同じバーテックスでゲームになるとやっぱり描写が難しいですね……
だいたい簡潔になるけどすまない……
「………くっはぁ!
この一杯の為に生きているようなもんよねー!」
「お姉ちゃん……お酒じゃないんだから……」
「中年のサラリーマンか、君は……」
肉ぶっかけうどんを美味しそうに食べる風に呆れてしまう。
「それはそうと、今後の対策を考える必要がありますね」
「壁って、今も枯れ続けてるんだよね?」
「アンタ達、こんな所でそんな事話したら────!」
「大丈夫だよ。みんな、うどん食べるのに夢中だもん」
友奈の言葉で三好は周囲を見渡す。
事実、客は何事もない様子でうどんを啜っていた。
────何処か、それが異質だった。
「……………はぁ」
ちなみに夢中なメンバーには、
我らが部長もカウントされている。君はこれでいいのか。風。
「このまま壁が全部枯れちゃったらバーテックスが
一気に攻めてきたりするのかな……」
「おそらくだがな……総攻撃をされる事になるだろう。
そうなれば……勝ち目はないかもしれん。
一体一体はなんとかなるレベルも多いが
星屑も含め、全体で攻めて来たら……私達では勝ち目はないだろうな」
消耗戦。……持久戦において、勇者は圧倒的に不利だ。
神樹の加護も樹海で倍増してはいるが、
持久戦になると樹海への侵食が大きくなり過ぎる。
そうなれば、現実で多大なる影響が及ぶ。
……仮に持ち堪えたとしても、その時点で詰みということだ。
「でも、今はまだ耐えてる……」
「壁が崩れ始めた原因は分かったんですか?」
「………うまっ!うまし糧!」
うまし糧て……
「…………。
それは大赦にも分からないって。現在調査中の一点張りよ」
「それに、あの子達……早く助けてあげないと!」
そう、まだあの二人の少女の事もある。
「ずるずる……はふはふ……」
「お姉ちゃん……」
「おいコラ、犬先輩」
「むぐっ!?ゲホッ!?ゴホッ!
へ、変な略し方するんじゃない!」
呆れた三好が変な略称で風の事を呼ぶ。
「大事な話なのに、
ひとりでひたすらうどん食べてるからでしょ!」
「うどん食べながらの方が考えが纏まりやすいのよ!
ゲホゴホ!……少し肺に入った」
「ん、水」
「ゲホッ……サンキュ、士郎」
噎せている風に、水を渡す。
「……それで、考えは纏まりましたか?」
「……東郷はキッツイなぁ」
纏まっていなかったようである。
呆れて、ジト目で見つめる東郷と三好と私だった。
…………これで良いのか勇者部部長。
「ご、ごめんなさい東郷先輩!
お姉ちゃんはきっと、うどんを食べ続けて場の空気を和まそうと……」
「……ん、ゴホン。
現状は謎だらけだけど、女の子をこのまま放っておくわけにはいかない。
今後の戦闘で、また現れたら保護しましょう。
何か知っているかもしれないし」
「ですね!」
「もしかして────彼女達も勇者なのかしら……」
「わ、私は聞いてないわよ!
大赦からは、
……また、違和感があった。何かを忘れている気がする。
勇者……懐かしさがある少女……妙に引っかかる。
「士郎くーん。おーい士郎くーん!」
「ん?……なんだ、友奈」
「うどん伸びちゃってるよ?」
「あ……」
友奈に言われて気付いた。
机に置いていた私のうどんはすっかり伸びきっていた。
「……珍しいわね。結構そういうところ気を付けるのに」
「ああ、少しな……」
「もしかして、体調が悪いの?」
「……いや、そういうわけじゃない。
今の状況に関して色々考えているんだが……
毎回喉に小骨が刺さったような、喉元まで出かかっているような
もどかしい感覚になるんだよ。それが気になってしまってな……」
そう、何度考えても行き詰まる。
……何か大事な部分が抜け落ちたような感覚だ。
「あー……そりゃ気になるわね……」
「……何処が気になったのよ」
「そりゃ、壁が何故枯れ始めたのかとか星屑に関してだが。
一番気になったのは……あの二人が私と東郷の方を見た事か。
偶然と言われればそれまでなんだが……なにか引っかかる……」
そう。あの時何処か悲しそうな表情で東郷と私を見たのがやけに気になった
「衛宮くんも?」
「……その様子だと、東郷もか」
「ええ……あの二人を見てると……何故か懐かしさがこみ上げてきて……」
「……概ね、君と同じだな」
「え?私はそんなことなかったけど……樹は?」
「私もなかったよ。友奈さんは?」
「なかったかな……夏凜ちゃんは?」
「……ないわよ」
「私と東郷だけか……」
……私と東郷の共通点。
勇者。は全員当て嵌る。
料理が得意。……いや、これは風も当て嵌るか。
年齢でいえば……友奈と三好もだ。
他の共通点といえば記憶……
「二年前までの記憶……」
「「────!」」
そうだ。共通点で一番外せないものがあった。
────喪失した、二年前までの記憶。
「衛宮くん……もしかして……!」
「その可能性はあり得るな。……となれば、二年前に私と君は」
「……かもしれない」
「ん?なになに?なんか思い付いたの?」
「ああ、私と東郷だけが感じた事。
だから私と東郷の共通点を探ったんだ。
そしたら、丁度私達にしかない共通点が一つ存在していた」
「えっと……どれ?」
「記憶です。二年前までの……298年の頃の記憶」
「あ……!」
友奈は気付いたらしく声を上げる。
「そういえばそうね……」
「ああ、だから仮説を立てた。
記憶を失う前。つまりは298年の頃の私と東郷は彼女達と会っている。
……この仮説だと、色々と納得がいくんだ」
「つまり……二年前にあの二人と会ってたって事?」
「おそらくはそうなります。あくまで仮説ですが」
「歳の差も身長から考えると殆ど差はないだろうしな」
「……どのみち保護した方が良さそうね。
二人の記憶に関する事も知っている可能性が出たなら……尚更ね」
「……そうなるな」
結局の所、保護。という形で収まった。
「……ふっ、任せておきなさい!
私の尋問で吐かなかった奴はいないわ!」
「いやそりゃ、尋問したことがないからでしょ……」
自分が何やったかわかっとんのか……カツ丼食えよ……
────余計な電波を受信した気がする。
「そんな怖そうなのじゃなくて、
ここで美味しいうどんを食べながらで良いと思うよ?」
「そうね。そうと決まればもう一杯────」
と、そこでタイミングよく樹海化警報が流れる。
「ありゃ……」
「早速おいでなすったわね……」
「お姉ちゃん!うどんは後だよ!!」
「わ、分かってるわよ!それじゃ、勇者部出撃!!」
いつものように樹海に世界が塗り替えられていく
余談だが、この時名残惜しそうにうどんの皿を
何処かの誰かが見つめていた。誰とは言わないが。
「……アイツは」
黄色のバーテックス。蠍座。
────因縁の相手だ。だが、あれはオレが封印を……
「……あっ!皆、あそこ!」
友奈の視線の先には、あの少女達が居て……
「……いけない!」
「た、大変!お姉ちゃん!!」
「マズイわね……あの子達が狙われちゃうわ」
「守りながらの戦闘……?キツイけど、やるっきゃないわね!」
「「────」」
二人の少女は再び姿を消す。
その時、やはり……こちらを見て────
「また消えちゃった!?
バーテックス達も、あの子達に見向きもしなかった……」
「…………また、こっちを見たな」
……懐かしさがある。だがそれ以上に悲しくもあって。
「……とりあえず、目先の事から片付けよう!
今のうちにバーテックスと星屑を倒す!」
「そうですね!
じゃないと、また女の子が出てきた時に危ないですし!」
「そういうこと!行くわよ、皆!!」
全員がそれぞれ武装をして、
星屑を倒しながら蠍座に接近していく。
「ッ!」
「危ないわねッ────!!」
蠍座の叩きつけを私は上空に風は後ろに下がって回避する。
その時、赤い装束の少女が見えて────
「ッ投影、開始────!」
巨大な二本の斧を投影して、蠍座の尻尾を叩き斬った────
「……どうやって、オレは今この斧を」
「ナイス、士郎!
そういう武器があるなら最初から使いなさいって!皆、封印行くわよ!!」
風の合図で封印の儀を行い、蠍座から御霊が出現する。
「わわ、増えた!?」
「……だったらコイツだ。工程完了。 全投影、待機」
その言葉と共に、私の周囲に投影した無数の剣が出現する。
「数には数だ……
停止解凍 全投影連続層写────!」
その無数の剣を御霊に向けて射出する。
「……壊れた幻想」
着弾すると同時に剣を起爆させて、御霊を全て破壊した────
「……これで、殲滅完了ね」
「お疲れ、皆!
……でも、結局あの子達は消えたっきり出て来なかったわね」
「バーテックスに襲われなかったのはよかったんだけど……不思議だね」
「………うーん?」
「友奈ちゃん、どうかしたの?」
「うん……気の所為だと思うんだけど。
さっき倒したバーテックス……前にも見た気がするんだ……
それだけじゃなくて……今まで倒してきたバーテックス達とも
同じように戦ったことがあるような……」
「……友奈ちゃんもなのね。私も、既視感があったの。
断定はできないけど、
以前倒した敵と似ていたからそう感じただけなのかも……」
「あ!な、なるほどぉ〜!そうかも!きっとそうだよ!!」
……今の二人の会話でこの既視感が偽りじゃない事が分かった。
そしてそれは似ていたのではない。
きっと前にも倒していたバーテックスで────
「ふむ……とりあえず戻ろう。
ここで考えてたって仕方ないわ。うどんでも食べれば考えも纏まるわよ」
「あ!賛成です!いっぱい戦ったらお腹が空いちゃいました!」
「ふふ……友奈ちゃんったら」
……そんな彼女達のやり取りを尻目に
先ほどの投影に関して疑問が浮かぶ。
どうやって、知らないはずのあの斧を投影した?
……いったい、どこでアレを見た。
あの赤い装束の少女は……勇者なのか……?
謎は解けることなく、深まっていくばかりだった────
三人目の友奈ちゃんが個人的にドストライクだった。
エミヤと友奈を足して二で割ったらあんな感じなんだろうか……