衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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タイトル通り多分最後の日常回です。

長くて残り二話ぐらいでわすゆ編は完結すると思います。

……他の作者様のゆゆゆ作品が凄くて霞んで見えちゃうこの小説。
これ読むよりは多分、他のゆゆゆ小説読んでた方が楽しめると思う……思うんだけどなあ……


推奨BGMは前書きとかに書いておくと良いとは思うけど
演出面を意識して、あえて文章の中に書いておくことにしました。


第17話 おわるにちじょう

地獄を見た────

 

地獄を、見た────

 

 

灼熱の世界(地獄)を見た────

 

これが世界の真実……か……

 

そうか……最初から守る世界は……

 

 

────終わっていたんだ────

 

 

「街もすっかりハロウィンだなぁ……」

 

イネス近くの街路樹を歩きながら銀はそんなことをぼやく。

そう、もう十月の末だ。

 

行く先々にカボチャのランタンがあったり、仮装をした人が居る。

 

「我が国の懐の広さの賜物ね」

 

「……たしかに、やたらと行事多いもんな」

 

西暦の時代から受け継がれてきたものではあるが

行事がたくさんあるのである。

 

「ハロウィンと言えばだが……

最初、ハロウィンはカブなどの収穫祭だったってのは知ってるか?」

 

「そうなの?」

 

私のどうでも良い豆知識を聞いて園子が首を傾げる。

 

「ああ、西暦の時代にあった、とある国での

作物の収穫を祝う祭りだったんだが……紆余曲折あった結果

今のような、トリックオアトリート。

お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ。が周知の事実になったらしい」

 

「……その紆余曲折が凄く気になるわね」

 

「そこは、それぞれ自分で調べてみろという事さ」

 

そこまで説明するとやたらと時間を食いそうだしな。

 

「さて、じゃあ士郎の誰得豆知識も終わったことだし

イネス行こうぜ!」

 

「おい」

 

たしかに誰得ではあるが、わざわざ口に出すことはないだろうに

 

「本当に銀はイネスが好きねぇ……」

 

「当たり前じゃん!イネスはなんたって────」

 

「公民館もある。……何度目だよそれ。飽きたぞ」

 

「ありゃ、やっぱり新しいパターン用意しておくべきだった?」

 

「そもそも用意するなよ……」

 

銀の言葉に思わず呆れてしまう。

 

「というか、そんなパターン用意出来ないだろう?」

 

「ふふーん、甘く見てもらっちゃ困りますよ?

私のイネス情報は……五十三万です!」

 

「ミノさんすげー!」

 

「そんなにないでしょ……そのっちも真に受けないの」

 

「うん、たしかにそんなにはないけど……

百八式までは用意できるぞ?」

 

「「できるのか(できるんだ)……」」

 

私と須美は声を揃えて困惑してしまった。

……というより、どれだけイネス情報あるんだ。銀のやつ。

 

────────

 

「士郎のジェラートいただきっ♪」

 

「あっ……おい」

 

私の食べていたジェラートを掬って、食べた銀を睨む。

 

「へへーん、ぼーっとしてた士郎が悪いんだぜ?」

 

「くっ……その通りだからなんとも言えん……!」

 

たしかに今考えるべきではなかったか……

 

「……士郎くん、大丈夫なの?

ここのところよくぼーっとしてるわよ?」

 

「……そんなにしていたか?」

 

「ええ、上の空な時がかなり多いわよ?」

 

須美に言われて、漸く自覚した。

……ダメだな。

アレを聞いて以来、嫌な考えばかりが頭に過ぎる。

 

「……そうか、悪い。気を付ける。色々考えていてな」

 

「考え事……えみやん。何考えてるの?」

 

「んー……ま、思春期に入る男子には色々あると考えておけ」

 

園子は勘が鋭い。上手くはぐらかす必要がある。

故に、私はあまり詮索できないような事で答えた。

 

……思春期か

 

「うん?なんか言ったか、銀?」

 

「い、いや別に!?やましい事は考えてないぞ!?」

 

「…………」

 

少しだけ、冷ややかな目で見てしまった。

俺はアイツと違って女たらしではないはずだ。

 

……多分。

 

いや、勘違いでなければ……

今の三人からはその類の感じが見え隠れしてはいるのだが。

 

────だけど、勘違いでなくても

それでも、きっと答える事は出来ないだろう。

 

それに答えて、受け容れてしまえば……

俺はきっと壊れてしまうから────

 

 

「そういえば、須美って巫女の適正もあるんだよな?」

 

「いきなりね……安芸先生が言うにはそうらしいわ」

 

「巫女さんってどんな事する人なのかな〜?」

 

「主な役目は勇者のサポート。

そして、敵の襲撃を神樹からの予言として聞くことができたり……

後は、御記を閲覧する人だな」

 

「結構色々やってんだなぁ……」

 

「忙しそうだね〜」

 

私の説明にほえーと関心する銀と園子。

私達はかなり世話になっている筈なんだが……感想はそれだけか……

 

「……私って、珍しいのかしら」

 

「間違いなくな。勇者と巫女。

二つの適正を持つ存在なんて中々現れるものではないと思うぞ」

 

「つまり主人公的な感じか!」

 

「凄い曲解をしたわね……銀」

 

「あながち間違いでもないがな……

物語の主人公らしさはあると思うぞ。

まぁ、須美に限った話ではなく……銀や園子もだが」

 

そうだ。勇者という称号は間違いなく主人公だろう。

むしろ勇者なのに主人公じゃないなんて一握りぐらいではないだろうか。

 

「あれ?えみやんは?」

 

「私は良くて道中の仲間。

普通に見れば、悪役でもおかしくはないと思うが?」

 

「そうかしら?……士郎くんは……その……かっこいいし、

主役には抜擢されると私は思うわよ?」

 

「うんうん。私なら、間違いなく主人公に選ぶね」

 

「……そうか?」

 

少し恥ずかしくなって、頬をかく。

 

「お、照れてるのかコイツめー!」

 

「余計なお世話だ……!

それよりだ……それ、結局買ったのか」

 

……やっぱり気になったのでツッコミを入れておく。

園子は魔女、須美は狐、銀は狼のようなコスプレをしたままだったのだ。

 

……気に入ったのか買っていたらしい。

 

「いやぁ……まぁ……ノリで?」

 

「可愛かったから〜♪」

 

「そのっちと銀に勧められたから……」

 

それぞれの答えが返ってきた。

さいですか……。

 

「わー!?セバスチャン、出てきちゃダメだよ〜!?」

 

魔女の帽子から烏天狗(園子命名セバスチャン)が出てくる。

そして、ついでと言わんばかりに

ランタンのカボチャを被ってパタパタと浮かんでいた

 

「神樹様が遣わした精霊……これがねぇ……?」

 

須美は信じられなさそうに、園子の烏天狗を見た。

……まあ、信じられないのは私や銀も同じだろう。

なんというか……お茶目過ぎるというか……

これが神樹の性格がそのまま出た存在だとか

言われてしまったら多分呆然となる自信はある。

 

「ママー!カボチャが空を飛んでるー!」

 

「まぁ、ほんとね!」

 

「げっ!?」

 

全く事情を知らない親子に見られてしまった。

 

「こ、これはα波で浮いてます!!」

 

「須美サン、それは無理があると思うけど!?」

 

「すげー!」

 

「おー、わっしーすげー!!」

 

「そのっちは早く精霊をしまいなさい……!」

 

……こんな調子で大丈夫なのだろうか。

少しだけ不安になった。

 

────────

 

「わぁ〜、夕日が綺麗だね〜♪」

 

「もうそんな時間か……だいぶイネスに居たんだな」

 

日が沈みかけているのを見て思う。

随分と長い時間、イネスに居座っていたようだ。

 

「そういえば、今日はバーテックスは来ないのかな?」

 

「分からないよ〜。お風呂に入ってる時に来たりするかも」

 

「それは普通にいやだな……」

 

「冬に差し掛かるこの時期にそれはきついぞ……」

 

「というよりそのっちのその発想に脱帽だわ……」

 

……それぞれ、園子の言葉に三者三様の答えを出す。

 

「勇者の装束は着込むタイプだから問題はないが……

戦い終わったあと、装束で帰らなきゃ行けなくなるのがまずいな」

 

「……そう考えるといろんな意味で厄介ね」

 

「流石にそんな害悪バーテックスは居ないで欲しいもんだよ……」

 

コスプレと間違われて、痛い人扱いされる事も有り得れば

何も知らない一般人に

お役目に関して知られてしまう可能性もあるわけで……

 

とんでもないほど厄介だな……

 

「まぁ、色々貰っちゃったわけだし……頑張り所だな」

 

「違いないな」

 

「横断幕まで貰っちゃったもんね〜」

 

そう、同じクラスの生徒達が今日の朝、

『わたしたちの勇者がんばれ』と書かれた横断幕をもらったのだ。

少し前からゴソゴソしていたのは知っていたが

こういう事だとは思わなくて、少し涙ぐんだのは内緒だ。

 

「皆が応援してくれてる、御役目がある私達は幸せ者ね」

 

「そう……だな……」

 

ただ、それでもやはり……あの時、安芸ねえから聞いた言葉が

私の頭の中でぐるぐると回り続ける。

 

……勇者という名が、良いものとは……もう思えなかった。

 

勇者。なんて、体良く取り繕っているが……

その実は……ただの……人柱でしかない。

 

今の世界を見て、彼は、彼女はどう思うだろうか。

 

失望するだろうか。絶望するだろうか。

……それでも尚、信じ続けるだろうか。

 

……死者の声は聞けない。故に誰も分からない。

ただ、それでも……俺が彼や彼女と同じ立場ならばきっと……

 

失望していただろう。

 

「っ!?」

 

その時、スマホから警報のようなアラートが鳴り響く。

 

スマホを取り出すと、画面には

 

樹海化警報

 

と、たしかに書かれていた。

 

「来る……」

 

その言葉に合わせるように、世界が停止する。

 

「……鳴るのは良いけど、止まる前に鳴るのは厄介だな」

 

「今ここで言うか……?

いや、まあたしかに映画館とかで鳴ったら

迷惑も良いところではあるが……」

 

「たしかにそうだね〜……」

 

「もう、緊張感が台無しよ!」

 

「いーじゃん、私達らしくてさ」

 

「それは……まあそうかもしれないけど……」

 

苦笑してしまう。

けど、少しだけリラックスできた。

 

「あっ、そうだ。これ、わっしーが持ってて!」

 

園子は、自分が髪に着けていたリボンを解いて須美に渡す。

 

「ええ、ありがとう。そのっち」

 

「髪に着けてくれても良いんだよ?」

 

「戦いが終わったら着けてみるわ。似合ってたら褒めてね?」

 

「うん!」

 

「園子ー、私にはないのかー?」

 

二人のやり取りを見ていた銀が不服そうに聞く

 

「えーっとね……じゃあミノさんにはサンチョ────」

 

「戦いの邪魔になりそうなので却下!」

 

「えぇー!?どうしよう……他だと渡すものがないよ〜!?」

 

「……全く、しょうがないな……園子は。

じゃあ……私の髪飾り。持っててよ」

 

「良いの?ミノさんこれ大事な物なんじゃ……」

 

「大事だからこそ、持ってて欲しいんだって!」

 

「うーん……分かった。大事に持っておくね!」

 

「サンキュ。園子!」

 

ニシシと銀は笑う。

 

「あ……そういや、士郎には……」

 

ふと、思い出したように銀はこちらを見る。

 

「良いよ、オレは。……もう、渡してあるしな」

 

「……もしかしてこれの事か?

結局返すタイミングなかったんだけど……良いのか?」

 

銀は心当たりがあったらしく、紅い宝石を取り出す。

 

「……ああ、オレが持ってるよりは……君が持っていてくれる方が安心できる」

 

「そ、そうか……うん……分かった……持っとく……」

 

恥ずかしそうに頬を赤らめて、銀は答える。

 

「むむ……士郎くん、私達にはないのかしら?」

 

「そうだそうだ〜。ミノさんだけは不公平だよ〜?」

 

「え……今言われてもだな……持ち合わせが……」

 

「じゃあ戦いが終わったらくれる?」

 

「分かった!分かった!あげるからグイグイ近付いて来るな!?」

 

胸とか色々と当たってるんです!!

 

「……やっぱり、士郎にだけ何も無いのはなんか悪い気がする」

 

「そうね……何か欲しいのはないかしら?」

 

「いや……いきなり言われても……そうだな……」

 

……欲しいものか。まずいな。何も無い。

 

あ……いや、一つだけ。

今欲しいものがあった。

 

「……須美のぼた餅かな」

 

「お、良いね〜♪」

 

「あー……須美のぼた餅は美味しいもんなぁ……」

 

「分かったわ。戦いが終わったら作ってあげる」

 

「やった〜!今日はぼた餅パーティーだ〜!!」

 

「そのっちに作るとは言ってないわよ?」

 

「えっ!?……しょぼーん」

 

露骨に落ち込む園子。

そんなに楽しみだったのか……

 

「冗談よ。そのっちと銀の分も作るわ。皆で食べた方が美味しいもの。ね?」

 

「ああ、オレも戦い終わった後の一服は皆で味わいたいからな」

 

「よぉし!じゃあぼた餅の為に頑張りますか!」

 

「銀、食欲が前に出てどうするの?御役目よ?」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

銀は恥ずかしそうに謝る。

 

「……そうだ、士郎くん。終わったら話したい事があるんだけど……付き合って貰って良いかしら?」

 

「え?……まあ構わないが」

 

「あ!?須美、抜け駆けはずりーぞ!?

士郎、私も話がある!」

 

「え」

 

「二人ともずるいよ〜。

えみやん、私もあるからね〜」

 

「あ……えっと……お手柔らかにお願いします……はい……」

 

なんとなく嫌な予感がしたが……

こうとしか言えなかった。

 

下手な事言って機嫌を損ねさせるのはまずいしな……

彼の記憶が役に立ったよ……

 

「……さて、気を取り直して。

────行くか」

 

私の言葉にコクリと三人は頷く。

 

視界が光に包まれ、目を閉じる。

 

目を開けると……そこは見慣れた樹海の景色だった。

 

そして、目の前には……

 

「三体……!?」

 

「太陽が三つ……アレはそういう事だったのね……」

 

「三体……あの時の悪夢が蘇るなぁ……」

 

三体のバーテックスが居た。

 

「三体だとしても、大丈夫だ。

今回は不意打ちで出る事もなさそうだし……それに全員揃ってるからな」

 

あの時は、私がすぐに戦線に参加できなかったこと。

そして、射手座が不意打ちで奇襲してきたこと。

それが重なったが故の辛勝だったのだ。

 

だからこそ……今回は大丈夫だ。

 

「そうね。今回は大丈夫……!」

 

須美は自分に言い聞かせるようにそう告げた。

 

「よーし!皆、行くよ!!」

 

「ああ!」

 

「よし!」

 

「了解!」

 

「おぉー!みんなイカスー!」

 

それぞれが自分の勇者システムを起動させる────

 

 

 

 

 

──『威風堂々』──

 

 

 

 

須美、園子、銀の三人は白を主体とした

それぞれのイメージカラーである、青、紫、赤の装束を着込み

園子と銀は新しくなった、槍と斧を手に、

須美は新たに実装された狙撃銃を手に構える。

 

私は、いつものボディースーツとズボンの上に

紅ではなく黒い生地に金色の刺繍が入った外套を羽織り、

外套の右肩の部分に竜胆の花模様が

左肩部分にルドベキアの花模様が刻まれる。

 

そして、右手には白い銃剣を。

左手には黒い銃剣を構えた────

 

「よろしくね。貴方の名前は(シロガネ)よ」

 

「おお、良いね〜♪」

 

「ほほぅ、須美さんや……私の名前を使うとは……」

 

「もう!銀、からかうのはよして!」

 

「ははは、冗談だって。

ん?そういや士郎。紅じゃなくて黒い外套になったんだな」

 

銀が真っ先に気付いて、こちらを見る。

 

「ああ、銀と色が被ってたしな」

 

「私は紅の方が似合ってた気もするけど……ま、そこは本人の自由か」

 

「そう考えてくれるならありがたいよ」

 

「えみやん、武器も変わってる?」

 

「銃剣にしたんだ。

剣じゃ中々倒せない輩も居たし……

弓と剣を毎回持ち替えるタイムラグを考えれば

近距離も遠距離もこなせる銃剣の方が良いと思ってね」

 

「白と黒の二丁拳銃……干将・莫耶かしら?」

 

「ああ、あの双剣を改造したものさ。

精霊の力があってこそできる改造だがな」

 

最も、理由はそれだけじゃない。

固有結界を使う上でのちょっとした裏技をする為でもある。

 

「よし、じゃあ皆!行くよ〜!」

 

「バックアップは任せて!」

 

「前衛は私が維持をする!」

 

「フォワードは私だね〜!」

 

「なら、オレは遊撃だ。的確にやらせてもらうぞ!」

 

全員が散開し、それぞれがバーテックスに向かい合う。

 

 

────神世紀298年。最後の戦いの火蓋が切られる。

この戦いは後に『瀬戸大橋跡地の合戦』として語り継がれる。

 

そして……この戦いにおいて、

一人の英雄が居たことを忘れてはならない。

 

その身を呈し、戦った英雄の事を。

 

 

 

その英雄の名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──『衛宮 士郎』──




銀ちゃんの新衣装は
そのっちに近いけど、少しだけにぼっしーの装束っぽさがあるって感じの
曖昧なイメージで問題ないゾ(ぶっちゃけそこまで深くは考えてない)

衛宮の新衣装は
FGOでのエミヤの第二再臨の黒いボディースーツの上に
エミヤ・オルタの第二再臨の外套を羽織ったイメージで良いゾ。

銃剣の銃弾はわっしー、東郷さんと同じで神樹の力で出来た銃弾になってるので
バーテックスにもちゃんと効くゾ。安心して、どうぞ。
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