ようやく、樹海の記憶が後半戦突入します。
……長くなーい?
それは夢だった/それは夢でした
誰かとの記憶だった/誰かとの思い出でした
その中で
少女が語り掛けてくる/悲しそうに告げてくる
『覚めてはダメだ』と/『そのまま……そこにいていいから』と
そして最後に……
アイツは/あの子は
悲しそうに微笑むのだ。
「ふぁ……ふぅ。まだ眠い……」
「私もです……」
昼休み、部室に揃ういつものメンツ。
ただ、数人程疲れた様子を見せていて────
「相変わらずね、二人共。
午後の授業がまだあるわよ?」
「……うぅ……言わないでください〜」
「放課後までが果てしないよ……
お昼休みが永遠に続けばいいのに……」
「樹ちゃんの意見に大賛成だよ……」
「この子達は……」
ため息を吐く風。
「なに?夜更かしでもしたの?
だったら、いいサプリがあるわ。私が独自に調合したやつなんだけど……」
「いや、ただの低血圧だと思うけど……
朝にめっぽう弱いのよ、樹の方は特に」
「なんだ、だったらもっと簡単だわ。
この、一粒で一日分の鉄分が補える────」
「いや、それはいいだろ……くぁ……」
思わず大きく欠伸をしてしまう。
「って、士郎。あんたもかい」
それを見て、呆れた様子の風。
「いや……ここのところ奇妙な夢を見てね……中々寝付けないんだ。
懐かしいんだが……妙に悲しい夢だ」
そう、それが原因で中々寝付けないのである。
「衛宮くんもなの?
……私も最近変な夢を見て、中々寝付けないのよ。
ここ最近、何度か夜更かししてしまって……」
「……説明してる最中だったんだけど。
でも、ふーん、東郷が夜更かしとはね。だったら、この特別調合の────」
「それってどんな夢?」
「ちょっ……!?」
「……夢の内容ですか?……見覚えのない女の子が出てきて、
それで『そのまま……そこにいていいから』────って
私に告げて、消えていくんです」
「「「「「…………!」」」」」
東郷が語る夢の内容は、私と同じだった。
ただ、少しだけ違うところがあるが……ほとんど変わらなくて────
「え?……それって、私も同じような夢を見ました。
……お姉ちゃんも見たって」
「うそ……アンタ達も見たの!?」
「その夢……私も見た事あるかも……」
「全員揃って、同じ夢とは……穏やかではないな」
「…………」
そう、同じ夢を見るという確率はほとんどない。
しかも接点がある人同士であれば尚更だ。
ここに居る全員が見た事があるというのは……異常だった。
全員が難しい表情になる。
「お、お姉ちゃん……」
「東郷、もしかしてその夢に出てきた女の子って────」
風がそこまで言うと、遮るように樹海化警報が鳴り響く。
「っ!樹海化警報!?」
「わぁ!?目が覚めた!!」
「わ、私もです……!」
「どうであれ、さすがは警報。
目を覚ましやすいように設定されているな」
眠気が吹き飛んだ事に関心してしまう。
「いや、それ今言う……?
にしても、タイミングが悪いわね!言いたい事ぐらい言わせて欲しいわ!
……この話の続きはバーテックスを倒してからにしましょうか」
「……はい」
「ほらほら低血圧達!
目が覚めたんならさっさと行くわよ!!」
「夏凜さん、なんだかカリカリしてます……」
「サプリの話ができなかったからだよ。きっと」
まあたしかに、連続で遮ってきたしなぁ。
「べ、別にそんなんじゃないわよ!?」
「まあ、最近モヤッとしたことばっかりで
夏凜がカリカリする気持ちも分かるわ」
「アンタはバカにしてるでしょ!?」
「さあ!勇者部出撃!
問題山積みなんだから、さっさとバーテックスを倒して戻ったら作戦会議よ!」
「話逸らしわたね!?
犬先輩め、後で覚えておきなさいよ……!」
「よーし!行こう、樹ちゃん!」
「はい!友奈さん!」
「すっかり目が覚めたみたいね」
気合い充分な友奈と樹を見て、三好は満足そうに笑う。
「樹の目覚まし時計の音、
今度から樹海化警報する音にしておこうかしら……」
「や、やめてよ〜!?
寝起きにあんな音聞いたらまた夢の中に戻っちゃうよ!?」
「それはただの二度寝じゃ……」
「……というか、心臓に悪いから絶対にするなよ?」
「……それもそうね」
警報が朝に毎回鳴り響くのはさすがに心臓に悪すぎる。
「そういえば、さっきの夢の話……
夢に出てきた女の子って、なんだかここで会った子に似てる気が……」
「……いかんいかん!
あれこれ悩むのは敵を倒してからよ!手早く済ますわよ、皆!」
バーテックスの方に視線をやる。
……青いバーテックス。射手座。
……間違いない、あれは私と東郷で倒したバーテックスだ。
「この既視感は気の所為じゃなかったか」
でも、何故倒した奴らが……
復活するにしても、時間はかなり掛かる筈。
どうやって……
「考えるのは後か……
蟹座がいない……つまりはアイツの矢は予想できる。
これだけでも随分と楽になるな」
そう、射手座の攻撃は数だ。
だが、奴の矢は避けれない速度で接近はしてこない。
だからこそ、蟹座のアシストがないだけで簡単に立ち回れる。
「数だけは多いわね!
……まあ、変な起動しない分避けるのは楽だけど!!」
三好の言葉に同意する。
蟹座と射手座のコンビが厄介だというのがはっきりわかるな……
「……今」
東郷がこちらにヘイトが集中しているその隙を狙って、射手座を撃ち抜く。
「よし、今!樹、友奈、夏凜!封印の儀。行くわよ!」
「うん!」「はい!」「分かってるっての!」
射手座から御霊が現れる。
────御霊は再び、高速で移動しだす。
「早い!」
「東郷、抑えてくれ!オレが行く────!」
「了解!」
東郷が狙い撃ち、御霊の動きが止まる。
「距離があるなら────」
槍を持つ、紫の装束の少女が見えた。
「────投影、開始」
紫の槍を投影し、御霊に向ける。
すると、紫の槍が伸び……御霊を貫いた────
「────この前と同じ」
……知らないはずの武器。それを私は投影した。
睡蓮の花の装飾がつけられた紫色の槍……
覚えがないはずなのに、何故か懐かしくて。
「よし、全部やっつけたわね。
さっさと帰って作戦会議……と言いたいところだけど……」
「……風、アンタも感じた?
あのバーテックスって────」
「ええ……アレは私達が前に戦ったバーテックスだったわ……」
「や、やっぱり……」
「……なんで今まで気付けなかったのかしら」
現状を知り、全員が黙り込んでしまう。
仕方ないといえば、仕方ない。
そうなるように仕向けられていたのだろう。
「お、おかしいよねこれって……?
一度倒したバーテックスが、また出てくるなんて……
ど、どうしましょう、風先輩……」
「お姉ちゃん……」
「ん〜……うどん分が足りないわ……
友奈もそう思わない?」
「………え?あ、ハイ!足りてないと思います!」
「はい!?」
「わ、私もそう思います!」
「ちょっと、樹まで……」
「……はぁ」
「東郷、アンタは私と同じ意見みたいね。
こいつら緊張感が足りないにも程が────」
「私もうどん分が足りてないと思います」
「アンタも!?」
……三好と私以外が風の意見に賛同する状況だった。
「よし!じゃあみんなでうどんだ!
うどんを食べれば何か閃くかもしれないわ!」
「おー!」
「なるほど……気張りすぎるなって事か。
流石は勇者部部長ってところね」
「いや、コイツはただうどんを食べたいだけだと思うぞ」
「私も衛宮先輩と同意見です……」
「……そこは否定してあげなさいよ。友人と妹として」
悲しい事に、彼女に関しては
否定できない材料が揃い過ぎているのである。
是非もないネ。
赤奈ちゃんの掘り下げ来たら、番外編で書くかもしれない(未定)