――転生者の魔都『海鳴市』、それは舞台こそ『魔法少女リリカルなのは』世界の海鳴市だが、数多の作品世界から流れ着いた『転生者』達によって歪みに歪んだ、数奇極まる(当社比、限界まで控えめの表現)物語となっている。
今日も一筋縄とはいかない『転生者』達の手によって、奇妙な物語は紡がれるのだった――。
01/本来は一行で終わった前日譚
――赤い腕輪が廻る。狂々狂々、同じ結末を奏でる。
私は何を成すべきだったのだろう。本当の望みはそれなのに、正しい道筋を見失って久しい。
貴女が示した道を歩き続けて、かつて貴女が救ってくれたように真似して――その先に、貴女は何処にも居なかった。
嗚呼、なんて酷い物語なのだろう。巡る輪廻は変わらぬ絶望で幕閉じて、物語は再び幕開いて永劫に繰り返す。
巡る輪廻、永劫を繰り返し、私は光り輝く星を見失い、最後は孤独となって全て諦めて――終わらぬ物語に終止符を打った。
全部壊して、全部消し去って、全部終わらせたのに――物語は、再び巡る。悍ましい以外の感想など浮かばない。
どうしてもう眠らせてくれない。どうしてもう放っておいてくれない。辛くて挫けて諦めて悶えて目を瞑って耳を塞いだのに。
だから、放棄した。投げ捨てた。拒否した。拒絶した。もう永劫に苦しみ抜いたのだから、微睡みの中で永遠に揺蕩うぐらい、許してくれ――。
諦観の海に沈んで幾星霜――絶望で鎖した無の暗黒から生じた『君』は、正しく『幻想の星』だった。
最初の認識は『異物』、絶望の物語に足掻く、新たな犠牲者。嗜虐的な嘲笑が止まらない。余りにも無様過ぎて笑える。滑稽な道化は過去の自分を眺めているようで――嗚呼、早く挫ければ良いのに。早く諦めれば良いのに。
救いなんて何処にも無い。この宇宙には最初から用意されていない。心折れて屈した時、同類となった『君』を心から慰めてあげよう。同じ場所に堕ちた『君』に私と同じ選択肢を与えてあげよう。
次の認識は『困惑』、『君』はとにかく諦めが悪い。無理なのに足掻く。不可能なのに立ち向かう。弱いのに折れない。不屈の魂を以って遍く全てに光を指し示す。
眩しくて見てられない。その過去の鏡像から、目を離せない。遥か遠い彼方で見失った『幻想の星』を、強制的に幻視させる――。
諦めろ。もう挫けて良いんだ。失敗しろ。もう負けて良いんだ。立つな。屈しろ。運命を受け入れよ。その犠牲は不可避の事象だ。世界を救う為に生贄を捧げよ――これ以上、足掻くなよ。運命は変わらない。その悲劇の輪廻は覆らない。出口なんて何処にも……!
最後の認識は形容不能、あらゆる意味でバグって、情緒がぐちゃぐちゃで、とにかく泣き叫んでいた。
――頑張れ。挫けるな。確実に成功させろ。勝て。立て! 屈するな、運命なんてクソ喰らえだ! 犠牲など許容するな! 世界を救うのに生贄などいらない! 足掻け、何度繰り返そうとも! 望まぬ運命などぶち壊せ! その悲劇の輪廻を今度こそ打ち砕け! 『君』は私とは違う道を歩める筈だッ! その先に未知なる未来がある――!
そして『君』は悲劇の輪廻を打ち砕き、時空を超えた絆を紡いで、遍く宇宙に光を指し示し――最期に、私自身の過去の負債によって呆気無く潰えた。
宇宙開闢以前の『原罪』が其処にはあり……嗚呼、なんて酷い物語なのだろう――。
――『聖杯戦争』、それは『万能の願望機』である『聖杯』を巡って相争う、七名のマスターと七騎のサーヴァントによる戦争である。
開幕、早速話の腰を折るが……七名の魔術師という表記でないのは、この転生者の魔都『海鳴市』において魔術師じゃない者の方が大多数、圧倒的に多い為だ。
型月世界出身の正規の魔術師など此処には2人しか存在しないし、『魔術師』という個人名称の方が極めて悪名高いのも、マスター表記にした方が無難になる一因だろう。
――『魔法少女リリカルなのはA's』の時間軸の事件が終わり、『闇の書の欠片事件』改め『うちは一族の転生者事件』、3人の記憶以外事象の彼方に消え去ったが『海鳴決闘都市事件』から少し経ち、新しい事件到来の季節である。いや、季節の変わり目毎に世界の存亡に関わるような大事件が発生する時点で世紀末環境だが――。
この転生者の魔都『海鳴市』においても過去に一度――『魔法少女リリカルなのは』における最初の事件の原因である21個のジュエルシードが令呪として3画ずつ強制配布される事で英霊召喚を成して『聖杯戦争』が勃発しており――事の顛末は省くが、『海鳴市』における『聖杯戦争』は、此度で『二回目』となる。
前回は『聖杯戦争』という儀式で完成させる『聖杯』がそもそも最初から存在せず、実は他の『聖杯戦争』で完成させた『聖杯』の争奪戦だったという酷すぎるオチだったが、今回は――。
「――おはようございますこんにちはこんばんは御機嫌よう! そしておめでとうございます! この『私』を引き当てるなんて宇宙一の凶運ですねぇ! 此度は『セイバー/■ー■■』クラスとして馳せ参じました!」
あ、今回は別ベクトルで破滅的なまでに異常事態になっていると確信してしまう。何でサーヴァントのクラスが重複しているの?
そのサーヴァントの外見情報は――基本的に意味が無いので説明はしなくて良いだろう。人の主観によって外見情報が一変する相手の説明など徒労極まるし、勝手に想像して勝手に当て嵌めておいて欲しい。……最も印象に多い似姿は『緑色の特徴的な学生服?』だろうか。
――存在そのモノがとんでもなく胡散臭い『自称』サーヴァントは、『令呪』が『右手』に刻まれた瞬間、間髪入れず、勝手に召喚されるに至る。
それはもう、周囲の光を飲み込んで、一目で解るほど禍々しい黒き極光を燦々と煌めかせながら。
……正規のものを実際に目にした事は無いが、間違っても通常の召喚演出ではないのは確かだ。
とりあえず会話が出来るので会話しよう。言葉は通じても、相互理解出来る類の存在とはとても思えないが――。
「……二重の意味で隠す気あるのかって? はて、一体何の事やら。――さぁさぁ『聖杯』に託す願望、この場で叶えて進ぜましょう!」
初っ端から『聖杯戦争』の意味が無くなる事を宣う『自称』サーヴァント――七騎の生贄を『聖杯』に捧げて『万能の願望機』を完成させるという裏の儀式内容に真正面から喧嘩を売る発言に溜息を吐く。
本来の『聖杯戦争』では呼び出せない、というよりも呼び出せるなら『聖杯戦争』という儀式自体がやる必要の無い徒労の茶番劇と化す、何でもありの神霊級なのだろうか――転生者の魔都『海鳴市』における『第二次聖杯戦争』は、初手の時点で『管理者』及び『黒幕』の掌から乖離し、宇宙規模の大惨事案件に至る事が半ば確定する。
やっぱり、清く正しい『聖杯戦争』の完全管理・運営なんて土台無理な話だったのだろう。
正規の『聖杯戦争』で必ず発生する例外、それが起こる余地を完全に潰したら、初手・システム面からの介入/改竄が入るとは中々笑えない冗談だ。
――とりあえず、最終的な帳尻合わせは『魔術師』が何とかするだろうし、それでも手に余るなら『正義の味方』と『悪の魔王』に後始末を押し付けられるだろう。
こんな出遭った瞬間に『1d100』のSAN値チェックが入るような『大凶』を引き当てた分の精神的補填は『当人』にして貰うとしよう。
「……うわぁ、望みの対価を最大限までぼったくる気だったのに、むしろ極限まで値切りされるとは思わなんだ。なるほどなるほど、『君』に召喚されたのは抑止力的な、ある種の必然だったか。……一つだけ良い? これって地味に、『補正』ちゃんのやらかし案件だよね? ――何で『君』のような『根源接続者』が事前に除去されず、今の今まで見逃されてるの?」
転生者の魔都『海鳴市』第『二』次聖杯戦争編 二重螺旋虚構 アナハイム 『幻想の星』
01/本来は一行で終わった前日譚
『セイバー/■ー■■』 マスター■■■■
此度の『聖杯戦争』における例外事項、全ての元凶陣営。
重複クラスは『セイバー/■ー■■』の事前申告詐欺であり、これによって通常規格では起き得ない不具合を意図的に誘発させた。
マスターの基本方針は完全放任。『令呪』? 全部使い切っても無駄無駄、つける『首輪』はそもそも存在しないので、最小限の『餌』に留める。
『聖杯』に対する願望、特に無し。『万能の願望機』なぞ無くとも、やろうと思えば自前で何とでもなるから。
クラス 『セイバー/■ー■■』
マスター ■■■■
真名 『■■』
性別 不明
属性 混沌・悪
筋力■□□□□ E 魔力■■■■■ EX
敏捷■□□□□ E 幸運□□□□□ EX
耐久■□□□□ E 宝具□□□□□ ー