衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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めちゃくちゃお久しぶりです……

スランプに陥ってたり、小説の設定とかプロットとか書いてたスマホのデータが吹っ飛んだりで全然書けてませんでした…1年半ぶりですね……許して……

本編は全く書けてないのに、IFは書けるようになったってマジ?
……まあ、実際データ消えちゃったんですよね。本編の。書き直ししてます…
設定とかプロットも消えちゃったから一から練り直しだよ畜生!!


そんな訳で息抜きです。原作のゆゆゆいよりシリアスになるIFです。
さらにいえばこの小説内の現在のエミヤではないので要注意。


IF√ 腐り果てた鉄の章
【鉄心1】遭遇、喪失【IF花結い】


守れなかった。間に合わなかった。救えなかった。助けれなかった。

オレは救える者ではなかった。

 

『どうして■■■■が死ななくちゃダメだったの!

なんでっ!!なんでっ!!!そんな力があるのに……

どうして■■■■を救ってくれなかったのっ!!!!

こんなことなら……■■■■じゃなくて、お前が死ねば良かったのにっ!!

………ぁ』

 

『■■■■!言い過ぎよっ!!』

 

呪いだ。その言葉はアレを蝕むには充分だったのだろう。

そしてアレは、その言葉を聞いて。嗤っていたのだ。

 

誰に対して嘲笑ったのか。そんなもの自分以外にないだろう。

 

『クハ……ハハハハッ!ハハハハハハハハッ!!』

 

正義?それがなんだ、そんな理想で救えるはずなどない。

少なくとも、オレはそれを理解した。

 

あぁ……なら、いっそ……

 

『イイじゃないか……鏖殺しだ』

 

怪物は殺す。一つ残さず全て殺してやる。

オレは正義の味方ではない。オレは……■■■だ

 

───────

 

俺は………誰だったのか……何も思い出せない。

焼き付いているのは、剣が突き刺さる荒野と燃える世界。

 

何も無い。伽藍堂……あぁ……俺はいったい……何を目指していたのだろうか……?

 

───────

 

「ここは……あぁ…そうか、呼ばれたのか……俺は……」

 

何処ともわからぬ場所で佇みながら理解した。

……ナニカに呼ばれ、ナニカを成さねばならぬと。

 

「正解だよー、英霊さん?」

 

「誰だ……?お前は……?」

 

「んー、そうだねー……赤嶺。と名乗っておこうかなー?」

 

男の傍に赤を連想させる服を着込んだ褐色肌の少女が

くすくすと笑みを浮かべて立っていた。

 

「……なるほど、神に引っ張られてきたか」

 

「そうだねー…貴方を排除或いはこちらに引き込めって言われてね」

 

「……ほう、ならばオレを殺すか?」

 

拳銃を取り出して少女をギロリと男は睨みつける。

 

「よしてよー…私は貴方と戦う気なんて更々ないんだから」

 

「そうか…つまらん……」

 

手を挙げ無抵抗をアピールする少女に少し興味を失せ、銃を仕舞う。

……戦う気がないとはつまらんことだ。

 

「まあ……私は抑止力の守護者さんと戦う度胸はないしねー。

幾ら神様のお力をお借りできてても圧倒的に私の方が不利でしょ?」

 

「……勝てない戦いは挑まない主義か。まあいい。否定もせんしな」

 

戦いの経験の数において有利なのは圧倒的にこちらだ。

そういう点では確かに不利だろう。

 

「じゃあ……協力してくれるのかなー?英霊さん?」

 

「…ふん、構わんさ。どうやら共通の目的で召喚されたようだからな

……」

 

「ふふ…良かったー…♪それじゃあ、よろしくね。英霊さん?

……あ、名前はなんて呼んだらいいかなー?」

 

赤嶺と名乗った少女の言葉に、男は腕を組みどうすべきか考える。

……名前、か。既に俺を語るものなど残骸程度でしかない。……ならば、

 

「そうだな………

 

 

───────『無銘(むめい)』。そう呼んでおけ。赤嶺」

 

「……無銘さん……ねー……じゃあ、よろしくね。無銘さん?」

 

何処か悪どい笑みを浮かべて、黒い外套の男は名乗り。それに釣られるように赤嶺という少女も妖しげな笑みを浮かべたのだった。

 

───────

 

樹海と呼ばれる神が作り出した空間の中で

怪物と少女達が戦っている。

 

「コイツら!?前より連携取れてないか!?」

 

「……それだけではなさそうだっ……!的確にこちらの隙をついてくる……はぁっ!!」

 

刀を振るう金の髪に青き装束の少女は乃木若葉、隣に居る盾を構えた橙色の装束の少女は土居球子。

どちらも西暦を生きた勇者である。

 

「もしかして…これも赤嶺ちゃんの仕業かな……?」

 

「何にせよ……厄介極まりないわねっ!そこぉ!」

 

篭手をつけた、桃の髪に桃色の装束の少女、結城友奈に

二刀流で赤い装束を着込んだ三好夏凜が答えながら、怪物、バーテックスを切り裂く。

 

「やっほー、勇者のみなさーん♪」

 

そんな中、ことの元凶と言われていた赤嶺友奈が現れた。

 

「出たわね、赤嶺友奈!」

 

「今日は、なーんの御用なわけ?」

 

ここに居る勇者と呼ばれる少女達が警戒する理由は明白だった。

赤嶺友奈は、彼女達にとっては敵。それだけの話だった。

 

「そんな警戒しなくてもいいのにー。

……今日はもう一度ご挨拶。ああ、私の自己紹介じゃないよ?」

 

赤嶺はクスクスと笑いながら、そんな言葉を告げた。

 

「自己紹介だと……お前以外にもそちら側に降った者がいると?」

 

「正解とも言えるし不正解とも言えるかな?

……ただ、あの人は呼ばれただけ。命じられただけ。

彼は命じられた事は絶対行う人だからねー。まるでロボットでしょ?」

 

心底おかしそうに、赤嶺友奈は嘲笑う。

仲間であろう者の紹介を馬鹿らしそうに嗤っていた。

 

「彼?……男の人?」

 

「「っ………!?」」

 

誰かの呟きに、心当たりがあった二人の少女が身体を竦ませた。

 

「ふふ、せーかいだよ♪

そして……そっちの鷲尾須美ちゃん達にとーっても縁のある人。

誰か分かってるんじゃないかな?東郷美森さん、乃木園子さん?」

 

「…嘘。嘘よ……彼は……どんな事があっても、造反神側につくなんて……」

 

「と、東郷さん?」

 

親友である東郷美森のおかしくなった様子に結城友奈は困惑する。

何度かこんな様子を見た事はあった。だが、今回のは今まででも一番様子がおかしい。と結城友奈は理解出来た。

 

「なにが、言いたいのかな。赤嶺ゆーゆっ!」

 

「あはっ、そんな怖い顔しない方がいいよー?大っきい方の乃木園子さん?

ちっちゃい方の貴女が困惑しちゃうじゃない?

あ、怖い顔しちゃうのも当然だよね。だって、貴女が彼を壊しちゃったんだから?」

 

「っ!お前……!」

 

中学生の乃木園子は、赤嶺友奈は射殺さんとばかりに睨み付けた。

 

「おお、怖い怖い……じゃ、改めて。来てもいいよ?名もなき英霊さん?」

 

「……ふん、随分と長話していたじゃあないか。赤嶺」

 

赤嶺友奈の言葉を合図に、黒い外套を着込んだ少年が現れた。

 

「ごめんねー?この前こてんぱんにされちゃったから

ちょーっと私怨が出ちゃった♪」

 

おかしそうにけらけらと赤嶺友奈は嗤う。

 

「そうか、別に構わんが……時間の無駄だろう」

 

少年はただ当然のように無駄だと言い切る。

彼にとってはそうでしかないから。会話など不要なのだ。

敵に話し合いなど意味は無いと宿る霊基が告げている。

 

「ぁ……うそ……そんな……どうして……っ……?」

 

「っ…………!!」

 

「……ふむ、どうやら其方の勇者の中にはオレを知っている輩がいるようだな。

ならば、自己紹介など不要か。

オレよりも其方の勇者の方が(・・・・・・・・・・・・・)オレに関しては詳しいだろう(・・・・・・・・・・・・・・)

 

事実を当然のように告げる。彼には記憶はない。

故に、自分を知る者が居るならそちら側の方が自分より自分の事は詳しいのだから。

 

「いやいや、そこは答えてあげなよー……そっちの方が面白いし?」

 

「オレは貴様の愉悦対象ではないのだがな。まあいい、ならば自己紹介はしておくとしよう。

……とはいえ、オレを語るものは既にない。いや、とうの昔に無くなったというべきか。ふむ……まあ、無銘とでも呼べばいいだろう」

 

複雑そうに、それでいてどうでも良さそうに。他人事のように、彼は己の名を告げた。いや、既に名ですらない。記憶のない彼に名などないのだから。

 

「………っ、そん……な……」

 

「……ぁ…………」

 

「東郷さんっ!?」

 

「園子っ!?どうしたっ!?」

 

その言葉だけで、二人の勇者が戦意喪失するには充分だった。

当然だ。彼をそこまで堕としたのは、腐り果てさせたのは……他でもないその二人なのだから

 

「……赤嶺。オレは間違えた発言でもしたか?」

 

「してないよー?あの二人が崩れ落ちたのは自業自得。

……錬鉄の英雄を腐り果てさせた原因なんだし」

 

「そうか。オレはアレを全く知らんが(・・・・・・)……

目の前で崩れ落ちると罪悪感を多少なり感じてしまうな」

 

「っ…………」

 

「………ぁ……」

 

少年の発言は蕣の少女と睡蓮、或いは蓮の少女にはトドメとも言えるものだった。

 

「ちょっとあんた!!園子と東郷の友人なんでしょ!?

友人ならもうちょっと声を掛けてやりなさいよ!」

 

「何の事だ?オレは園子と東郷という名に覚えがないが?」

 

「んなっ……アンタねっ!!」

 

「にぼっしーっ!いいの……ごめんね、大丈夫だから…」

 

「園子……っ」

 

「ほぅ、随分と勇ましいな……」

 

乃木園子の無理をして作った笑みを見て

三好夏凜は顔を辛そうに歪ませて、直後に無銘を睨みつける。

その様子を嘲笑うように無銘は見つめていた。

 

「もしかして〜……未来のえみやんなの?」

 

一触即発の空気。そんな中、発言したのは青薔薇の少女、小さい方の乃木園子だった。

 

「えみやん……それが誰かは知らんが、オレを語っていたモノに似ているな」

 

「あれれ〜、人違い?」

 

少し思考したあと、発言する無銘にぽかんとして首を傾げる。

彼女の予想は当たっている。が、その答えを知る二人は答える事はない。

当然、本人も記憶がないのだから知る由もない。

 

「いや、園子さん。流石にあんな不良というかボブっぽいのが士郎とは思いたくないぞ……」

 

「確かに…外国の人間のような容姿をしてないもの、士郎くんは

……東郷さんと園子さんが知っているという事は私達の知人って事なんでしょうけど……少なくともアレは士郎くんじゃないと思うわ」

 

園子の友人である菊の少女、過去の東郷美森……鷲尾須美と

牡丹の少女、三ノ輪銀は否定する。

 

当然だ。あのお人好しの塊である友人がこんなはずが無い。

それでいて、顔に亀裂が入ったような歪に見える容姿もしていないはずなのだから。

 

「こほん。まあ、そんな訳で今日は本当に改めての挨拶だからね。

これでさよならさせてもらうよー?」

 

「逃がすと思っているのか……!」

 

赤嶺友奈が去ろうとし、それを乃木若葉が追い掛けようとするが────

 

「……ふん」

 

「なっ……!?」

 

それを無銘が黒い銃剣から彼女の頭に目掛けて弾丸を放つ事で阻止をする。

精霊バリアにより当たる事はなかった若葉だったが……それ以上に目の前の男に恐怖した。

 

なんの躊躇もなく、銃を撃った事。そして頭部を狙っていた事。

もし精霊バリアがなければ、今この時空にいなければ……?

 

そう、乃木若葉は今の一発で死んでいた。故に、若葉は冷や汗を流した。

それと同時に理解もした。

この男は赤嶺と違う。本気で殺す……いつでも自分達を殺せるのだ。と

 

「存外、精霊とは厄介なもののようだな……」

 

「うっわ、えげつないねー……

精霊バリアなかったら今ので死んでたよ。大英雄様……」

 

面倒くさそうに顔を顰める無銘と

相方の無慈悲さに苦笑いしつつもそれでこそだと微笑む赤嶺。

 

「というわけだ。此処は撤退させてもらおう。無論、邪魔をするのであれば……

何発でも撃ち込むだけだがな」

 

そう言うと、無銘はどこからともなく何かを取り出し、その物体の栓を抜く。

 

閃光手榴弾(スタングレネード)っ!?目を閉じて耳を塞ぎなさいっ!」

 

その物体の事をゲームで知っていた(こおり) 千景(ちかげ)は大声で伝わるように叫ぶ。

 

「えっ……きゃああああああっ!?!?」

 

耳を劈くような轟音と、強い光に視界を奪われる勇者達。

視界が戻る頃には……

 

「……っ、逃げられたわね」

 

「無銘……か、恐ろしいヤツだな……」

 

既に造反神側の勇者の姿は、跡形もなかった。

そして、同時に無銘という男が驚異的だという事が神樹側の勇者達に刻まれるのだった。

 

「…どうして……どうし、て………」

 

「…………っ……私は……」

 

「東郷さん……そのちゃん……」

 

だが、何よりも……神樹側の最高戦力と言える中学生の乃木園子。

そして、カガミブネを使う東郷美森の心が既に折れかかっていることが

……当分の間の問題になるのだろう。幾ら強くとも、まだ子供である少女に叩き付けられた現実は、大き過ぎたのだ。

 

それは、世界の真実と同じ程に───────




無銘

名のなき英雄。言うなれば腐り果てた鉄。
彼はただの少年であり正義の味方に成り果てるはずだった者。

だが、紅い牡丹を救えず間に合わなかったが故に、心が鉄になり徐々に腐っていった。
英霊にも勇者にもなれない、ただの機械となった掃除屋。

必要とあれば悪を為すだろう。


本編との分岐点はわすゆ編11話。間に合うか間に合わなかったか。
それだけである。(本家風の条件なら、三人のうちの誰かの好感度が足りなかった。)


IFルートは初っ端からそのっちと東郷さんの心を叩き折っていくスタイル。
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