佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである 作:鮭愊毘
第一話 エキセントリックな物理学者
―――10年前、徳島と高知の境にある洞窟から"パンドラボックス"が発見された。
その展覧会の最中、一人の男がこれに触れてしまい、周囲に光が放たれる。
その光を浴びたものは攻撃的になったほか、"スマッシュ"と呼ばれる怪人へと姿を変えた。
人間が持てる武器ではほとんど歯がたたない……
「お姉ちゃん、部活のほうはどう?」
「バッチグーよ!アタシの女子力のおかげかも」
「それは無いと思うな」
「えー!」
「警察だ!動くな!」
「……お姉ちゃん、今」
「何かしら……」
「助けてくれぇー!!」
「いつもと外の様子がおかしいよ……」
――――しかし、対抗手段が一つだけ存在する
「なに……あれ…………」
「か、怪人ってやつ……?」
「何だこいつは……」
「逃げろ!殺されるぞ!!」
「――――――ちょっと待った」
「―――――――――」
「ハァ!」
〔READY GO!〕
〔VOLTEC BREAK!〕
――――二色の装甲を身に纏い、怪人と戦う謎の戦士。
「あれが、仮面……ライダー……」
―――――人はそれを"仮面ライダー"と呼んだ!
~翌日~
神世紀299年末
「うーん……慣れないな。やっぱ」
俺こと、天才物理学者の"桐生戦兎"の朝は早い。
「"あれ"、できてるかな…………おおっ!?」
先日採取した成分を基にした"フルボトル"が出来上がった!
「流石俺の発明……!最ッ高だ……」
俺は今、喫茶店
螺旋階段をのぼり、1階の喫茶店へ顔を出す
「戦兎!」
「うぉっ」
今俺に声をかけたのはnascitaのマスター"石動惣一"。
倒れていた俺を助けてくれた恩人だ。
「昨日のアレ、できたのか?」
「どうよ!」
「ブラボー!!これは……ハリネズミか!
これで有機物系が……いくつだっけ」
「ラビット、ゴリラ、ライオンに海賊……そして今日のハリネズミ
計5つか」
「もうそんなだったか!……あ、 戦兎」
「うん?」
マスターは俺に紙の束を押し付ける。
「請求……書?なんの」
「ここの」
「はぁ!?」
「はぁじゃねぇよお前~!俺だってな?こんなの出したくて出してるわけじゃねーんだよ!厳しいの!今月!俺のバイト!」
「あ、そういえばあんた喫茶店全然売れないからその分バイトやってんのか。忘れてたわ」
「その言い方やめてくれない?てかお前も働けや!」
「日々仮め――」
「仮面ライダーとして活躍してるから、なんて通じないからな?」
「うっそ~ん……」
「あ、もうこんな時間じゃん。戦兎、いいか?佐藤太郎なんて名乗るんじゃねぇぞ?
混乱を招くからな」
「いっそ混乱したほうが面白―――」
「そういうのいいから!走れ!ラビットフルボトル振って走れ!」
フルボトルは振って中に入っている物質に刺激を与えれば与えるほど出力が上がる。どのボトルでどうなるか調べるのも、俺の趣味の一つ。
「――――と、お急ぎのあなたに」
俺は懐から自分のスマートフォンを出す。
「なにそれ、携帯?にしては後ろがごついような……
あ、あれか、初日から仮病使って休む気だな?」
「そうそう。あ、もしもし?風邪ひいたんで、今日は休みまーす。なわけねぇだろ」
先ほど出した携帯"ビルドフォン"の後ろの出っ張っているところにライオンフルボトルを挿す。
すると
〔BUILD change!〕
変形・肥大化してバイク"マシンビルダー"へと姿を変える。
「おおー」
「ヘルメットも出せちゃう!」
「おお~!」
「かなり頑丈!」
「おお~!!」
「ナンバープレートも付いてるから公道も安心!」
「おお~!!!」
「メーターの所の画面で地図見たり通信したり音楽も聴けちゃう!」
「すげー!!
やっぱお前は最高だよ戦兎!……物理学から逸脱してるけど
あ!お前!免許はどこだ!」
「ここ」
「FOOO!! 素晴らしい!」
「まあ?それほどでも?ありますけど~!なんつって!
さあ!俺の新たな職場へレッツ……」
「ゴーしないでね。ここ、お店の中だから」
――――――――――――――――
~先端物質学研究所~
「君が、桐生戦兎か」
「はい!よろしくお願いします!」
「私は、"氷室幻徳"。所長だ。
…………ただ、気になることが一つ」
「何でしょう」
「君の経歴欄……『たぶん物理学者』としか書いていないんだが?
しかも字が汚い」
「記憶喪失ってやつなんです。俺」
「ホントかよ……。だが、君の知識と頭脳は本物だ。あの難しい問題を全問正解だって?すごいじゃないか」
俺はここに来る前、マスターに無理やりテストをやらされた。一体何事かと思っていたが、このためだったんだな。
「そんな君には、パンドラボックスの解析班に配属してもらいたい」
「え!ほんとですか!」
「あ、ああ……。最近この班の人数が減ってきてね。その補充も兼ねて」
『ここで、臨時ニュースをお伝えいたします。
葛城巧さんを殺害した容疑で逮捕・収監されていた"万丈龍我"受刑者が刑務所から脱走しました』
「神樹様の道徳があっても、こんな犯罪って起こるもんなんですね」
……ん?葛城巧?
「万丈龍我……」
「所長、この犯罪者、葛城さんを殺したって今……」
「ああ。うちの優秀な研究員だった。その様子だと、君も彼を知っているようだが」
「……実は、父が葛城さんの同僚だったんです」
「なるほど。確かに彼は二足の草鞋を履いていたな」
俺はニュースの映像を見る。そこには、警備用ロボット ガーディアンが破壊されている様子が映っていた。
「人間業じゃない……」
「鋼鉄を殴ってるんだぞ?」
周りの人の言うとおりだ。これは人のなせる……ん?
「スマッシュの反応……?」
ビルドフォンに入っているアプリの一つに、スマッシュを探知できるものが入っている。
それに万丈が引っかかっていたのだ。
「戦兎、今日のところは帰っていい。明日から頑張ってくれ」
ちょうどいい。俺があいつを捕まえてやる