衛宮士郎は正義の味方である   作:星ノ瀬 竜牙

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おまたせ。

ようやく、樹海の記憶が後半戦突入します。
……長くなーい?


第三十一話 樹海の記憶 E.S√ EP.4

それは夢だった/それは夢でした

 

誰かとの記憶だった/誰かとの思い出でした

 

その中で

 

少女が語り掛けてくる/悲しそうに告げてくる

 

『覚めてはダメだ』と/『そのまま……そこにいていいから』

 

そして最後に……

アイツは/あの子は

悲しそうに微笑むのだ。

 

────────

 

「ふぁ……ふぅ。まだ眠い……」

 

「私もです……」

 

昼休み、部室に揃ういつものメンツ。

ただ、数人程疲れた様子を見せていて────

 

「相変わらずね、二人共。

午後の授業がまだあるわよ?」

 

「……うぅ……言わないでください〜」

 

「放課後までが果てしないよ……

お昼休みが永遠に続けばいいのに……」

 

「樹ちゃんの意見に大賛成だよ……」

 

「この子達は……」

 

ため息を吐く風。

 

「なに?夜更かしでもしたの?

だったら、いいサプリがあるわ。私が独自に調合したやつなんだけど……」

 

「いや、ただの低血圧だと思うけど……

朝にめっぽう弱いのよ、樹の方は特に」

 

「なんだ、だったらもっと簡単だわ。

この、一粒で一日分の鉄分が補える────」

 

「いや、それはいいだろ……くぁ……」

 

思わず大きく欠伸をしてしまう。

 

「って、士郎。あんたもかい」

 

それを見て、呆れた様子の風。

 

「いや……ここのところ奇妙な夢を見てね……中々寝付けないんだ。

懐かしいんだが……妙に悲しい夢だ」

 

そう、それが原因で中々寝付けないのである。

 

「衛宮くんもなの?

……私も最近変な夢を見て、中々寝付けないのよ。

ここ最近、何度か夜更かししてしまって……」

 

「……説明してる最中だったんだけど。

でも、ふーん、東郷が夜更かしとはね。だったら、この特別調合の────」

 

「それってどんな夢?」

 

「ちょっ……!?」

 

「……夢の内容ですか?……見覚えのない女の子が出てきて、

それで『そのまま……そこにいていいから』────って

私に告げて、消えていくんです」

 

「「「「「…………!」」」」」

 

東郷が語る夢の内容は、私と同じだった。

ただ、少しだけ違うところがあるが……ほとんど変わらなくて────

 

「え?……それって、私も同じような夢を見ました。

……お姉ちゃんも見たって」

 

「うそ……アンタ達も見たの!?」

 

「その夢……私も見た事あるかも……」

 

「全員揃って、同じ夢とは……穏やかではないな」

 

「…………」

 

そう、同じ夢を見るという確率はほとんどない。

しかも接点がある人同士であれば尚更だ。

 

ここに居る全員が見た事があるというのは……異常だった。

 

全員が難しい表情になる。

 

「お、お姉ちゃん……」

 

「東郷、もしかしてその夢に出てきた女の子って────」

 

風がそこまで言うと、遮るように樹海化警報が鳴り響く。

 

「っ!樹海化警報!?」

 

「わぁ!?目が覚めた!!」

 

「わ、私もです……!」

 

「どうであれ、さすがは警報。

目を覚ましやすいように設定されているな」

 

眠気が吹き飛んだ事に関心してしまう。

 

「いや、それ今言う……?

にしても、タイミングが悪いわね!言いたい事ぐらい言わせて欲しいわ!

……この話の続きはバーテックスを倒してからにしましょうか」

 

「……はい」

 

「ほらほら低血圧達!

目が覚めたんならさっさと行くわよ!!」

 

「夏凜さん、なんだかカリカリしてます……」

 

「サプリの話ができなかったからだよ。きっと」

 

まあたしかに、連続で遮ってきたしなぁ。

 

「べ、別にそんなんじゃないわよ!?」

 

「まあ、最近モヤッとしたことばっかりで

夏凜がカリカリする気持ちも分かるわ」

 

「アンタはバカにしてるでしょ!?」

 

「さあ!勇者部出撃!

問題山積みなんだから、さっさとバーテックスを倒して戻ったら作戦会議よ!」

 

「話逸らしわたね!?

 

犬先輩め、後で覚えておきなさいよ……!」

 

────────

 

「よーし!行こう、樹ちゃん!」

 

「はい!友奈さん!」

 

「すっかり目が覚めたみたいね」

 

気合い充分な友奈と樹を見て、三好は満足そうに笑う。

 

「樹の目覚まし時計の音、

今度から樹海化警報する音にしておこうかしら……」

 

「や、やめてよ〜!?

寝起きにあんな音聞いたらまた夢の中に戻っちゃうよ!?」

 

「それはただの二度寝じゃ……」

 

「……というか、心臓に悪いから絶対にするなよ?」

 

「……それもそうね」

 

警報が朝に毎回鳴り響くのはさすがに心臓に悪すぎる。

 

「そういえば、さっきの夢の話……

夢に出てきた女の子って、なんだかここで会った子に似てる気が……」

 

「……いかんいかん!

あれこれ悩むのは敵を倒してからよ!手早く済ますわよ、皆!」

 

バーテックスの方に視線をやる。

……青いバーテックス。射手座。

 

……間違いない、あれは私と東郷で倒したバーテックスだ。

 

「この既視感は気の所為じゃなかったか」

 

でも、何故倒した奴らが……

復活するにしても、時間はかなり掛かる筈。

どうやって……

 

「考えるのは後か……

蟹座がいない……つまりはアイツの矢は予想できる。

これだけでも随分と楽になるな」

 

そう、射手座の攻撃は数だ。

だが、奴の矢は避けれない速度で接近はしてこない。

 

だからこそ、蟹座のアシストがないだけで簡単に立ち回れる。

 

「数だけは多いわね!

……まあ、変な起動しない分避けるのは楽だけど!!」

 

三好の言葉に同意する。

蟹座と射手座のコンビが厄介だというのがはっきりわかるな……

 

「……今」

 

東郷がこちらにヘイトが集中しているその隙を狙って、射手座を撃ち抜く。

 

「よし、今!樹、友奈、夏凜!封印の儀。行くわよ!」

 

「うん!」「はい!」「分かってるっての!」

 

射手座から御霊が現れる。

────御霊は再び、高速で移動しだす。

 

「早い!」

 

「東郷、抑えてくれ!オレが行く────!」

 

「了解!」

 

東郷が狙い撃ち、御霊の動きが止まる。

 

「距離があるなら────」

 

槍を持つ、紫の装束の少女が見えた。

 

「────投影、開始」

 

紫の槍を投影し、御霊に向ける。

すると、紫の槍が伸び……御霊を貫いた────

 

「────この前と同じ」

 

……知らないはずの武器。それを私は投影した。

睡蓮の花の装飾がつけられた紫色の槍……

覚えがないはずなのに、何故か懐かしくて。

 

「よし、全部やっつけたわね。

さっさと帰って作戦会議……と言いたいところだけど……」

 

「……風、アンタも感じた?

あのバーテックスって────」

 

「ええ……アレは私達が前に戦ったバーテックスだったわ……」

 

「や、やっぱり……」

 

「……なんで今まで気付けなかったのかしら」

 

現状を知り、全員が黙り込んでしまう。

仕方ないといえば、仕方ない。

そうなるように仕向けられていたのだろう。

 

「お、おかしいよねこれって……?

一度倒したバーテックスが、また出てくるなんて……

ど、どうしましょう、風先輩……」

 

「お姉ちゃん……」

 

「ん〜……うどん分が足りないわ……

友奈もそう思わない?」

 

「………え?あ、ハイ!足りてないと思います!」

 

「はい!?」

 

「わ、私もそう思います!」

 

「ちょっと、樹まで……」

 

「……はぁ」

 

「東郷、アンタは私と同じ意見みたいね。

こいつら緊張感が足りないにも程が────」

 

「私もうどん分が足りてないと思います」

 

「アンタも!?」

 

……三好と私以外が風の意見に賛同する状況だった。

 

「よし!じゃあみんなでうどんだ!

うどんを食べれば何か閃くかもしれないわ!」

 

「おー!」

 

「なるほど……気張りすぎるなって事か。

流石は勇者部部長ってところね」

 

「いや、コイツはただうどんを食べたいだけだと思うぞ」

 

「私も衛宮先輩と同意見です……」

 

「……そこは否定してあげなさいよ。友人と妹として」

 

悲しい事に、彼女に関しては

否定できない材料が揃い過ぎているのである。

 

是非もないネ。




赤奈ちゃんの掘り下げ来たら、番外編で書くかもしれない(未定)
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