転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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--/『ガーディアンズ』

 

 

 

 

「その記憶すら、朧気で霞んで、もう思い起こせないっ! 大切な『友』の名前すら思い浮かばないっ! ――この宇宙には『私』しか居ない! 天涯孤独の、一人ぼっちの『星』! 『彼等』が存在した軌跡など、この宇宙の何処にも無い……!」

 

 ――惑星ナベリウスの最期を見届けられる、壊世の果て。

 『深遠なる闇』と化した『もう一人の私』が絶望の涙を流す。

 全部無駄だと、無意味で無価値だと、そんな都合の良い奇跡は絶対に起こり得ないと、誰よりも『彼女』自身が痛感して――。

 

 ――ごめんなさい。……本当の『貴女』は、ずっと泣いていた。永遠に償えぬ罪を独り抱えて、謝罪の言葉を無限に呟き続けていた。

 

 ――ごめんなさい。……それが、何よりも嫌だった。気分が悪くなるという次元でなく、受け入れられなかった。誰かに対して、ではなく、生きとして生きる者、全てへの罪悪感に押し潰され、『貴女』は嗚咽し続ける。

 

 ――違うだろう。そうじゃない。『貴女』が本当に言うべき言葉は、それじゃない……!

 

「――やる前から諦めるなんて、『もう一人の私』らしくない。試した事さえ無い癖に、有り得ないと断ずるの?」

 

 ――オラクル船団から、全アークスのフォトンが集結しつつある。

 『深遠なる闇』と化した『貴女』を中心に、それを上回る規模の超巨大魔法陣が形成され、私、マトイ、『仮面(ペルソナ)』を通して全力駆動する。

 

 ……だけど、手応えがまるで無い。無限に空回りしている実感がある。『もう一人の私』の言う通り、私達が賭けた可能性は、この宇宙の何処にも無いかもしれない――。

 

「――『貴女』は、誰よりも諦めが悪くて! 最終的に、何とかしちゃう『人』! その姿に、私達は憧れた……!」

 

 マトイが白錫クラリッサを片手に、もう片方の手を『もう一人の私』に伸ばす。

 絶望の涙を流す『もう一人の私』は、それを感情無く眺めるだけで、何の反応も示さない。私達の言葉も、届いてないのかもしれない――。

 

「――運命なんてクソ喰らえ、犠牲など許容するな、世界を救うのに生贄などいらない! ――全部、『もう一人の私』の言葉だ……! なら、最後まで突き通せ! やり通せ! 偽り通せっ!」

 

 『仮面(ペルソナ)』がコードエッジDを片手に、もう片方の手を『もう一人の私』に伸ばす。

 その言葉に、僅かながら反応を示す。……それは『もう一人の私』の言葉であり、恐らくは嘗ての私達の言葉だから――。

 

 ――足りないのは当然だ。私と、マトイと、『仮面』だけでは足りない。オラクルの人々全員でもまだ足りない。肝心要の『誰か』が泣き崩れていては、何も始まらない……!

 

 

「――今度は、私達の番っ! ――私達は、『貴女』を! 助けに来たっ!」

 

 

 誰かの為に手を差し伸べ続けて、『自分』の事を極限まで疎かにした『もう一人の私』に叩きつけてやる。

 ――今、皆に救われるべきヒロイン役は、『貴女』なのだと……! 私達は、手を伸ばす。私達を救い続けた『幻想の星』に、今にも独り消え入りそうな『彼女』に……!

 

 

「……『もう一人の私』、マトイ、『仮面』――うん、助けて、欲しい。独りは、辛いから……!」

 

 

 やっと、幾星霜に渡って言えなかった本音を言えた『もう一人の私』は泣き笑いながら手を伸ばし――私達3人がその手を掴んだ瞬間、『深遠なる闇』の膨大無比なるフォトンが加わる。

 

「――ああ、もう、行儀良く我慢するなんて止めだ止め! 『私』のキャラじゃないっ! もっと強欲で傲慢で我儘なのが『アークス』ってもんだ!」

「『もう一人の私』!」

「『貴女』っ!」

 

 今までの、全てを侵食するダーカー因子ではなく、依代である『もう一人の私』が全力で浄化したフォトンは結合し――偶然か必然か、此処に『巨躯』『敗者』『若人』『双子』、そして『仮面』の全ダークファルスの因子が揃い、宇宙の開闢に等しい衝撃を、この宇宙に齎す。

 

 

「――『私』は此処に居る! 此処に居るぞォッ! この声が届いたのならっ! 『全員』来いっ! 嘗てのように! いつもと同じようにっ! 宇宙の果てからでも駆け付けて魅せよッ! 次元を超えて境界を破って此処へ――『緊急クエスト』の時間だぁっ!」

 

 

 ――祈りは届くのか。声は届くのか。エーテルの海を超えて、三千世界に響き渡る。

 遥か彼方、因果の地平線を超えて、無明の暗黒宇宙に光り輝く『幻想の星』を、誰が見逃そうか――!

 

 

『――これは!? オラクル船団周辺宙域に大規模な空間転移反応!? それも連続で『10』も!? 一体何が……!?』

 

 ――空間が割れて、境界が砕かれ、『10隻のアークスシップ』が現出する。

 この宇宙においては既に消失した筈の『アークスシップ』が――。

 

『――まさか、本当に……アークスシップ1番艦『フェオ』、2番艦『ウル』、3番艦『ソーン』、4番艦『アンスール』、5番艦『ラグズ』、6番艦『ケン』、7番艦『ギョーフ』、8番艦『ウィン』、9番艦『ハガル』、10番艦『ナウシズ』……!』

 

 間髪入れず支援用の空挺が数千単位で飛来し、ダークファルス・ダブルが無数に配置された戦闘宙域に次々にと突入し――。

 

『――何だこの撃破速度は!? あのダークファルス・ダブルが、まるで相手になっていない!? これじゃまるで――』

 

 各戦線で猛威を振るっていたダークファルス・ダブル達が一分単位で撃破され、次々と『深遠なる闇』が鎮座する最奥の宙域に突入果たしていく。

 

 

「――当然さ、シャオ。『彼等』が、来てくれたんだから――」

 

 

 新たに突入してきた『アークス』達を、『もう一人の私』は泣きながら迎え入れた。

 零れ落ちる涙を必死に拭いながら、『彼等』の勇姿を絶対に見逃すかと喜びながら――。

 

「――ああ、ああぁ……! 初めまして、『皆』! そして、本当に、久しぶり、『皆』……!」

 

 

 『PSO2 幻想の星』――『守護輝士(ガーディアン)』は一人に非ず、我等は『アークス』なれば。True End.

 

 

 

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