「――何なの何なの。どうして、こうなったのよ!?」
侵食固有結界『ルドラサウム』にて再現されたルドラサウム大陸の寒冷地――無人となっているヘルマン帝国内にて、黒髪ツインテールのゴスロリ服姿の幼い少女が絶叫する。
彼女こそは、この『第『二』次聖杯戦争』の発端にして――『魔術師』に利用されるだけ利用されて一行で廃棄処理される予定だった哀れで惨めな『自分の事を黒幕と思い込んでいる道化』である。
「まぁ落ち着け『ナコト写本日本語版』。元より『聖杯戦争』とは例外尽くしが恒例行事のようなものだ」
超遠距離射撃で有無を言わさず仕留めた――戦闘能力こそ最低だが、魔人の中で最も厄介な能力を持っていた魔人ワーグの『魔血魂』を手に転がしながら、『彼』は自身を召喚したマスターを嗜める。
――サーヴァントならば、尚且つ一定以上の神性スキル持ちで、神由来の攻撃手段ならば、多少ダメージが減衰されるものの『無敵結界』の貫通自体は可能のようだ。
割と重要な情報だが、まぁ魔都を生き抜いた『転生者』達なら何とでも対処出来るだろう。各地に徘徊する魔人達以上に厄介なのは『固有結界』を展開している『ランサー/プリテンダー』本人なのだが――などとあれこれ思考していると――マスターである『ナコト写本日本語版』がジト目で此方を縋るように睨んでいた。……はて、何か不満点でもあっただろうか?
「……呼び辛くないですか『マスター』? 『ナコト写本(オリジナル)』がマスターテリオンに『愛犬の名(エセルドレーダ)』と呼ばれたように、私にも特別な名前、付けてくれても良いんですよ?」
『ナコト写本日本語版』は、制作者の死後、驚異的な速度で魔導書の精霊としての自我を確立し――『ナコト写本(オリジナル)』に似通った、狂信的で盲目的な衝動のままに、翻訳者の召喚に成功してしまう。
そんな生後一年未満の幼女は、自身の『マスター』に特別な証としての名前を寄越せと、幻影の尻尾をぶんぶん振り回しながら可愛くせがむ。
「これまた難しくややこしい事を要求するなぁ。それと『マスター』呼びはかなり紛らわしいぞ? この『聖杯戦争』においては君の方が正統なマスターなのだから」
――よもや、『4度目』がこんな形になるとは思いもしなかった、と言わんばかりに、転生者の魔都『海鳴市』に混沌を齎そうとしたクトゥルフ系狂信者宗教団体『這い寄る混沌』の教主『大導師』は穏やかに笑う。
「関係ありません。『マスター』は『マスター』です。それ以外にありません!」
「私としては『聖杯戦争』の伝統的にクラス名で、『アーチャー/アルターエゴ』と呼んで欲しいのだがね?」
『アーチャー/アルターエゴ』 マスター『ナコト写本日本語版』
かつて転生者の魔都『海鳴市』を大震撼(物理)させたクトゥルフ系狂信者宗教団体『這い寄る混沌』の『大導師』――海鳴における第一次聖杯戦争時に『魔術師』が魔都の全戦力を招集して袋叩きにして討ち取ったが、それが死後、サーヴァント化して召喚された。
――なお、二重クラスがまかなり通る『第『二』次聖杯戦争』においても、クラス重複だけは有り得ない。……適性クラスが被っているサーヴァントはままいるが。
マスターである『ナコト写本日本語版』は、『大導師』が転生者の魔都『海鳴市』に転生した後に現地で作成した特級呪物。『ナコト写本(オリジナル)』に限り無く近い日本語訳板の写本であり、『大導師』の死後、所在不明になっていた『ナコト写本日本語版』は魔導書の精霊としての具現化に成功し、今回の『第『二』次聖杯戦争』勃発の発端となった。
マスターの基本方針は『大導師』の完全蘇生。自身を触媒に召喚に成功した時点で目的の半分は達成しているが――致命的な事に、この『聖杯戦争』が『魔術師』のお膳立てで成り立っている事に気づいていない。更には上位の存在によってシステムの根底から歪んだなど想定外。……精霊として実体化して一年未満の幼女だから仕方ないね!
クラス 『アーチャー/アルターエゴ』
マスター 『ナコト写本日本語版』
真名 『大導師』
性別 男性
属性 秩序・善
筋力■■■■□ B 魔力■■■■■ A+
敏捷■■■■■ A 幸運■■■■■ A
耐久■■■□□ C 宝具■■■■■ EX