転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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エピローグ

 

 

 

 

「……そんな、私のいない処で、『ブラッド・レイ(今世の彼)』の前で『前世からの不倫プレイ』に興じていたなんて――!? 類を見ない、なんて高度な『寝取られ(NTR)』なの……! でもこれって『僕が先に好きだったのに(BSS)』になるのかしら?」

「相変わらずだなこのエロ本!? 多分、それでシャルロットからかったらカエルにされるぞ?」

 

 後日、『歩く18禁本娘』の名に恥じぬ反応っぷりを披露する大十字紅朔は蠱惑気に「怖いわねぇ?」と嘲笑うが、クロウは真顔で「あ、これ冗談じゃないからな紅朔」と忠告しておく。

 

 ……この場にシャルロットが居たら迷わず「カ~エ~ル~の~き~も~ち~! トード!」が飛んでくるだろう。

 

 ちなみにあの後は、シャルロットが泣き止まず、お開きになった。あんなものを開示されたら、心の整理に時間が必要だろうが――今世のシャルロットの隣には、ブラッドがいる。心配する必要は特に無いだろう。

 

「それはそうと紅朔、一体何処行ってたんだ? シスターと一緒に外出なんて珍しいどころの話じゃ……いや、人のプライバシーに突っ込むのは色々野暮な話だが――」

「あ、聞きたい? 聞きたいよね、聞いちゃうよねぇ!」

「……うわぁ、切実なまでに聞きたくねぇ……!」

 

 普段、余り仲が宜しくない2人が共に外出するなど、明らかに超弩級の厄介事の匂いしかしないが……この『歩くエロ本娘』の監督者としては、残念な事に聞かざるを得ない。今度は一体どんな事をやらかしたのやら――。

 

 

「――実はね、シスターと一緒に『魔術師』殿の屋敷に遊びに行っていたの!」

 

 

 「はぁ~~~!?」というクロウの切実なる驚き声と共に、今日も転生者の魔都『海鳴市』は相変わらず混沌としているが平常運転である。

 

 

 

 

『……う、嘘ぉ、『ルカヴィ』のクリスタルを一つも継承出来ずに終わった……!? そ、それじゃ――!?』

「――え? 今更、改めて言うまでもある? 『自分』から自身の誕生の因果を消すとか、意図的に狙っても出来ない偉業を達成したね。『英霊エミヤ(アーチャー)』の当初の悲願達成プレイでもしていたの?」

 

 ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズを用いた照応の儀式は確かに成就するが――『魔法使い』にとっては、自身の掌から何一つ逸脱していない、退屈極まる結末となった。

 

 ――そもそもの話、『物語』の『主観者』が『上位存在』であるのは当然の話であり、神秘はより強い神秘に打ち消されるのが型月世界での基本ルールである以上――その『主観者』が『シャルロット(人間を装う、無自覚の『神格』持ち)』の時点で『自分を『神格』だと勘違いしている名無しのルカヴィもどき』の下剋上など最初から有り得ないのである。

 

(――事実、『コイツ』は自身の誕生の因果を失って完全消滅の結末に改変されたが、あの『全魔法使い』は一切干渉を受けていない。『読者』として『物語』に心躍らされる事があっても、『物語』は『読者』に物理的な干渉を与えられないのと同じように――)

 

 ……仮に、シャルロットの辿った正史通りに『全魔法使い』が『ルカヴィ』のクリスタルを全部継承して、『これ』が再誕出来ても『1回目に辿った変えられない結末』に至るのは目に見えてるし、万が一が通って下剋上が果たされても『本来の『神格』持ち』に盤ごと引っ繰り返されるのがオチである。

 

 

(――本当に怠惰な『神格』だ。最初から最後まで何もせずに静観するとはね。この正体不明の『神格』に呼び名を付けるとするならば、まさしく『静寂』が相応しいだろうね)

 

 

 その基幹世界出身の未知の神格『静寂』を引っ張り出して能力査定するのが今回の隠し目標だったが、無事失敗である。まぁ達成出来ても出来なくても構わない二次的な目標だったので目を瞑ろう。

 

『――い、いやっ、このまま、消える、なんて……!』

「とても面白い冗談を言うんだね、今までの戯言の中で1番笑えるよ。――『死』は、労働を辞める理由にはならないんだよ? ましてや、『お前』は『誰』に負債を負ったと思っているんだい?」

『は? ――え……?』

 

 消滅の因果に逆らえず、勝手に消え去ろうとしている『彼女』の因果を一瞥せずに『殺』し、消滅の危機から抜け出して間抜け顔を晒している『彼女』に一方的な多重債務を背負わせて強制契約を架せる。

 

 『死』は全てにおいて救済であるが、もう『お前』はその『死』すら永遠に届かない。

 そもそも『私』は神域の『直死の魔眼』持ちであり、観測出来る程度の『死』など目視するまでもなく簡単に『殺』せるのだが。

 

 基本的に――あの『魔術師(神咲悠陽)』と『魔法使い(神咲悠陽)』は起源を同じとした『同一人物』である事を忘れてないかね? 其処の『諸君』? 性根の悪さは大して変わらないのだよ。

 

 

「――『君』に貸し出した魔力は『私』にとっては一呼吸未満の塵屑だが、今の『君』にとっては数万年級の大負債だ。『補正』よりも慈悲深く心優しい『私』は債務者の義務を遂行させるべく理想的な返済プランを用意しているとも」

 

 

 此処に至って、『彼女』は『何』と契約してしまったのか、魂の底から実感する事となり、『ひっ』と恐怖を浮かべる。

 

「――『魔術師(私)』には『シュレディンガーの猫』や『女神級の魔法少女』の『使い魔』がいるのに『魔法使い(『私』)』には何も無いのは不平等だと思ってね――『奴隷(サーヴァント)』として精々扱き使ってやるから光栄に思え」

 

 

 

 転生者の魔都『海鳴市』 ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ『静寂なる空の魔女』――完。

 

 

 




 これにてFFT イヴァリース クロニクルズ編終了です。
 オリジナル、獅子戦争に続いて3回目という事で、記念に謎多き『全魔法使い』シャルロットの深堀り回でした! ……先に書くのは『魔術師』のFGO編になると思ってたのに、つくづく延期されるエピソードです。そういう運命?

 ……ちなみに、現在のシャルロットには、『ルカヴィ』のクリスタルを継承した代償の、生前の最終盤面にあった精神汚染や肉体改造に伴うデメリットなどは一切無いです。
 都合が悪いものは全部『自分を『神格』だと勘違いしているルカヴィもどき』に押し付けた結果です。
 当人は『神殺し』の記憶を有してないので、その存在すら知覚してないという。不憫だ……。

 このエピソードは、作者本人が『FFTの結末が全滅エンド』と勘違いしていた事が由来です。……いや、だってあれ、絶対助からないって。
 魔都本編中にシャルロットの2回目の結末を匂わせたら、「FFT、全滅エンドじゃなく全員生還してますよ?」的な感想があって、初めて認識。いやぁ、当時は天地が引っ繰り返った気分でしたよ!
 ……まぁシャルロットが辿ったFFTではシャルロット死亡で幕切れなのはこの時から決定事項ですけど。

 でも、『3回目』において、何故か、ラムザ君が勝手に動いちゃいました。あれれ、君も『先輩』枠かな?

 まぁ『僕の思い描いた最高に格好良いラムザ』くんですから、『不条理』の1つや2つぐらい、覆せて当然ですよね!
 という訳で、FFTの宣伝でした! ……宣伝になったのかな? FFTは面白いぞぉ(布教)
 それでは、また別のエピソードで~。
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