佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第二十六話 人型兵器のプロジェクト

「珍しい組み合わせじゃないか」

 

 幻徳が所長をしている研究所の地下駐車場。ここに幻徳、そして戦兎と一海が向かい合っていた。

 

「そろそろ面を合わせて話したほうがいいと思って」

 

「……」

 

「もちろん、タダで話してもらえるなんて思っちゃいない」

 

 一海は自分の後ろに隠していた台車を手前に出す。そこにはパンドラボックスが鎮座していた。

 

「正しい情報とこいつを交換だ」

 

 

『先ほど、ファウストが声明を発表しました。スマッシュと呼称された怪人から人々を守るため、仮面ライダーを軍事兵器に指定し運用する予定とのことです』

 

 ファウストが表舞台に出た。これは深刻な事態であり、大赦も頭を悩ませている。

 今テレビで報道された声明についても大赦は抗議の声明を出している。

 

「俺たちは人間ですらなくなっちまったのかよ!」

 

 龍我が壁に怒りをぶつける。

 

「大赦が後ろ盾になってくれる。だから―――」

 

「戦った代償で動けなくなった女を崇め奉ってきたあいつらを信用しろって言うのかよ!ファウストもあいつらの一部が作った!どうして気づけなかったんだよ!気づいていれば香澄も死ななかったしお前も静かに暮らしていけたはず!」

 

「万丈」

 

「あいつらが有能だったら俺は今も格闘家だったのかもしれねぇ!それに勇者システムとかいうものも最初から代償のない仕様にできた!」

 

「万丈」

 

「お前はどうなんだよ!友達が、自分の女が何があっても死なない身体になって戦わされてきたことについてを!自分だって同じ目に遭ったんだろ?こうなったのは全て大赦が……!大赦のせいなんだ!ローグと一緒に潰してやる!腐った現実と一緒に―――」

 

「龍我!」

 

「ッ……」

 

「信用しろなんて言わない。でも今は睨み合ってる場合じゃないだろ。大赦も悪気があったわけじゃない。実際、代償を必要とするあの力がなければあの時の戦いは勝てなかった」

 

「……」

 

「身体についてはもう慣れた。慣れるしかないんだよ。今の俺たちは、過酷なことがあってもそれを認めて、それと向き合って、生きるしかないんだよ」

 

「……悪い。少し、風に当たってくる」

 

 

「―――それをするのはもう少し後だ」

 

 一海の声が聞こえた。

 

 

 一海が来た理由、それは遊びではない。仮面ライダーを軍事兵器にしようとするファウストの長、幻徳を問い詰め真相を探る。

 一海と戦兎がそれをやっている間、龍我はnascita防衛に務める。

 

「……」

 

 龍我はドラゴンスクラッシュゼリーを手に思い出す。

 

『それは対スマッシュ・ライダーシステム専用だ。バーテックスには無力だと考えてくれ。……もし使う事態になったら…………5分だ。5分で決着をつけろ』

 

 正直、この言葉の意味は理解できなかった。それほど危ない代物なのだろうか。

 

 

 戦兎と一海は幻徳を呼び出した。

 

「珍しい組み合わせじゃないか」

 

「そろそろ面を合わせて話したほうがいいと思って」

 

「……」

 

「もちろん、タダで話してもらえるなんて思っちゃいない」

 

 一海は台車に乗せたパンドラボックスを見せる。

 

「正しい情報とこいつを交換だ」

 

 幻徳が口を開く。

 

「土着神の力の断片……それの力を使って天神の力をも超える兵器を作り、世界を……人間の在り方というものを0からやり直す」

 

 幻徳は右手で合図をする。すると、戦兎らの後ろからガーディアンが現れ、一斉に銃を構える。

 

「さあ、約束通りボックスを渡してもらおうか」

 

 一海は台車を遠ざけ、レンチ型のレバーがついたバックルとパウチ型のガジェットを取り出す。

 

「君たちは貴重な戦力だ。穏便に事を済ませよう」

 

「―――って思ってるのなら銃を下げてもらえないか?それと、俺たちはあんたの言いなりになるつもりはない」

 

 戦兎は回転式のレバーのついたバックルと缶型のガジェットを取り出す。

 

〔ROBOT JELLY!〕

〔RABBITTANK SPARKLING!〕

 

 

 nascitaの前にガーディアン数体とスマッシュ一体が現れる。そのスマッシュは赤い城のような強靭な上半身を有していた。

 

「ここから先は通さねぇ。変身ッ!」

 

〔GET CROSS-Z DRAGON! YEAH!〕

 

 

〔ROBOT IN GREASE! ブルァアアア!!〕

〔シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング! YEAH!YEAHHH!!〕

 

 ビルドはガーディアンと、グリスは幻徳と対峙する。

 

「一度こうしてみたかったんだ」

 

「そう軽口を叩けるのは今のうちだ」

 

 

「あーもう!勝利の法則が滅茶苦茶だ……」

 

 次々と湧いてくるガーディアン相手にカイゾクハッシャーで対処する戦兎。

 彼はガーディアン相手に自分の戦い方を崩され、苛立ちを見せていた。

 

 ガーディアンが二体前方から迫る。この二体の武器をカイゾクハッシャーの弓で言う姫反と下姫反の部分で受け止め、

 

〔各駅電車~〕

〔出発!〕

 

 その間から来るガーディアンを射撃で仕留め一時後退。武器をホークガトリンガーとドリルクラッシャー(ガンモード)に持ち替え、先ほどの二体も仕留める。

 

「戦兎!無機物のボトル貸してくれ!」

 

 ホークガトリンガーを放棄し、ドリルクラッシャーのドリルの接続の仕方を変え、ブレードモードにしてガーディアンの得物を受け止め、ライトフルボトルを投げる。

 

「サンキュー」

 

 ボトルを受け取った一海はスクラッシュドライバーに装填されているスクラッシュゼリーを外し、そのボトルと入れ替える。

 

〔DISCHARGE BOTTLE!〕

 

 レバーを下げ、ボトルの成分をドライバーに流し込む。

 

〔ツブレナーイ! DISCHARGE CLASH!〕

 

 ライトボトルの力である電気を右足に纏わせ、幻徳に左から右に薙ぎ払うような回し蹴りを食らわせる。

 

 食らった衝撃で後ずさったものの、姿勢を崩すことはなかった。

 しかし煙が酷い。停めてある車を巻き込んだのだろうか。

 

 煙が晴れたその先に、ビルドとグリスの姿はなかった。

 

「逃げたか……」

 

 パンドラボックスを置いて逃げた二人を嘲笑し、ボックスに触れようとする。だがそのボックスはホログラムで、本物ではなかった。

 

「アアアアア!!小癪な真似をォォォ!!」

 

 台車を蹴り飛ばし叫ぶ。

 

 

「オルァアアア!」

 

〔MEGA HIT!〕

 

 残る敵は一体。ビートクローザーを振るう龍我。

 しかし、城のような身体をした"キャッスルハードスマッシュ"には通じなかった。

 

 クローザーは刃こぼれを起こし、剣どころか刃物としてすら使えないものになってしまった。

 

「だったら――――」

 

 ボルテックレバーを回し、右拳に神経を集中させる。

 

〔RE――Y G――!〕

〔DRAGONIC F―NI―――〕

 

「―――これで……」

 

 ドライバーの様子がおかしい。その上、必殺技が発動しなかった。

 

 その隙をついてスマッシュは龍我に砲撃を行った。防御力だけでなく、攻撃力も高い。城というよりも要塞のようだ。

 

 クローザーを盾にした龍我だったが、この衝撃でクローザーが破壊され、ドライバーにも砲撃が命中してしまった。

 

「チッ……」

 

 もう一度必殺技を放とうとするが、レバーがうまく回らない。歯車がかみ合っていないのに無理やり回しているような音を響かせながら、強引に回す。

 それでも、必殺技が発動しないどころか、変身が解除された。

 

「何でだよ……!」

 

 落ちたドライバーの正面を見る。すると、外側から見えるギア3つにヒビが入り、所々が欠けていた。

 その近くには、無傷のボトルを残してバラバラに砕け散ったクローズドラゴンが落ちていた。

 今まで乱暴に扱ってきたツケが回ってきたと後悔する龍我。

 

「でも、ここでくたばってはいられねぇんだよ!」

 

 立ち上がり、スクラッシュドライバーを手にする龍我。

 

「パンドラボックスを、俺たちの家を、あいつらが憩いの場所だと思ってくれたここを!

てめぇなんかに奪わせはしない!」

 

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