出来たら更新しますが、余り期待しないでね!
――『夢』、『夢』を見ている。
自分のではなく、恐らくは『ランサー/プリテンダー』の記憶。人の一生では考えられないほど膨大な歳月の記憶の渦。
記憶の各所に劣化が見受けられないのは、『ランサー/プリテンダー』の出生が原因だろう。
――全ての人間が惨殺された屍山血河。前に見慣れた人間達も、悲惨な惨殺死体として地に転がっており……この地獄を引き起こした張本人たる『魔王』を、過去の『ランサー/プリテンダー』は無表情で眺めていた。
「――おめでとう、ケーちゃん。あの最弱の毛玉がまさか魔王まで成り上がるなんて、地上最大の下剋上だね!」
彼女は笑いながら「今回は『魔王ケイブリス』ルートかぁ、残念残念」と、内心に煮え滾る怒りの感情を欠片も外部出力せずに述べる。
魔王の座が『七代目』からケイブリスに継承された時点で『ゲームオーバー』だったので――その時点で彼女は協力していた人類軍の前から姿を消し――その後は人類がどう足掻こうがこうなる運命だった。
この後、人類を必要以上に殺し過ぎた魔王は、魔王殺しのリミッターが解除された勇者に瞬殺される運命を辿るが――。
「……! 絶対に何処かで生きてるとは思っていたが、まさかテメェから遭いに来てくれるとはなァ……!」
「AV(アベル)時代以来だから、ケーちゃん視点では実に4000年振りになるね。いやほんと感慨深いねー」
彼女視点では更に途方もない歳月になるのだが、その事に尾首も出さない。
かつての『魔人筆頭』と『最弱魔人』の邂逅であるが、その『最弱魔人』が『魔王』になった事で原初の絶対的な主従関係が崩壊しており――。
「ホント、嬉しいぜ。探す手間が省けたしよォ――『跪け』」
微塵の油断無く、躊躇無く『絶対命令権』を行使する。
魔王と魔人の時点で力の差は天と地ほどの差なのだが、かつての強者を問答無用で圧し折る意趣返しをしたかったのだろう。
「――え? やだよ」
自称『最古の魔人筆頭』は本当に自称でしかなく――魔人では絶対に逆らえない『絶対命令権』に対し、そもそも彼女に対してその権利が最初から無いという余りにも酷すぎるオチを持ってくる。
「は? おい、おいおいおいおい!? 何で魔王の『絶対命令権』が効かねぇ!? どうなってやがる!?」
「どうもこうも、私はそもそもククルククルに作られた魔人じゃないしー?」
「は? 馬鹿言え、ククルククルの他に誰が魔人を――」
彼女はこの上無く邪悪に嘲笑いながら「魔人の数、数えてないの? 私を含めたら25人になる時代が結構あったのに」と、大陸に24人までしかいない魔人の数に自分が入ってなかった事を指摘する。
「初代魔王ククルククルが誕生する一万と数千年前に、超神プランナーが創った試作魔王トロス――その7人の魔人の内の一人がこの私だよ。その系譜はとっくの昔に途切れているけどね」
今明かされる驚愕の真実に魔王となったケイブリスさえ度肝を抜かれ――「元々系統が違うから『絶対命令権』なんて通用しないし、その代わりに『無敵結界』も無いんだけどね!」と注釈する。
過去――原初の時代に魔人殺しも幾度も平然と行っていた彼女に「味方意識はねぇのかよ!?」と心底恐怖して疑っていたが、本当に同族意識すらも無かったとは思いもしなかっただろう。
だが、同時に――『無敵結界』が無いのならば、破る手段も無いと同義語。恐れる要素は何一つ無いと確信した魔王ケイブリスは、この大陸で頂点に立つ超暴力を振るい――地上のあらゆる生命体を一撃で葬る最強の拳は確かに回避行動も取らなかった彼女に直撃した。――人の形に極限まで圧縮された超質量を殴った拳の方がグシャグシャに骨折れて粉砕してしまったが――。
「――っ、ぁ、!?!?」
「あれれ、どうしたのケーちゃん? 形だけ立派になったのに昔のまんまなの? ――弱虫で、臆病で、意気地無しで、一人じゃ何も出来ない愚図のままなの?」
6000年前の、出遭った当初と同じように、全てを見下しながら嘲笑う『魔人筆頭』が、どう足掻いても敵わない弱者を腐りに腐り切った憐憫と共に見下す。
その生命的でない無機質な眼が、何よりも怖くて恐くて、過去の凄惨なトラウマを脳裏にフラッシュバックすると同時に「ひっ」と悲鳴を上げてしまう。
――魔王と『何か』の戦闘は、戦闘にすらならなかった。
一方的に嬲り殺される魔王が必死に命乞いをし、彼女は笑いながら嬲る手を止めずに――。
「――魔王に下剋上して魔王になったのは私も同じだよ? ついでに他の魔人どももぶち殺してやったし」
ボロ雑巾にして食べやすいように加工しながら――それでも魔王の強大な生命力故に即死出来ずに――「まぁ一級神に限り無く近いククルククルと比べれば塵屑だったけど」と先端が割れて口開いた六本の触手に貪られるように捕食されていく――。
これが6000年間、ククルククルに憧れてひたすら強くなろうとして、余りの歳月の果てに原初の心を見失った魔王ケイブリスの結末であり――。
「このルドラサウム大陸の魂の総量は100億。メインプレイヤー及びモンスターとその他で7億、悪魔界&ストックで13億、怪獣&大陸で10億、天界で『18億』――そして創造神ルドラサウムの現在の魂は『30億』ほどだ」
天界とルドラサウムの魂の総量が『2億』と『20億』ほど削られている?
削られた分の魂は、『ランサー/プリテンダー』が保有しているのは言うまでも無く――。
「このリセット作業は『毎回』の事ながら、割と手間なんだよね。現在のルドラサウムの総量を超えないと『ロード』出来ないからねぇ」
彼女の影から膨大無量の異形の軍勢が這い出てくる。
それは『丸い者』だった。それは『ドラゴン』だった。それは『モンスター』だった。それは『人間』だった。それは『悪魔』だった。それは『天使』だった。
彼女が直接喰らって魂を略奪した存在を彼女が保有する魂を使って再現し、世界全てを喰らう尖兵として大陸中を文字通り飲み込んでいく。
――個にして全、全にして個、つまりはその全てが彼女なのだ。
魂を略奪しながら増大し、器を破壊しても魂は彼女の下に帰って無限循環する超機関。
それ故に、魔王を『何度も』喰らっている彼女が魔王の血から初代魔王ククルククルの存在を忠実に再現する事すらも簡単な事なのだろう。
「今の私はルドラサウム大陸で唯一の『システム神』なんだよ?」
世界を喰らう軍勢が、僅かに生き残った人類もモンスターの軍も平等に喰らい尽くしていき――同時進行で悪魔界と天界にも無限の軍勢による侵攻が開始されており――長い長い歳月の末に、彼女と創造神の魂の総量が逆転した瞬間、ルドラサウム大陸の支配権が彼女に渡り――大陸の全ての時間軸が巻き戻る。
略奪した権能をフルに使い、『セーブ』したスタート地点へと巻き戻る。
このループを自覚するのは当然の事ながら彼女一人だけであり――『セーブ&ロード』の権能を持つ『簒奪神』はプレイヤーとして次の周を開始する。自分すら想像すら出来ない感動の終幕を目指して。
「――初めまして! ランス派の『魔人筆頭』が颯爽と馳せ参じたよ! 頑張って世界救おうね!」
クラス 『ランサー/プリテンダー』
マスター 白
真名 『簒奪神』
性別 女性?
属性 混沌・悪
筋力■■■■■ A++ 魔力■■■■■ EX
敏捷■■■■□ B 幸運■□□□□ E
耐久■■■■■ EX 宝具■■■■■ EX
適性クラス、ビーストorエンシェント・ゴッド