――世界が光り輝いたと思ったら、瞬き一つの間に『世界』が一変し……気づいたら、中世ファンタジー風の町並みに居た。
「……何だこれ、『固有結界』的な何か?」
「そうかもね。専門家じゃないから断言出来ないけど」
一緒に歩いていた柚葉は隣にいるので、まぁどんな事態に巻き込まれても何とでも対処出来るな、という安心感に包まれる。
……周囲には人の気配が一切無く、静寂に包まれている。空には遥か遠方に『空飛ぶ天空城』がぷかぷか浮かんでおり――城よりも、隣に刺さっている塔の方が大きいあたり、何かとんちきな建物の印象が強い。
「早速、召喚されたサーヴァントの一騎がやらかしたって事かぁ。初っ端から全陣営巻き込んだ『レイドボス』戦って訳か? 派手好きだなぁ」
「その辺の事情は想像しか出来ないけど、とりあえず直也くん、『鎮魂歌』で殴ろうか。相手が有利な場所で戦う必要性なんて無いし」
「……初手でその選択肢ってさ、割と脳筋で無法よな?」
此方の心情的に、そうぽんぽん『矢』を使うのには躊躇いがある訳なのだが? 色々検証したけど、結局『蒼の亡霊・鎮魂歌』の能力ってどんなのか、正確には解らなかったし――。
「――っ、痛っ!? 何だこれ……『令呪』?」
『矢』をぶっ刺そうと覚悟を決めた直後だった。自身の手の甲が焼けるほど痛く、『令呪』が赤く発光しており――急激な目眩と倦怠感に襲われる。
自身の生命の根幹が一気に吸い尽くされたかの如く、問答無用で意識が途切れる。
……薄れる意識の中、勝手に召喚された自身のサーヴァントに魔力を根刮ぎ吸い尽くされたのでは?という推察だけが残り――魔力の生成なんて出来ない一般人がサーヴァント召喚したらそうなって当然だと納得し……もうちょい加減出来なかったのかと勝手に召喚されたサーヴァントに文句を言いたかった。
「――直也くん!?」
秋瀬直也が正体不明の痛みに呻いた直後、彼の立っていた地面に特有の魔法陣が自動的に刻まれ、禍々しい光を放つ。
まるで眠るように意識を失って倒れる刹那、膨大なエーテルを放って召喚された何かに支えられる。――大切な者を抱き抱えるように優しく、自身の力で壊れないような慎重さで。
――それは見た事の無い女子高生服を着た、16歳程度の少女だった。
数多の時代から召喚される年代無視のサーヴァントに関わらず日本的な女学生――黒髪のショートボブで、可愛いよりも凛々しいいで立ちで、特徴的な青い瞳は射抜くように豊海柚葉を睨んでおり――この瞬間、理屈抜きで豊海柚葉は理解する。コイツは『敵』だと。
そのサーヴァントは豊海柚葉を一瞥した後、無言で立ち去る。サーヴァント特有の超人的な身体能力をフルに活用し、尚且つ気絶した秋瀬直也を抱えて。
「――は?」
白昼堂々行われた、想い人の誘拐劇に、豊海柚葉は即座にブチ切れる。
その激怒は一瞬にして……最近、ぬるま湯に浸って本領発揮出来ずにいた『シスの暗黒卿』を全『補正』有り状態に戻してしまい――自身の世界を揺るがす超・危険存在を感知した『ランサー/プリテンダー』から直接『初代魔王ククルククル』を派遣させる事態になるが、デモンベイン達に引っかかってしまい――此処に、秋瀬直也から勝手に召喚された英霊らしからぬサーヴァント『バーサーカー/フォーリナー』と『シスの暗黒卿(ラスボス補正有り)』の追跡劇が、人知れず開催したのだった。
クラス 『バーサーカー/フォーリナー』
マスター 秋瀬直也
真名 『■■■■』
性別 女性
属性 混沌・善
筋力■□□□□ E 魔力■□□□□ E
敏捷■■□□□ D 幸運■■■□□ C
耐久■□□□□ B 宝具■■■■■ EX