衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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やってきたぜ(白目)

地獄は始まったばかりなんやなって……

今回はメインは士郎くんとそのっちだゾ。
次回わっしーとミノさんやるから待ってて♡

1/19に日間ランキング16位ありがとナス
またプレッシャーで胃が壊れちゃーう!


第12話 ウシノシタグサ

黒と白と灰色だけしかない空間。

 

……ここは何処だ。

何もない空間だった。

 

「……死んだのか?」

 

辺り一面を見回しても、何もない。

何も存在しない。

 

ただ一つ……上に……

何かの目のようなモノが存在しているのを除けば。

 

「■■■の……奴の目か……」

 

ふと、ノイズが走った言葉を口にした。

まるで……アレを知っているように。

 

その時、紅い外套が見えた。

 

「あれは……『衛宮 士郎(オレ)』なのか……?」

 

白髪に褐色の肌。

そして、見慣れた紅い外套を着込んだ青年。

 

「違う……アレは……────『■■■■■■()』だ」

 

なんとなくだが、そんな風に感じた。

 

『それで、先の未来で救えるのなら────』

 

……なんだ?いったい、何と会話している?

向こう側に近付こうとした時、一羽の青い鳥が飛んでくる

 

「……鴉……■■?」

 

また、ノイズの走った言葉を口に出す。

肩にとまった青い鴉がこちらを見つめた後、鳴く。

 

「着いてこい……?」

 

青い鴉に導かれるように、何もない空間を進んでいく。

そして────

 

────────

 

 

「……此処は」

 

目を覚ます。

知らない天井が視界に入った。

 

口元を見ると、マスク型の呼吸機が付けられていた。

 

あぁ、そうか……此処は……病院か────

 

 

──第12話──

ウシノシタグサ

 

 

極めて冷静な思考で、何があったのか。

そして、何故今此処に居るのかを思い出す。

 

そうだ、バーテックスを倒して……それから────

 

 

声が聞こえた────

虚ろなままのオレの耳に……少女の声が入ってくる────

 

この声は……

 

「────ろう……士郎!」

 

「ぁ……ぎん……か?」

 

「……!ああ!大丈夫か!?士郎!!」

 

「……ああ……すみと……そのこは?」

 

「此処に居るよ!えみやん!!」

 

「士郎くん……もうすぐ樹海化が解けるわ、そしたら病院に────」

 

涙目でこちらを見る三人が居た。

寝転がってるのか……そういえば……あの後……どうなったんだか。

 

────そうだ、バーテックスを倒して気を失ったんだ。

 

「そう、だな……どうやら……

まだ、倒れるわけには……いかないらしい……」

 

苦笑いをする。

だけど……まずったな……疲れた……今すぐにでも眠りたい────

 

「ちょっと……寝ても……いいか……?

さすがに……つかれた……」

 

「ああ……!……だから、絶対死ぬなよ!?」

 

「このままでは……さすがに……死にきれんさ……」

 

あぁ……本当に……疲れたなぁ────

 

────────

 

「そうか……あの後……気を失って……病院に運ばれたのか」

 

理解出来た。

自分がどうなったのかも。

 

左腕の感覚がないのは………麻酔か。

それも当然か。

あの時、左腕から剣が食い破るように出てきた。

少なくとも傷だらけではあるだろう。

 

そんなふうに考え事をしていると、病室の扉が開かれる。

そして、安芸ねえが入って来た。

 

「……!目が覚めたのね?」

 

驚いたらしく、目を丸くした後……

心配そうにこちらを見つめてくる。

こちらも身体を起こして、呼吸機を取り外す。

 

「……まあ、なんとか」

 

「そう……良かった……」

 

胸を撫で下ろして、安心した様子で椅子に座る。

……聞いておいた方が良いか。

 

「……何日位経った?」

 

「……10日は経過してるわ」

 

「そうか……」

 

会話が止まる。

……10日も寝ていたのか……()は。

 

「……士郎、聞いておきたい事があるわ」

 

「なんだ……?」

 

安芸ねえはこちらをジッと見つめ、

少し経ってから覚悟を決めた様子で口を開ける。

 

「……貴方は『衛宮 士郎』で良いのね?」

 

「……は?」

 

思わず聞き返した。

それはどういう────

 

答えはすぐに帰ってきた。

 

「言い方が悪かったわね。

……今の貴方は何処までが貴方自身?

何処までが……錬鉄の英雄なの?」

 

「────」

 

────思考が停止した。

何故?どうして?

そんな言葉が脳内を駆け巡る。

 

「驚いた顔をしてるわね……」

 

「……なんで、気付いて」

 

「何年、貴方と居たと思ってるの?

……貴方の目が灰色になった時から……なんとなく察していたわ」

 

────なるほど、それもそうだ。

納得してしまった。

あの辺りから……やはり私も多少は動揺していたらしい。

 

「────参ったな。どうやら安芸ねえには勝てないらしい」

 

「それに……口調。いきなり変わったのよ、貴方」

 

え。っと思わず唇を触る。

────無意識だった、全然気付けなかった。

……凄いな、やっぱり。

 

「……本当に敵わないな……分かった。白状する。

おそらくだが二年前ぐらいまでの分の記憶が私はなくなっている。

いや……正確に言うのであれば塗り替えられたと言うべきか。

衛宮 士郎()』から『(他の誰か)』に」

 

「……そう」

 

事実を述べると、安芸ねえは俯く。

……予想はしていたけど、そこまでとは思っていなかった。といったところか。

 

「……知らない間に貴方には重い代償を背負わせていたのね」

 

「……別段、気にしてはないさ。どうであれ……こうなったんだろう。

私が戦えなかったら……今度は三人の中から誰かが犠牲になっていたかもしれない」

 

「それは……」

 

「────事実、切り札を使わなければ勝てなかった」

 

「鷲尾さん達から聞いたわ。……荒野があったと。

それは、貴方の仕業なのね?」

 

「ああ……固有結界。

自らの心象風景を具現化する大魔術。って言われてるよ」

 

「心象風景……」

 

そう……心象風景の具現化。固有結界。

無限の剣製……Unlimited Blade Works

アレを使用しなければ……間違いなく負けていた。

 

「……まだ、戦うつもり?」

 

「……ああ」

 

「────そうしたら貴方は!」

 

「────それでも、それでも()はやるよ。

守る事に理由なんて要らないだろ?」

 

「────」

 

そうだ、理由なんて必要ない。

だって……オレは────

 

「今の話……本当なんですか?」

 

「乃木さん……?」

 

「────」

 

園子が、こちらを見つめ立っていた。

あぁ……どうしてこう……私はタイミングが悪いんだろうか────

 

────────

 

「そろそろ夏休みだなー……」

 

「そうね……」

 

何気ない会話をしながら、

私、ミノさん、わっしーの三人でえみやんの病室に向かう。

もう十回目になる光景だ。

 

「それまでに、えみやん目を覚ますと良いね」

 

「大丈夫でしょ、士郎って意外と丈夫だし」

 

「意外は余計だと思うわよ?」

 

ミノさんの言葉に呆れるようにわっしーは言う。

そんなやり取りを見て、思わず私はクスリと笑ってしまった。

 

病室の前まで来ると会話が聞こえる。

片方は安芸先生。そしてもう片方は……

 

「士郎くんの声……!」

 

「士郎……目を覚ましたんだ……!!」

 

思わず顔が綻ぶ程嬉しくなる。

良かった……えみやん……無事だったんだ。

 

安心して、扉に手を掛ける。

その時、信じたくない内容の言葉が耳に入った。

 

『おそらくだが二年前ぐらいまでの分の記憶が私はなくなっている。

いや……正確に言うのであれば塗り替えられたと言うべきか。

『私』から『他の誰か』に』

 

「ぇ────?」

 

思考が停止する。

どういう事?記憶がないって……?

 

『……知らない間に貴方には重い代償を背負わせていたのね』

 

『……別段、気にしてはないさ。どうであれ……こうなったんだろう。

私が戦えなかったら……今度は三人の中から誰かが犠牲になっていたかもしれない』

 

『それは……』

 

『────事実、切り札を使わなければ勝てなかった』

 

切り札……?

 

『鷲尾さん達から聞いたわ。……荒野があったと。

それは、貴方の仕業なのね?』

 

『ああ……固有結界。

自らの心象風景を具現化する大魔術。って言われてるよ』

 

『心象風景……』

 

心象風景?

……あの荒野が……歯車が……えみやんの?

なんだか、息苦しくなる。

……あの世界が……えみやんのモノだなんて……考えたくない。

 

「……嘘だ」

 

私達は無言で息を呑むしかなかった。

……全てを知った、いや知ってしまった。

えみやんに起きた事……

ううん、私達がえみやんに起こしてしまった事。

 

「なぁ……須美……園子……私は夢を見てるんだよな?

士郎の記憶がないって……冗談だよな……?」

 

ミノさんが震える声で確認してくる。

……私だって、信じたくない。だけど────

 

『……まだ、戦うつもり?』

 

『……ああ』

 

「どうして……?

士郎くん……どうしてそこまで出来るの?」

 

わっしーの言葉に同意してしまう。

だって……それはえみやんが苦しむだけだ。

そんなの……あまりにもひどすぎる。

 

『────それでも、それでも俺はやるよ。

守る事に理由なんて要らないだろ?』

 

「ッ!!」

 

「銀!!」

 

ミノさんはそれを聞いて、走って病室から離れていく。

わっしーはミノさんを追っていく。

 

……聞かなきゃ、えみやんに

本当の事を……全部聞かなきゃ……

 

私は勇気を出して、震える身体に鞭を打って

安芸先生とえみやんのもとに────

 

「今の話……本当なんですか……?」

 

「乃木さん……」

 

そう口にした時、

安芸先生はしまった。といった様子でこちらを見て顔を歪め

えみやんは驚いたようにこちらを見つめ……

諦めたように、観念したように溜め息を吐いた────

 

────────

 

私は園子に話した。

代償の事、記憶の事。

そして……自らの身に何が起こっているのかを

 

「……えみやんは……それでいいの?」

 

「構わんさ。そうであれと私は望まれている(・・・・・・)

 

「望まれているって……

それじゃあ、えみやんが辛いだけだよ……!」

 

震える声で、そう告げてくる園子。

……そんなの、戦い始めた頃から理解している。

 

最初から覚悟していたことだ。

それに────

 

「それは、君達も一緒だろう?

戦いの中で落とすのが記憶か命か。それだけの差だ」

 

「それはッ……!

そうかもしれない……けど……けど……!

納得できないよ……私はえみやんみたいに強くない……!!」

 

そんな事知っている。私が異常なだけだ。

普通はこんな事を知れば納得できるものではない。

私が異様なまでに達観しているだけだ。

 

「……強くないのなら、戦わなければ良いだけだ」

 

「ッ!!」

 

「士郎!!」

 

黙ってろ安芸ねえ!!

これはオレ達、勇者の問題だ!!!

 

「ッ────」

 

……初めてだったかもしれない。

ここまで声を荒らげたのは。

 

「……別に、お前達が戦わなくても良い。

その時は……私が終わらせるだけの────」

 

パチイイイイン!!

 

私の言葉を遮る形で大きな音が鳴り響いた。

その音の正体はすぐ目の前だった。

 

そう、園子が私の頬を叩いたのだ。

園子は目に涙を浮かべていた────

 

「────園子」

 

ばか……えみやんのバカ!!

 

病室から出ていく園子。

それを見送った後に、安芸ねえは立ち上がり、

病室を出る時にこちらに声を掛ける。

 

「……士郎、少し頭を冷やしなさい。

乃木さんにもそう言ってくるわ」

 

「……ああ……ごめん。安芸ねえ」

 

「気にしないで良いわ……

子供のいざこざを解決するのは……私達大人の役目だもの」

 

「……ほんと、安芸ねえには敵わないなぁ」

 

安芸ねえも病室から出ていく。

一人になった病室で外を見つめる。

今の私の心を表しているように……空は雲で覆われた灰色の空だった────

 

ああ────オレって……最低だ────




ウシノシタグサ
『真実』『貴方を信じられない』『偽り』
『淡い記憶』『大事な思い出』etc……

さぁて、修羅場ってきたぞぅ(白目)

頑張らなきゃ(使命感)
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