「……実質無限湧きの『魔軍(雑魚軍勢)』、理不尽極まる『無敵結界(防御チート)』、侵食能力付きの『ELS(銀色っぽい何か)』!」
『――『私』めが拵えた数々のギミック、お気に召しましたかな! 『闇統べる王(ロード・ディアーチェ)』殿!』
「どうしてこう我に気持ち良く戦わせてくれないのだ貴様!? 聞き及んでいた『聖杯戦争』とまるで違うではないかぁっ!」
ディアーチェの切実なる喚きに対して、全員が「うんうん」と激しく同意する。
『魔術師』から聞き及んでいた『聖杯戦争』はマスターとマスター、サーヴァントとサーヴァントが覇を競い合う七人七騎の戦争であり――間違っても世界の存亡を賭けた『レイドボス戦』が連発する催しではない。
『いやぁ、物凄い王様発言ですねぇ! 通常の『聖杯戦争』は、ほら、サーヴァントの戦闘にマスターの介入出来る余地なんて殆どありませんし? マスター&サーヴァント問わず『全員に活躍の場を!』をモットーに頑張りました!』
「努力の方向音痴が過ぎるわぁっ!」
『だって『私』めの真名、『迷子』ですし!』
宇宙に咲き誇る純白の花型状態の『深遠なる闇』から発せられる『セイバー/ビースト』の声は念波のような形式で響き渡っているが、その調子は人間形態の時と何一つ変わらず――厄介な事に理性が保たれている状態である事が容易に推測出来る。
「――だが、最後の舞台は褒めてやる。実に解り易い。ぽっと出の『レイドボス』を単純に袋叩き(フルボッコ)にすれば良いのだからなぁ!」
十字の杖を『深遠なる闇』に向け、ロード・ディアーチェは堂々と宣戦布告する。
「僕、こういうの大好き!」「私は頭脳戦も好きですが――」「フルボッコ、なのです!」と、レヴィ、シュテル、ユーリが続く。
継続戦闘可能な大火力持ち――漸く彼女達紫天一家の本領を発揮出来る舞台が訪れ――。
『それは良かった。お褒め頂き黒幕冥利に尽きますねぇ。――で、貴女達程度で何とか出来ますかな? 亜種存在とは言え、この宇宙に顕現した『深遠なる闇』、舐めて貰っては困る』
花弁を回転させるように身動ぎし、『深遠なる闇』の巨体が一直線に突進し――動きを察した全員が足場代わりの飛翔体(床)から離脱し――木っ端微塵に粉砕しながら轢き逃げしてくる。
――ある者は別の飛翔体(床)まで一息に跳躍し、ある者は直接飛翔して難を逃れて――遠方まで轢き逃げする『深遠なる闇』の進行上に爆発が生じ、霧散した飛翔体(床)の破片が此方まで降り注いでくるが――。
「――けっ、終始舐めてんのはどっちだか。狩らせて貰うぜ……!」
「――こういう趣向は久しぶりですね。楽しませて貰いますよ」
とある破片は『ランサー』の馬鹿力で蹴り飛ばされ、とある破片は『アーチャー/ルーラー』の宝具、『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』の宝具射出の自動迎撃で粉砕される。
開幕の演出扱いに即死攻撃をかましてきた『深遠なる闇』は堂々と新たに乗り移った飛翔体(床)に接地し――花弁の外側に付属している複数の触手を展開した。
「クロウ、デモンベインはどうした!?」
「前の段階で完全にぶっ壊されたよブラッド! ああクソ、『深遠なる闇(コイツ)』にこそレムリア・インパクトぶちかましたかった!」
「ホント、コイツこそデモンベイン案件だよね。――豊穣神の剣を再現、即時実行」
クロウ・タイタス&大十字紅朔はマギウス・スタイルにて二丁拳銃をひたすら連打して浴びせ、『禁書目録』であるシスターは北欧神話における神の剣を3振り再現し、乱撃させる。
『やだなぁ、これまでずっと活躍してきたんだから、最後ぐらい大人しくして欲しいですね、クロウ・タイタスさん!』
「名指しとは人気だな『教会』の兄ちゃんよっ!」
「欠片も嬉しくねぇよ『ランサー』さんよぉ! ……ブラックリスト機能とかありません? 同伴拒否で!」
『ランサー』の呪いの朱槍『ゲイボルグ』による神速の刺突で触手を迎撃しながら蹂躙し、『アーチャー/ルーラー』の『王の財宝』の宝具がエンドレスに射出され、『ライダー/アヴェンジャー』がロイガー&ツァールの双短剣で切り刻み、『竜』の騎士ブラッドが真魔剛竜剣の剣撃を無数に叩き込み――。
『――というか、『私』としては『全魔法使い(ソーサラー)』さんにはさっさと退場して欲しいのですけど。貴女一人でどれほどギミック崩壊したか! えーい、積年の恨みー!』
「逆恨みも甚だしい……!」
前衛の彼等を無視して無数の触手がヘイトストップ高の『全魔法使い』シャルロットに差し向けられるが、瞬時に『竜』の騎士ブラッドに薙ぎ払われ、更には後方からの『星光の殲滅者(シュテル・ザ・デストラクター)』の援護という名の砲撃魔法によって瞬時に焼き払われる。
――尤も、欠損した直後に即再生果たす触手による再攻撃が間髪入れず再開される為、攻撃は通るが、効いている印象が全く無く――『雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)』&『砕け得ぬ闇(ユーリ・エーベルヴァイン)』が盤外から大規模攻撃をぶちかますも、圧倒的な質量差から無傷という始末。
「うげっ、硬っ!?」
「……むぅ、通りませんか」
『末恐ろしい幼女達だなぁ、正攻法で削って下さいねー! 通用する部位じゃなければダメージ0ですので!』
返礼代わりに桃色のビームを複数撒き散らし――レヴィは飛翔魔法で華麗に回避、ユーリは防御魔法で受け切り、皆が足場代わりにしている飛翔体(床)に着地、態々意図的に接地している触手に総攻撃を加え――。
『……あ、3個所部位破壊で一定時間強制ダウンは仕様だった。弱点部位露出してますから今がチャンスですよー!』
初めて『深遠なる闇』から反応があり――動作不良のような挙動を経て、中央部分の核らしき部分が露出される。
一瞬罠かと誰しも疑ったが、まぁ罠かどうかは直接踏み抜いて判断しよう。
「――ギガブレイク!」
「――クトゥグア」「イタクァ」「「神獣形態っ!」」
「――紫天に吼えよ、我が鼓動。出よ巨重、ジャガーノート!」
「――疾れ、明星。全てを焼き消す炎と変われ。ルシフェリオンブレイカー!」
「――パワー極限! 雷刃封殺爆滅剣!」
「――エンシェントマトリクス、どっかーんです!」
「――『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)』!」
「――『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』!」
「――『聖ジョージの聖域』を即時発動、『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』――!」
「――汚れ無き天空の光よ、血に塗れし不浄を照らし出せ! ホーリー!」
この場の各人に置けるほぼ最大火力が一斉に叩き込まれ――無防備に受け切った『深遠なる闇』は弱点部位を即座に収納し、次の段階へ――全身を黒く変色させて移行する。
『容赦無いなぁ――ああ、そうそう、言い忘れましたけど、この『深遠なる闇』には原種ほどではないですが、『ダーカー因子(『私』由来の呪い)』による侵食という常時永続デバフのクソギミックがありまして』
原種の場合は、フォトンの抵抗が無い限り、問答無用で侵食してダーカー化してしまうが――この中でその影響を最も受けていたのは『ライダー/アヴェンジャー』であり、息切れしながら片膝を付く。
『限界値を超えたら変異侵食しますから、無理はせずに戦線離脱して下さいねー! 戦える者が居なくなったら地球喰らって宇宙滅ぼしますので悪しからず!』