佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである 作:鮭愊毘
大赦から情報をリークした二体のカイザー。
ライトは勇者のいるとされる訓練場。
レフトはパンドラボックスの移動先の廃工場に姿を現す。
「よう」
「遅かったじゃねぇか」
だが、彼らの目的のものはそこには無かった。
◇
ライトカイザーの所には攻撃特化型のクローズネオと、攻防のバランスと取れたグリスが。
レフトカイザーの所には多彩なフォームチェンジや機動力を生かした戦法が得意なビルドとブラッドスタークが待ち構えていた。
「戦兎、辛いなら休んでてもいいんだぞ?」
「何言ってんだよ。そんな甘い事言ってられる場合じゃないっての」
「……」
レフトカイザーは二人の後ろに転がっているパンドラボックスを発見し、得物を構えながら地面を蹴って前進。
ラビットタンクスパークリングフォームに変身している戦兎は、面積の広いドリルクラッシャーとカイゾクハッシャーを召喚し、カイザーの突進を受け止める。
惣一はその隙にカイザーの横へ回る。
だがカイザーは戦兎の防御を崩し、発砲。
惣一は何とかこれを回避し体制を立て直すため一旦後退する。
「マスター! あんたは後ろで援護を頼む!」
戦兎が彼に向け、ガンモードに変形させたドリルクラッシャーを投げる。
「二丁拳銃か。面白い」
惣一がドリルクラッシャーと、ネビュラスチームガンを構える。
「っ! それは……!」
「文句ならお前さんのボスに言うんだな」
◇
〔FLAME UP! KAIZOKU!〕
〔READY GO!〕
〔PIRATE BREAK!!〕
こちらでは龍我と一海、ライトカイザーが対峙。
龍我が海賊フルボトルの力で水を発生させる。
〔
〔MILLION HIT!〕
これをビートクローザーの斬撃で水流カッターのように飛ばす。
〔FUNKY DRIVE!! GEAR ENGINE!〕
カイザーはそれを相殺する。だが、相殺できたのはビートクローザーの斬撃とカッターと化した水だけで、そうなっていなかった水は防ぐことはできなかった。
無論、ただ水をかぶっただけなので、ダメージは一切ない。
「血迷ったか……」
カイザーが龍我を視線から外さない程度にあたりを見回す。
グリスがいない。
〔TWIN BREAK!〕
「オラァァァァァァァ!!」
「!」
一海が上方からツインブレイカーのパイルをカイザーの装甲めがけて振り下ろす。
ツインブレイカーには、クジラと消防車のボトルが装填されていた。
二本のボトルの共通点である放水能力がパイルに集中し、槍と化す。
カイザーはそれを片手で受け止める。
「……」
一海をそのまま投げ飛ばし、ネビュラスチームガンに〔B/E〕と書かれたラベルのボトルを装填。
〔EVOL SYSTEM!〕
「古びた油は大人しく……眠って――――」
その時、得物のグリップを握るカイザーの右手が重くなる。
さらに右上半身を覆う装甲も機能を停止。
「まさか……ショート…………?!」
「遅い!」
ツインブレイカーにロボットのフルボトルとスクラッシュゼリーを装填。
「はあぁぁぁぁ!!」
〔TWIN FINISH!〕
二門の銃口でナックルのようにカイザーを殴ると同時に潤滑油のような光線を発射。
カイザーが壁に叩き付けられる。だが、ダメージは少ない。
一海も壁に叩き付けられそうになるが、そうなる直前、ロボットスクラッシュゼリーをドライバーへ戻し、レンチを下げる。
〔SCRAP FINISH!〕
両肩の横に取り付けられたゼリーパックを平らにしたような形状の装甲から黒い液体が噴出され、これをブースターにしてキックによる追撃を行う。
それでも、カイザーは屈しなかった。
だったらもう一度と先程より強く、長時間レンチを下げる。
必殺技が発動しない。
「嘘だろ……」
今彼が使用しているのは元々クローズチャージのもの。
強力なドラゴンスクラッシュゼリーを何度も使用していた。
そして今、限界が来てしまった。
変身が解除される。
「一海!」
〔READY GO!〕
〔DRAGONIC BREAK!!〕
龍我がネビュラスチームガンを拾い上げようとするカイザーを仕留めようとするが、この時発生した爆風を利用され、まんまと逃げられてしまう。
◇
「くっ……」
戦兎の得物を握る手の力が弱くなる。
レフトカイザーは装甲の厚さを犠牲にした機動力で長期戦に持ち込んでいる。
「はぁ……はぁ……くそっ!」
惣一は疲労していないのに。と自身の体力のなさを悔やむ。
「ぐあっ!」
カイザーは疲労して反応の鈍った戦兎に狙いを定める。
「戦兎!」
駆けつけようとする惣一だったが
〔FUNKY ATTACK!! FullBOTTLE!〕
カイザーがフルボトルを使い、スマッシュを召喚する。
「……マスター」
「あ?」
「…………」
疲労している今、カイザーとまともに戦うためにはハザードを使うしかない。
戦兎がハザードトリガーを取り出す。
「わかった。出来れば使って欲しくなかったけどな……」
〔RABBIT!〕
〔TANK!〕
右手でタンク、左手でラビットのボトルを振って装填するが、疲れが蓄積している利き手である右手ではボトルを上手く振れなかった。そのため、あまり疲れていない左手のボトルが過剰に振られている風に見えた。
〔SUPER BEST MATCH!!〕
〔Are you ready?〕
「―――――――――ビルドアップ」
〔UNCONTROL SWITCH! BLACK HAZARD! ヤベェェェェイ!!〕
「……」
ラビットタンクハザードに変身した戦兎。
戦兎が頭を抱え唸る。『やっぱり……ダメか』と呟いた直後、戦兎の動きが止まる。
前方からカイザーが、後方からスマッシュが迫る。
惣一がスマッシュを抑えようと前に出たその時、
〔MAX HAZARD ON!〕
ハザードトリガーのスイッチが押される。
〔READY GO!〕
頭が上がり、後ろのスマッシュと惣一を睨みつける。
〔OVERFLOW! ヤベェェェェイ!〕
正確な射撃をしてくるカイザーを一蹴し、それを足場にして跳びあがる。
〔READY GO!〕
〔HAZARD FINISH!!〕
今まで見せてきた最短かつ的確な攻撃ではなく、両手を地面につき、ウサギのようなフォルムでスマッシュと惣一に接近していく。
ラビットフルボトルがタンクより活性化していたがために起こったようだ。
不格好ではあるが、蹴りがスマッシュの首元に命中し一撃で葬る。
次に彼が目標として定めたのは、近くにいた惣一ではなくパンドラボックス。
〔READY GO!〕
惣一が物陰に身を隠す。
〔HAZARD FINISH!!〕
中の力を成分として回収されたボックスはハザードの手によっていとも簡単に破壊された。
「こっから……どうするか―――――」
物陰からどう変身を解除させるか考える惣一だったが、戦兎の様子が変わった。
ドライバーからタンクボトルが抜けている。
カイザーからの銃撃によって外れたのだろうか。
「……!」
そして、右のタンクの複眼がラビットに書き換えられていた。
その直後、戦兎が足から崩れ落ち、変身が解除される。
「戦兎!」
戦兎からの返事はない。
「しっかりしろよ! おい!」