佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第三十四話 神のシューティングスター

〔GASHAT!〕

〔ガッチャーン!〕

〔LEVEL UP!〕

 

〔MIGHTY JUMP! MIGHTY KICK! MIGHTY ACTION……X!

 アガッチャ!

 DANGER DANGER! DEATH THE CRISIS DANGEROUS ZOMBIE……!〕

 

 黎斗はゾンビを模した装甲を纏い、レベル0と異なった白い戦士、

 仮面ライダーゲンム ゾンビアクションゲーマー レベルX-0 に姿を変え、

 

 龍我はガシャット下部のスイッチを押し込み、ドライバーに刺す。

 本来この工程は最後に行うものだが、順番を無視しても変身は可能。

 

〔MAXIMUM GASHAT!〕

〔ガッチャーン!〕

〔LEVEL MAAAAAAAX!〕

 

〔MAXIMUM POWER X!!!〕

 

 人型のパワードスーツを装着したような戦士でスペックのすべてに『99』という数値が入っている、

 仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマー レベル99 に姿を変える。

 

「行くぜェ!」

 

 変身した龍我は思い切りジャンプした後、地を駆け抜ける。

 100mを0.99秒で走る彼にとって造作もないだろう。

 

「……おいおい、俺を忘れるんじゃないよ」

 

〔不死身の兵器! フェニックスロボ! YEAH……!〕

 

 

「あれか」

 

 戦兎らと遠くない地点で、スタークと幻徳が対峙している。

 

「ああ。お前ならどうする?」

 

 幻徳はトランスチームガンにバットフルボトルを装填。

 しかし、彼はそれを樹海へ放り投げた。

 

「ほう……」

 

 そして、スクラッシュドライバーと紫色のワニが描かれたスクラッシュゼリーを取り出す。

 

〔SCLAAASH DRIVER!〕

 

「これはこれは。してやられたねぇ」

 

〔ALLIGATOR JELLY!〕

 

「変身」

 

〔ツブレル!ナガレル!アフレデル!〕

 

 ドライバーに装填されたゼリーから紫色の成分がゼリータンクに流し込まれ、

 グリスやクローズチャージとは違う、初めから装甲のついた素体にクリアパープルの装甲が装着される。

 

〔ALLIGATOR IN ROGUE! ブルァアアア!!〕

 

「仮面ライダーローグ。これが今の私だ」

 

〔TWIN BREAKER!〕

 

 左手にツインブレイカー、右手に紫のトランスチームガンことネビュラスチームガンを召喚する。

 

「死ぬのは貴様だ。石動」

 

 

「っと!」

 

 利き足を前に出し、急ブレーキをかける龍我。彼の目の前には、ゲムデウスが立ちはだかっていた。

 

≪よくぞここまでやって来た。愚かな生き物よ≫

 

 ゲムデウスが発声する。

 

「ぁんだと?」

 

≪我が直々に罰を下してやろう≫

 

 龍我はエグゼイド専用の大剣 ガシャコンキースラッシャーを召喚し、飛び上がる。

 

「偉そうなこと言ってんじゃねぇ!化け物のくせによぉ!!」

 

 空中に上がって降下する勢いで剣先を刺し縦に斬る。

 しかし、それはすぐさま修復されてしまった。

 

≪ゴッド……神だったか……貴様らが我につけた名というのは≫

 

 

「貴様もろとも、奴らを始末する」

 

 突き刺すようにツインブレイカーを振るう幻徳。

 スタークはそれを後退しながら避けるが、彼の後ろにはレオ・スタークラスターと勇者の姿が。

 

「成程成程。確かに、スクラッシュドライバーを使ったシステムならバリアを破壊できる。だが、念には念をってやつだ。戦兎が何も対策をしていない訳無いだろ?」

 

「黙れ!」

 

〔TWIN!〕

 

 幻徳はツインブレイカーにファウスト製のボトルの一つ、ジェットフルボトル。そして既存のものとは形状の異なるボトルを装填する。

 

〔TWIN BREAK!〕

 

 ツインブレイカーのパイルに溜まった二本のボトルの力がジェット機のような速さでスタークに迫る。

 

「っと!」

 

 スタークはそれをステップでかわす。

 

「ハハハハ……!血迷ったか。後ろには奴らが―――」

 

「血迷ったのはお前だろ?」

 

 

「っ……と。危ねぇ!」

 

 赤と黒の戦士が左腕で幻徳の放った攻撃を防ぐ。

 

「戦兎!どうだ、俺のお年玉は!」

 

「……それより、なんであんたが―――」

 

「話は後だ」

 

「そうかい。あんたにはやってもらわなきゃいけない事がある。覚えとけ」

 

「はいはい」

 

 こう話しながらも少し混乱する戦兎。そんな彼の死角から星屑が襲い掛かるが、

 

「何やってんのよ全く!」

 

 投げられた脇差と数十メートル以上の長さに伸びた槍の薙ぎ払いによって殲滅される。

 

「油断は禁物だよ、さっとん」

 

「悪い。……こっちも劣勢――――」

 

 

 

「樹!アレいくわよ!」

 

「ぶっつけ本番で!?」

 

「アレ……?」

 

 レオ・スタークラスターの火球や水球でまともに近づけない前衛の勇者達。

 

 しかし、風が一発逆転のアイデアを発案する。樹が拒否をし、友奈は首をかしげている。

 

 ついに折れた樹が風の身体に自身の武器であるワイヤーを巻き付け、思い切り振り回す。

 

「樹ちゃん!?何やってんの!?」

 

「これでいいんです!これが私たちの……」

 

「アタシ達の女子力よ!―――満開!!」

 

 勢いのついた状態でワイヤーがほどかれ、風がレオの方角に投げ出される。

 その時、満開を発動させ、レオの胴体にタックルをかます。

 

 するとレオは姿勢を崩し転倒。

 

あれ?何かイメージと違うんだけど…… 見たか!乙女の一撃ー!!」

 

「おぉ~」

 

 

「――――じゃねぇよな、あれ」

 

「私たちも負けてられないね、にぼっしー」

 

「そうね」

 

 

「がっ……あぁ……ちぃぃ……」

 

「おやおや、一体どうしたんだ?仮面ライダーローグさんよぉ」

 

「……イスルギィ……!!」

 

「トランスチームシステムはハザードレベルが4.8に固定される。これは知ってるよな?

 それに慣れ切ったお前がいきなりレベルが成長するシステムを使ってみろ。体が言う事聞かねぇぞ」

 

 スタークはツインブレイカーからジェットフルボトルを抜き、

 

〔COBRA!〕

 

「これはお前がやってきたことだ」

 

 スタークは疲弊しきった幻徳の胸部に銃口を突きつける。

 

「容赦はしない」

 

〔STEAM BREAK! COBRA……!〕

 

 高威力の銃撃を食らった幻徳は何度も地面に激突しながら遠くに吹き飛ばされる。

 

 だが、スタークはあいつはまたやって来ると呟いていた。

 

 

〔RABBITTANK SPARKLING!〕

 

 一方、戦兎はラビットタンクスパークリングフォームに形態を変え、ドリルクラッシャーとホークガトリンガーを召喚。

 遠方の美森の狙撃も重なり、星屑の数は減少してきた。

 

〔READY GO!〕

〔SPARKLING FINISH!〕

 

 左足のバネで高くジャンプし、レオをワームホールで固定、そこへ急降下キックをぶつける。

 

「はあぁぁぁぁあああ!!」

 

 スパークリングの名の通り、無数の泡と共にレオの胴体を貫通すると同時に泡が弾け、弾けたところからレオにダメージが蓄積されていく。

 修復の隙が無くなったところに

 

「勇者ぁぁぁぁぁ……パァァァァァァンチ!!」

 

 彼の使用していたシステムを継いだ友奈が続く。

 満開を発動し出現した白い巨大な腕に力を集中させ、戦兎が開けた風穴を広げるように突っ込む。

 その時、御霊が少しだけ露出した。

 

「勇者ぁぁあああっキィィィィック!!」

 

 そこへ友奈の、炎を纏い破壊力の増した踵落としが入る。

 御霊が一つ、消滅した。

 

 消滅したと同時にレオが水球の発射能力を失う。

 

 

 戦兎はホルダーから二本のボトルを取り出す。二本ともラベルには『Y/R・L』と記されている。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

〔YUUSHA!〕

〔RIFLE!〕

〔BESTMATCH!〕

 

 ドライバーのレバーを回すと同時にスナップライドビルダーが展開。前方に薄紫、後方にスカイブルーのハーフボディ、側方には上半身用のパーツが成形される。

 

〔Are you ready?〕

 

「ビルドアップ」

 

 二つのハーフボディとパーツが戦兎の体に重なり、ビルドは新たな形態へと姿を変える。

 

〔BREAK DOWN DESTINY! BUILD IN BRAVESNIPER! YEAHH!!〕

 

 ブレイブスナイパーフォーム。葛城の研究データでも名前の出された勇者フルボトルの真のベストマッチ。

 

 腕部、脚部ともに造形が既存のフォームとは異なり、上半身には白い装甲と鷲の翼を模したパーツが装着されている。

 

「俺の実験は……最終段階だ」

 

 戦兎の右手に犬吠埼風の使う大剣と同型の武器が召喚される。

 この形態では専用武器が無い代わりに、勇者とライフルのボトルを作るとき採取した成分の基となった人物(299年~300年 夏澟加入前)の武器を二つまで同時に召喚することが可能。

 

「佐藤!あと少しだ!気を抜かないよう…………え?それって先輩の……」

 

 一度レオから距離を取った銀が初めて見る光景に動揺する。

 

「まぁ見てろ」

 

 大剣を一度左手に持ち替え、レバーを回転させる。

 

〔READY GO!〕

 

 再び右手に大剣を構え、左腕のガントレットから緑色のワイヤーを射出し、レオを拘束する。

 

〔GIGA VOLTEC FINISH!〕

 

 拘束されたレオに大剣を振り下ろす。振り下ろす直前に大剣は巨大化。レオを一刀両断するが、今のレオは複数のバーテックスと融合している。1体消えたとはいえ、修復能力は健在ですぐに傷を治されてしまった。

 

「見えた」

 

 戦兎はレオの御霊の位置を視認。次こそと思ったその時、レオが後方の壁に穴を開けてしまった。

 

「これは……まずいわね……」

 

 遠方でスコープを覗く美森が呟く。

 レオのほかにももう一体正体不明の敵が存在するうえ、星屑まで増やされたらキリが無い。

 

「園子、銀、合わせるぞ」

 

 新たに三ノ輪銀が使用している斧を二丁召喚。

 

「おうよ!火の玉ガールの力、見せてやる!」

 

「うんうん、一人で立ち向かうのは無謀だよね~。一人で行くなんて言ったらどうしようかと思ったよ~」

 

 槍を摩りながら戦兎に笑顔を見せる園子。だが、その笑顔はいつものほんわかしたものでは無かった。

 

〔READY―――〕

 

〔GO!〕

「ゴー!」

 

 ドライバーのシステムボイスと銀の掛け声が重なる。

 同時に園子が槍を伸ばし、縦と横の薙ぎ払いを行い、炎を纏わせた斧を構える二人が突撃する。

 

〔GIGA VOLTEC FINISH!〕

 

 銀は地を蹴ってレオの上空から、戦兎は真下からレオに斬りかかる。

 お互いがお互いの初期の位置に達した頃にはすでにレオの身体は崩壊しかかり、御霊が剥き出しになっていた。レオとそれ以外を足して計3個。

 

「もういっちょぉ!」

 

 着地した銀が牡牛座の御霊に向かって飛ぶ。

 

〔READY GO!〕

 

 戦兎は斧を放棄し、三度必殺技を発動する。

 

〔GIGA VOLTEC FINISH!〕

 

 背中の鷲の翼が展開され、紫色の鳥のようなエネルギー体を纏い、レオの御霊に向かって上空からキック。

 

 御霊はいつ崩壊しても可笑しくないほどのヒビが入るが、形をまだ保っている。

 

「園子!」

 

 御霊から飛び降り、叫ぶ戦兎。

 

「いっくよ~!」

 

 園子が槍を目いっぱい伸ばし、レオの御霊を貫く。

 今度こそ完全に破壊され、レオ・スタークラスターの体が砂のように崩壊した。

 だが、御霊はあと二つ残っている。

 

「私がやる!」

 

 星屑の攻撃を時々わざと受けながら、満開ゲージを溜めていく夏澟。

 ゲージが溜まると彼女はその力を解き放つ。

 

「満開!!」

 

 御霊二つを一閃し、瞬時にこれらを破壊した。

 

「おー、夏澟も戦績上げに必死になってるわねー。別に報酬とかないからね?」

 

「うっさい!」

 

 

≪地を這う生き物どもが、我に敵うとでも?≫

 

「うおおおぉぉぉおおお!!」

 

 龍我は物狂いになって得物を振り回す。

 こうやっても勝てない。自覚していた。でも、何もしないで終わるよりは……

 

≪"神"である我に……そのような攻撃は効かぬ!!≫

 

 ゲムデウス、正確にはゲムデウスの身体を使って降臨した天の神は、左腕の剣を龍我に向かって振り下ろす。

 防御を忘れていた彼は咄嗟に得物を盾にしようとしたが、遅かった。

 

「ぐああああああああああ!!」

 

 ダメージの蓄積により変身が解除されてしまう。

 

「やはり貴様だったか……よくも……よくも……」

 

 黎斗の得物を握る手が震える。

 

「よくも千景を殺してくれたなァァァァァアアアアア!!!」

 

 大剣のような下半身に得物を刺しながら頭部を目指す。

 

≪あの女は周りから親にさえ罵倒され続けていた。我は楽にしてやっただけだ≫

 

「貴様アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

≪あの力を失ったお前は我に傷一つつけることはできない≫

 

 体を揺らし、黎斗を放り投げ、宙に浮いた彼に下半身の大剣を振り下ろす。

 即死だった。

 

〔GAME OVER……〕

 

 

「……」」

 

≪人間は滅びる。貴様も同じだ≫

 

「そうだ。生きもんはいつか死ぬ。みんな死ぬ。でも―――」

 

 龍我の右手には、黄金のガジェットが握られていた。

 

「今じゃない」

 

〔HYPER MUTEKI!〕

〔MAXIMUM MIGHTY X!〕

 

≪それは……っ 人間が持つべき力では無い!消え失せろオオオオ!!≫

 

 天神が樹海全体に衝撃波を発声させる。

 

 

「ッ!?」

 

 成す術のない戦兎らはこれを食らい、仮面ライダーは変身解除、勇者はバリアを発生させたものの、すぐさま破壊されてしまったが大事には至らなかった。

 

「万丈……」

 

 

〔MAXIMUM GASHAT!〕

〔ガッチャーン!〕

〔LEVER MAAAAAAAX!〕

 

「神だか何だかよくわかんねぇが、失せるのはてめぇだ」

 

 ゲーマドライバーに装填したマキシマムマイティXガシャットの側面のジョイントにハイパームテキガシャットを接続する。

 

〔ドッキィィィィング!!〕

〔ムゥゥゥゥゥテェェェェェキィィィィィ!!!〕

 

 

 〔輝け!流星のごとく! 黄金の最強ゲーマー!!

 ハイパームテキ!エグゼェェェェェェイド!!〕

 

 

 龍我はエグゼイド最強の姿、ムテキゲーマーへと姿を変えた。

 




今の自分ではこれが精一杯です……


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