衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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新大陸での狩りが一息ついたので)初投稿です。

今回新しい勇者システムに対しての独自解釈の意見があるゾ。
ガバガバ理論なので矛盾点あるかもしれないけど許して!

あ、それと前日譚書く為の伏線を今回書いときました。

ちなみに今更ですが士郎くんのイメージ花は
ルドベキア・チェリーブランデーです
花言葉と花の色がイメージピッタリだったゾ。

あっそうだ。今回のタイトルは士郎くんの心情からだゾ


第16話 鬼灯

滝にうたれている。

……須美、園子、銀、私の四人でだ。

 

……こうなった経緯は単純。

勇者システムのアップデートだ。

 

前々回の戦いのような事にならない為に

新しくパワーアップするらしい。

 

その為に、旧システムだった頃の

身体を清めるという意味も兼ねて滝にうたれているのだ。

 

 

……奴らの数はあと少し。

だけど……残った奴らは間違いなく強力だ。

戦いはもっと激化する。

 

「……もっと、強くならないと」

 

彼女達が傷付かないでも良いぐらいに────

 

色々な事を思考しながら……ふと、浮かんでいた疑問を思い出す。

 

 

……勇者システムの端末を渡してくれと、安芸ねえは言った。

理由はアップデートがあるからだ。と

そのアップデートで強力な装備やシステムが追加される。と

 

……本来なら、喜ぶべきはずのものだ。

なのに……何故か安芸ねえの顔が忘れられない。

無表情であったが、何処か辛そうにしていて────

 

「気の所為だと良いけどな……」

 

滝にうたれながら、嫌な予感を洗い流す。

……出来るのであれば、この予感は外れて欲しいものだ。

 

────────

 

神樹は外敵と戦う為に力を与える。

だが、それを受け取れるのは極小数の人間。

神樹と極めて高いレベルで共鳴が出来る人間のみ。

それは嘗て、説明を受けていた。

 

今なら少しだけ、何故自分が樹海に居れたのかも分かる。

……近いのだ。自分と神樹が。

距離的な意味ではなく、存在的な意味で。

 

何故近いのかは、自分でも分からない。

 

……何時か、分かる時が来るのだろうか。

 

 

────装束に着替えさせられた私達の前に

新しくなった勇者システムが渡される。

 

それを手に取った瞬間、

スマホが光り輝き

それぞれ青、赤、紫、()の花弁と共に

合計で五体(・・)の小さな妖怪のような生き物が現れる。

 

「これが新装備?」

 

須美が空に浮かんでいる卵のような生き物を見ながら言う。

 

「ええ、勇者の装備を何倍にも強化する精霊(・・)よ」

 

大赦の装束を着込んだ安芸ねえがその質問に答える。

 

「精霊……」

 

何故だろうか、精霊という言葉に聞き覚えがあった

 

「なんか可愛いな……」

 

「精霊を見て第一声がそれか……銀……

まぁ、たしかに……妙な愛くるしさはあるな」

 

それぞれが精霊を抱える。

須美は卵型の精霊『青坊主』

園子は鴉の姿をした精霊『烏天狗』

銀は鬼の姿をした『鈴鹿御前』

私には瓢箪酒を持った鬼『酒呑童子』

そして、烏天狗と似た姿だが

少し大きめで鼻が長い『大天狗』が追加された。

 

「何故二体もの精霊が私に?」

 

「貴方の勇者システムは、

西暦の時代の僅かな情報から作られた初代勇者システムの再現の試作型だったの。

それをアップデートさせたから二体居るというのもあるけど……

一体は投影を安定、そして反動の抑制。

そしてもう一体は固有結界の安定の役目があるらしいわ」

 

「なるほど……」

 

なんとなく納得はしたが……

この二体、見覚えのあるような気がした。

たしか……昔に見た気がする。

……いつだったかは定かではないが。

 

「よろしくね〜♪」

 

「これが間に合っていればあの時……」

 

「「っ……」」

 

園子と銀が、須美の呟いた言葉で息を呑んだのが分かった。

……やはり負い目は感じるものか。

 

「あ……ごめんなさい。なんでもないわ。頼もしいわね」

 

「……そうだね」

 

「……過ぎた事を気にし続ければ苦しいだけだ。

今は、これが実装されて……

次の世代はもっと安全に戦えるという事を喜んだ方が良い」

 

「士郎くん……」

 

三人が私の言葉に反応して、こちらを見る。

 

「って、この空気になる切っ掛け作ったお前が言うか!?」

 

「……上手く誤魔化して言ったつもりだったんだが」

 

「誤魔化せてねぇよ!?バレてるわ!!」

 

銀のツッコミを見て、園子と須美はクスクスと笑い出し……

釣られる形で銀も笑い出す。

 

「…………」

 

ただ、それでも……安芸ねえの顔が晴れないのが

私の嫌な予感を増長させていた。

 

────────

 

「え?士郎、帰らないのか?」

 

「ああ、少しだけ安芸ねえに用があってな」

 

「……だいたいの説明はもうして貰ったわよね?」

 

「ああ……それ以外でだ」

 

それを聞いた園子は少しだけ考える素振りを見せてから頷く。

 

「そっか。うん。えみやんも家族と

一緒にいたいって時はあるもんね」

 

「ああ、察してくれたなら助かるよ。園子」

 

「なんだ、そういう事なら普通に言ってくれれば良いじゃん」

 

「……生憎、不器用なものでね」

 

「不器用にも程があると思うわよ?

……でも、そういう事なら分かったわ。じゃあ、私達は先に帰っておくわね」

 

「ああ、悪いな、皆」

 

少しだけ申し訳なく思う。

……でも、彼女達にこの疑問の答えを聞かせる訳にはいかなかった。

 

「じゃあね〜えみやん♪」

 

「また明日」

 

「ああ……また、明日な」

 

三人の背中が見えなくなるまで見届ける。

 

「……さて、これで話しやすくなったか?」

 

「……そうね」

 

隠れていた安芸ねえがこちらに姿を見せる。

 

「……聞きたいことは何かしら、士郎」

 

「少しだけ……気になったことがあってな」

 

「気になったこと……?」

 

「ああ……新しい勇者システムに関して不可解な事が幾つかな」

 

「っ……」

 

安芸ねえが息を呑んだのが分かった。

……当たりか。新しい勇者システムには幾つか隠されている事がある。

 

「気になるのは二つ、

精霊……そして『満開』というシステムについて」

 

そう、この二つに関しての疑問が出てしまった。

 

一つは精霊の力についてだ。

ダメージを防ぐ。それが精霊の役目の一つ。

これだけなら、防御力を上げるものとして納得がいく。

だが……致死量に当たるダメージですらも防ぐ。というのに疑問があった。

 

それはある意味、老化以外では死なない不死になるということ。間違いなく魔法の領域だ。

……それ程の奇跡に代償がない。という事が

まず有り得ないと思った。

いや、もし精霊そのものに代償がないとしても……

その代償を別の力の代償として補う可能性は高い。

 

そこで気になったのが、『満開』というシステムだった。

満開の簡単なシステム説明は こうだ。

 

[溜め込んだ力を解放する勇者の切り札]

 

この説明だけなら、何の疑問もないだろう。

だが、溜め込む力に問題がある。

 

 

勇者が溜め込む力はなんだ?

 

……そう、それは神樹の力……つまるところ神の力の末端だ。

 

神の力を解放する。

それが問題だ。

 

……幾ら、神樹のサポートがあって

無茶が出来る勇者になったとしても

人の身で神の力を解放するというのは無理な話だ。

 

それこそ……今、存在しているかこそ分からないが

アレ(・・)が動くだろう。

 

早い話、代償なしで神の力を解放するというのは不可能だ。

……つまり、満開というシステムには代償があると仮定した方が納得がいく。

そして、精霊の代償も満開システムと直結している。

そう仮定すれば全てに納得が言ったのだ。

 

……そう。納得がいってしまった。

それに満開という言葉も気になった。

満開、つまりは花が咲き誇るということ。

では咲き誇った後は?

 

簡単だ。

 

────散るだけだ。

 

 

つまり、満開を使う=散る。

 

花が散る。つまりは散華。

だが、散華には死という意味がある。

 

散華をそのままの意味で捉えると、精霊に矛盾が出てくる。

死を防ぐ精霊が満開を使わせるだろうか?

否だ。それは有り得ないだろう。

 

だからこそ、散華……つまりは死の見方を変えてみた。

 

死=失う

 

こう仮定すれば?

 

満開の代償として、何かしらを失うということ。

それが身体の機能か、記憶かは定かではない。

だが……そう仮定するだけで全てに辻褄が合う。

 

合ってしまうのだ。

 

だからこそ、大赦側から

この予想が正しいか聞いておきたかった。

 

「……上からの許可がない限りは言えないわ」

 

「……こういう時はしっかり者だな。安芸ねえ」

 

思わず苦笑してしまう。

……そうだ、肝心な時はしっかりする人だった。

 

だからこそ、狡いかもしれないがあの手段を使うしかない。

 

「……ああ、そうだ……質問の仕方を変えよう。

これは────」

 

「────────っ」

 

私が口にした言葉を聞いて、目を見開いてから

安芸ねえは俯く。

 

「……分かりました。彼の英雄からの命令であるならば

大赦の人間として答えねばなりません」

 

「賢明な判断だな、安芸ねえ。

……少しだけずるかったか?」

 

「ええ、本当に狡いわ……士郎。その真名()を使うのは」

 

「前々回の戦いで……知り過ぎたんだよ、私は」

 

少しだけ、遠い目をしてしまう。

自分がどういう存在なのか。

そして……あの男が、初代勇者によって(・・・・・・・・)三百年程前にも(・・・・・・・)召喚されていた(・・・・・・・)事が分かってしまったのだ。

 

「そう……知ってしまったのね……それでも、貴方は……」

 

「ああ、それが()の役目なら仕方ないさ。

それに、かつてのマスター(・・・・・・・・)の、私への最初で最後の命令だったからな。

未来を繋ぎ、いつの日か世界を取り戻す。

それが……彼女の命じた事だった。

今回が無理なら……また神樹が私に関してはどうにかするだろう」

 

「辛くはないの……?」

 

「辛くない。と言えば嘘にはなるが……

信じているからな。いつかの時代に彼女達が諦めなかったように。

……今、誰も諦めていないのはよく分かっているさ。

大多数という名の未来を救う為に、少数という今を犠牲にする。

それが正しいか。と言えば判断しかねるが……

間違えてはいないと思う。……かつての彼がそうだったようにな」

 

そうだ。最初から選択肢などなかったのだろう。

絶対的な力を持つ相手……それに取れる手段など限られている。

 

「そう……分かったわ。

士郎、よく聞いて。満開には────」

 

 

そして、私は新しい勇者システムの真実を全て知った。

 

……どうして。だったか。やはり。だったか。

仕方ない。だったか……あの時の心情は今になっては分からない。

 

ただそれでも、

彼女達が犠牲になるぐらいなら……

約束を破ってでも、自分が傷付き戦えば良い。

そう思ったのだ。

 

歯車は止まらない────




鬼灯
『偽り』『誤魔化し』
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