GOD EATER The another story. 作:笠間葉月
2017/03/14
今日
2018/08/01
時計の故障ですかね?(殴って良し
冗談はさておき、「一年と」四か月半ぶりですね。「一年と」四か月半
……いやもうほんとお待たせ致しました(
活動報告にはちょろっと書いていたんですが、しばらく企画物に参加しておりまして。そちらが落ち着いた(と言うか外れさせて頂いた)ので、またぼちぼちと書いて行きます。
今回はこのお話をするための投稿なので、話数はこれだけです。半年くらいの間にまたしっかり投げます。
一話ごとの方がプレビューも伸びるんですけどね。個人的に切りよく投げたい。
では、長らくお待たせいたしました。GOD EATER the another story。再開です。
誰が為にも鳴らず
「お久しぶりです。お義父さん。」
本当に久し振りだ。まともに顔を会わせたのは一年ぶりになるだろうか。
極東にいた時は特務や何やでちょくちょく訪れていた支部長室は、笑いがこみ上げるほど変わっていなかった。
「うむ。長旅ご苦労だった。まずは座ってくれ。堅苦しいのもこのくらいでよかろう。」
「はい。それで……」
ジャヴァウォックのこと、アリスのこと、元々の目的だったレトロオラクル細胞のこと。
報告することは多かった割に中身はスカスカ。一番説明を要したのが私の体についてだった辺り、時間に対して実りのない遠征だったらしい。
「君にとっては因縁の相手かね。」
「そう……ですね。たぶん。」
「たぶん、か。」
「正直、落ち着いてみると実感はあまり沸かないんです。」
インドラ。
おそらく、本当におそらくだけど、父さんが作ったコアによって原初のアラガミの力を得たヴァジュラの成れの果て。
観測数2だの、オラクル資料未回収だの、とにかく研究の進んでいないアラガミ。
そして何より、私というアラガミにもっとも近しい存在。
「結局のところあれは弟のコアを持った個体ではありませんでしたし、どこまで気にしたものか。」
「突き詰めたならばあれもアラガミの一種でしかない。次、あれと対峙した時、戦えるかね?」
「まだ自信はありませんけど……私は、神機使いですから。」
戦える戦えないではなく、戦うしかないのだ。
……全く持って。この遠征の中、まともに実りがあったとすれば一つだけだ。
「うむ。……さて。報告書を上げた後、わざわざここまで来たのだ。何か内密に知らせたいことでもある、と?」
「どこまで内密にしたものか、とは思いますが。」
「分かった。それについてはこちらで判断しよう。」
「助かります。」
ジャヴァウォック自体に関して話すべきことは多くなかった。何せ直接対峙したわけでもなく、結果を見たなら現れて消えただけのアラガミとなれば、議論する内容は薄っぺらなものになる。
話したかったのは、ジャヴァウォックと終末捕喰の関係性。
「ジャヴァウォック、と個体名が付けられていますが、あれは一部に過ぎないと考えています。」
「あれ一体ではない。あるいは表出しているあれの数倍が未だ隠れている、ということかね。」
「後者です。ノヴァの件、覚えていらっしゃいますよね。」
「あまつさえ私が主導したのだ。覚えていないわけもない。」
「ノヴァの触手……残滓として処分しましたけど、あれの広まり方に違和感を覚えたことは?」
「はやすぎる、とは常々感じていた。時間的にも速度的にも、巨大とは言え一体のアラガミに可能なそれを上回る。」
お義父さんはそこで言葉を切り、少し考えるような仕草を見せる。
「ジャヴァウォックを喰った結果、と言いたい。」
「はい。」
オラクル細胞の進化は、進化と言うより模倣に近しい部分がある。何かしらが可能な生物になるのではなく、可能となる仕組みを集合体として獲得する。全としての個。アラガミとはそういうものだ、と言うのは、彼や榊博士が提唱した事実の一つでもある。
その特性上、オラクル細胞を取り込んだ時の方が変化が早く、かつ劇的になる。発電器を取り込むより、発電器を模したオラクル器官を取り込む方が手っ取り早い、ってこと。全くその通りになればいいわけだから、当然と言えば当然のことだろう。
ノヴァは当初、ただのアラガミでしかなかったはずだ。それが短期間で終末捕喰を引き起こすに至ったのは……
「本来ならば終末捕喰を引き起こしていたジャヴァウォックを喰らったことで、ノヴァはようやくノヴァ足り得た。元々地中を覆っていたジャヴァウォックを用いたならば展開速度も相応となる。」
「おそらくは。」
「ひとまずの辻褄は合っている。だが一つ。」
そう。だが一つ。この仮説だけだと矛盾が生じる。
「特異点に関して、ですか。」
「うむ。ジャヴァウォックが本来ノヴァ……真のノヴァと仮に呼ぶが。であったのならば、特異点が私の作ったノヴァに誘引されるには幾分か無理がある。むしろ、外敵として排除に来るのが相場ではないかね?」
自分の体を喰っているものを、真のノヴァ側が認めるか。私の直感ではノー。認めない。
「予測に過ぎませんが、特異点自体が一定の判断基準と決定権を持っている。あるいはシオ、渚自体が特異点として歪だった。さらにはその両方。辺りでしょうか。」
「万能な解、か。」
「さすがにそうなりますよ。ただ……」
私も、全く根拠なしにこういうものを言うつもりはない。曲がりなりにも研究者の娘で妻。仮説には事実を、だ。
「赤い雨が特異点選定システムであることは確かですから。」
「君自身の見解かね?」
「私のアラガミが告げた事実です。」
……寝てるけど。
「だとして、先の仮説に対して何が言える。」
「現出したジャヴァウォックの周囲では常に超高濃度の赤い雨が降り注いでいました。回収したサンプルは未だ調査中ですが、現段階でも赤い雨との類似性が見受けられます。」
「報告は受けている。一致率は同一個体の範囲内だそうだ。」
「はい。そしてもし、赤い雨に適合した人物がいた場合……」
「ジャヴァウォックの偏食因子に適合した神機使いとなり得る。」
「あるいは自我を保ったままアラガミとなる。つまりはシオと同様の状態です。」
「ならば、本来特異点とは赤い雨によって選定された真のノヴァへの適合者である。然るに赤い雨の介在がなかったであろう先代特異点は異質と考察可能。と?」
「ただし、ジャヴァウォックに適合しない限り特異点とはならない。赤い雨ではない何らかの形であれのオラクル細胞を獲得したことになります。」
しばしの沈黙の後。
「……あくまで仮説、として受け止めておこう。」
そう。これは未だに仮説なのだ。私は私自身とイザナミとでほぼ間違いのない事実だと分かるけど、それでも断言しきれない部分がある。つまり他の人からすれば荒唐無稽な戯れ言。認める認めないの前にあり得ない。
あり得ないのだが……まあ、この人含め一部のぶっ飛んでいる人々は、一つの考えとして受け止める。そういう人に囲まれているのは幸せなことだろう。
「言うと思いました。それじゃあ、いくつか仕事もあるので。」
「うむ。ご苦労だった。」
……さて。がっつり落ち込んじゃったお姫様はどうしたものか。
*
こいつの顔を画面越しに見る。どこか妙な気分だ。通信機越しの声なら幾度となく聞いたが、映像として見ることはなかった。
「久しぶりだな。三人とも。」
それだけ今のこいつが遠くにいる、と言うことなのか、あるいは俺達が進まなかっただけなのかは分からない。だがどちらにせよ、支部を少し探せば面と向かって話すことが出来る段階は、いつしか過ぎていたのだろう。
だいぶん猥雑な手順を踏んで実現したこの会談は、その事実を如実に感じさせる。
「元気そうで何よりだ、とは、言えないか。」
「……ねえ、ジュリウス。どうして何も言わずにいなくなっちゃったの?ロミオ先輩も結意ちゃんもいなくなって、どうしたらいいか分かんないよ。」
主に話すのはナナだ。予想通りではある。俺はさして話そうと思うことがなく、シエルはこういう状況でいちいち聞く質ではない。
それでも、俺達の意識は同じところにあるだろう。すなわちこいつの真意が知りたい。形が違えど、その一点で差異はない。
「ラケル博士主導のプログラムに従事するためだ。今はこれしか言えない。」
「それは……聞いたけど……」
グレム局長発、ヨハネス支部長経由の辞令は、ラケル・クラウディウス主導の計画のため、ジュリウスはブラッド隊を離籍。ロミオのKIA及び結意の無期限戦線離脱を鑑み、その他のブラッド隊員三名を極東支部付きとする、というものだった。
俺達はそんなお為ごかしが聞きたかったんじゃない。お前ならそれくらい分かるだろう。
「マルドゥーク……ロミオの仇のアラガミが、極東周辺地域で目撃されている。近日中に討伐指令が下りるだろう。」
話題がすり替えられる。それも、こちらから切ることを許さない内容に。
ブラッドを大切にするだのと言ったのはどこのどいつだ。今のお前は、俺達を蔑ろにしているだけだろうが。
「話は以上だ。俺も暇ではない。」
「ジュリウス!」
切られた通信が、今のあいつとの関係性を物語る。情はなく事務的。所属の違う、ほぼ無関係な間柄。
知らず、部屋を後にした。
……え?なんで半年くらいの間で、とか長く取っているかって?
……察して?(一年四か月半とか自分でも内容忘れかけですはい