明け方、教団内の修練場で一人黙々と居合いの練習を行う青年が一人、彼の名は過神 雷渡《かがみ らいと》このエクソシストの総本部 黒の教団に来てからはや数日たった頃、
今日もまた一人黙々と修行をしている。
雷(..........今だ!)
スパッ!
次の瞬間、雷渡が刀を鞘から引き抜くと同時に練習用の藁で作られた人形の人形が袈裟斬りになってドサドサと地面に落ちていく。
雷(...やっぱりまだまだこんなものか。それにしてもこの刀 飛雷神《ひらいしん》が居合いに適した刀だとは思わなかった。)
今は雷渡自身が所持しているイノセンスの一つ 飛雷神の居合い練習を行っていた所であった。このイノセンスの能力は刀身から雷を放出し、刀身に付与することで切れ味を増すようになるというものであるのだが、
雷(この刀身から放出される雷が...まさか俺自身の身体にも流せるとはな。)
雷渡がこの現象を知ってからは、修練場で誰にも気付かれないように一人で居合いの練習を行っていた。さて、ここで人体構造について一つ語るとしよう。 人間の身体には脳からの指令を電気信号で受信している。雷渡が先程行った居合いは、雷渡のイノセンス 飛雷神の刀身から放出される雷を柄の方に流し、そこから身体全体に雷を行き渡らせることで居合いを可能としている。
雷(やっと形になってきた所か....でも、まだ実戦で使うには技術が足りない。)
雷渡の居合い練習は日が昇るまで行われた。
・・・・・
朝8時、食堂にて
雷「カレードリア、飲み物は緑茶で。」
月「カルボナーラ、飲み物は緑茶、あとデザートにイチゴパフェを。」
ジ「は~い。ちょっと待っててね。」
今注文を頼んだ人は料理長のジェリーさん。言うのは失礼だが、オカマの人だ。
雷「つーか月お前またパフェかよ。」
月「いーじゃん、好きなんだから。」
雷「どうでもいいけど、あんまり食べると太るぞ。」
月「なっ!....失礼だよ!兄さん。レディに対してそんな事言うなんて!」
雷「分かった分かった。俺が悪かったって。」
月「もー、いっつもそればっか。」
月がぷくーと頬を膨らませて文句を言う。二人が近くの長椅子に座りながら料理を待っていると、ツカツカと、神田が近くを通りすぎようとする。
雷「よう。神田。」
神「チッ。」
舌打ちされた。何でだろう?
雷「お前は相変わらず無愛想だな。」
神「ほっとけ。それより何の用だ。」
雷「いや、大したことじゃないんだけどさ...今度俺に稽古つけてくれよ。まだ刀の扱いに慣れてなくてさ、神田は刀を使って戦うだろ、だから教えてもらえないかと...」
神「知るか、一人でやってろ。」
神田はそう言うとツカツカと歩いて行った。
デ「全くあいつは素直じゃないじゃん。」
マ「済まないな、雷渡。あいつはいつもああなんだ。」
後ろから神田と同じティエドール元帥の弟子であるマリとディシャが話しかけてきた。
雷「いや、いいよ。いつもの事だしね。」
マ「それにしても意外だな。お前が誰かに教えて貰おうとするなんて。」
デ「だな。それもあの神田に。」
二人は意外そうに雷渡を見る。
雷「いや、今の所エクソシストで刀使って戦うのって神田か俺しかいないじゃんか。だから神田に指導してもらえば自分ではきずかない所とかに気付けるんじゃないかと思ってさ。」
マ「そうか。だが、神田とお前では能力が違うんじゃないのか。」
あ、そうか。だから神田は俺に教えるのを嫌がったのか。
雷「成る程。それは考えてなかったな。だから神田は俺に教えるのを嫌がったのかもな。」
デ「多分、それだけじゃない気もするじゃんか。」
月(ボク完全に空気だ。)
・・・・・
二人が朝食を食べ終えた後、室長室にて、
コ「今回二人にはフランスに行ってもらう。そこで起きている怪奇現象を探ってくれ。」
雷、月「「了解。」」
・・・・・
所変わってやって来ましたフランス
月「ねぇ、兄さん観光しようよ観光!!」
月ははしゃいでいる、
雷「お前なぁ、俺達は遊びに来てるんじゃないんだぞ。」
月「分かってるよ、任務でしょ任務。」
全く冗談が通じないんだからーとか月が呟いているが、敢えて無視しておこう。
資料にあった怪奇現象がよく起こっている場所に着くとやはりいた、アクマだ。
雷「数はレベル1が数体、レベル2が4体...行けるな?月。」
月「もちろん。」
二人は駆け出し、
雷「イノセンス、発動。『火炎凍華』」
月「イノセンス、発動。『粛清の咆哮《デッドリー・ロアー》』」
互いにイノセンスを発動し、アクマを倒していく。
雷「『一の型、炎蛇の舞《えんだのまい》』」
雷渡の刀の刀身から炎が渦を巻いて放出され、次第に巨大な蛇の形となった。
雷「喰らえ。」
雷渡が冷たい瞳でアクマ達を見据える。次の瞬間、炎で作られた蛇がレベル1のアクマ達を呑み込む。
雷「摂氏5000℃の熱の中で無事生還出来るかな?」
呑み込まれたアクマ達は中でドロドロに溶けていく。
雷「伯爵も摂氏5000度の熱に耐えられる様にはアクマボディを作っていなかったか。」
アクマ達は断末魔をあげながら溶けていく。徐々に、徐々に。
雷「さてと、月の方はどうかな?」
・・・・・
一方、月は.....
月「ふっ、はっ、はっ。」
ダン、ダン、ダンとアクマ一体に対して一発だけ撃っていく。
アクマ1(以降ア)「俺達アクマに対して一発撃てば死ぬとでも思っているのか、お嬢ちゃん。」
ア2「甘いぜ、俺達はレベル1と違って能力があるんだ。そう簡単にはやられねぇーよ。」
ギャハハハとレベル2のアクマ達は笑う。
月「そっちこそ、今の発言に後悔しないでよ。」
ア3「はぁ?何言って......ウグ!?」
ア4「な、何だ......この感覚!?」
月「ボクがお前らに一発しか撃たなかったのは舐めてたからじゃない、一発で"充分だから"だよ。」
ア1「どういう...意味だ?」
月「ボクのイノセンス、粛清の咆哮《デッドリー・ロアー》は撃った弾が、内部で爆弾の様に破裂する仕組みになっている。」
ア「「「「なっ!」」」」
月「じゃあね。ボクの練習に付き合ってくれてありがとう。お礼にあの世へ送ってあげるよ。」
ア「「「「こ...こんな小娘に~~~」」」」
月「粛清の咆哮《デッドリー・ロアー》桜吹雪。」
アクマ達は月が言った通り、バァンと爆弾の様に破裂した。
雷「さてと、兄さんと合流して早くイノセンスを回収しなくちゃ。」
・・・・・
その後二人は合流し、無事イノセンスを回収した。したのだが、
雷「まさか、教会の鐘がイノセンスだったとはな。でもまぁ回収したし、良しとするか。」
月「でも兄さんどうするの?あの教会、鐘がなくなったら困るんじゃないの?」
雷「ああ。それなら大丈夫だ。さっきコムイに連絡して新しい鐘を用意してくれるとさ。」
本当、教団に来てからは良いことだらけだな。
雷(経費で食事出来るし、電車もタダで乗れる。本当に良いことだらけだな。)
雷「さて、帰って報告書出さないとな。」
月「じゃあ、兄さん宜しく。」
雷「お前なぁ....たまには自分で書けよ。」
二人は帰る。帰るべき場所に、これからも、そうでありたいと思いながら。
二人の技を載せておきます。
雷渡:火炎凍華
技:「一の型、炎蛇の舞」アクマを炎で作った蛇の中に閉じ込め、ドロドロに溶かす。
月:粛清の咆哮
技:「桜吹雪」アクマに弾を撃ち込み、アクマの散りゆく様を桜が花びらを散らす様に例えた技。