すまぬぇ……
あ、樹海の記憶のPSstoreでの配信が
二月末で終わってしまうらしいので早めに買っておくと良いですぞ!
「フッ!」
「抜けた!?」
「ゴール!」
「あちゃー……またゴールか……流石はエース候補!
ほんと、サッカー部に欲しいぐらいだ!」
体育の授業で、サッカーをやっている男子。女子は水泳だ。
「よせ、私はそこまで出来る人間じゃない」
「いやいや、謙遜すんなって……お前のレベルで出来ないとか
他のサッカー部メンバー全員戦力外通告だっての!」
「どうだか、君達なら覚えてしまえば即座に化けると思うがな」
「くーっ、嫌味か!コイツめ!!」
肩を組んで、サッカー部所属の同級生が笑ってくる。
その時、横からふと別の男子が語る。
「しっかし、羨ましいな。衛宮は」
「いきなりなんだ?」
「だって、あの勇者部の部員だろ?」
「「あー……」」
「どういうことだ?」
「いや、だって考えてみろよ。
この思春期の頃に誰とでも分け隔てなく接する
我らがエンジェル結城友奈。
厳しいが、そのバストは豊満であった。な大和撫子の東郷美森。
そして噂の天才編入生、三好夏凜。
更には守ってあげたくなる系妹な犬吠埼樹。
そして、部長はあの面倒見の良さで知られる犬吠埼風先輩。
我が校のアイドル達が全員揃ってる勇者部の部員とか
男の夢じゃねえか!羨ま死ね!!」
熱く語る同級生に呆れてしまう。
「……いや、別にそういうつもりはないんだが」
「なに!?あれだけ居るのにお前は気にもしないのか!?
もしやお前────」
「ちゃんと異性が恋愛の対象だ戯け。
ただ、私からすれば……彼女達は……なんというか……
手間のかかる家族?のような感覚がな……」
「ふむ、そういえば聞くところによれば、
お主は犬吠埼姉妹と同棲してるらしいが……真か?」
「嘘ではないな。まぁ、事情が事情で居候しているだけなのだが」
それを聞いた同級生がポカンとして────
「「なにいいいいい!?」」
「き、貴様!やはり顔か!顔なのか!?」
「いや、コイツの場合は性格もあるぞ!」
「畜生!マジで代われよ!!俺も犬吠埼先輩に養ってもらいてー!!」
「拙者は樹殿に兄と慕われたい!!」
「なんなんだよ、お前ら……」
やたらと一人称とか濃いヤツも居るし面倒ではあるのだが……
まあ悪くない奴らではあるので付き合いはするのだ。
ただ、異性の事になると煩いのが玉に瑕だ。
「なにしてんの、アイツ」
「た、楽しそうだよねー!」
尚、それを友奈達に見られていたのは本人の預かり知らぬ事である。
「仕方ないから、情報交換と共有よ!
分かってる?アンタ達があんまりにも呑気だから今日も来てあげたのよ!?」
そう、三好は煮干を食べながら告げる。
「煮干?」
「なによ!ビタミン、ミネラル、カルシウム、タウリン、
EPA、DHA!煮干は完全食よ!!」
「いや……まあ……良いんだけど……」
「煮干って完全食か……?」
思わず首を傾げてしまった。
カロリーとか諸々足りてない気がするんだが……。
「あげないわよ?」
「要らないわよ……」
「じゃあ、私のぼた餅と交換しましょう?」
「なにそれ?」
「さっき、家庭科の授業で衛宮くんと
沢山作ってしまったのが余ってしまって……」
「いやまさか、自分でもあそこまで熱が入るとは
思っていなくて、ついな……」
家庭科の授業中に東郷と二人で
ぼた餅を沢山作り上げてしまったのだ。
「東郷さんはお菓子作りの天才なんだよ!」
「いかがですか?」
「い、要らないわよ!」
「あ、じゃあ私が食べる」
「お、お姉ちゃん!」
「心配せずとも、全員分あるから気にするな」
「さっすが、士郎!気が利くわねー!」
……そんなわけで。
「良い?
バーテックスの出現は周期的なモノと考えられていたけど
相当に乱れてる。これは異常事態よ。
帳尻を合わせる為に、今後は相当な混戦が予想されるわ」
三好の説明を受けながらぼた餅を食べる他の勇者部メンバー。
「たしかに、一ヶ月前も複数体同時に出現しましたし……」
「情報によれば二年前にも二度、複数体同時に襲撃してきた事が明らかになっている。
つまりは、二年前からこの異常事態は起こり出しているという事さ
相手が本格的にコチラを殺しに来たと捉えるべきか……」
「ま、私ならどんな事態でも対処できるけど……
貴方達は気を付けなさい、命を落とすわよ!」
「い、命……」
樹は怯えるように呟く。
「……そうならない為の精霊だ。
……まあ、もしもの時はなんとかする。安心しておけ」
「あ、ありがとうございます……衛宮先輩……!」
「……フン、まあ良いわ。
他には戦闘経験値を貯める事でレベルが上がり
より強くなる。それを『満開』と読んでいるわ!」
「そうなんだ!」
「アプリの説明にも書いてあるわよ、友奈ちゃん?」
「そうなんだ!?」
「アンタねぇ……」
……満開。
何故か、嫌な予感がした。
使ってはならないようなモノの気がした。
……気の所為だといいが。
「満開を繰り返す事でより強力になる。
これが大赦の勇者システム!」
「へぇ、すごーい!」
「三好さんは、満開経験済みなんですか?」
友奈はメモを取り、東郷は疑問を口にする
「……まだよ」
「なーんだ。アンタもレベル1なら私達と変わりないじゃない!」
「き、基礎戦闘力が桁違いに違うわよ!一緒にしないでもらえる!?」
「まあ、そこは私達も努力次第ってところね。
そういえば、士郎。アンタのはどうなるの?
修復はしたけど、バージョンアップはされなかったのよね?」
「ああ、私のは少々特殊でね。
君達の勇者システムが2世代。先代勇者のシステムが1世代だとするなら
私の使っている勇者システムは1.5世代だ」
「1.5?」
「ああ、1.5世代にも精霊や満開システムは実装されていたらしいが……
私のは正確に言うならば1.5世代αと言うべきかな」
「アルファですか?」
「そうだ。私のシステムには満開が存在しない。
だが、満開の代わりに私が使える切り札を安定させる為に
満開と同じゲージが用意されている。
より、安定させる為に私の場合は両肩に二つずつ。
合計十個分のゲージがな」
一通り、自分の勇者システムに関して説明する。
「なるほどねぇ……」
「あっ、じゃあこれからは
身体を鍛える為に朝練しましょうか!運動部みたいに!」
「良いですね!」
「樹……貴女は朝起きれないタイプでしょう……」
「あぅ……」
「あははは」
「友奈ちゃんもでしょ?」
「はぅっ!?」
「既に二名撃沈してるが大丈夫なのかこれは……」
樹は知っていたが、友奈もだとは……
先が不安である。
「…………なんでこんな連中が神樹様の勇者に選ばれたのかしら」
「なせば大抵なんとかなる!」
「……なにそれ?」
「勇者部五箇条!
大丈夫だよ!皆で力を合わせれば大抵なんとかなるよ!!」
友奈はそう言いながら黒板の上に貼られている
勇者部五箇条を指刺す。
「……なるべく。とか、なんとか。とか
アンタ達らしい見通しの甘いふわっとしたスローガンね。
全くもう……私の中で諦めがついたわ」
三好は大きく溜め息を吐く。
……まあ、たしかに……根性論でなんとも言えないのは分かるがな。
「私らは……そのー……あれだ!現場主義なのよ!!」
「それ、今思い付いたでしょ」
「はいはい、考え過ぎると禿げる禿げる」
「禿げるわけないでしょ!?」
三好は風の言葉に突っかかる。
「はい、それじゃあ次の議題ね。樹」
「はい!」
樹は机に置いてあったプリントを取ってきて────
「────というわけで、今週末は……
子ども会のレクリエーションをお手伝いをします!」
「具体的には?」
「えーっと……折り紙の折り方を教えてあげたり……
一緒に絵を描いたり、やる事は沢山あります!」
「わぁ、楽しそう!」
「苦労しそうではあるがな……」
「夏凜には……そうねぇ……
暴れ足りない子のドッジボールの的になってもらおうかしら?」
「はぁ!?っていうかちょっと待って!?私もなの!?」
抗議しようとする三好に風は昨日三好が書いた、入部届を見せる。
「昨日、入部したでしょ?」
「け、形式上は……」
「此処に居る以上、部の方針に従ってもらいますからねー」
風は勝ち誇った笑みを浮かべてそう告げる。
「それも形式上でしょ!?
それに、私のスケジュールを勝手に決めないで!!」
「夏凜ちゃんは日曜日に用事があるの?」
「いや、別にないけど……」
「じゃあ、親睦会を兼ねてやった方が良いよ!楽しいよ?」
「なんで私が子供の相手なんかを────!」
「いや……?」
「そ、それは……」
友奈の悲しそうな顔を見て言い淀む三好。
……やっぱり根は良いタイプか。
「あーもう!分かったわよ!
日曜日ね!……丁度、その日は空いてるわ」
「良かったー!」
「よし、これで全員揃ってやれるわね!」
盛り上がる勇者部のメンバーに溜め息を吐く三好。
「緊張感のない奴ら……」
「……それで良いんだよ。
気を詰め過ぎると余計に戦い辛くなるだけさ」
「アンタ……気付いてないの?」
「何をだ?」
「……別に、なんでもないわよ」
「そうか……なら良いが……」
彼女が辛そうにコチラを見たのが少しだけ気になった────