転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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07/今回の黒幕枠

 

 

 

 

『――そして3度目の有り得ざる再演、それを私が直接観測する事で逆説的に辿った結末を覆す置換儀式が『ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ』!』

 

 ――2回目の『転生』において、『私』は私に反逆を許してしまい、力の大部分を削り取られた果てに投げ捨てられ……それでも完全には消滅せず、共に3回目の『転生者』として誕生しており、今日の今日まで虎視眈々と下剋上の機会を窺っていた。

 

「――『人理保障天球』もとい人理漂白現象の再検証としては有意義だったかな? まさしく神域の天才だね、これを考案して実行してのけた『天体科の君主(アニムスフィア)』は」

 

 自らの『神殺しの魔眼』を頑なに鎖した、黒の和服の紅髪青年は無表情のまま呟く。

 

 幸運な事に、『神格』に至った存在が何柱も集結する『特異点』においても最強級の『神格』が協力してくれた事で、この邪悪な企ては滞り無く進み――。

 

『……あの、『私』、何か不評を買いましたか?』

 

 人間の身でありながら『神格』に至り、『全盛期(何でもあり)』の『補正』に匹敵する規模の、正真正銘の『規格外』――現在『補正』は自身の性質故に『全盛期』の力を失っているので、突出した最強格の『神格』たる『魔法使い』は、どういう訳か、酷く退屈そうな有り様であり……『魔法使い』の気まぐれ一つで消し飛ぶ『私』は、細心の注意を払って胡麻擂りする。

 

「いや、別に。今更ながらコルネリウス・アルバを見送った荒耶宗蓮の心情を追体験する事になるとはね。――結果が解り切っている『道化劇』は案外退屈だわ」

 

 そんな『魔法使い』の白けきった反応に、「どうせ失敗する」と断言された『私』は酷く癇に障る。

 

『――この『私』が失敗するとでも?』

「え? マジで自覚無いのこの『へっぽこ』」

『へ、『へっぽこ』!?』

 

 今まで一度も言われた事のない、謂れなき罵倒に、思わず心乱される!?

 『魔法使い』はと言うと、「マジかコイツ?」と言わんばかりの驚愕をありありと見せる。

 

 ……人間である『魔術師』と私の相性は最悪に等しく、精神操作の魔術で擬似的に『無信仰(イノセン)』状態になる事の出来る『魔術師』相手に私の魔法の全てが無力化されてしまうが――その関係性は『神格』になっても変わらないと見える。

 

「まず『人選(プレイヤー)』からして大失敗だと思うのだけど、一応『君』の見解を聞こうか?」

『クロウ・タイタスに何か問題が? 3回目の『転生者』の中でもほぼ最弱の彼にこそ、無自覚の破滅の担い手に相応しいで――』

「無自覚に『這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)』の邪智邪謀を木っ端微塵に破却する、生粋の『大根役者(デウス・エクス・マキナ)』に主導権丸投げとか冗談だろ?」

 

 『魔法使い』は改めて「コイツ、マジか?」と信じられないと言わんばかりの表情を浮かべる。

 『神格』に至ってる存在にしては、随分とただの『人間』を高評価しているものだと内心嘲笑する。

 

『……お言葉ですが、クロウ・タイタスは誰よりも才覚無き人間です。そんな彼が、力の権化たる『全魔法使い(バランスブレイカー)』を使わないなんて選択肢を貫き通せるとは――』

「……よりによって『FFT経験者』に手綱付けずにプレイさせた結果は、自分自身の目で見届けておくれ。――なるほど、『補正』が直々素通りさせて放置する訳だ」

 

 この時の『魔法使い』の内心は、「『五流脚本家(『自分』)』を下回る六流とか初めて見た」だった事を、『私』は永遠に知らない……!

 

 

 

 

「……どうしてラムザを『黒魔道士』に? チャプター4で『叫ぶ』を覚えない限りシナジー無いけど? ウィーグラフで詰まない?」

「そうは言ってもなぁ、シャルロット。オレのラムザは名誉終身『黒魔道士』なの! こういう自由度の高さが『FFT』の醍醐味だろ? ウィーグラフは気合で突破するから大丈夫大丈夫」

 

 其処には、元気良く「滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め、始源の炎蘇らん! フレア!」を唱える『黒魔道士』なラムザの姿があり――。

 

「……私を『忍者』にしたのは?」

「『全魔法使い』は使ったら負けだと思うから、今回のプレイでは封印な! あと『算術』も縛りで!」

「……『雷神シド(公式バランスブレイカー)』は?」

「何か戦闘中の会話増えたとか聞いたから使用可で」

 

 素手の二刀流で敵ユニットを背後から暗殺するシャルロット(FFT)の姿があり――「ところで何で『忍者』に『格闘』? カラテ?」「割と鉄板構成なんだぜ、これ。イヤーッ!」――ゲームの仕様上、専用ジョブ『全魔法使い』じゃないシャルロットは魔法絶対ラーニング能力を持たない為、『ルカヴィ』のクリスタルを勝手に継承出来ない。……初手詰みである。

 

「……まぁ別に良いけど。ジョブチェンジ『忍者』」

 

 最も適性ある職じゃないシャルロット(FFT)を見ても、彼女自身は「そういうプレイスタイルもあるか」と納得し、自らも職を変えて早着替えする。

 

「わっ、シャルさんも『忍者』に!? ……露出度、結構高い?」

 

 赤いくノ一服に衣装チェンジしたシャルロット(『忍者』)は、FFTの汎用女忍者とは違い、やや露出度……貧乳な横乳、黒網タイツニーソの太股が若干以上露出しており――。

 

「――忍法『お色気の術』」

「いやそれシーフの『ハートを盗む(チャーム)』だろ?」

 

 FFTの『忍者』のジョブコマンドは『投げる』であり、そのような術は存在しない。シャルロット(『忍者』)が使用したのは、サブアビリティにセットしたシーフの『盗む』、その中で最も危険性の高いものであり、その対象は『状態異常・暗闇』から復帰したブラッド・レイであり――失敗。シャルロットは無言で不機嫌そうに不満顔となる。

 

「……『FFT』における『状態異常・誘惑(チャーム)』がどういう仕様かは忘れたが、されるまでもなく誘惑されてるが?」

「っ!? ――!?」

 

 ブラッドの真顔で返されたカウンターに、シャルロット(『忍者』)の顔は一瞬で真っ赤に沸騰し――「照れ隠しで二刀流『格闘』はやめろ、普通に死ぬ!?」「ぽかぽかじゃなくて、ズシン! ズシン! やね?」「両方とも会心じゃん」――と無言で抗議するのだった。

 

 

 

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