佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第六十四話 親とのリユニオン

〔コウモリ!〕

〔発動機!〕

〔EVOL MATCH!〕

 

「変身」

 

〔バットエンジン!〕

 

 幻徳はマッドローグに変身し、その場から姿を消した。

 

「……あれは、エボルトリガーだったのか……?だとしたら」

 

 惣一は自身のエボルトリガーに目を向ける。

 

「使うしかない、か」

 

 

「君にも話しておくとするか。……まさか、今その名前を聞くことになろうとは」

 

 黎斗は戦兎に一枚の写真を見せた。

 

「郡千景。西暦の時代、勇者として戦った少女の一人だ」

 

「300年前の勇者の一人……。でもどうして、今その名前を」

 

「分からない。だが、そのボトルの力が本当だとすれば、近いうちに君は彼女に遭遇することになる。そうなった時は―――」

 

 突然、外から騒音と悲鳴が飛びかかる。

 

「私も同行しよう」

 

 

「これじゃあ、当初の目的は後回しに―――ッ!」

 

 惣一が人の気配を察知し、その方向を見る。

 

「っ!?」

 

 その人物も惣一を察知し、一目散に逃げだした。

 

「…………まずいなぁ…」

 

 彼の手に握られたエボルトリガーもしっかり見られただろう。

 

「行くか」

 

 不安な表情を一瞬浮かべるも、惣一はその人物を追い始めた。

 

 

「これは……」

 

「スマッシュに―――」

 

 戦兎と黎斗が現場に到着した。

 

 そこにはスマッシュ、そして

 

「なっ!? スマッシュからバグスター!?」

 

「まさか…君の言うスマッシュとやらに感染して増殖をしているのか?」

 

 

「逃げろっ!逃げるんだ!」

 

 警察官が住民を逃がすべく、スマッシュに捨て身でタックルをする。

 スマッシュは一瞬姿勢を崩したものの、

 

「ぐあッ!」

 

 反撃に出た。

 

 

「黎斗さん、行きましょう!」

 

「君を完全に信用しているわけではない。だが、人が傷つけられている以上為すべき事は一つ」

 

〔RABBIT!〕

〔TANK!〕

〔BEST MATCH!〕

 

〔MIGHTY ACTION X!〕

 

「グレード0」

 

〔Are you ready?〕

 

「「変身!」」

 

〔鋼のムーンサルト! ラビットタンク! YEAH!〕

〔MIGHTY JUMP! MIGHTY KICK! MIGHTY ACTION X!〕

 

 戦兎がビルド ラビットタンクフォーム、黎斗がゲンム アクションゲーマーレベル0に変身。

 

 ビルドは跳躍し、警察官を襲ったスマッシュへ接近、蹴りを入れてスマッシュを遠ざけた。

 

「今のうちに!」

 

「はいっ!」

 

(いくら使ってるボトルが強くなったとはいえ変じゃないか……?弱い……)

 

 一般人でも怯ませることができた。だが脅威であることは変わらない。

 

〔READY GO!〕

 

 ビルドはボルテックレバーを回し、ラビット側の左足でスマッシュを上へ蹴り上げ

 

「ハアァァァ!!」

 

〔VOLTECH FINISH!〕

 

 タンク側の右足で叩きつけるようなキックを叩きつけた。

 

 

 

「バグスターウイルスの悪用。許す訳にはいかない」

 

 ガシャコンブレイカーを召喚し、スマッシュから増殖したバグスターを切り捨てるようにして増殖の源となるスマッシュを目指す。

 

「ッ!」

 

 スマッシュがゲンムを発見し、刀を振るう。

 ゲンムはそれを受け止める。

 

「その太刀筋……カイデンか?」

 

 カイデンとは、かつてギリギリチャンバラというゲームから誕生したバグスター。

 外見は全く違うが、刀の振るい方はカイデンのそれだった。

 

「ならば」

 

〔GIRI GIRI CHAMBARA!〕

 

 ゲンムはプロトギリギリチャンバラガシャットを起動。ゲーマドライバーに装填し、レバーを再展開した。

 

〔LEVEL UP!〕

〔MIGHTY JUMP! MIGHTY KICK! MIGHTY ACTION X!

 アッガッチャ! ギリ・ギリ・バリ・バリ!チャンバラ!〕

 

 甲冑を模した装甲が装着され、プロトチャンバラアクションゲーマー レベル0に変身。

 

 そして、ガシャコンブレイカーにプロトギリギリチャンバラガシャットを装填。

 

〔キメワザ!〕

 

 ゲンムはガシャコンブレイカーを腰の鞘に収めるような構えをとる。

 

 カイデンは刀を構えゲンムに向かって走る。

 

 

 

 

 

 

 

「だが所詮は偽物。カイデンには遠く及ばない」

 

GIRI GIRI CRITICAL FINISH!

 

 ゲンムの方が早かった。

 

 爆散するスマッシュから彼は、専用のガジェットを使ってバグスターウイルスを回収した。

 

「私は先に戻る」

 

 ゲンムは変身を解除し、身体をビルドの持つ端末に転送した。

 

「えっ!?ちょっと!…………」

 

 ビルドの後ろには守り切った人たちの姿が。

 今思えば、他人の前で堂々と変身を解除するのは始めてだ、と彼は思っていた。

 

「待ってくれ」

 

 変身を解除した戦兎に、この場にいる警察官の上司にあたる人物が声をかける。

 

「私は御行寺(おんこうじ)。先程はありがとう」

 

「俺は自分からこういう事やってるんで。礼なんていりませんよ」

 

「君は…独りで戦ってるのか?」

 

「いえ」

 

 戦兎は端末にウルフフルボトルを装填。マシンビルダーを起動する。

 

「とても頼れる仲間がいます」

 

 この時の彼の顔はとても明るいものだった。

 そして、戦兎はマシンビルダーに乗ってスタンドをしまった。

 

「―――最後にっ!」

 

 

―――君の名前を聞かせてほしい

 

 

 戦兎は御行寺に振り返り

 

「桐生戦兎、仮面ライダービルド。『創る、形成する』って意味のビルド。以後、お見知りおきを」

 

 こう残してこの場を去った。

 

「……我々に出来ることを探そう。きっとある筈だ。きっと…」

 

 

「俺のコーヒー畑荒らすんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」

 

 一方、龍我の付近にもスマッシュは出現。

 畑に足を踏み入れたスマッシュを前に思わず、

 

「おォォォォッ!!」

 

 ドラゴンサンフルボトルを握りしめ、生身で殴り―――

 

 

 一撃で撃破した。

 

「あぁぁぁ!!あっ熱い!あちぃ!あぁぁぁ…」

 

 爆風が畑に来るため、龍我はその身を挺して畑の盾となる。

 

 クローズドラゴンマックスが龍我に消防車フルボトルで放水する中、彼もスマッシュに異変を感じた。

 

「ボトルが強くなってるといっても弱すぎじゃねぇか?今までは一体一体は硬かったけど、数は大量とまではいってない。今度のこれは……?」

 

 龍我は勢いよく立ち上がりnascitaへ駆けた。

 

 

「さっとん、今いいかな?」

 

 nascitaに来た園子。返事は無い。

 

「みんな出かけちゃってるんだ。…そうだよね、ヒーローだもんね」

 

 ドアを閉めて、端末から精霊を解放する。

 

「パートナーがヒーローだなんて凄い事だよねぇ、セバスチャン」

 

 セバスチャン―――鴉天狗は園子の目を見つめたまま動こうとはしなかった。

 

「……確かに、私は悩みは相談してほしいって言った。でも…そうしたら相手が悩んじゃうような事は相談しないほうが…いいよね」

 

 セバスチャンは何も答えないまま端末に戻った。

 

 

「待てっ!!」

 

 惣一がようやく追いかけていた人物の元へたどり着いた。

 

「……誰?」

 

「――――――こんな見た目で信じがたいかもしれないけど」

 

 

―――俺はあんたの息子。葛城巧だ

 


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