――魔人バボラ。魔人一の巨体を誇る鬼の魔人であり、その全長は57メートル以上と、天に聳え立つ巨人となっている。
原作の『ランス』世界では、その巨体さが中々に厄介であり……頭脳面が白痴の如く阿呆過ぎるという致命的なまでの弱点があったが、理性を奪っている現状だとその弱点が無くなり、その巨体を十全に行使する無敵の狂戦士となってしまっていた。
如何に魔都『海鳴市』に生きる『転生者』が異常でも、相性ゲー過ぎて最初から詰んでいる者も多数生じる難敵であり――。
……が、現在、その巨体は丸ごと凍結しており、『無敵結界』でダメージを受けていないものの、窒息で仮死状態に陥っている為、完全に行動不能になって無力化されている。
この巨大な魔人が何故、このような悲惨な状態になっているかというと――。
『――アナザーブラッドオオオオオオォッ!』
『――今、『違えた血(アナザー)』なのは貴方よ、『名も無き騎士殿(ドン・キホーテ)』!』
二体の50メートル大の鬼械神、クロウ・タイタス&シスター&大十字紅朔の3人が駆るデモンベイン・ブラッドと――勝手にサーヴァント召喚されて即座に敵対した『ライダー/アヴェンジャー』が駆るデモンベイン・トゥーソードの、兄妹喧嘩(Wイタクァ神獣形態で永久凍土化)に巻き込まれてしまったからだ。
『犬も食わぬ『兄妹喧嘩』なんて後にして欲しいのですが?』
『い、いや、シスターの気持ちは痛いほど解るけど、契約者として責任取る必要があるからなぁ……!』
シスターは呆れながら静観し、メインパイロットであるクロウは卓越した操縦を誇る鬼械神乗りの申し子『ライダー/アヴェンジャー』の猛攻を必死に凌いでいた。
『――クロウ・タイタス! 貴方ほどの男が何故アナザーブラッドに手を貸す!?』
『何か勝手に過大評価されてる気がするけど、うん、単純に見捨てられなかったからだな! 責任持って監修してますので矛を収めてくれると嬉しいなぁ!?』
大十字紅朔と同じく『ネクロノミコン血液言語版』――いや、その言葉遊びはもう良いか。大十字九郎とアル・アジフの実の息子――大十字九朔は、魔術師と魔導書のハーフであり、その出生から鬼械神を自ら招喚し自ら操縦する、鬼械神の申し子みたいな存在である。
その申し子から全力で殺意を向けられるのは正直心臓に悪い。こちとら雑草血統の凡人なので、諸々の才能は比べるまでもない……!
『あらあら、私とクロウは相思相愛よぉ? 運命の夜に出遭って、私は私の存在を確立し、貴方は虚構に堕ちた。既に終わった物語の結果を今更蒸し返すなんて無粋よねぇ?』
『――黙れッ! 虚言を! 虚構の存在なのは貴様の方だッッ!』
トゥーソードは激情のまま自動式拳銃とリボルバー式拳銃の双銃――一直線に飛翔する爆炎の銃撃と無限に起動変化する氷結の曲弾を連射し、此方も同じ武装で応戦して相殺していく。
固有結界の中という事で、世間様に隠蔽する必要が一切無い紅朔は超ノリノリで大暴れしているが『……なぁ、これ、完全に悪役だよな?』『言うまでもなく悪役だよ、クロウちゃん。やったね』と、テンション低めのクロウとシスターは重い溜息を吐いた。
――何が悲しくて、自身(紅朔)が召喚したサーヴァントと真正面から敵対しなければならないのか。……なお、この『聖杯戦争』では、それが『スタンダード(7騎中5騎)』である。
……そもそも、サーヴァントに真正面から対抗出来るマスターなる存在が、原作のFateからしてレア……いや、割と結構居たような……?
『……紅朔、令呪を使わないのですか?』
『令呪で解らせて屈服させるのも魅力的だけど――実力で黙らせた方が更に面白いと思わない?』
――まぁこれは半分本音であり、半分建前である。
既にギミックが判明している為、絶対に起こるであろう『いざという時』の為に令呪3画とも温存しているのである。
『機神飛翔デモンベイン』のネタバレとなるが、諸々の経緯をすっ飛ばして説明すると、今の『ライダー/アヴェンジャー』の駆るデモンベインは、本当はデモンベインじゃない。
むしろその不倶戴天の怨敵である『這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)』の化身の一つであり、大掛かりな舞台装置の一つである。
流石に神の中にいる今の『ライダー/アヴェンジャー』に令呪を行使しても理不尽に無効化されるので、『いざという時』の最後の一押しに温存する方針を取っている。
無論、この事を知らぬであろう『ライダー/アヴェンジャー』からは舐めプ以外の何物でもなく――。
『――戯言を!』
『あら、未だに勘違いしているの? だから『騎士狂い(ドン・キホーテ)』なのよ。――三位一体に至らぬデモンベインに、一体何が出来るのかしら?』
まぁ大十字紅朔が駆るデモンベイン・ブラッドは三位一体どころか四位一体(クロウ・紅朔・シスター&デモンベイン)で動かしている、とてもちぐはぐな状態だが――。
『でもぉ、クロウだって私達が負けるなんて欠片も思ってないでしょ?』
……その紅朔の確信に対する答えは、クロウのとても気まずい沈黙で、千の言葉よりも如実に語ってしまい――。
『――ッッ! その愚弄、高く付くぞッ!』
『正当な評価よ? ――今の貴方、過去に類を見ないほど弱いし。これが私のサーヴァントなんて恥ずかしいわぁ!』
紅朔は煽りに煽りながら『ランサークラスなら自害させている処よ?』『ランサーに対する熱い風評被害!?』とクロウは咄嗟にツッコむ。
……そもそもの話、勝負になっている時点で論外に等しいのだ。
クロウ・タイタスは歴戦の古強者以上の戦闘経験者なれども、その才覚は絶望的なまでに皆無。それを『ネクロノミコン血液言語版』&『禁書目録』に一方的に補って貰って、やっと鬼械神で戦えるレベルであり、それが超絶手加減状態なのに瞬殺出来ないのは半人前以下という評価を残念ながら下さざるを得ない。
――何故ならば、今の『ライダー/アヴェンジャー』は唯一人の状態で、それすら自覚していないのだから、勝負にならないのは当然であり――。
『『――!?』』
『兄妹喧嘩』を何よりも最優先としていた紅朔と『ライダー/アヴェンジャー』さえも手を止める、この異常なまでに超巨大な空間転移反応――即座に超巨大な時空震を巻き起こして実体化していき――。
『――は? 何あれ? 大いなるクトゥルフ!?』
クロウがそう勘違いするのも無理はない。
その超巨大な異形は、まさしく似通った外見の超巨大な生命体であり――全長4,7km、白い蛸のような軟体生物を思わせるそれの名はククルククル。初代魔王にして、天界の一級神の領域に限り無く近づいた歴代最強の魔王だった。
クラス 『ライダー/アヴェンジャー』
マスター 大十字紅朔
真名 大■字九■
性別 男性
属性 秩序・善
筋力■■□□□ D 魔力■■■■■ A
敏捷■■■■□ B 幸運■□□□□ E
耐久■□□□□ E 宝具■■■■■ EX