佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

51 / 75
遅れました。


第四十三話 ベストマッチな奴ら

 銀色の龍戦士、仮面ライダークローズチャージ、万丈龍我。

 彼は戦兎の拳を受け止め、突き放すと同時に胸部に蹴りを入れる。

 

「やめろ!今のお前じゃ無理だ!」

 

 一海の叫ぶ声が聞こえる。

 

「うるせぇ、俺しかいねぇんだよ」

 

 戦兎に再び拳をぶつける。

 

「目ェ覚ませ!! この野郎ォ!!」

 

 自我を失い、眼前の龍我をただの敵と判断している戦兎は向かってきた拳を掴み、捻る。

 そして、空いている左腕、タンクフルボトルの力が反映されている左腕の拳で、龍我の鳩尾、胸部を執拗に攻める。

 

 龍我も負けじと左拳で戦兎の顔面を殴り、体に蹴りを入れて一度体制を立て直す。

 

 戦兎は再びドリルクラッシャーを手に取り、ロックフルボトルを装填。

 

〔READY GO!〕

〔VOLTEC BREAK!〕

 

 ドリルクラッシャーから鎖が出現し、龍我の右腕と胴体を束縛する。

 

〔TWIN BREAKER!〕

 

 空いている左腕にツインブレイカーを召喚し抗戦するも、慣れない腕しか使えない上、パイルを展開したアタックモードを愛用していただけに、銃口を前に向けたビームガンモードはろくに使用していなかった。

 

 そのため、うまく標準が定まらない。

 

〔READY GO!〕

 

 戦兎がドライバーのレバーに手をかけながら迫ってくる。

 

〔HAZARD FINISH!!〕

〔SPARKLING FINISH!!〕

 

 気体状の強化剤を見に纏った状態で龍我の心臓目掛けて右足を突き出す。

 

「―――――かはっ」

 

 幻徳と同じように、いやそれ以上深く壁にめり込む。

 

 だが、これで終わらなかった。

 

 戦兎は足を龍我の胸部に当てた状態で足に備えられた無限軌道を回転させる。

 

 装甲が徐々に削られていく。

 そして、肩や頭部を覆う箇所にもヒビが入り、内側の龍我の目が片方、露わになった。

 

「戦……兎ぉ! お前は……」

 

 壁に叩き付けられた衝撃で鎖から解放された右腕で戦兎の足を掴み、退ける。

 

「お前は……独りで……抱えすぎなんだよ!」

 

 拳に力を入れる。

 

「過去のお前がなんだ!」

 

 戦兎の顔を殴る。

 

「そのせいでファウストが生まれた?それがなんだ!」

 

 もう一発。

 

「それでも、お前はお前だ!いなくてもいい存在なんかじゃない!」

 

 ドライバーのレンチを下げ、ドラゴンスクラッシュゼリーの成分をドライバーを通して右腕に集中。

 

〔SCRAP BREAK!!〕

 

「お前を基にして創られた技術は、人を苦しめる事だけに存在してる訳じゃねぇだろ!!」

 

 さらに、クローズドラゴンマックスにある者から託されたボトルを装填し、パイルを展開したツインブレイカーに差し込む。

 

〔READY GO!〕

 

「その技術を使って……自分の正義を信じて、誰かのために、誰かを助けるために……

 戦ってきたのは……お前だろ!!」

 

〔LET'S BREAK!!〕

 

 ツインブレイカーからドラゴンとそれに装填されたボトルのエネルギーが、龍の形を成して戦兎に食らいつく。

 

「目を覚ませェェェェ!!」

 

 暫しの間、戦兎の動きが止まった。だが、腕で龍を振り払い、龍我に襲い掛かる。

 

戦兎ォォォォォ!!!

 

 龍我も拳で迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 変身の解除された二人が、地に伏した。

 

「……万……丈?」

 

「勝ったんだ。お前が」

 

「……」

 

 意識を取り戻した戦兎。彼の傍には、ハザードトリガーとラビットタンクスパークリングが散乱していた。

 

「また……やっちまったんだな。お前が止めてくれたのか」

 

 龍我は少しの沈黙の後、こう答えた。

 

「俺だけじゃない」

 

 彼は戦兎に、蓮の花と槍のレリーフのあるフルボトルを渡す。

 かつて、乃木園子から採った"勇者"の力を秘めたもの。

 

 龍我はここへ来る前、彼女からこれを託されていたのだ。

 

「二度とこんな真似するんじゃねぇぞ」

 

 以前、園子に言われた『自分の事を守れない人が誰かを守ることなんてできない』という言葉と、『無茶しないで』という約束を破ったことを思い出し、自らを嘲笑する戦兎。

 

「あぁ。……ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

「っフフフフ……ハハハハハハ!! やはり、力だけでは限界があるか……」

 

 突如、幻徳が狂気に満ちた目で笑う。

 

「今回は負けを認めよう。だが――――」

 

「逃がすかァ!」

 

 龍我が落ちているドリルクラッシャーをガンモードに変形させ、銃口を幻徳に向ける。

 

「我々は止まらない。世界を、人類を、進化させるために…………!」

 

〔ICE STEAM!〕

 

 幻徳はスチームブレードから冷気を発生させ、龍我は引き金を引く。

 だが、冷気が晴れた後には、凍らされた弾が砕け散った音が響いただけだった。

 

 龍我の予想通り、ファウストは戦いを続ける方向にあった。

 

「……」

 

 歯を食いしばり、手を握り締める戦兎。

 

「でもお前は、あいつに勝った。ドライバーも使い物にならなくなったし」

 

 先程まで幻徳がいた場所には、砕けたフルボトルにスクラッシュドライバー。そして、ネビュラスチームガンが散らばっていた。

 

「大切なのは今、だろ?」

 

 葛城にも言われた言葉。

 過去の事で悩んでいたって、今という時間は決して変わらない。

 

「万丈」

 

「ん?」

 

「こんな俺と……これからも、一緒に戦ってくれるのか?」

 

 戦兎のこの言葉に、龍我は呆れてこう言った。

 

「はぁ? 当たり前だろ」

 

 龍我は戦兎に笑みを浮かべ、拳を作り前に出す。そして戦兎にも同じことやるよう促す。

 

「俺たちは―――」

 

 二人の拳が合わさる。

 

 

 

相棒(ベストマッチ)だからな」

 

 

 

 

 一方、nascitaでは惣一がパソコンを操作し、あるデータを開いていた。

 ライダーシステムのデータではない。

 

「出来れば、これはこのまま眠らせておきたかったんだけどねぇ……」

 

 以前nascitaを襲撃した戦士、レフトカイザー。

 彼女と幻徳の使用していたネビュラスチームガンは、カイザーシステムと呼ばれる次世代型のシステムであると大赦に拘束されたファウストの一員が吐いた。

 

 その上、これにはバグスターウイルスが使用されている。

 

 無限とも言える可能性を秘めたビルドでも、破られる日がくるかもしれない。

 

「さて、どうするか……」

 

 彼が今まで隠していたデータ。これはライダーシステムの前、佐藤太郎と遭遇する前から企画されていたものと同時に、

 ベストマッチの存在しない唯一のフルボトルであるコブラ。これの理由も記されていた。

 その名も―――

 

 

 

 EVOL SYSTEM。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。