剣の世界を佐々木小次郎(偽)が行く   作:折れたサンティの槍

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少し難産でした。
とりあえずこんな感じで投稿。

それぞれの話のサブタイトルは、

○○○(時系列的には、原作のこの話の中)『○○○(筆者が気分で付けたサブタイトル)』

という感じです。


はじまりの日5 『《黒の剣士》と《無形侍》はこうして出会う』

side キリト

 

 

俺がホルンカの村で受けたクエストを今日中に終わらせるために、森の中で《リトルネペント》を倒し続けていた時に《その男》は現れた。

 

それが俺とアイツとの、親友という関係の始まりだ。

 

 

= = = = = = = = = =

 

 

(このゲームでネカマプレイしようとしていた男たちは悲惨だなぁ)

なんて、少し余裕が出てきた頭でそんな事を考えつつ、森に入ってから十一匹目のネペントを倒した俺の聴覚に、軽やかなファンファーレが響き、それと同時に金色のライトエフェクトが全身を包んだ。

モンスターを倒した事で、経験値がレベルアップ必要量を超えたのだ。

 

もしパーティープレイ中ならば、周囲から「おめでとう」という声が湧き上がっただろう。

代わりに木の葉がざわざわと鳴る音を聞きながら、俺は剣を背中の鞘に収め、メインメニュー・ウインドウを開いてからステータスタブに移動し、加算されたステータスアップポイントを、筋力に1、敏捷に2振った。

 

そうしてステータスアップ操作を終え、ウインドウを消したその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、なかなか動きが良いな、少年」

 

後ろから、そんな声がかけられた。

 

突然の事に驚き、内心で警戒を怠っていた自分を罵りながら、素早く振り向く。

振り向いた先にいたのは俺よりも背の高い、多分年上の、長い黒髪を後頭部の上辺りで束ねた鋭い目つきの美男だった。

その男が、右手を右腰に置きながら、ぽかんと口を開けていた。

小さく息を吐きながら身体の緊張を解くと、その男が謝罪をしてきた。

 

「……む、済まんな、驚かしてしまったか」

「いや……こちらこそ、過剰反応してしまって、すみません」

「ああ、敬語など使わなくても良い。そういうのは不慣れなのであろう?それにここでは、互いにただ戦う者であるしな」

 

今の短い会話の中で、口調から俺の性格を当ててみせた男に、今度は心の中で驚く事になった。

しかし気になった点があった為、遠慮なくタメ口で聞いてみた。

 

「もうここに来てるなんて、随分早いんだな。誰かがこの森まで来るのは、もう2〜3時間後だと思っていたんだけど」

「なに、自分一人の力で来た訳では無いさ。ただこの辺りに(・・・・・)詳しそうな者に(・・・・・・・)付いて行った(・・・・・・)だけなのだからな」

 

男の言い方からすると、発売日にSAOを買ったビギナーで、付いて行った……という事はベータテスターの知り合いがいたのだろう。

……いくら《このクエスト》の報酬が良いと言っても、ビギナーにいきなりやらせるなんて。

しかもこの様子では、別れて個別行動を取っているのか、あるいは俺の様に…………嫌な予想が頭をよぎったが、とにかく酷いベータテスターもいたものだ。

 

「……アンタもあのクエストの為に、この森に入って来たのか?」

「おうとも、少女の為に胚珠とやらを取ってくる、というものであろう?げえむ(ゲーム)の中とはいえ、女子(おなご)は助けたいと思い、な」

「…………なんか、良いな……そういうの……」

 

その男の侍口調と、クエストを受けた理由に、思わず感嘆の声が出てしまった。

 

そして同時に羨ましくなった。

この世界がデスゲームになっていなければ、自分もこんな風に純粋に、この世界を楽しむ事が出来たのでは無いか、と。

少し暗い気持ちになってしまっていた俺を見ながら、男は何か考えていた。

 

「……ふむ……これも何かの縁であろう。

少年よ、一つ提案なのだが、この様な男と二人で良ければ、この森の中でしばらく共に行動するというのはどうだ?」

「あ、いやでも、これは一人用のクエストだから、俺の分とアンタの分で、二つ集めなきゃいけないぞ?」

 

反射的にそう答える。

クエストには、パーティー状態で遂行すれば全員がクリア出来るものと、そうで無いものがあり、この《森の秘薬》は後者のものだ。

しかし男は特に気にしていない様に笑いながら言った。

 

「そうだとしても、二人で動いた方が効率が良いであろう。

それに、少年が目的の物を手に入れられたのなら、そこで別れても良い。

なに、こう見えて私は現実でも剣を振り回していてな、少年の足手纏いにはならないと約束しよう」

 

二人の方が効率が良い……確かにそれはその通りだ。

ソロだと安全性を考慮して孤立しているモンスターしか狙えないが、二人いれば敵も同時にに二体まで相手に出来る。

目標を選ぶ時間も短縮出来るぶん、時間辺りで倒せる数は増え、《花付きネペント》の出現率も上がるだろう。

 

だけど、はじまりの街で、あの陽気な刀使い《クライン》を……初めての友だちを見捨ててきた俺なんかに、今更パーティーなど組む資格があるのだろうか……。

そう悩みながら、目線を地面に向けていた俺は「それにな……」という男の暗い声に、目線を上げた。

 

「恥ずかしい話……胚珠を落とす捕食植物は滅多に居ない、とは確かに話には聞いていたのだが……ただでさえ不気味な夜の森の中を、今から一人で彷徨(さまよ)いたいとは思えず、しかし出直すのも面倒だと思ってしまっていてなぁ……。

本当に嫌なのであれば断ってしまっても一向に構わないのだが、ここは一つ、情けない年上の世話をすると思って、付き合ってはくれないか?」

 

大袈裟な動きで溜息を吐いたり、肩を竦めたりしている男の姿を見ていたら、何となく

(もう(しばら)くは一緒に居ても良いかな)

なんて思ったりした。

 

……後になってこの時の事を思い出すと、静かな夜の森の中で、また一人になるのが嫌だったのだろう、と思う。

 

気が付けば俺の中の悩みも吹き飛んでおり、俺の口元は笑っていた。

 

「そこまで言われたのなら、仕方がない……良いぜ、アンタの分も集まるまで、付き合ってやるよ」

「おお、良いのか少年!いやぁ助かった!付き合ってくれるのであれば、ますます手は抜けんな!このコタロウ、今の私が出せる全力で働かせて貰おう!」

 

余程嬉しかったのか、ハイテンションでそう叫んだ男に、思わず苦笑する。

視界に表示されているその男のカラー・カーソルに触れて、パーティー参加申請を出した時、まだ名前を名乗っていなかった事を思い出した。

 

「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は《キリト》だ。さっき聞いたけど一応、アンタは?」

 

目の前に現れたパーティー参加申請に驚きつつも、勢い良くOKを押した男は、

 

「私の名は《コタロウ》と言う。よろしく頼むぞ、キリト!」

 

そう言って、嬉しそうに笑った。




オリ主は、佐々木小次郎の口調を真似たりはしますが、あくまでオリ主であり、小次郎とは違います。

そんな感じです。
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