佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第五十五話 桐生戦兎をスティールせよ

 変身できなくなった龍我。

 

 彼は四国の海の無効を遮るように存在する壁を見つめていた。

 

「……本当に大丈夫だろうな」

 

 戦兎らは今、壁の外でバーテックス撃退の任務を行っている。

 あいつらなら大丈夫と自分に言い聞かせても不安は消えない。

 

「もしこれが、未来を見せるもんだってのなら……」

 

 以前自分に悪夢を見せたボトルを手に取る。

 

「―――――!?」

 

 これを振った瞬間、頭の中に映像が流れた。

 

 エボルドライバーを装着した者が一海・勇者と戦っている。

 姿はエボルのようだが、配色や装飾は別物。

 

 それに、戦兎の姿がない。

 

「まずい……このままだと……!」

 

 龍我は駆け出した。

 

 

 

 

「勇者部~」

「「「「「「ファイトぉー!!」」」」」」

 

「待て、何でお前らついてきたんだよ」

 

「勇者は根性!暑さなんてすっとばしてやりましょう!」

 

「そんな精神論でいけたら苦労しな―――」

 

 一海の忠告を無視して銀が斧を手に結界を超える。

 

「あっつぅ!」

 

 が、すぐに引き返した。

 

「言わんこっちゃねぇ……。変身」

 

〔燃える!潰れる!砕け散る!〕

〔ROBOTS IN GREASE! ブルァァァアアアア!!〕

 

 一海はグリスディスペンサーに変身し、スクラッシュバスターにジェットフルボトルを装填。

 引き金を地面に向かって引き、ジェット噴射を利用した大ジャンプで壁に達した。

 

 そして、ずんずん壁の外へ歩いて行った。

 

「随分暑ぃなぁ。勇者が無理なわけだ」

 

「え~!」

 

 

 

「さっとん、私達に出来ることってあるかな~?」

 

「そうだな……、これ、預かっててくれないか」

 

 戦兎は園子に勇者フルボトルを渡す。

 

「壁の外で溶けるわけではなさそうだけど、一応」

 

 ビルドドライバーを装着し、一海に続くためクローズマグマナックルとドラゴンマグマフルボトルを出し、ボトルを装填。

 

〔BOTTLE BURN!〕

 

 

「せん……と! はぁ……」

 

 そこへ、龍我が走ってきた。

 

「万丈、お前は待機って言っただろ」

 

「そのボトルを使うのはやめろ」

 

「……確か壁の外のマグマ製だっけ。大丈夫だ。ライダーシステムはこれに負ける程ヤワじゃねぇよ」

 

 ナックルのグリップを前方に倒し、ドライバーに挿す。

 

〔CROSS-Z MAGMA!〕

 

 レバーを回転させると、戦兎の後方にクローズマグマナックル型の溶鉱炉 マグマライドビルダーが出現。

 

〔Are you ready?〕

 

「戦兎!やめろ!」

 

「―――万丈、俺はもう自分を犠牲にする行為はしない」

 

 戦兎は園子に目を向ける。

 

「護りたいやつもいるし」

 

 次に龍我に目を向ける。

 

「ほっとけない奴もいる」

 

「何だよそれ……」

 

「マスターは前、『人間の生存区域を広げるな』と言った。これ以上人が増えると人同士の論争が勃発すると」

 

 惣一もとい葛城は人間の負の面を警戒し、芽が少しでも出れば潰そうとするのに対し、戦兎はこれを否定せずに、人間の善の心を信じることにした。

 

 四国とそれ以外に分かれてしまった世界が再び一つになっても、愛と平和が続くように。

 

「変身」

 

 マグマライドビルダーが傾き、溜まっていたマグマ上の液体が戦兎に被さり、空気に触れて黒く固まった。

 最後に、マグマライドビルダーが前に押し出され、固まったマグマが砕かれ吹き飛んだ。

 

 

〔極熱筋肉! クローズマグマ! アーチャチャチャチャチャチャチャチャチャァァァ!!!〕

 

 

 クローズの名を冠してはいるものの、クローズとは別物の戦士、仮面ライダークローズマグマ。

 

 戦兎は背中に備えられた翼で一気に壁の外へ向かった。

 

 龍我はそれを見ているしかなかった。

 すると、忘れたくても忘れられない声が背後から聞こえた。

 

「ッ!」

 

 とっさに拳を出す龍我だが、その声の主はこれを受け止める。

 

「危険因子になりうるお前を排除させてもらう」

 

〔バットエンジン! フハハハハハハ……!〕

 

「ローグ!」

 

 声の主、幻徳はマッドローグに変身し、龍我の拳をゆっくりとひねり始める。

 

「んぐっ……」

 

「例えネビュラガスが投与されていようと、生身の人間に変わりはない」

 

 勇者が救援に入ろうとするも、距離が遠いものや近いものも牽制され今いる位置からの接近は不可能。

 そこへ、エボルが介入する。

 彼は幻徳の腕を蹴り払い、拘束を解除させる。

 

「マスター……」

 

「――――――どうやら、お前らを止めることは出来なさそうだ」

 

 惣一が龍我に手を伸ばす。

 

「気づくの遅いんだよ」

 

「俺は結構頭硬いもんでね」

 

 惣一はドライバーのコブラエボルボトルを抜き、青いエボルボトルを取り出す。

 

「全てを始めた俺なら、終わらせる事も出来る。例え出来なくても、それの支援はできるかもな」

 

 青いエボルボトル―――ドラゴンエボルボトルを装填。

 

〔DRAGON!〕

〔RIDER SYSTEM!〕

〔EVOLUTION!〕

 

 青いハーフボディが形成され、エボルに重なる。

 

 

〔DRAGON! DRAGON! EVOL DRAGON! フッハッハッハッハハハハ!!〕

 

 

 頭部がクローズの色違いになり、胸部、肩部も変化した姿、ドラゴンフォーム(フェーズⅡ)に変身した。

 

 

〔READY GO!〕

〔VOLCANIC ATTACK!!!〕

 

 戦兎が右足で迫るバーテックスを薙ぎ払う。

 

 一海もスクラッシュバスターに三本のフルボトルを装填する。

 

「最大!」

 

〔SINGLE!〕

 

 一本目に消防車フルボトル

 

「灼熱!」

 

〔TWIN!〕

 

 二本目にダイヤモンドフルボトル

 

「連撃!」

 

〔TRIPLE!〕

 

 三本目にジェットフルボトル。

 

〔READY GO!〕

 

 最後にロボットネオスクラッシュゼリーをフルボトル用スロットとは別のスロットに装填。

 

「これが俺の力だァァァァ!!」

 

〔TREBLE CRASH!!!〕

 

 銃口を大型のバーテックスに向け、引き金を引いた。

 

 ずば抜けた初速の弾が打ち出され、バーテックスを貫く。

 だが、貫通する直前に御霊を移動したらしく消滅はしていなかった。

 

 そこで一海はスクラッシュバスターのグリップをフルボトルスロットと平行になるよう変形させ、足場から飛び降りつつ破壊を免れた御霊を分断。今度こそ消滅した。

 

「残り一体――――――あ?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 足場に戻ろうかと思った矢先、重力に逆らえず落下。

 

 

 この場にいるバーテックス最後の一体、レオを前に戦兎は立っていた。

 

 さっきから何かがおかしい。

 こう思いながら。

 

《これは報復だ。桐生戦兎……》

 

 レオ・バーテックスから声が聞こえた。

 

「うるせぇ!」

 

 戦兎はドライバーからナックルを外しグリップを握り、グリップ正面のボタンを左手の平で押す。

 

 ナックルの加熱装置が作動し、ドラゴンマグマフルボトルの力を倍増される。

 

「これで終わりだ―――」

 

 

〔VOLCANIC KNUCKLE!!! アチャァァァァッ!!〕

 

 

 レオも熱戦で対抗し、燃え盛る戦兎と熱戦が重なった。

 

 

 

 

 神樹に樹海化をさせないため、壁の外でバーテックスを撃破する戦いは終わった。

 

「…………ハハハハハハ!!」

 

 幻徳が突如そっぽを向いて笑い出した。

 その視線の先には、一海とともに帰還した戦兎の変身するクローズマグマ。

 

 二人は壁の上から龍我らのいる地点へ飛び降りる。

 

「戦兎、一海。行くぞ!」

 

「おぅ!」

 

「……」

 

〔READY GO!〕

 

〔EVOLTECH FINISH!!!〕

〔MEGA SCRAP BREAK!!!〕

 

 惣一が炎を纏わせたパンチ、一海が空中からのキック。

 幻徳は両腕でこれらを防ぐが、さすがに吹き飛ばされてしまう。

 

「……おい、戦兎?」

 

 龍我が戦兎に寄り、戦兎が彼の方を向いて変身を解除する。

 

 そこにいたのは

 

 

 

 

「よう。バンジョウ」

 

 

 

 

 髪が星屑のような白色になった戦兎の姿。

 

「戦兎……?いや違う。お前……誰だ」

 

 戦兎は懐から紺色のエボルボトルを取り出す。

 これには大赦の紋章が描かれており、コブラエボルボトルではコブラの頭部状のパーツがあった場所には青いカラスのような鳥状のパーツがつけられていた。

 

「あの時の……懐かしい」

 

 ニタッと笑ってエボルドライバーを取り出す。

 

「どういうことだ!幻徳!」

 

「神は我々人間の予想を容易く覆す」

 

 

「そして、貴様ら人間も我の予想をいとも簡単に覆す」

 

 

「神……?」

 

〔BRAVER!〕

〔RIDER SYSTEM!〕

〔EVOLUTION!〕

 

 戦兎―――彼の体の主導権を握った天神がエボルドライバーに二本のエボルボトルを装填。

 

〔Are you ready?〕

 

「変……身」

 

 

〔BRAVER! BRAVER! EVOL BRAVER! ギィェアハハハハハハ!!〕

 

 

「……あれが当たっちまった……」

 

 龍我の悪夢が的中した。

 彼が見たエボルのような戦士とはこのことだった。

 

 白を基調とし、同色のローブが腰に下がっている。

 装飾も元々の仕様なのか天神の改変なのか、やけに西暦の勇者に酷似したものになっている。

 

「素晴らしい。これがライダーシステムか……」

 

 首や腕を動かし、どう動くか、可動域の限界を確かめる天神。

 

 今の言葉で他の者たちは、戦兎が何者かに乗っ取られた事を確信した。

 

「さっとんを―――――返せ!」

 

「てめぇ……何しやがったァァァ!!」

 

 園子と一海が得物を構え、一気に距離を詰める。

 

「! よせ!二人とも!」

 

 惣一が警告するが遅かった。

 

 天神がレバーを回転させると右腕に古びたガントレットが出現。

 

〔READY GO!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――勇者パンチ」

 

 

〔EVOLTEH FINISH!!! CIAO!〕

 

 右拳を地面に叩きつける。

 

 一海は咄嗟に園子の前に立ち、得物を盾にしたが防御した方向とは別の所から衝撃波が襲い掛かった。

 

「ん?貴様は乃木…………そうか。そういう事か。奴は子を残していたか。『何事にも報いを』。人間らしい愚かな発想だ。ハハハハハ!」

 

 その時、彼の頭部が横から殴打される。

 

「愚かなんかじゃない!人は、助けて助けられて成り立ってる!それをバカにするなんて……許さない!」

 

 友奈だった。

 

「馬鹿は貴様らだ、人間!同族で殺しあう貴様らを馬鹿以外に何と言う!」

 

 天神はクロスボウを召喚し、矢を放つ。

 友奈はそれを回避するが、着弾した地面は凍り付く。

 

「さっきから自分は人間じゃないみたいな言い方だな。誰だ」

 

 

 

「俺は"仮面ライダーヴァーテックス"。『頂点』という意味のバーテックスだ。以後、お見知りおきを」

 

 

 

 天神は戦兎の口調を真似てこう名乗った後、姿をくらませた。




次回、万丈がパワーアップ!(クソテロップ)
クッソ雑で申し訳ない…
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