地獄は始まったばかりなんやなって……
今回はメインは士郎くんとそのっちだゾ。
次回わっしーとミノさんやるから待ってて♡
1/19に日間ランキング16位ありがとナス
またプレッシャーで胃が壊れちゃーう!
黒と白と灰色だけしかない空間。
……ここは何処だ。
何もない空間だった。
「……死んだのか?」
辺り一面を見回しても、何もない。
何も存在しない。
ただ一つ……上に……
何かの目のようなモノが存在しているのを除けば。
「■■■の……奴の目か……」
ふと、ノイズが走った言葉を口にした。
まるで……アレを知っているように。
その時、紅い外套が見えた。
「あれは……『
白髪に褐色の肌。
そして、見慣れた紅い外套を着込んだ青年。
「違う……アレは……────『
なんとなくだが、そんな風に感じた。
『それで、先の未来で救えるのなら────』
……なんだ?いったい、何と会話している?
向こう側に近付こうとした時、一羽の青い鳥が飛んでくる
「……鴉……■■?」
また、ノイズの走った言葉を口に出す。
肩にとまった青い鴉がこちらを見つめた後、鳴く。
「着いてこい……?」
青い鴉に導かれるように、何もない空間を進んでいく。
そして────
「……此処は」
目を覚ます。
知らない天井が視界に入った。
口元を見ると、マスク型の呼吸機が付けられていた。
あぁ、そうか……此処は……病院か────
極めて冷静な思考で、何があったのか。
そして、何故今此処に居るのかを思い出す。
そうだ、バーテックスを倒して……それから────
声が聞こえた────
虚ろなままのオレの耳に……少女の声が入ってくる────
この声は……
「────ろう……士郎!」
「ぁ……ぎん……か?」
「……!ああ!大丈夫か!?士郎!!」
「……ああ……すみと……そのこは?」
「此処に居るよ!えみやん!!」
「士郎くん……もうすぐ樹海化が解けるわ、そしたら病院に────」
涙目でこちらを見る三人が居た。
寝転がってるのか……そういえば……あの後……どうなったんだか。
────そうだ、バーテックスを倒して気を失ったんだ。
「そう、だな……どうやら……
まだ、倒れるわけには……いかないらしい……」
苦笑いをする。
だけど……まずったな……疲れた……今すぐにでも眠りたい────
「ちょっと……寝ても……いいか……?
さすがに……つかれた……」
「ああ……!……だから、絶対死ぬなよ!?」
「このままでは……さすがに……死にきれんさ……」
あぁ……本当に……疲れたなぁ────
「そうか……あの後……気を失って……病院に運ばれたのか」
理解出来た。
自分がどうなったのかも。
左腕の感覚がないのは………麻酔か。
それも当然か。
あの時、左腕から剣が食い破るように出てきた。
少なくとも傷だらけではあるだろう。
そんなふうに考え事をしていると、病室の扉が開かれる。
そして、安芸ねえが入って来た。
「……!目が覚めたのね?」
驚いたらしく、目を丸くした後……
心配そうにこちらを見つめてくる。
こちらも身体を起こして、呼吸機を取り外す。
「……まあ、なんとか」
「そう……良かった……」
胸を撫で下ろして、安心した様子で椅子に座る。
……聞いておいた方が良いか。
「……何日位経った?」
「……10日は経過してるわ」
「そうか……」
会話が止まる。
……10日も寝ていたのか……
「……士郎、聞いておきたい事があるわ」
「なんだ……?」
安芸ねえはこちらをジッと見つめ、
少し経ってから覚悟を決めた様子で口を開ける。
「……貴方は『衛宮 士郎』で良いのね?」
「……は?」
思わず聞き返した。
それはどういう────
答えはすぐに帰ってきた。
「言い方が悪かったわね。
……今の貴方は何処までが貴方自身?
何処までが……錬鉄の英雄なの?」
「────」
────思考が停止した。
何故?どうして?
そんな言葉が脳内を駆け巡る。
「驚いた顔をしてるわね……」
「……なんで、気付いて」
「何年、貴方と居たと思ってるの?
……貴方の目が灰色になった時から……なんとなく察していたわ」
────なるほど、それもそうだ。
納得してしまった。
あの辺りから……やはり私も多少は動揺していたらしい。
「────参ったな。どうやら安芸ねえには勝てないらしい」
「それに……口調。いきなり変わったのよ、貴方」
え。っと思わず唇を触る。
────無意識だった、全然気付けなかった。
……凄いな、やっぱり。
「……本当に敵わないな……分かった。白状する。
おそらくだが二年前ぐらいまでの分の記憶が私はなくなっている。
いや……正確に言うのであれば塗り替えられたと言うべきか。
『
「……そう」
事実を述べると、安芸ねえは俯く。
……予想はしていたけど、そこまでとは思っていなかった。といったところか。
「……知らない間に貴方には重い代償を背負わせていたのね」
「……別段、気にしてはないさ。どうであれ……こうなったんだろう。
私が戦えなかったら……今度は三人の中から誰かが犠牲になっていたかもしれない」
「それは……」
「────事実、切り札を使わなければ勝てなかった」
「鷲尾さん達から聞いたわ。……荒野があったと。
それは、貴方の仕業なのね?」
「ああ……固有結界。
自らの心象風景を具現化する大魔術。って言われてるよ」
「心象風景……」
そう……心象風景の具現化。固有結界。
無限の剣製……Unlimited Blade Works
アレを使用しなければ……間違いなく負けていた。
「……まだ、戦うつもり?」
「……ああ」
「────そうしたら貴方は!」
「────それでも、それでも
守る事に理由なんて要らないだろ?」
「────」
そうだ、理由なんて必要ない。
だって……オレは────
「今の話……本当なんですか?」
「乃木さん……?」
「────」
園子が、こちらを見つめ立っていた。
あぁ……どうしてこう……私はタイミングが悪いんだろうか────
「そろそろ夏休みだなー……」
「そうね……」
何気ない会話をしながら、
私、ミノさん、わっしーの三人でえみやんの病室に向かう。
もう十回目になる光景だ。
「それまでに、えみやん目を覚ますと良いね」
「大丈夫でしょ、士郎って意外と丈夫だし」
「意外は余計だと思うわよ?」
ミノさんの言葉に呆れるようにわっしーは言う。
そんなやり取りを見て、思わず私はクスリと笑ってしまった。
病室の前まで来ると会話が聞こえる。
片方は安芸先生。そしてもう片方は……
「士郎くんの声……!」
「士郎……目を覚ましたんだ……!!」
思わず顔が綻ぶ程嬉しくなる。
良かった……えみやん……無事だったんだ。
安心して、扉に手を掛ける。
その時、信じたくない内容の言葉が耳に入った。
『おそらくだが二年前ぐらいまでの分の記憶が私はなくなっている。
いや……正確に言うのであれば塗り替えられたと言うべきか。
『私』から『他の誰か』に』
「ぇ────?」
思考が停止する。
どういう事?記憶がないって……?
『……知らない間に貴方には重い代償を背負わせていたのね』
『……別段、気にしてはないさ。どうであれ……こうなったんだろう。
私が戦えなかったら……今度は三人の中から誰かが犠牲になっていたかもしれない』
『それは……』
『────事実、切り札を使わなければ勝てなかった』
切り札……?
『鷲尾さん達から聞いたわ。……荒野があったと。
それは、貴方の仕業なのね?』
『ああ……固有結界。
自らの心象風景を具現化する大魔術。って言われてるよ』
『心象風景……』
心象風景?
……あの荒野が……歯車が……えみやんの?
なんだか、息苦しくなる。
……あの世界が……えみやんのモノだなんて……考えたくない。
「……嘘だ」
私達は無言で息を呑むしかなかった。
……全てを知った、いや知ってしまった。
えみやんに起きた事……
ううん、私達がえみやんに起こしてしまった事。
「なぁ……須美……園子……私は夢を見てるんだよな?
士郎の記憶がないって……冗談だよな……?」
ミノさんが震える声で確認してくる。
……私だって、信じたくない。だけど────
『……まだ、戦うつもり?』
『……ああ』
「どうして……?
士郎くん……どうしてそこまで出来るの?」
わっしーの言葉に同意してしまう。
だって……それはえみやんが苦しむだけだ。
そんなの……あまりにもひどすぎる。
『────それでも、それでも俺はやるよ。
守る事に理由なんて要らないだろ?』
「ッ!!」
「銀!!」
ミノさんはそれを聞いて、走って病室から離れていく。
わっしーはミノさんを追っていく。
……聞かなきゃ、えみやんに
本当の事を……全部聞かなきゃ……
私は勇気を出して、震える身体に鞭を打って
安芸先生とえみやんのもとに────
「今の話……本当なんですか……?」
「乃木さん……」
そう口にした時、
安芸先生はしまった。といった様子でこちらを見て顔を歪め
えみやんは驚いたようにこちらを見つめ……
諦めたように、観念したように溜め息を吐いた────
私は園子に話した。
代償の事、記憶の事。
そして……自らの身に何が起こっているのかを
「……えみやんは……それでいいの?」
「構わんさ。そうであれと私は
「望まれているって……
それじゃあ、えみやんが辛いだけだよ……!」
震える声で、そう告げてくる園子。
……そんなの、戦い始めた頃から理解している。
最初から覚悟していたことだ。
それに────
「それは、君達も一緒だろう?
戦いの中で落とすのが記憶か命か。それだけの差だ」
「それはッ……!
そうかもしれない……けど……けど……!
納得できないよ……私はえみやんみたいに強くない……!!」
そんな事知っている。私が異常なだけだ。
普通はこんな事を知れば納得できるものではない。
私が異様なまでに達観しているだけだ。
「……強くないのなら、戦わなければ良いだけだ」
「ッ!!」
「士郎!!」
「黙ってろ安芸ねえ!!
これはオレ達、勇者の問題だ!!!」
「ッ────」
……初めてだったかもしれない。
ここまで声を荒らげたのは。
「……別に、お前達が戦わなくても良い。
その時は……私が終わらせるだけの────」
パチイイイイン!!
私の言葉を遮る形で大きな音が鳴り響いた。
その音の正体はすぐ目の前だった。
そう、園子が私の頬を叩いたのだ。
園子は目に涙を浮かべていた────
「────園子」
「ばか……えみやんのバカ!!」
病室から出ていく園子。
それを見送った後に、安芸ねえは立ち上がり、
病室を出る時にこちらに声を掛ける。
「……士郎、少し頭を冷やしなさい。
乃木さんにもそう言ってくるわ」
「……ああ……ごめん。安芸ねえ」
「気にしないで良いわ……
子供のいざこざを解決するのは……私達大人の役目だもの」
「……ほんと、安芸ねえには敵わないなぁ」
安芸ねえも病室から出ていく。
一人になった病室で外を見つめる。
今の私の心を表しているように……空は雲で覆われた灰色の空だった────
ああ────オレって……最低だ────
ウシノシタグサ
『真実』『貴方を信じられない』『偽り』
『淡い記憶』『大事な思い出』etc……
さぁて、修羅場ってきたぞぅ(白目)
頑張らなきゃ(使命感)