佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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今日は学生も社会人も休みの日である。

といっても俺は正確には学生ではないので休もうと思えばいつでも休める。

しかし、そうした場合夏凜が家に乗り込んで(親の承諾済)きて自分を連行する。

 

――――――

~大赦~

 

「あら?太郎じゃない。今日は休んでいい日よ?」

 

「ああ、休むさ」

 

「そこは『せっかくここまで来たから勉強でもしますかー』って言ってほしかった……」

 

「そんなことより、これ」

 

俺は乾燥剤が入った煮干し二日分(二袋)を渡す。

 

「ま、毎度毎度悪いわね……」

 

これは俺なりの彼女への感謝である。当時ぐーたらしていた自分をここへ連行して鍛錬をさせた。夏凜と関わっていなければ今も俺はぐーたら人間だっただろう。

 

そして彼女の煮干し好きは大赦内でもかなり有名である。……サプリ服用者であることも。

 

お前その年からサプリとか寂しくないの?もっとおいしいもの食ってもいいんじゃね?

と聞いても『贅沢してる場合じゃない』とのこと。

 

夏凜が一番接している年の近い男として彼女の兄である春信さんとも会話する機会があった。

彼から夏凜がこうなった自分なりの考えを聞き、それからというもの、俺は彼女の誕生日にちょっと値の張る料理等を渡している。

 

最初の頃は、『私は忙しいの。それを食べる時間は無い』と断られたが、退かずに

 

「といってもこれ傷みやすいんだよなー。俺腹の調子悪いから食えないわー」

 

と言ったら

 

「…………しょうがないわね!全く……人に何かあげるときは断られることも想定しておきなさいよね!」

 

と、貰ってくれた。

 

……日記かな? 話を戻そう。

 

 

「じゃ、頑張って」

 

「もう行っちゃうの?」

 

「ああ」

 

「……昔のぐーたらが嘘みたいね。誰が矯正したのかしら」

 

「お前だよお前」

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

やることを終えた佐藤が大赦の施設から出てくる。

そしてその後ろには二つの影があった。

 

 

須美SIDE

 

 

「こんなところまで来てるのね」

 

「ねぇわっしー、わっしーは何がやりたいの~?」

 

「見ての通り尾行よ、尾行。ここまでついてきたそのっちも一緒よ」

 

「でもなんでさっとんを尾行するの~?」

 

「あの人は年齢的に中学生。でも学校に行ってる痕跡は無いからよ」

 

「?」

 

「そのっちと合流する前、家にお邪魔させてもらったのよ。いいご両親だったわ」

 

この時冷蔵庫の食材を和食関連のものに入れ替えたのは内緒。

 

「へぇ~」

 

「静かに。対象が動き出したわ」

 

佐藤さんがタクシーに乗る姿が見える。私たちはそのタクシーが出発した後、自分たちが乗ってきたそのっちの手配した車に乗る。

 

―――――――――――

 

「ここがあの男のハウスね」※二回目

 

私たちは家の前に到着した。

 

「でもここからどうするの?わっし~。ピンポンダッシュ?」

 

「そんな恐ろしいことはダメ!……これよ」

 

「なにそれ~」

 

「潜望鏡よ。壁に隠れながら壁の向こうを視認したりできる道具」

 

さっそく覗いてみると、彼が寝ているのが見える。まだ午前なのに……

 

「うへへ~。窓がガラ空きだぜ~!」

 

「和室……いい趣味ね。そして換気を行っているのね。流石」

 

でも肝心の勉強道具は見つからない。ほかの部屋にあるのか元々ないのか……

 

 

 

 

「なーにやってんのよアンタら」

 

 

 

「「……え?」」

 

観察に夢中で背後の存在に気づけなかった。無念

 

 

――――――――――

 

「なるほど。そういうことね」

 

背後の存在こと三好夏凜さんは佐藤さんの知り合いらしい。勉強も大赦で行っていると教えてくれた。

 

「それで、三好さんはどのようなご用事でここへ?」

 

「煮干しのお礼をね……いつも貰ってばっかだから」

 

「お礼を直接言うなんて、にぼしさんは偉いね~」

 

「三好ね! み・よ・し! …………偉いも何も、そういう風に育てられたからね……

 

それより、あいつに用があるんでしょ?行くわよ!」

 

「行くって、ちょっと待っ……」

 

 

「どーん!入るわよー!」

 

三好さんが思い切り扉を開ける。

 

 

 

佐藤SIDE

 

部屋で気持ちよく寝ているといきなりしたから音がした。

 

「佐藤!いるなら出てきなさい!」

 

え?あいつ?あいつなの? ……きっと寝ぼけてるんだ。そうに違いない。もう一回寝よう

 

「佐藤!」

 

「……」

 

「佐藤さん?」

 

……あれ?

 

「さっとん~」

 

……ん?

 

「……」

 

なんであの二人が俺の住所を?と思っていると突然部屋の入口の戸が開く。

 

「客よ」

 

「あ、はい……」

 

「それと、ありがとね。いつも……」

 

「にぼしさんはね、さっとんにお礼を言いにここまで来たんだよ~」

 

「に、にぼしさんって言うな!」

 

突っ込むとこはそこなのか……

 

「とにかく、私はここまでよ。帰りは自分で……ん?」

 

帰ろうと背を向けた夏凜が二人のほうを振り向いて固まる。

 

「アンタたち、名前……」

 

「名前~?私は乃木園子だよ~」

 

「鷲尾須美です」

 

「乃木……鷲尾……!?」

 

なんてこった!とでも言ってそうな顔をして固まる。

 

「……」

 

にしても固まりすぎじゃないか?軽くつっついてみると

 

「これは……」

 

固まっていたのはこいつだけじゃなかったようだ。

 

――――――――――

 

「ビジュアル系のルックスしてんな」

 

四足のバーテックスを見て銀がつぶやく。

バーテックスは十二星座を模しているらしいが、どれがどれだか正直わからない。

 

「まずは私が!」

 

須美が先手を打とうとしたが、バーテックスの起こした地震で姿勢が崩れ、射撃ができなかった。

 

(次こそ……次こそ……!)

 

心なしか焦っているように見える。

 

「落ち着けって須美」

 

「一人で抱え込むもんじゃねぇぞ」

 

「私たちと一緒に、だよ」

 

「みんな……」

 

 

ここで俺は葛城さんの言葉を思い出す。みんなを死なせたくないなら俺が前に出るしかない……か。

 

 

「銀、お前の武器を貸してくれ」

 

「えっ?」

 

「俺のと交換だ。お前は下がってろ」

 

俺だって考えはある。

すると、バーテックスが上空に飛び上がり、何かを仕掛けてくる。

 

俺は自分の武器を捨て、銀の斧二丁を取り上げる。

 

そして素早く三人から距離を取り、飛び上がったバーテックスの真下につく。

 

 

「何考えてんだよ!」

 

「1分だ!1分の間に蹴りをつけろ!」

 

バーテックスが四本の足の先を尖らせ、ドリルのように迫る。

俺は二丁の斧でそれを受け止める。

 

 

「まずいぞ!このままじゃ……」

 

「……やりましょう」

 

「須美!」

 

「今しかない!」

 

「……だな。園子、どうすればいい?」

 

 

銀SIDE

 

園子が現状を理解し案を出すのが早い。早速案を出してくれた。

 

 

 

「作戦開始~!」

 

まず園子の槍の刃先で階段を作り、須美がバーテックスの上部へ攻撃。

そのあとあたしが佐藤の武器を自分の体の前で防御するように構え、それを踏み台にして園子が突撃というもの。

 

 

こちらの準備は万全。佐藤、もうちょい踏ん張ってくれよ……

 

 

 

 

 

佐藤SIDE

 

これが自殺行為なのはわかってる。それにあいつらはやってくれるはず……

 

早速やってくれたか。回転が遅くなってきている。

 

さらに紫色の閃光がバーテックスを貫き、回転が止まる。

 

その隙をつき俺はバーテックスの下から退避。

 

「やってくれたじゃねぇか。まずはお前から血祭りにあげてやるぜェェ!!」

 

こいつらには血が無いとかそういう細かいことは無しとして、二丁の斧を振り回しバーテックスを切り刻む。初めて使う武器にしては中々だと思う。

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

戦いが終わり、帰宅する。

途中三人に、

 

「何か相談したいことは無いか?」

 

「お悩み解決するよ~」

 

「力になれるようなことがあれば……!」

 

と言われた。今のとこストレスは無い。バーテックス斬ってたときも笑ったし。

 

 

 

 

「突然消えたと思ったら……。お疲れ様」

 

「まぁな。それより夏凜」

 

「な、なによ」

 

「笑顔になった後に『お前悩みとかない?』とか聞かれるのどう思う?」

 

「どうって……どんな笑顔したの?」

 

「こんなの」

 

あの時の顔をできるだけ再現する。

 

「ヒィ……!」

 

「おま、人が笑ってるのにヒィとは何だヒィとは!」

 

「あの……そのー、私は味方だからね?」

 

「お、おう。ありがとう……」

 

何だ?どいつもこいつも。

 

「あっ!佐藤からも言っておいて!」

 

「……なにを」

 

「ほら、あの二人に私、失礼な態度を……」

 

「あいつらなら大丈夫だよ。じゃあな。気をつけて帰れよ」

 

帰れよと言ったはいいものの、もう夕方だ。夏凜が帰るころには日が完全に沈んでいるだろう。

 

と、その時、家の中から父親が出てくる

 

 

「太郎!こんな夕方に一人で友達を帰すとかお前は鬼か!」

 

えぇ……

 

「じゃあどうしろと」

 

「……佐藤、今夜お前はリビングで寝ろ」

 

「「は?」」

 

結局、俺の部屋で夏凜が、俺はリビングで夜を凌いだ。

 

後日、春信さんに羨望のまなざしで見られたのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハザードレベル3.0…………! ついに覚醒したか……!』

 




今年中には一章を完結させます。

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