佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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ハナコトバ/勇者たちのララバイのCDが届きました。
MONACAの人が対になる様に作ったって言ってたけどまさにそんな感じでした。
でも、(BADエンドは)やだぁ……!やだぁ…!(人類全体から見てハッピーでも勇者部から見てBADも)いやだぁぁぁぁ!!


第二話 ベストマッチになりそうな奴ら

研究所から出た俺は万丈のもとへマシンビルダーで駆ける。

 

バイクに乗っている万丈の真後ろまで付くと、先日活躍した武器(はつめいひん) ドリルクラッシャーのガンモードを構え、万丈の進路にあったドラム缶の山を打ち抜く。

 

そのドラム缶にバイクがぶつかり、万丈は前へ吹き飛んでしまう。

 

 

「がぁ……!何だよ一体……!」

 

「あんたが万丈龍我か」

 

「誰だテメェ!」

 

「殺人犯のyouを捕獲しに来たんだよ。聞きたいこともある」

 

「俺は誰も殺してねぇ!これは罠だ!俺はハメられたんだ!」

 

「……脱獄なんてするヤツの言うことなんて、説得力ないんだよ」

 

「別に逃げたくて逃げたわけじゃねぇ!」

 

「だったら戻ればいいだろ」

 

「ダメだ!戻ったら……また"奴ら"に……!」

 

「奴ら……?」

 

「どうせ言っても信じねぇだろ!」

 

万丈がいきなり俺に殴りかかってくる。

とっさに腕で防いだがかなりの力だ。

 

「やるじゃねえか。元格闘家。でも、これはどうかな?」

 

俺はラビットフルボトルを手にし、シェイク。

 

「!?どこに消えやがった……」

 

「後ろだよ」

 

「なっ―――」

 

そのまま脇に蹴りをかます。

なるほど。このボトルには足が早くなるだけじゃなくて足技まで強くなるのか。兎らしい

 

「これでおあいこだ」

 

「何だよ、その力……。まさか、お前も人体実験を!?」

 

「人体実験……」

 

一つ思い当たる節がある。

棺桶のような箱に入れられ、何かを吸わされた記憶。

でも抵抗はできなかった。おそらく散華の影響……

 

「コウモリみたいなヤツはいたか?」

 

「コウモリ?」

 

「ああ。顔と胸の部分に金色のコウモリの意匠のある……」

 

「……俺も見た。ガスマスクの連中もたくさん」

 

「その話が本当なら、決まりだな」

 

「何が」

 

「俺とお前は、人体実験を―――」

 

その時、近くに止めてあった自動車が吹き飛ばされ、その後ろには

 

「―――――」

 

「スマッシュ!」

 

「スマッシュ? いいぜ、やってやるよ!」

 

「止せ!」

 

「フンッ!」

 

万丈が思い切りスマッシュへ殴りかるが、その体には傷一つつかない。

逆に万丈が拳にダメージを負ってしまう

 

「まだまだァ!!」

 

「――――」

 

「ぐあぁ!」

 

それでもなお抵抗する万丈に迫るスマッシュ。

これ以上は放って―――

 

「やるじゃねぇか。スマッシュとか言ったか?」

 

「万丈!後ろだ!」

 

「あぁ?―――クソッ!」

 

万丈の後ろに翼をもったスマッシュが現れる。

 

「二体なんて聞いてねぇぞ……」

 

「俺もだよ。でも、後は任せな」

 

 

俺は"ビルドドライバー"を腰に装着、さらにタンクフルボトルを右手、ラビットフルボトルを左手に持ち、

 

 

「さあ、実験を始めようか」

 

 

振ってトランジェルソリッドを活性化させ、ドライバーのスロットに挿す。

 

 

〔RABBIT!〕

〔TANK!〕

〔BESTMATCH!〕

 

そして右側にあるボルテックレバーを回すと自分を中心にスナップライドビルダーが出現。有機物側のボディーが前方、無機物側のが後方に形成され、

 

 

〔Are you ready?〕

 

 

「変身!」

 

二つのハーフボディーが組み合わさり、スーツが完成する。

 

 

〔鋼のムーンサルト!ラビットタンク!Yeah!〕

 

これが、兎と戦車の力を持った戦士、仮面ライダービルド。

 

 

「何なんだよ……」

 

「勝利の法則は決まった」

 

もはや俺のキメ台詞になった言葉を放ったと同時に左足でジャンプ。スマッシュとの距離を一気に詰める。

 

「ハァ!」

 

衝撃波により内部からダメージを入れられる左拳で殴り、

ドライバーのボトルを二本引き抜く。

 

「次はこいつだ」

 

 

〔HARINEZUMI!〕

〔GATLING!〕

〔Are you ready?〕

 

 

「ビルドアップ」

 

ベストマッチではない組み合わせである"トライアルフォーム(以下TF)"の一つ、ハリネズミガトリングに姿を変え、右拳のハリネズミで鳥型のスマッシュを叩き落す。

 

さらにグローブに火薬が仕込まれた左拳で追撃。

着地と同時にボルテックレバーを回転。

 

 

〔READY GO!〕

〔VOLTEC ATTACK!〕

 

必殺技とは少し違うTF専用の技、ボルテックアタック。

これで1体目は処理完了。

 

 

「これでフィニッシュだ」

 

〔ラビットタンク! YEAH!〕

 

〔READY GO!〕

 

スマッシュを挟み込むように両側から斜方投射のグラフが現れ、スマッシュを点xに拘束。

俺はラビットの跳躍力で勢いよく飛び上がり、グラフをなぞるように加速する。

 

〔VOLTEC FINISH! YEAH!〕

 

 

派手、という理由で中々使う機会のなかった必殺技だったが、使ってみた感想としては

 

 

エグい

 

 

敵を拘束してキックならエグイなんて言わなかった。しかし今やったこれは敵を拘束してかつ右足が敵に接触すると足裏の無限軌道でガリガリ削るというものだった。

 

学者の考えることって怖いね

 

 

「よしっ、成分も回収したし、そろそろ――――」

 

倒したスマッシュの成分をエンプティボトルで回収し、変身を解除する。

そしてバイクにまたがって気づく。

脱獄犯いるじゃねえか と。

 

「うぅ……」

 

「こ、ここは……?」

 

スマッシュにされていた二人が目を覚ました。

 

「おい!これはどういうことだ!」

 

「し、知らないよ……」

 

「ガスマスクの連中にされたことだよ!覚えてるだろ!」

 

「何の話だよ……」

 

「くそっ……!」

 

「……」

 

「なんで……!なんで、皆して俺のことを……!

俺はどうしようもねぇクズでバカだ……。でも、でも!

人殺しなんて絶対にしない!どうして誰も信じてくれねえんだよ!」

 

 

(……警察か)

 

今の騒ぎを聞きつけたのかパトカーのサイレンが聞こえる。

だからやりたくなかったんだ

 

それに、万丈の今の言葉、演技とは思えなかった。人体実験の件についても、

俺の記憶と合致(ベストマッチ)する。

 

 

「あ~、最ッ悪だ。今日という日を俺はきっと後悔する。

 

 

 

乗れよ」

 

「は?」

 

「だから、乗れって!」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

「どうして俺を助けた」

 

「別に」

 

「え?」

 

「君は悪い人じゃなさそうだって思っただけさ」

 

「……開けっ広げな性格してんな、お前」

 

「お前のズボンのチャックほどじゃないよ」

 

「マジか!あっホントだ!」

 

「『俺は誰も殺してねぇ』のあたりから全開だったぞ?」

 

「だったら言えよ!」

 

「いや~、こういうのは気づくまでそっとしとくのが礼儀だと思って。まさかここまでバカだったとは

 

「あん?言いたいことがあったらはっきり大きく言えよ!」

 

バカだろお前

 

「んだとぉ!!」

 

「おいおいおい揺らすな揺らすな!」

 

こうして、俺の生活に脱獄犯が加わった。

面白くなりそうだ

 

 


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