剣の世界を佐々木小次郎(偽)が行く   作:折れたサンティの槍

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しばらく第1層

デスゲームの開始を告げられた時、
コタロウは。

12/8 少し修正&加筆

6/2 最後辺りの書き換え。


はじまりの日3 『コタロウ、ストーキングする』

side コタロウ

 

「___さて、どうしたものか」

 

時を少しだけ巻き戻る。

 

 

ログインしている全プレイヤーを、《はじまりの街》の中央広場に集めた《茅場晶彦》が告げた言葉は

 

・ログアウトボタンが消滅しているが、これは不具合ではなくこのゲームの本来の仕様である。

 

・外部の人間によるナーヴギアの停止あるいは解除が試みられた場合、ナーヴギアが使用者の脳を破壊し死亡させる。(既に犠牲者も出ている)

 

・今後このゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能せず、ヒットポイントがゼロになったプレイヤーは、その瞬間現実でも死亡する。

 

・ゲームから解放されるには、アインクラッド最上階の第100層まで辿り着き、そこに待つラスボスを倒してゲームをクリアすれば良い。

 

……というものだ。

 

 

『諸君の健闘を祈る』という言葉を残して茅場が消え去った後の広場は、

 

泣きだす子供、

怒鳴る大人、

絶望する男、

恐怖に震える女、

 

茅場の手によって現実と同じ姿に変えられた(・・・・・・・・・・・・)プレイヤーたちによる、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 

そのプレイヤーの群れの中から真っ先に飛び出した、"女顔の少年と野武士面の男"の後をなんとなく、自身の気配を周囲に(・・・・・・・・・)溶け込ませながら(・・・・・・・・)追いかけて、今に至る。

 

「さて、どうしたものか」

 

路地裏に駆け込んだ二人の会話を近くの露店から盗み聞きしつつ、左右の手で曲刀をクルクルと弄ぶ。

どうやら少年はレベルを上げて強くなる為に早々に次の街へ向かうらしい。

野武士面の男は友人たちの為に残るらしいが。

 

自分はどうするか。

何もせず街に篭り、救助やクリアを待つのか。

クリアを目指して強くなって行くのか。

 

「まぁ……選択肢など一つしかあるまい」

 

クリアを目指そう。

こんな所で物干し竿を持つ事も、何かを成す事も出来ずに篭るのだけは絶対に嫌だ。

 

これから混雑するらしいはじまりの街周辺では満足に強くなる事は出来ないのだとか。

しかし自分は他の狩場を知っている訳では無い。

ならば___

 

男の走り去る音が聞こえる、話は終わった様だ。

私は気配を遮断しつつ露店から飛び出し、少年の追跡を開始した。

会話を聞くに少年は、少なくとも恐らくは第1層の知識を有しているらしい事が分かり、それならばしばらくその知識を利用させて貰おう、と思いたったのだ。

故に、こっそりついて行く事にした。

 

「許せよ少年、これも生きる為だ」

 

走る少年の少し離れた場所からついて行く。

 

私はこの世界ではまだ弱い。

だから、剣を振るい、強くなる。

立ちはだかる敵、その全てを斬り伏せて進む。

ただ生きる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………敵が出てきても少年がすれ違い様に全て倒していってしまうから、経験値もアイテムも全く獲得できん……」




短いですが、キリが良いので今回はここまで。

今更オリ主の名前が《風魔小太郎》と被っている事に気づいた筆者なのであった。

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