衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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今回ふと閃いた設定を入れ込んだので難産になりかけました。

衛宮士郎という存在が居ることで、勇者部が知る情報が少し増えたりします。
原作と違う点もこれから更に出てくるのでそこも楽しみしていただけるとありがたいなぁ。と思います。

そういえば、のわゆ下巻増刷されたみたいです。
早速予約しておきました。来るのは三月上旬らしいですが……。

最後に、お気に入り登録1000件突破ありがとうございます!


第二十三話 説明と居候

「改めての挨拶になるが、衛宮 士郎だ」

 

「え、ええええええ!?ど、どうしてエミヤさんが!?」

 

勇者部部室での私の挨拶に

樹は驚いた様子でこちらを見つめてくる

 

「……ほんと、何から説明すれば良いか困るわねこれ」

 

「ビックリしました……エミヤさん、じゃなくて。

衛宮くんが私や東郷さんと同じ歳だったなんて……」

 

頭を抱える風と、

平然と立っている制服を着込んだ私を交互に見て、友奈はそう告げる

 

「士郎で構わないよ。……まあその件は私も驚いている。

まさか、年齢的にほぼ変わらないとはね……」

 

「いや、ほんとよ……私も

アンタは一つか二つ歳上かなぁ。ぐらいの認識はあったけど

まさかの歳下なんて予想外にも程があるわよ?」

 

「それに関しては、なんとも言えんな。

……む、歳上ということはやはり先輩を付けた方が良いか?」

 

「風のままで良いわよ。

アンタの声で先輩って言われると変に鳥肌立つわ。違和感しかないし……

なんというか魔法使えそうな世界だと二つ歳上って言われても納得しそうだし」

 

「何処の世界の話だ」

 

「分かんないわよ。私もてきとーに言っただけだし」

 

「おい」

 

ジト目で、風を見る。

例が具体的だと思ったがまさかの適当だったとは……

 

「でも、衛宮さん……くん?のことよく分かりましたね」

 

「あー……まあ色々あったんだけど……

この前の戦いの後に、エミヤの事を

大赦に知らないか連絡を入れてみたのよ

そしたら、その男を連れて、本庁の方に来なさい。

なんて命令が返ってきてビックリしたわよ」

 

「あ、もしかして昨日の

『ちょっと寄るところがあるから先に帰っておいて』って……」

 

樹は心当たりがあるのか思い返す。

風はそれを聞いて頷く。

 

「そ、本庁の方にコイツを連れて行ったのよ。

そしたら、何処で彼の事を知った。やら、

やれ、彼は今何処にいる。とかね……

仮面で顔は隠れてるけど慌ててるってのは分かったわ。

で、本人連れて来てるし、呼ぶ。ってなって……」

 

「それで私が顔を見せたら、

大赦の人間が一斉に跪くものだから驚いたものだよ」

 

「私もビビったわよ。いきなりだったし……」

 

あれは、なんというか奇妙な感覚だった。

 

「まあ、驚きはしたが……その後、

記憶がない。という事を伝えると────」

 

「一から説明してくれたわ。衛宮と、私にも」

 

「説明……ですか?」

 

「ええ、衛宮の名前と、年齢。

あとは……先代の勇者だったってことね」

 

「先代の……!?」

 

「「勇者!?」」

 

風から聞かされた言葉に

友奈、東郷、樹の三人は目を丸くする。

 

「私も驚いたわよ……

まさか二年前に既にバーテックスが進行していて、

四人の勇者がバーテックスを撃退していたなんて聞かされてなかったし」

 

「四人……ですか?」

 

「ええ、その中の一人に衛宮も居たらしいわ」

 

「生憎、残りの三人の名前を聞かされても

パッとしなかったんだがな」

 

事実だ。乃木 園子、鷲尾 須美、三ノ輪 銀。

共に戦った勇者の名前を聞かされたが……覚えがなかった。

 

「でも、どうして大赦側は風先輩にも

その情報を開示してくれなかったんでしょうか?」

 

「あーそれね……大橋の崩落があったでしょ?」

 

「はい、二年前に……」

 

「彼処が二年前の防衛ラインだったんだって」

 

そこまで説明されればわかるはずだ。

何故、大橋が崩れたのか。

 

「……ということは先の戦いで?」

 

「そういう事らしい。

相手には、それを可能にする力を持った敵が居る。

それを知らされれば、勇者候補生達の士気に関わるということだろう」

 

「まぁ、早い話がとんでもないバカ火力持ちの敵が存在してるって事を教えて

余計に混乱させるわけにもいかなかったんだと思うわ」

 

「……なるほど。

ですが……少しだけ疑問が、先代勇者は今回の戦いに参加することは……?」

 

「まだ、二年前の傷が癒えてないみたいよ。

それほどまでに大きな戦いだったらしいわ」

 

「まだ療養中という事になるそうだ。

バーテックスに受けた傷はかなり響くらしいな……

私の記憶もバーテックスによるものという可能性があるとのことらしい」

 

「そうなんですか……ありがとうございます」

 

私と風の説明に東郷は多少なり納得がいったらしい。

 

「そういえば……士郎くんはこれからってどうなるんですか?」

 

「形式上は、君達と同じ中学生にはなるらしいな。

────さすがに今まで行方不明だった事もあるしで

簡単には自宅に帰ることは出来ないそうだ。

そもそも、家が何処にあるのか覚えていない問題もあるがな」

 

まずは問題がそこだった。

見覚えのない場所にある家に帰れと言われて

まっすぐ帰れる自信はない。

正直、自宅も無理なのに……となった時に

大赦から出された意見がある。それは────

 

「それでなんだけど……樹」

 

「なに、お姉ちゃん?」

 

「しばらく、衛宮の事うちで面倒を見る事になったから」

 

「へぇ………へ?

────ええええええええええ!?」

 

樹は一瞬固まった後、こちらと風を交互に見る。

 

「な、なんで!?」

 

「いや、ほら。今記憶もないし、色々混乱する事もあるだろう。って事で

傍に人が居る方が良いだろーってなってね。

まあ、友奈や東郷に迷惑を掛けるのもあれだし……

うちなら……その、ね?部屋……余ってるからさ……」

 

彼女が言い淀んだのを見て、少しだが何かあった事を理解した。

 

「あ……うん」

 

「最初はこちらも構うなとは言ったんだが……

風も助けてもらった礼があると聞かなくてね。

嫌なら断ってくれて良いんだぞ?

君の頼みならば、風もやめるだろうし……

その時はその時で大赦側も対処してくれるだろう」

 

「あ、いえ!気にしないでください!衛宮先輩!

その……よろしくお願いします!」

 

「……君が良いなら、私は何も言わないさ。

まあ、居候になるからにはすべき事はしっかりするつもりだよ。

洗濯、掃除、料理。なんでも良いぞ?」

 

「オカンか!?」

 

私の言葉に驚いた様子で風はこちらにツッコミを入れる。

 

「誰がオカンか。誰が。

まぁ……困ったら頼れということさ」

 

風は少しポカンとするが、すぐに微笑む

 

「そっか……うん、ありがとう」

 

「気にするな。

……それに、君はそうやって笑っている方が魅力的だからね」

 

「はぇっ!?」

 

「「「おー……」」」

 

私の言葉に顔を赤くする風と

感心した様子でこちらを見つめてくる友奈、東郷、樹の三人。

 

……なにか、間違えたか?

 

────────

 

「買い物まで手伝って貰って悪いわね」

 

「問題はない。言っただろう?困った事があれば手伝うと」

 

「衛宮先輩って力持ちなんですね〜……」

 

買い物をして帰宅中、そんなやり取りをする私達。

衛宮先輩は見た目以上に力持ちだったみたいで……

大半の荷物を持ってくれている。

 

なんというか新鮮な気分だった。

いつもはお姉ちゃんと二人の帰り道だったけど

もう一人増えただけで……何処か楽しい気分になった。

 

「しかし、マンションか。……心霊が出たりはしないよな?」

 

「ちょ!?不吉なこと言わないでよ!?

私、そういうの苦手なの!!」

 

「わ、私もあまり得意じゃ……」

 

「それは……すまなかったな」

 

慌てる私達に、苦笑いをして衛宮先輩は謝罪する。

 

「だが、まあ女の子らしくて可愛らしいとは思うぞ?」

 

「あー!だからそういう事を軽々しく言わないでってば!?」

 

「か、可愛い……」

 

思わず顔が赤くなってしまう。

……初めて可愛いなんて言われてしまった。

お姉ちゃんはたしかに綺麗だけど、私は……

 

「事実を言ったまでだが……君達は充分可愛いと思うぞ?」

 

「はわわわ!?」

 

「アンタいつか刺されるわよ?」

 

「……なんでさ」

 

追い討ちをかけられて、私も顔は顔を真っ赤にしてしまう。

お姉ちゃんは顔が赤いまま、ジト目で衛宮先輩を睨む。

 

「ま、まあ良いわ……着いたわよ。此処が私達の家になるわ」

 

「ほう、端か。良い場所を君達の両親は選んだんだな」

 

「うん……そうね……」

 

お姉ちゃんは言い淀んで、私も少し暗くなってしまう。

衛宮先輩は知らないから仕方ないといえば仕方ないけど……やっぱり辛くて。

察したのか衛宮先輩は険しい表情になって────

 

「……風、樹。まさか君達は」

 

「あー、暗い話はやめ!

せっかく、来るんだし。今日はパーっと盛り上がるわよ!」

 

「……そうだな。すまない」

 

「別に良いわよ。知らなかったんだもの」

 

「……ああ」

 

お姉ちゃん、私、衛宮先輩の順で家に入る。

そこで、お姉ちゃんが何かに気付いたのか衛宮先輩の方を見る。

 

「あっそうだ。衛宮」

 

「ん?まだなにかあるのか、風?」

 

不思議そうに首を傾げる衛宮先輩。

あ……そうだ。言ってない事があるんだ────

 

「「せーのっ、おかえりなさい!」」

 

「────。

ああ、ただいま。

それと……これからしばらく世話になる」

 

私と、お姉ちゃんと、衛宮先輩の三人で

顔を見合わせて笑うのだった────




二年前に勇者が居た事を知った勇者部ですが……
今後どうなるかは作者の力量にかかっています(白目)

ちなみに士郎くんにも全ての事実が伝わっているわけじゃありません。
真実を混ぜた嘘。一番騙されやすい嘘を伝えられています。
これがどう響いてくるかも作者の力量に((ry


……そして、最近ダクソ×ゆゆゆとかいう
かなりえげつない小説を思い付いたりしましたけど
この小説がある程度終えるまでは書いたりはしないと思います。

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