佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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勇者ってのはそこまでしてこの世界を守りたいのか?
何故?
価値はあるのか?
奴らは何度でも襲い掛かってくる。終わりは無い。
それと、これ以上の技術の進歩はやめた方がいい。ただでさえアレがあるんだ。


技術は人を狂わせる


俺はゲームメーカーだ。あらゆる状況を鑑みて、最上の戦術を考える。すべては計画通りだ。


ナイスマッチな四人

訓練が始まった。目標のバスまで銀を護衛する。

こういえば簡単に思えるが、飛んでくるボールがかなり厄介だ。避けるなら容易いが今回は護衛対象がいる。

 

前方の俺がボールを斬る。俺の武器が届かない方向・高さから飛んできたものは後方の園子が対処する。

 

「あと少し……」

 

1回目にしてはかなり順調だ。この調子なら……

 

「いてっ!」

 

後ろから銀の声が聞こえる。ボールに当たってしまったか。

 

「……すまない」

 

「銀!ごめんなさい!」

 

「もう一回!ゴールできるまでやるわよ!」

 

二分休んで二回目。戦いでは一秒も休めないので二分がとても長く感じた。

 

フォーメーションは変わらないが園子の提案で役割が変わった。園子が銀の防衛、俺がボールが射出されている機械の数を減らすというもの。機械に攻撃を当てるとボールが射出されなくなる。……壊しているわけではない多分。

 

ボールの飛び方は真っすぐこちらに向かってくるものと放物線を描いて飛んでくるもの。俺は前者を、園子は複数の刃先を操れる槍の特性を生かし後者を対処する。

 

「佐藤!横に避けて!」

 

「ああ!」

 

この距離ならバスまで届く。銀ならやってくれるはずだ。

 

「よーし!行くぞ~! ってあれ? とっとっと……」

 

バスのところまで飛ぼうとした銀だったが、バランスを崩し転倒しかける。そこに……

 

「あうっ!」

 

死角からのボールに当たってしまった。

 

 

 

 

 

今日の訓練は終わった。愚問だが、合宿というのは訓練だけ行うものではない。まずは食事。

 

「~ってことがあったんだよ」

 

「ミノさんらしいね~」

 

「……」

 

さすが大赦の用意した合宿。食事もうまい。

 

「……」

 

やってしまった。気まずい。ほかの三人より先に完食してしまった。俺はさっきから相手からふられた話題に「そーだねー」「いいと思う」と軽く流している。

 

「おっ、佐藤さんちの太郎は食べんの早いね~!」

 

「久しぶりの和食だったからな……」

 

「ふ~ん……」

 

須美の目が光ったような気がしたけど気にしない。

 

 

――――――――――――

 

翌日

 

軽く授業を受けた後訓練が再開された。

 

銀の走るスピードが若干上がっている。慣れであろうか。かくいう俺も武器の刀を片手で扱えるようになった。

空いている左手で飛んでくるボールを殴って軌道を逸らしているがボールのスピードもあってかなかなか痛い。

 

 

俺は左から飛んでくるボールを退けるため、左腰の鞘を使った。当たった時の振動が慣れない。

 

須美も矢を撃つスピードが上がっている。

 

 

「後は任せて!」

 

銀が大きくジャンプしバスを破壊する。その後着地した彼女の顔はとても清々しいものだった。

 

 

 

 

「やったな!」

 

「ああ!」

 

俺と銀がハイタッチする。

 

 

「あの二人、前から思ってたけど仲良しね……」

 

「私も~」

 

 

 

 

 

銀と喜びを分かち合っていると、園子が近づいてくる。

 

「さっとんもすごかったね~」

 

「そうか……? 園子もありがとな」

 

 

 

「えーっと……あの……その…………」

 

「ほれほれ~わっしーも構ってほしいみたいだよ~?」

 

「わ、私は……」

 

「そうか。サポートありがとう。これからもよろしくな」

 

こういった後園子が俺の左手を持って須美の頭へもっていく。

 

「わっしーはこうされるの好きなんだよ~」

 

「別にそんな事は……」

 

ここでいうのも何だが園子以外の女性、いや人を撫でたのは今が初めてだ。女性は髪を触られることを体のそれより嫌うって聞いたんだが……?

 

「さっとんは考えが下向きなんだね~」

 

……心読まれてるとかそういう場合じゃない。確かにそうだ。俺が考えるような人は勇者に選ばれるはずが無い。親にもよく言われたものだ

 

 

「悪かった。もう俺たちは友達……だもんな」

 

自分ができる限りの笑顔をしてみる。

 

「佐藤の口からそんな言葉が出てくるとは……あたしは嬉しいよ」

 

「これからは前向きに頑張ろうね~、さっとん~」

 

「こ、こちらこそ、仲良くしてください!…………ところで」

 

「ん?」

 

「あなたの家庭ってちゃんとした和食が少ないんですか?」

 

「須美、お前まさか……」

 

「こうなったわっしーは誰にも止められないよ~」

 

二人が何かを察したようだ。

 

「近日中、お邪魔しますね」

 

え?

 

 

――――――――――――

 

その夜、俺たちは温泉に入ることになった。もちろん男女別である。

 

隣の女風呂ではにぎやかな声が聞こえる。

と、その時、俺のマナーモードの携帯が振動を始める。

 

(知らない番号だ)

 

時間もまだあるので一応出ることに。

 

「はい、佐藤です……」

 

『太郎君?葛城巧だ』

 

「葛城さん?」

 

『お父さんからは精霊について聞いてる?』

 

「はい」

 

『アップデートの準備が完了した。三ノ輪銀ちゃんのものを優先してこちらへ持ってきてくれ』

 

「なぜ銀を?」

 

『神託さ。その子、かなり取り回しの悪い近接武器使ってるでしょ?』

 

本人は軽そうに振り回しているがあれはれっきとした斧である。しかも二丁。

 

『このままだとあの子は二度と帰ってこれなくなる。精霊の実装が早まったのはこれのせいだ』

 

「それってどういう……」

 

『勇者服は装着者の防御・治癒力を上げる。でも風穴を開けられたとしたら? さっきも言ったとおり、神託で近いうちに蠍座のバーテックスが攻めてくることが確定した』

 

「確定?どうして言い切れるんですか?」

 

『今までサソリの尻尾のようなものがついたものとの遭遇は?』

 

「ありません。銀たちも」

 

『やっぱりね。それともう一つ』

 

「……」

 

『バーテックスは12"体"じゃない。12"種類"だ』

 

「え?」

 

『……ともかく、誰も死なせたくないなら、君が前に出るしかない。危険なのは承知しているだろう。でも――』

 

「わかってますよ。じゃあ、この辺で」

 

『そうだね。おやすみなさい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………………ハザードレベル2.2……? 下がっている……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後大した問題もなく合宿は終わった。

 

しかしあの人の言葉が気にかかる。

 

 

 

 

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