

 

「てめぇ、何が目的なんだよ」

 

「少なくとも、君たちの味方…………と言っても理解してくれないよね。

わかっているさ。

 

太郎君、いや桐生戦兎。君は今の事を聞いても腑に落ちていないだろう」

 

「……」

 

「ブラッドスタークを、恨んでいるだろう。君をそんな体にしたのは俺だから」

 

「……」

 

「決着をつけよう。惣一(おれ)戦兎(きみ)が初めて出会った場所で。

神世紀300年で初めてのバーテックス襲来の一週間後、待ってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スタークがマスターでマスターが葛城で葛城がスターク……

あーもうわけわかんねぇ!!」

 

「わかってるじゃねぇか……」

 

葛城がおいていったパンドラボックスを回収しnascitaへ帰ってきた二人。

戦兎は帰ってくると同時に部屋にあった器具の調整に入る

 

「何やってんだよ」

 

龍我が聞くと、彼はボックスを使って既存のボトルの強化を行うと答えた。

パンドラボックスをテーブルに置き、エンプティボトルを向ける戦兎。

するとボックスから成分が排出され、ボトルに吸収される。

 

「ボックスにも成分ってあるんだな」

 

その後もこの作業を続け、パンドラボックスの成分入りボトルを数十本生成。

 

「さあ、ここからはお前の出番だ」

 

ボックスと相性の良さそうなベストマッチを第六感で探してくれ。

後で失敗した数×2の量のプロテイン買ってやるからと言う戦兎。

 

それにしょうがねぇなと付き合う龍我。

 

「まずは、パンダとロケット!」

 

器具にパンダとロケットのフルボトルをセット。

 

すると、

 

 

「うわああぁぁぁぁ!!」

 

 

突如大爆発を起こし、龍我が吹き飛ばされる。

 

「ロケットパンダは駄目……と」

 

それを呑気に鉄板を加工した盾に隠れてメモする戦兎

 

「次はゴリラとダイヤモンド!」

 

ボトルをセットしたと同時にダイヤモンドが部屋一帯に溢れ出す。

 

「ゴリラモンドもダメー

……後で売りに出そうっと

 

「次!」

 

龍我は負けじとライオンと掃除機のボトルをセット。

―――と同時に彼に電流が流れ、ダウンする

 

「ライオンクリーナーもダメー」

 

「次……次だあああ!!」

 

タカとガトリングのボトルをセット。結果は

 

「あっちぃ!熱い!熱い熱い熱い!!」

 

龍我の頭上から排出されたての熱い薬莢が降ってきた。

 

「ホークガトリングもダメー」

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

満身創痍の龍我。

しかし彼は『失敗した数の二倍のプロテイン』という約束を思い出し立ち上がる。

そしてハリネズミと消防車のボトルをセット。

 

 

「あああ!熱ッ!あっちぃ!!外出てぇ―――

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

 

結果はまたもや失敗。

被害は突然彼の体が発火し、その直後に消火剤が撒かれるというものだった。

 

「ファイアーヘッジホッグもダメー。万丈、もうやめるか?」

 

「まだだ……!これで、決める!」

 

力を振り絞り、ラビットとタンクのボトルをセット。

するとボトルの反対側に設置された成分の溜まるフラスコが爆発せずに光を放っていた。

 

「おお!これだ!よくやった万丈!プロテイン二倍じゃなくて三倍にしてやる!

だから立て!生きるんだ!」

 

この言葉に文字通り真っ白に燃え尽きた龍我が反応する。

 

「よっ……しゃあ…………!どうよ……俺の……第ろっか――――」

 

「万丈?万丈ォォ!!」

 

その後、起きた龍我に15本のプロテインを贈呈した戦兎だった。

 


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