転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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33/vs『深遠なる闇(偽)』(2)

 

 

 

 

「――レヴィ、シュテル、離脱だ!」

「……っ、でも、王様……!」

「――レヴィ。……ディアーチェ、ユーリ、後を任せます……!」

 

 『セイバー/ビースト』自身がクソギミックだと自負するだけあって、この宙域に存在するだけで平等に侵食され、尚且つ被弾及び接近で更に加速する。

 負傷そのものは(というより間違ってうっかり即死したとしても『マバリア』の補助効果で)『全魔法使い』シャルロットが問答無用に治癒してしまう為、この侵食が戦闘可能時間を著しく縮める働きを成し――。

 

「はいっ、任されました! ……ディアーチェも、無理しちゃ駄目ですよ?」

「ふんっ、この程度、王たる我には何とも無いわァッ!」

『痩せ我慢も此処まで来ると立派ですねぇ。――間に合うと良いですね?』

 

 純白の花型形態から漆黒の第二形態に移行した『深遠なる闇』はケタケタと嘲笑いながら、多種多様の即死攻撃を撒き散らす。

 

「――『ランサー』、まだ行けますね?」

「――生憎としぶといのが取り柄なんでな。そっちはどうだ?」

「マスターが頑張っているのに、サーヴァントが途中退場では格好が付かないですからね。――それに、マスターの晴れ舞台を見届けない訳にはいかないでしょ?」

『いやはや、物凄く信頼されてますねぇ『魔術師』殿は! その信頼を直接打ち明ければ面白い反応しますよ?』

 

 言葉での返答は無意味と断じている2騎のサーヴァントは、己が宝具による滅多刺しにて返礼し――名だたる大英雄の二人に被弾らしい被弾は無いものの、刻一刻と活動時間を奪われていく。

 

 『深遠なる闇(偽)』による侵食は、無限の手札を持つ『全魔法使い』シャルロットと言えども治癒出来る状態異常ではなく――。

 

「九朔、離脱だっ!」

「――っ、だが、此処で退いては……!」

『足手纏いのサーヴァントから役立たずの敵にランクダウンしたいのならどうぞ? もう貴方の役目は此処には無いわぁ。――精々、見届けなさい』

『ごめんねぇ『ライダー/アヴェンジャー』! 君の見せ場を用意する事は『私』にも出来なかったよ! 玉砕しても黒化反転するだけだから無力な傍観者になってね!』

 

 所詮はサーヴァントという影法師の身、仮初の生命を燃やして一矢報いる――という選択肢を取るには、あの『深遠なる闇』という存在は余りにも遠大過ぎる。

 最後の一撃が蚊の一刺しに過ぎないなど理不尽極まる。……それでも、ダメージが徐々に蓄積されているのか、部位破壊と同時にダウンして弱点部位の中央核を露出し――。

 

 

『――なーんちゃって!』

 

 

 『深遠なる闇』はダウンした振りして、周囲の花弁から無数のビームを撒き散らし、隙だらけの大技を叩き込もうとした者達をちゃっかり迎撃する。

 

「「――!」」

 

 絶対にやると思っていた、と、戦闘経験豊富なクロウ、ブラッドは自らの大技を咄嗟にキャンセルし、回避が遅れるであろうシスター&シャルロットを片手で拾い上げて回避行動を取り――。

 

「――マスター!」

「――ディアーチェ!?」

 

 反応が一瞬遅れてしまったディアーチェは、咄嗟に防御魔法を使って防御してしまい――即座に貫通して被弾してしまい、呆気無く撃ち落とされてしまう。

 

「ぐぁっ!?」

『おや、本当の意味での初の脱落者は貴女ですか。残念無念――さようなら!』

 

 追い打ちとばかりに、露出する中央核から膨大な極太ビームが瞬時に撃ち放たれ――る前に、この宙域に超高速で乱入してきた『銀色の飛翔体』が『深遠なる闇』本体を蹴り飛ばし、絶死の照射が見当違いの方向に流れる。

 

「ディアーチェ! 大丈夫ですか!?」

「――っ、掠り傷だっ! それよりもユーリ、今のは……?」

 

 ――人型の大きさでこのような超越的な暴威を可能とする存在は、転生者の魔都『海鳴市』と言えども限られている。

 

 最強級の武威を誇りながらも、無法極まる『転生者』に対する対抗勢力として君臨する、『転生者』に復讐する為に『善悪相殺』を成す異常組織の首魁――『銀星号』、二世右衛門尉村正の尋常ならざる仕手――。

 

「湊斗忠道! 随分と遅かったじゃないか、何処で道草を――」

『……聞くな。頼むから聞いてくれるな』

「お、おう……?」

 

 組織としては常に敵対(極限までオブラートに包んだ表現)している立場だが、街の危機的状況には割と協力出来る――装甲悪鬼村正世界出身の『転生者』、湊斗忠道が己が白銀の劒冑に装甲して派手に登場したが、何やら様子がおかしい。金打声からしてどんよりとした重みが感じられる。ブラッドは首を傾げた。

 

『――あっるぇー、もう来ちゃったんですか『武帝』さん! 『転生者』に対する不毛な復讐を労う為の『桃源郷』ツアーは愉しかったですか! 是非とも御感想を聞きたいですねぇ!』

 

 それがランス世界での『桃源郷』を指している事に気づいたブラッドは「うわぁ……」と全力でドン引きする。彼が今まで来れなかった理由を察し……湊斗忠道の名誉の為に沈黙する。

 

《……あの巫山戯た催しは『貴様』の仕業か?》

『ええ、『私』が自腹を切りました! 異種姦よりは健全な催しだと自負しますが――あれ、自らの劒冑もとい『女王蟻』じゃないと欲情出来なかったですか? 人の性癖は千差万別とは言え、業が深いですねぇ』

 

 なお、『武帝』の戦力全部を『桃源郷』に隔離した理由は、「『私』の織り成す舞台で、別の異分子が別目的で勝手に暴れても面白味がありませんし!」という誠に自分勝手な理由である。

 ……ランス世界での『桃源郷』がどんな施設かは各々で検索して欲しい。神由来の施設なので、入園料を払ったからにはその使用用途を終えないと脱出不可能だったりする。

 

《良し。御堂、殺そう》

『……あれで『善悪相殺』はしたくないが――それはそれとして、一身上の都合により全力で殴らせて貰う』

 

 

 

 

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