生麦生米生卵 どじょうニョロニョロ三ニョロニョロ 合わせてニョロニョロ六ニョロニョロ
尻尾押さえりゃ頭が逃げる 頭押さえりゃ尻尾がはねる
とかくこの世は悪党ぞろい 悪人ヒョコヒョコ三ヒョコヒョコ
四ヒョコ五ヒョコ六ヒョコ七ヒョコ八ヒョコ九ヒョコ十ヒョコ
ええい面倒くせい!殺っちまえ!
珍しく仕事のない日、開校記念日という事で休日を堪能していた青年はとある長蛇の列を見つけた。
「なんだ?男性限定、IS起動調査だとぉ?」
列の近くにいた事で強引に係の女性に並ばされてしまった。一人、また一人と男性がISに触れては去っていく。
なぜこのような事をしているのかと係の女性に尋ねると女性は面倒くさそうに答えた。
「世界初の男性操縦者が見つかったのよ。その影響で他にいないか探してるって訳。ほら、サッサと行きなさい」
「はいはい、ありがとうございます」
男性操縦者が見つかったというニュースは、調べればすぐ出てくる話であった。
名前は織斑一夏。かのブリュンヒルデ、織斑千冬の弟であり、彼が世界初の男性操縦者らしい。
「(大方、もう一人二人見つけて実験材料にでもするつもりだろうな。やっぱり権力者や研究者ってのはいけすかねえ)」
物思いに耽っていると自分の番が来て、早く触れろと女性がうるさい。
「直ぐに触って終わりにしますか」
彼が触れた途端、ISが起動する。それと同時に会場が騒ぎ始めた。
「う、嘘!二人目が見つかった!?」
「(げっ!?ここにいたらまずいな。トンズラ扱くぜ!)」
人混みへ紛れるように走り出して会場を逃げ出したが、それと同時に大問題が出てきてしまった。
「あー、どーすっかなぁ・・・俺は十代半ばだからIS学園に強制入学させられるだろうな・・・そうなると仕事が出来なくなって色々、不味い」
帰路へ付きながら考えていると、なんでも屋を請け負っている同年に近い女性が近づいてくる。携帯電話を片手に連絡を入れる。
連絡を受けているのは男の方で通話状態にして耳に当てる。
「笛吹・・・アンタ、面倒な事を抱えちまったようだね?」
「よりにもよってな、IS起動と来たもんだ」
女性はベンチに座り、男の方は壁に背をつけて電話で会話している。
「まぁ、いいけど。今夜も仕事だよ」
「そうかい・・・俺の方は少し遅れるかもしれねえ」
「それなら、給与は私が預かっておくよ」
「頼むわ」
通話を切ると男は反対方向へと去っていき、女性はそのまま座っているままであった。
◇
そして夜、また依頼がやって来る。今度は夫婦のようだ。だが、男の方は車椅子で運ばれている。
男の方は自然喪失状態のようで外からの刺激になんの反応も示さない。代わりに女が社の扉を開き、お札を置いた。
金額はおよそ五万円であった。仕事の金額にしては最低限とも言えるだろう。
「相手はIS学園の教員、小野真間子、金田満。IS学園に出資している三島工業の専務、板倉友好!私達はしがない町工場を営んでおりました。娘はIS学園での過剰体罰を黙認され自殺してしまい、三島工業には財産を散財させられる程の詐欺に合わされ夫はこのような姿に・・・。お願いです!恨みを晴らしてください!ゲホッゲホッ!」
女性は咳込み吐血していた。身を蝕んでいる病が進行しているようで余命も少ないのだろう。
『その恨み、晴らしましょう』
声を聞いた女はその場で泣き崩れた。娘の無念を晴らせると。
◇
仕事人達は分け前を受け取るために密会所に集まっていた。女性二人は少し渋い顔をしており、分け前の近くへと歩み寄る。
「依頼料はこの通りだよ」
「よりにもよって、IS学園の教員とはね。しかも分け前が少ないじゃないの」
「でも、このお金には一つの家族の無念が詰まってる。僕達は暗殺者でも殺し屋でもない、仕事人なんだ。情は無用のはず」
「そうだな・・俺達は正義の味方じゃあねえ・・・いずれ地獄へ堕ちる身だ。だったら堕ちるべき奴を先に逝かせてやるのが務め・・・仕事の時間だ」
分け前を手にし、それぞれがそれぞれの獲物の手入れをする。場所は三島工業が貸し切っている隠れ家的な料亭だ。
笛吹は黒を身に珍しく仕込み錐の刃を研ぎ、手芸は鉄の細糸を吟味し、飾りは針を手入れする。それぞれが出立し、的の集まる場所へと向かう。
◇
「ハハハハッ!あの土地の利権が手に入った事でライバル会社はいなくなり、利権はこちらに転がって来たのだから万々歳だな」
「資金提供は忘れてはいませんよね?」
「もちろんだ、おっと用を足してくるぞ」
障子を開いて男は厠へと向かっていく。そんな中、もう一人の女性は軽く酒を引っ掛けており、ほろ酔いになっていた。
「満さぁん・・・これで私たちも安泰ですねぇ・・問題なんてもみ消せますしぃ、私は学年主任~んふふ」
「ええ・・そうね。ふふふ」
料亭が突然、停電を起こしてしまい薄暗くなってしまう。女性陣は不満を顕にし声を上げている。
「ちょっと!停電よ!早く直しなさいよ!」
「そ~そ~」
「全く、文句言ってくるわ!」
部屋を出た女性は知らなかった物陰に自分を狙っている者が居ることに。
出てきたのを確認すると黒髪の女性はフィンガーグローブを嵌め、強靭な糸を纏めた物の端を口に咥え、ギィ――っと長さを調節していく。
木の上から料亭の廊下へ出た女性の首へと狙いをつけ、投げつける。
「っあ!?ああっ!」
自分の方へと糸を引っ張り、的を引き寄せていく。的確な距離で飛び降り吊し上げた。
「あっ・・・がっ!ああ」
糸に触れ、まるで琴を奏でるように弾くと的は一瞬だけ硬直し、弛緩すると絶命した。
「・・・・・!」
糸を引っ張り、回収すると絶命したそれは人の形をした物体で崩れ落ち、表情は動かない。
◇
「小野せ~んぱ~あい?どうふぃたんふぇふか~?先輩?ひっ!?」
屍を見た小野は恐怖で酔いが冷めてしまうが、目の前の屍を見た事で警戒し外へ飛び出してしまう。
「はぁ・・はぁ・・此処まで来れば!」
「あの・・・」
「はっ!あら・・?どうしたのこんな時間に」
「お店を探してるんですけど・・・道に迷っちゃって。母と父が家族で食事するからそこに来いって」
「どのお店?」
「料亭だって言ってました。この近くにあるって」
「じゃあ、案内してあげる」
目の前の少女を自分のいた料亭へと案内する。先程までの警戒は目の前のツインテールに髪を結った少女のおかげで和らいでいるようだった。
中へ入ると停電はいくらか解消されていた。
「ここのどこかにいるのよね?」
「はい、こっちかもしれません」
まだ停電が解消されていない暗闇の深い場所へと誘導されていく。
「貴女って、あれ?」
「
ボールペンの先から鋭い針を出し、膝を蹴って態勢を崩させ延髄に突き立てた。
「きゃあ!?う・・・あっ!?」
「
針を引き抜き、しばらく的であった女性を見た後に去っていった。
◇
「ふぅ・・・出た出た。あの二人を抱けるんだから儲けもんだな。早く俺のネジをぶち込んでやらねば!」
厠から出てきた男は急ぎ足で女たちのところへと向かう。その物陰から鋭い視線を向けられていたのにも気づかずに。
男が到着すると明かりは消えており、襖の影からは女の身体がわずかに見えている。
「お楽しみの時間だ!!俺のネジはどんな女でも合わされるからな」
布団を敷いてある部屋へとはいるが、女の様子がおかしいことに気づく。
「おい、何してんだ?早く」
影の中で横笛を回し、その内側に仕込まれている錐を引き抜くと男の口を右手で塞ぐ。
それと同時に錐を左肩へと突き刺し、心臓付近まで近づけた。
「んぐっ!?あ・・が!・・・お、お前・・誰に・・・・・幾ら・・で」
「一万だよ」
「い、いち・・・ま・・んん?」
「てめえの命にしちゃあ・・・高すぎるくれえだ」
右手で錐を押し込み、心臓を貫くと男は絶命し布団の上の女に覆いかぶさるようにして倒れた。
傍から見れば情事をしているようにしか見えないだろう。男を見た後、直ぐに去った。
◇
翌日の朝、IS学園の教員である織斑千冬が、笛吹と呼ばれた男の住処を訪ねていた。
「お前が二人目の男性操縦者か?」
「流石はIS学園・・・見つけるのも手早い事で」
「単刀直入に言う。IS学園へ入学してもらうぞ」
「嫌だと言ったら?」
千冬は一瞬だけ顔をしかめるが、持ち直すと不敵に笑い言葉を発した。
「実験行きだな」
「ほう?まぁ・・・いいぜ?一つだけ条件があるがな」
「なんだ?」
笛吹きは軽く鼻を鳴らすように笑い、口を開いた。
「外出自由にさせて欲しいだけだ」
ここに、男性であり操縦者を兼ねる仕事人が誕生した。
次回は世界初の男性操縦者と遭遇、彼は仕事人を許せないと豪語する。
そんな中、IS開発者である天災が接触する。彼女は元締めと関係が・・・。
仕事は、必殺です。