蒼の彼方での青春ラブコメはまちがっている。   作:不十分

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なんか、書けたんで投稿します。

知らぬ間に評価が…。
ありがたいのですが、本当に?マジ?こんなんが?ってぐらいビックリしてます。

本当にこの作品を応援して頂けて感謝仕切れない…。何とか皆様のご期待に添えるような作品を作っていきたいと思います。




ぼっちも飛びます。 3

 

 

フライングサーカス。グラシュを用いて空中で行う、1対1の鬼ごっこのようなスカイスポーツである。300メートル四方の空域の四隅に設置された4つのブイ。その周辺を競技フィールドとし、スタート後に時計回りにブイにタッチしていく。因みに、試合の際は男女混合。俺には正直かなり厳しい…。

 

4つのブイには名称があり、スタート位置にあるブイをファーストブイ、次にセカンド、サード、フォースと続く。

プレイ時間は10分間で相手より先にブイをタッチ出来れば1得点。この説明だけでは飛ぶスピードの速い者が有利かと思われるが、得点方法がブイタッチ以外にもある。それは相手の背中にタッチする事だ。

 

そう、相手にタッチ…男性ならともかく、女性相手となるとセクハラ問題が生じる。とか思うだろうけど、そこは触れられたくない女性の方々、安心して下さい。 グラシュにはそもそも重力の力場を作る機能があり、飛ぶ際に使用者の周りにメンブレンと呼ばれる膜を発生させる事ができる。

 

このメンブレンとメンブレン同士が触れると反発し合うため、直接触る事が出来ないのである。但しいくつかの例外はあるようだ。

つまりは競技中、相手に直接タッチするのではなく、相手の背中にあるメンブレンに触れる事で得点を獲得できると言ったわけだ。だから、俺でも別にセクハラだ犯罪だって言われることはない……はずだ。 なのに中学の時………。

 

話が逸れたが、続きを。で、何処まで話したっけ?ああ、得点の獲得方法ね。得点方法はこの2つのみだ。あ、制限時間について補足なんだが、仮に制限時間を過ぎて、得点が同点の際には5分の延長戦をするんだが、この5分でも決着が付かず同点の場合は更に先に得点を取った方の勝ちなわけ。

 

後は、セコンドだな。セコンドはボクシングなんかにもいるだろ?まぁFCの場合はヘッドセットを用いて、地上で選手に指示を出すんだをや。FCが始まった頃相手の姿を見失い、一方的な試合となってしまう事態が多発したため、導入された制度だな。

セコンドは同じ学校の選手やコーチが務めることが多いんだが、学生の大会においては、競技人口が少なかった頃の名残で、プレイヤーの了解さえあれば他校の選手が務めることも認められている。俺の時?静さんがやってくれたよ。小町は俺が絶対にセコンド…え?良い?むしろやったら辞める?え?ひどくない?

 

……最後に、FCにはプレイスタイルが3つ、それに伴いグラシュもそのプレイスタイルに合わせたものを選ぶ。始める際にはその人その人にあったやつを決めるんだが…先ず1つはスピーダー。

先ず、スピーダーは高速飛行でブイタッチによる得点を狙う事ができる。一般的にスピーダー用のグラシュは、初速を抑え、加速を上げることで最高速をあげている。これがスピーダーのメリットだ。んでデメリットはタッチされるなどで一度体勢を崩されてしまうと立ち直りが遅いという弱点がある。

 

次にファイターだけど、ドッグファイトによって相手の背中にタッチすることで得点することを狙うのが主だ。ファイター用のグラシュは、加速を抑え、最高速を犠牲にする代わりに初速を上げている。先にデメリットだが、最高速に達したスピーダーに追い付くことは困難だ。けど、最高速に達する前にタッチして体勢を崩すことが出来れば、初速が速いファイターの方が立ち直りが早いから優位に立つことができる…これがファイターのメリットだな。

 

んで最後が、オールラウンダー。 名前の通りスピーダー対してはファイターの様に、ドッグファイトでの得点を狙い、ファイターに対してはスピーダーの様に、スピード勝負でブイタッチを狙うといった事が出来て、相手によって柔軟にプレイスタイルを変化させるスタイルだ。だからオールラウンダーのFCプレイヤーは結構多いんだよな。

 

小町はどちらかと言えば、なんでも卒なくこなせるからオールラウンダーの方が良いと思うぞ?え?スピーダー?俺と一緒って…ああ、そうだな、ポイント高い高い。まぁいいんじゃねぇの?試して合わなきゃ変更すりゃ良いんだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて事を思い出してたら、開始の合図が鳴り、佐藤に少し差をつけられたが俺は空を翔ける。先ずは久々に履いたこのグラシュ。ヨハンナを慣らす事に集中だな……。

今回、俺のセコンドには小町。佐藤にはFC部の奴がついている。

 

「お先に取らせて頂きますわよ!」

 

佐藤がスピードを上げ、セカンドブイに迫る。

 

「お好きにどうぞ…。」

 

そう言い、俺はセカンドブイではなくサードブイへとショートカットする。

ルール上。セカンドブイをタッチ出来ない選手、またはショートカットした選手は先にブイに到達したものを追い抜くか、交差するかをしないと次のブイを狙う事は出来ない。

 

キュインと音が聞こえ、佐藤がセカンドブイをタッチした事を確認。

先ずは0対1。

 

俺は現在、セカンドブイとサードブイの中間程にて佐藤を待ち構えている。そしてすぐさま佐藤が中間地点に到着して両者睨み合いの状態へとなった。

 

「行きますわよ、比企谷八幡!」

 

佐藤は真っ直ぐ此方へと突っ込んでくる。先ずは小手調べと言わんばかりにフェイントを入れ俺の真横を通り過ぎる。そのまま、俺は佐藤を置いかけるのではなく、フォースブイへとむかう。

 

「…ッ!」

 

佐藤が俺を一瞬睨むように見てきた。差し詰め張り合わないのか、とかやる気あるのか、って思ってんだろうな…。

佐藤がサードブイにタッチして速度を上げ、先程と同じ様に俺を抜いていく。

 

「あなた真面目にやりなさい!」

 

去り際にそんな事を言われた。が気にしな『お兄ちゃん?』気にします。はい、お兄ちゃん頑張ります。

どうやらインカム越しに聞かれたらしく、小町に注意された。

 

「んじゃまぁちょっくら働いてくるわ。働きたくないけど…。」

『バカ、アホ、八幡!最初から真面目にやってよ、小町の為に頑張ってくれるんでしょ?』

「小町ちゃん?八幡は悪口じゃないよ?」

『良いから早くショートカット!でないと今日の夕飯トマトだけにするよ?』

「あいよ。」

 

そんなやり取りをしながらファーストブイに再度ショートカットする。

 

「またなのですか?」

 

今度は両者止まっての睨み合い。

 

「ああ、だが今回は抜かせねぇよ。」

「…いえ、抜かせて頂きますわよ?」

 

佐藤はそう言い、フェイントをいくつかつけ俺を抜こうと横から来る。 バレバレだ。

 

「きゃっ!」

 

抜かれる寸前のとこで佐藤に触れる…いや、変な意味じゃないよ?

 

「先ずは一点。」

 

態勢を崩した佐藤の背後に周りのすぐさま背中にタッチ。反動で佐藤はすっ飛ぶ。

 

「ほい、追加点。」

「ッ!」

 

追撃。これで2対3。もう一回って思ったが、佐藤に追撃を入れた反動で俺はそのままファーストブイへと向かう。

 

それをみて佐藤は態勢を立て直し降下。おそらくローヨーヨーだ。

下降して重力によって加速。その後に上昇する事で一直線で進むより早く移動が可能になる基礎の1つ。

 

だが佐藤。それでは俺には追いつかない…。

 

「はい、同点。」

 

佐藤が下降した際にはもうすでにブイをタッチした俺はすぐ様セカンドブイへと向かう。

ローヨーヨーで速度を上げた佐藤はショートカットを試みたのだろうが間に合わず、俺と横並びになる様に飛ぶ。

 

「お待ちなさいっ!」

「……無理だな。」

「このっ!」

 

佐藤は俺に触れようと手を伸ばすがそれは叶わない。

 

「くっ…」

 

佐藤の悔しがる声。その後何やらセコンドと会話したのちすぐ様サードブイへのショートカット。 何か対抗策があるのか?いや、ヨハンナを履いた俺に勝てんのはあの3人以外いないだろ?悪いが諦めろ、佐藤…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分。試合終了のサイレンが鳴る。結果は23対3。俺の勝ちだ。

 

「……………。」

「お疲れさん。」

 

佐藤は俯きながら降りてきて、とりあえず俺そう言うことしか言えなかった。

 

「……く………すわ…。」

「は?」

「くや……です…。」

 

佐藤がなんか言ってる…。

 

「だ、大丈夫か?」

 

俺はつい気になって声をかけていた。

 

「悔しいです!悔しいですわ!」

「うわっびっくりした。」

 

ウガーッと叫んだ佐藤。地団駄を踏み、悔しい悔しいと繰り返し叫ぶ。さ、佐藤が壊れた…。お嬢様キャラはどうした?

 

「お兄ちゃん…流石にやり過ぎだよ。」

 

もしかしなくても俺の所為でしたね…。そりゃ流石に2回も20点差で負けりゃそうなるよな……。

 

「この屈辱、必ず晴らして差し上げますわよ!」

「お、おう。」

 

まだやるつもりなのね…つか試合は俺の勝ちだから部に入るって話はなくなった訳だし帰っていいよね?

いそいそと帰り支度を始めると、小町が何かに気がついたらしく…

 

「およ?静お姉ちゃんだ!おーい、お姉ちゃーん!」

「やあ、小町くん。久しぶりだな。」

 

どうやら野生の独神とエンカウントを見つけたらしく、声をかけた。んでこっち来ちゃったよ…。

 

「八幡…。歯を食いしばれ。」

「すみませごめんなさい死にたくないです!」

「全く君という奴は…で、真藤、どうだった?」

「やはり、素晴らしいですね。流石は僕の憧れていた選手です。」

 

そう言い真藤さんはニッコリと微笑み、こちらに近寄ってくる。

ああ、そう言えばまだいたんだった…この人。

 

「私としてはまだまだ、ヒヨッコも当然なのだが…まぁ君がそう思うなら良いだろう。」

 

静さん、さっきの試合見てたのね?

 

「はい。さて比企谷くん。先ずはお疲れ様、と言っておこうか。」

「うっす。んじゃ、もう帰っていいっすか?先輩も練習あるでしょうし。」

 

そう告げ、先程の帰り支度を再開しはじめる俺。部外者はさっさと帰りますよ。

 

「いや、まだ帰らせないよ?」

「は?」

「あんな試合を見せられたんじゃ、僕も疼いてね…。どうかな?」

「……。いや、意味わからないんすけど…。」

「一プレイヤーとして、君と試合したいんだけど、受けて貰えないかな?」

 

真藤さんの雰囲気が先程とは変わった気がした…。まるで、そう言い換えるなら狩をする肉食獣の様な。

 

「すみませんが、俺この後予定が…。」

「そう言わず…ね?やらないかい?」

 

この人…今日は何が何でも引かない気か…。

 

「じゃあこうしよう…。この一回限り。で僕が負けたらもう君に一切関わらない。」

「…先輩が勝ったら?」

「僕が万が一君に勝てたら…そうだね。入部して貰えないかな?」

「だが断る。」

 

 

 

 

 

 

 

場の空気が一気に凍る。 小町は呆れ顔して頭を抱え、真藤さんは鳩が豆鉄砲を食らった様な顔。静寂がこの場を包む。

 

 

ただ1人、静さんだけは腹を抱え大爆笑している。




FCのルールは大体こんな感じです。
原作やサイト、wikiなんかでも載ってるのでもっと詳しく知りたいのならそちらを見た方がいいですね。

FCの開始音と終了音は明日香みたいにふぉぉぉぉぉーって書こうとしましたがやめました。

あれは明日香がやるから良いのであって文章にしてはいけない。

因みに不十分は佐藤さんルートがあるとひたすら信じてましたが…ないんですね。

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