佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである 作:鮭愊毘
「はぁぁぁあ!!」
ドラゴンの炎を纏った戦兎の拳が幻徳にぶつかる。
「お前の力は、そんなものではないはずだ」
〔READY GO!〕
〔VOLTEC FINISH! YEAH!〕
左腕から鎖を射出し、動きを止めたうえで右拳に力を集中。
幻徳の胸部を狙って拳を突き出す。
「まだまだ…………ッ!」
◇
「遅かったか……!」
騒ぎを聞きつけ、一海が急行する。
彼の眼前には、戦兎ともう一人の仮面ライダーが戦っている様が広がっていた。
自分のドライバーのデータの流出先を遂に突き止め、戦兎の援護のため変身し向かおうとするが、
「割り込みはご遠慮いただきたい」
ネビュラスチームガンを構えた男が立ちはだかった。
「邪魔だ!」
一海はツインブレイカーで威嚇射撃を実行するが、男には通じず、なおも立ちはだかっていた。
さらにその男は、フルボトルに形状の似たガジェット、ギアエンジンを取り出し、ネビュラスチームガンに装填。
〔GEAR ENGINE!〕
「
〔FUNKY!〕
男が引き金を引くと、銃口から紫色のガスと粒子が噴出され、それが体を包む。
〔ENGINE RUNNING GEAR……!〕
ガスが晴れ、そこから現れた男は、右上半身に赤い歯車を模した装甲を身に纏った戦士、ライトカイザーへと姿を変える。
「来い。我々の計画を止めたければな」
◇
〔天翔るビッグウェーブ! クジラジェット!〕
自分のハザードレベルが上がったとはいえ、キードラゴンでの長時間戦闘は危険と判断した戦兎。
彼はクジラとジェット機のベストマッチフォームに変更し、背中のウイングで空を翔る。
〔READY GO!〕
〔VOLTEC BREAK!〕
ドリルクラッシャー(ガンモード)にジェットボトルを装填し、ジェット気流に乗せた水を発射。
幻徳はそれに飲み込まれる。
「流石は、ファウストの作ったボトル……だが!」
幻徳はドライバーのレンチを拳で叩き付けるように下げる。
すると、ボトルにさらに亀裂が走ると同時にエネルギーが両足に集中する。
〔CRACK UP FINISH!!〕
集中したエネルギーがワニの顎の形状となり、水流を飲み込むように戦兎に接近。
彼の装甲を噛み砕く。
「ぐあぁぁぁぁあ!!」
思い切り地面に激突する。
背中のウイングは破壊されてしまったため、戦法を変える。
〔一角消去! ユニレイサー!〕
面がダメなら点で。
一角獣と消しゴムのベストマッチフォーム。
右腕に一角獣の角を模したバンカーが装備されている。
◇
〔SCRAP FINISH!〕
「ぅおぉぉぉらぁぁぁぁ!!」
一方、ライトカイザーと交戦中の一海。
彼はロボットスクラッシュゼリーのエネルギーを右腕に集中させ、自身の腕の二回り以上の大きさのロボットアームを形成。ライトカイザーに放つ。
〔FUNKY DRIVE!! GEAR ENGINE!!〕
ライトカイザーも必殺技を発動。
発動機の力でオーバーヒート寸前まで高められた出力のネビュラスチームガンから弾が放たれる。
右腕でそれを受け止めながら前進する一海。彼は自分が受け止めている弾から紫色の粒子が漏れているのを目撃した。
「これは……バグス―――」
「余所見とは随分余裕なことで」
右腕のロボットアームが砕かれ、弾が一海に直撃。変身が解除される。
「型落ちした貴様に我々を止める術はない」
「……何者だ……お前……」
「佐藤……とでも名乗っておこう」
こう言い残し、ライトカイザーは姿を消した。
◇
〔キードラゴン!〕
再びキードラゴンフォームに変身。幻徳の戦法に勝つには肉弾戦しかない。
二つのボトルの組み合わせにより、幅広い戦略を練れるビルド。
だが、今の彼にそんなことを考えている余裕はなかった。
―――勝つんだ……! みんなのために! 平和のために…………!!
「うおぉぉぉぉおおおらぁぁぁぁ!!」
「ッ!!」
戦兎の右拳が幻徳の胸部装甲にぶつかり、装甲にヒビが入る。
しかし、決定打にはならない。
残された手は―――
「……やっぱり、使うしか……」
ハザードトリガーだけ。
ハザードフォームは現在、長時間戦闘による自我喪失が発生するものとそうでないもの、その中間の三つに分けられる。
自我喪失の危険があるものは、ラビットタンク。
自我喪失の危険が無いものは、ラビットタンクとブレイブスナイパー以外。
二つの中間がブレイブスナイパー。
自我を失わないもので変身すればいいと考えたが、それで本当に勝てるのだろうか。
力を引き出せずに負けるかもしれない。
〔HAZARD ON!〕
彼が出した答え。それは
〔DRAGON!〕
〔LOCK!〕
〔SUPER BEST MATCH!!〕
〔Are you ready?〕
「ビルドアップ」
〔CONTROL SWITCH! BLACK HAZARD! ヤベェェェェイ!〕
「ッ!? がぁぁぁあああ…!ぐッ!」
キードラゴンハザードフォームになった途端、戦兎の体を熱が蝕む。
通常のキードラゴンでも存在した症状だが、ハザードに強化されたことでこの症状も強化されてしまったのだ。
それでも彼は拳を握り締め、戦う意思を示す。
「刺し違えてでも……お前を!お前をォォォ!!」
〔READY GO!〕
〔HAZARD ATTACK!〕
「世界は……俺のモノだァァァァァァア!!!」
〔CRACK UP FINISH!!〕
両者が高く飛び、戦兎はドラゴンの力が反映されている左足、幻徳は両足を突き出す。
「うおぉぉぉぉオオオ!!!」
「オォォォォォオオオオ!!」
二つの強力なエネルギーが激突し、爆発を起こす。
「戦兎!」
爆発の後、一海が目にしたのは、落下後に体制を整え、ハザードトリガーのスイッチに手を伸ばす戦兎の姿。
〔MAX HAZARD ON!〕
「やめろ……。今の状態だと……」
止めに向かいたいが、ライトカイザーから受けたダメージのせいでまともに立つことができない一海。
だが、戦兎がとった行動は彼の予想とは違うものだった。
「ボトルを抜いた……?」
戦兎の左手には、銀色のガジェット。
〔RABBITTANK SPARKLING!〕
ハザードトリガーとラビットタンクスパークリング。二つが接続されたドライバーを中心に、内側に液体の充填されたハザードライドビルダーが形成され、
〔Are you ready?〕
「……ビルドアップ」
〔OVERFLOW!〕
〔シュワっと弾ける! ラビットタンクスパークリング! YEAH! YEAHHHH!!〕
〔ヤベェェェェイ!!〕
オーバーフローモードと変身の同時発動。
複眼以外が漆黒に染まり、赤と青の複眼が禍々しく前方を睨む。
ラビットタンクハザードですら自我を失ってしまった戦兎。
これの強化版であるラビットタンクスパークリングハザードでどうなるか。
それは火を見るよりも明らかだった。
「ようやく本気を出したか……」
最初から自我を失っていた戦兎はドリルクラッシャーを召喚し、それにドラゴンボトルを装填しながら幻徳の元へ歩み寄る。
〔READY GO!〕
〔VOLTEC BREAK!〕
「があぁぁぁああ!!」
幻徳の装甲に強化剤と共に炎が浴びせられる。
徐々に霧散していく装甲。それでも彼は倒れない。
〔CRACK UP FINISH!!〕
ボトルにある左右の亀裂が繋がるほど圧迫し、ボトルの成分の殆どをドライバーのゼリータンクに移動。それを右腕に集中させ、放つ。
だが―――
「ちぃ……!」
〔READY GO!〕
幻徳の腹部に蹴りを入れ、必殺技を発動。
〔HAZARD FINISH!!〕
〔SPARKLING FINISH!!〕
右足を突き出した低空でのキックで幻徳を壁にめり込ませ、腰のスクラッシュドライバー目掛けて左拳を叩き付けた。
「ァアアア!!…………ガハッ……」
ドライバーとボトルが破壊され、辺りに液状になったボトルの成分が飛び散る。
変身が解除された幻徳は倒れ、立ち上がろうとするものの、体が言うことを聞かない状態だった。
「ライダーシステムの破壊により……勝者、大赦!!」
「……まだだ」
一海が体を起こす。
自分の所属する陣営の代表が勝った。
しかし、喜んでいる場合ではない。
まだ――――――
「やめろ……」
―――悪魔が動いている。
戦兎が幻徳の首を掴み、右手で拳を作る。
これを後ろに下げた時
「やめろォォォオ!!」
一海が地面を蹴った瞬間、足に激痛が走り転倒する。
もうダメか。こう思ったその時、
銀色の龍戦士が戦兎の拳を受け止めた。
「調子良さそうじゃねぇか……! 戦兎」