日常編がなんかガバガバだけど許して!
あっそうだ、お気に入り70超えありがとうございます!
正義とは、具体的に何を指すのだろうか。
そんな疑問を持つのはおかしな事ではない筈だ。
西暦時代の中でも、
「昭和」と言われる時代に
流行ったヒーローもので
よく見る勧善懲悪としての正義もあれば、
「平成」以降になってから出てきた、
各々の正義のぶつかり合い。
自分にとっては悪でも、
他人から見たら正義。という事例もある。
こうして見るとやはり正義とは難しいものだ。
……だからこそ、改めて思う。
万人の正義の味方になるのは不可能だと。
なのに何故だろうか、■はソレに憧れてしまっていた。
不可能な筈のソレに
今となっては理由も、意味も、何も■い■せない。
だって、今のオレは……
理■も■想も■け■きた、ただの■■■なのだから────
「それで、勇者である乃木さん、鷲尾さん、三ノ輪さんと
協力してバーテックスと戦ったのね?」
「はい、まぁ……そんな感じです……はい」
今、オレは……学校の多目的室で正座させられている。
理由は単純。自分が今日仕出かした事だ。
勇者システム?というモノを持ってない人間であるオレが
バーテックス(先の戦いの巨大な敵達の通称らしい)と
戦った事によるお叱りである。
「自分がどれだけ危ない事をしたか分かってる?」
「それに関してはもうしっかりと……ごめん、安芸ねえ」
頭を抱えて、安芸ねえが辛そうな表情でこちらを見てくる。
「貴方が死んだら……
二人にどんな顔をして会えば良いと思ってるのよ……」
「ごめんなさい……」
涙声になっていた安芸ねえに
オレは素直に謝罪するほかなかった。
「とにかく、お説教はここまでにしておくわ
……戦うな。って言っても、
樹海化に巻き込まれてしまう以上、私達ではどうしようもないし……
男の勇者っていうのも前例がないから……
大赦側も貴方の扱いにはかなり困っているみたいよ」
「そうなのか……」
「そうなのかって……
士郎、貴方がした事は本来、有り得ない事なのよ?
バーテックスは勇者でしか倒せない。
それは歴史上でもわかっている事。
なのに、貴方はその歴史を簡単に覆してしまった。
簡潔に言えばイレギュラーなの。
今、貴方は瀬戸際に立たされてるわ
……このまま、彼女達と戦うか。
それとも……何事もなかった事にして日常で過ごすか」
安芸ねえの言葉に息を呑む。
そこまで重大なのか……
でも、オレの選択肢は決まってる────
「安芸ねえ、オレは────」
「分かってるわよ。
……どうせ、三人を助けたい。ってところでしょ?」
「……さすが、安芸ねえ。よく分かったな」
「当然よ、何年貴方と一緒に居ると思ってるの?
お見通しよ、士郎が考えてる事ぐらい
良いわ、好きにしなさい。
きっとあの二人も止めたりはしないだろうし」
「そうだよな、やっぱり駄目って言うよn……
……え?今、なんて?」
「聞こえなかったの?
好きにしなさい。って言ったのよ
貴方の性格を知ってる身としては……止めても無駄って分かってるもの」
どうやら、完全にバレてたらしい
ほんと、流石安芸ねえだよなぁ……
「ありがとう、安芸ねえ」
「ただし、無茶はしないこと。
後、鷲尾さん、乃木さん、三ノ輪さんの事もお願いね」
「分かってる、無茶はする気ないし……三人の事も任せとけって」
それに、この戦いの中で……
いつかオレのこの力。
そして、アイツの事が分かるかもしれないからな。
それはそうと────
「あの、安芸ねえ……」
「なに?」
「正座解いて良いですか?」
「フフフ、駄目♪」
「ですよねぇ……」
どうやら、安芸ねえは
ムカ着火ファイヤーまでは到達してたらしい。
……笑顔が凄く、怖いです。
────
「ふぃー!検査終わったー!
……うぉ!?士郎が真っ白に!?いったい何事!?」
「」
「えみやん、安芸先生にこってり絞られてたんよ」
「……私達の検査中もずっと説教されてたらしいわ」
「うわぁ……そりゃ御愁傷様な事で……」
「うるへー……オレはただ巻き込まれただけなのに
こうなってるんだからとばっちりも良いとこだっての……」
ほんと、鷲尾と園子の検査が終わっても
説教され続けたこっちの身にもなれ。マジで。
恥ずかしくて死にそう。
その時、鷲尾がふと発言した。
「……ねえ、衛宮くん、乃木さん、三ノ輪さん」
「ん?」
「ほぇ?」
「んあ?」
鷲尾の意を決したような様子を見て首を傾げる。
何か重大発表でもあるのか……?
「その……良かったら……
これから祝勝会でもどうかしら……!」
「「「────」」」
意外……だった。
あの生真面目の塊である
鷲尾から誘われるのは予想できなかった。
全員が絶句して、
その反応がまずかったのか
鷲尾が少し落ち込みそうになって────
「オレは良いと思うよ、祝勝会
銀と園子はどうだ?」
「良いに決まってるじゃん。
私も祝勝会挙げたかったんだよね!」
「やったー!祝勝会だー!!」
「……!!」
オレの言葉に続く形で銀と園子が賛成する。
その様子を見て、鷲尾は顔を輝かせた。
「あ、私から提案!
祝勝会にはさ……皆でイネスのフードコートに行こうよ!!」
「フードコートか……良いな、オレは賛成だ」
「フードコートね……」
「やったあ!じゃあイネスのフードコートで祝勝会だ〜!
で〜、イネスのフードコートって何処〜?」
「「だぁっ!?」」
園子の平常運転の天然発言に思わず、銀とオレはズッコケる。
その様子を見てクスクスと笑う鷲尾と
オレ達がズッコケた姿を見て
?が浮かび続ける園子が居たのは余談だ。
────
「そんな訳で、フードコートにやってきましたってな」
「えみやん〜、誰と話してるの〜?」
「
「ほえ〜?」
「ハハハ、分からない方が良い事だよ」
オレの言葉を理解できない様子で???を浮かべる園子に
苦笑いするのだった。
「お待たせ!」
「遅くなってごめんなさい」
銀と鷲尾がオレと園子が取っていた
四人分の席の空いている場所に座る。
「いや、気にするな……ここ結構混むしなぁ……」
昔からあまり変わっていないフードコートに安心した。
前に来たのって何年前だっけ……
親父と母さんが仕事忙しくなかった頃だから……
もう六年以上前か。
随分と時が経つのは早いなぁ……。
「ん?士郎、どした?遠い目してるけど」
「別に、時の流れは早いなぁ……って思っただけさ」
「なんだそれ?おじいちゃんみたいな事、言うんだな」
「む、悪かったな、年寄り臭くて……
どうせ、オレは縁側で煎餅齧りながら、
お茶を啜るのが趣味ですよーだ」
「いや、別にそういうわけで言ったんじゃ……
悪かったって、拗ねんなよ〜」
少し、ムスッと拗ねる。
オレだって好きでこんな感じになった訳じゃない。
知らず知らずのうちにそうなっただけだ。
多分、親父がそういうのタイプだったからだと思うが。
まだ三十代前半なのに既に縁側でお茶啜りだしな……親父……
たまにどこからともなく饅頭取り出してるし。
既に本格的なおじいさん思考じゃないか……。
「意外ね……」
「ん?そうか?」
鷲尾が驚いたようにこちらを見る。
「えぇ、衛宮くんはそういうものに縁がないとばかり……」
「あー分かる。私も最初はそう思ってたもん。
でも、蓋を開ければ……大きなお屋敷に住んでて
縁側でお茶啜ってたりするもんなぁ……ビックリしたよ」
「へーへー、悪うござんした。
どーせ、今時の小学生っぽくないですよ。オレは」
「いえ、貶している訳じゃないわよ。衛宮くん。
────そういうの凄く素敵よ!!」
「なんだろう、オレなんとなく鷲尾の事分かってきた気がする」
目を輝かせて、こちらを見てくる鷲尾に
少し引きながら苦笑してしまった。
たまに居るよね、こういう洋風とかが嫌いで和風大好きな人。
今じゃ殆ど見かけないけど。
「じゃあ改めて、取り仕切らせてもらうわ」
鷲尾はそう言い、1枚の紙を取り出す。
……台本用意とかちゃっかりしていらっしゃる。
「え、えーっと……今日という日を無事に迎えられた事を
大変嬉しく思います。えっと……本日は大変お日柄も良く
神世紀298年度、勇者初陣の祝勝会ということで
お集まりの皆様には今後益々の繁栄と健康を
そして明るい未来を────」
「鷲尾、ごめん、ちょっと堅苦しいぞ……」
なんというか、祝勝会というより
会社の忘年会とかを連想させる内容だった。
「そうそう、堅苦しいのは無しだって!乾杯!」
銀がオレの言葉に同意してから、
先程買ったドリンクを飲む
うん、お前はお前でお気楽過ぎじゃあありませんかね……
「ありがとうね。シオスミ!
私もシオスミを誘うぞ誘うぞって思ってたんだけど
中々言い出せなかったら……凄く嬉しいんだよ〜!」
「ああ、鷲尾さんから誘って来るなんて初めてじゃない!?」
「実はそうなんだよ〜!」
「いや、そりゃそうだろ。合同練習もなかったんだろ?
まぁ、行く機会はその気になればあっただろうけど……
この一件が始まるまでは殆ど接点なんてないようなもんだっただろうし」
「あー、そうだよなぁ……」
「そうなのよね……
目下のところは其処が問題になりそうね」
オレの言葉に、銀が苦笑し
鷲尾が真面目に返答する。
バーテックスがこちらに来るのは周期があるらしい。
なので、現状はおそらく……
次のバーテックスが来るまでに連携が出来るようになることだろうか。
オレの分も何処かのタイミングで勇者システムが作られるらしい。
急造になる為、三人より性能が劣化する事を想定しておけとの事だった。
幸い、この投影魔術のおかげでシステム面で性能が落ちていても
なんとか補えるだろう。
「それはそうと……乃木さん」
「ん?なーに、シオスミ?」
「その……シオスミって呼び方はやめて欲しいわ……」
「えっ、じゃあねぇ……
うーん……ワッシーナとか……アイドルっぽくない?」
ワッシーナって……
平成のアイドルにそういうのが居たって記録があったような……
「それもやめて……乃木さんも、ソノコリンとか、嫌でしょう?」
「わー!素敵!!」
「ごめんなさい忘れて」
「アハハ……」
「相変わらず独特な感性持ちだな……園子は……」
冗談で鷲尾が言ったあだ名に目を輝かせる園子に
オレと銀と鷲尾は苦笑いする。
うん、相変わらずだな。
「ほぇ〜?どういう事〜?」
「今のままのお前で良いって事だよ」
オレはクスりと笑って、園子の頭を撫でる。
「ん〜……♪」
撫でられて、頬がだらしなく緩む園子。
「まるで面倒見の良い兄と甘えん坊の妹ね」
「そうだなぁ……羨ましい……」
オレと園子のやり取りを見て鷲尾がそんな事を呟いてくる。
たしかにオレ……園子の事を妹みたいに思ってる節があるなぁ。
と、その時、何かを閃いたのか目を見開く園子。
「あっ、そうだ〜。閃いた!わっしーでどう?」
「うーん。まぁ変なのになるよりか……」
「よーし、じゃあこれから宜しくね、わっしー!」
……うーん、近くに居るのにこの除け者感。
「なあ、士郎……私ら除け者にされてないか?」
「言うなって……ちょっと寂しいんだから。
ていうか……なんで頭こっちに寄せてるんだよ、銀」
「そりゃあ……撫でられたいなぁって……」
「えぇ……まあ良いけども……」
「やった♪」
そのまま流されて、オレは銀の頭を撫でるのだった。
ちなみにその後……園子に、気付かれて
もう一回撫でてとか言われたのは余談だ。
────
「で、どう、どう?ここのジェラート、めっさ美味しいでしょ?
イネスマニアの私、イチオシだからね」
「最高だよ、最高だよミノさん、クレープもいいけど、
ジェラートも、こんなにいいモノだったんだね〜」
銀の言葉に、園子は目に涙を浮かべていた。
まあ、たしかに此処のジェラート美味しいよな。
六年前に食べた以来全然食べてないけど。
久しぶりに食べれて良かった。
ちなみにオレは、抹茶チョコだ。
この味だけは譲れない。
はいそこ、渋いとか言わない。美味しいんだから。
「あはは、てかなーんで少し泣いちゃってるのさ。
乃木さんってば」
「私ね、お母さんとデパート行った時にね、
食べたクレープが美味しかったから……
それ以上に美味しいおやつはないって思ってたんよ〜
だから、新発見なんだよね〜。嬉し泣きだよ〜」
「へー、友達とかと来た時に、食べたりしなかったの?」
「あー……園子はザ・お嬢様だからな……
中々そういう機会はないらしいんだよ。
お金持ち故の悩みってところかね」
「そうなんよ〜、私、あまり友達いないから〜……。
あっ、でもこの前、えみやんと一緒に来たよ!
ね〜、えみやん」
「そうだな。……それで鷲尾はなんでずっと難しい顔をして、
ジェラートにガンつけて固まってるんだ?」
ジェラートと睨めっこしている鷲尾を見る。
はて、何故だろうか。
「わっしーにはジェラート合わなかった〜?」
「合わないどころか……
宇治金時味のジェラートが……とても美味しくて……」
神妙な面持ちで鷲尾は答える。
「イェーイ。気に入ってくれたなら嬉しいね」
「それなのに、なんで難しい顔してるの〜?」
「私は、おやつは和菓子か、
せいぜい、ところてん派だったから。
それがこの味……僅かに揺らいだ私の信念が、情けなくて……」
……やっぱり、鷲尾は横文字苦手なタイプか。
別に揺らいでも良いと思うけどなぁ。
「なんだかわっしーが難しい事を言ってる」
「美味かったなら、それでいーじゃん。ね?」
「だな、美味しければそれで良しだ」
「そうだよ〜。はふぅ、幸せ……メロン味大正解〜」
本当に幸せそうだなって……口についてる。
「ほら、園子。こっちに顔向けろ。
口にジェラートついてるから」
「わぁ〜、ありがとう〜えみやん」
オレが園子の口についていたジェラートを
ハンカチで拭き取るとボソリと銀がボヤく
「……オカン」
銀、シャラップ。
それ最近、他の友人にも言われるようになって
気にしてるんだって……
「……そうね。確かに考え方の固さは実戦において、
命取りになるかもしれない……。素直に美味しく食べるわ」
オレ達に言われ、鷲尾はジェラートを大人しく頬張る。
あ、頬緩んだ。……幸せそうですね。
「この、ほろ苦抹茶と餡子の甘さが織り成す、
調和が絶妙だわ……うん、うん……」
年相応の笑顔を浮かべ、鷲尾は口を動かし続ける。
良い笑顔だ。うんうん、若者は笑顔が一番。
……あれ?今のなんか年寄り臭かったような。
「はは、なんだか、鷲尾さんって面白いな!」
「ね〜、もうちょっと怖い人かと思ってた〜」
「……怖いって言うよりかは
真面目過ぎるって感じだぞ、鷲尾は」
ム、と少し怒ったような様子で軽く頬を膨らませる鷲尾。
……これ失敗したか、オレ。
って、すぐにジェラートの方に集中していらっしゃる。
よっぽど美味しかったのな……それ。
「なんだか、わっしーの食べっぷりを見たら
宇治金時味も美味しそう…」
物欲しそうな目を鷲尾に向ける園子。
あ……これは……
「じゃあさ、一口貰えば良いじゃん。
鷲尾さん、恵んであげなよ♪」
銀が、けろっとそんな事を言った……って、躊躇なしか!?
「え、えぇと〜……
こういうの、初めてで、緊張する所でもあるけど、
憧れでもあるので、ここはひとつお言葉に甘えて……
頂きます〜っ」
園子はそう一方的に言って口を開けた。
「………!?
ッ────!?!?!?」
あっ、鷲尾がフリーズした。
まぁ……そりゃそうか。
アイツ、昼食の食べ方とか凄い綺麗だし……
礼儀作法とかそういうのには厳しそうな感じなんだろう。
「………」
……視線をこっちに向けて助けを求めてきた。
ここは敢えて肩を竦めて苦笑い。
銀は銀で、ニシシと笑っており
オレと銀の様子で無理と諦めたのか、
鷲尾はスプーンでジェラートを掬いとって、
それを恐る恐る園子の口に運んだ。
「……もむ……んむ……、うん、美味しい〜!」
良い笑顔が咲き誇った。
SEがつくなら〈ぱぁっ〉といった感じだろうか
「じゃあじゃあ私のも食べてみて、わっしー」
園子はそう言って、
メロン味のジェラートがのったスプーンを、
鷲尾の前に差し出す。
「わっしー、あーんだよ、あーん〜」
「!?!?」
あっ、またフリーズした。
……大丈夫、はしたなくはないと思うよ!
最近の人って普通にするらしいし!
「………」
……だからこっちに視線をやるなって。
諦めろ、鷲尾。メロン味を受け入れなさい。
目が微妙に輝いてるのオレは気付いてるから。
目は口ほど物を言ってるから。
美味しいもんね、メロン味。仕方ないよネ。
「あ、あーん……」
覚悟を決めた鷲尾は……こうして、公衆の面前で餌付けされたのだった
「わぁ〜、初めての共同作業だね〜!わっしー!」
「はじっ!?きょうっ!?□%#〇※!?」
何処の言語か分からなくなってますよ鷲尾さん。
「初々しいな!恋人かよ!!」
「ヒュー……♪」
銀とオレは笑いながら冷やかすのだった。
揶揄いたくなるよな。こういうの見ちゃうと。
「メロン味も……美味しいわね」
「だよねだよね〜」
「ふふん、確かに宇治金時味もメロン味も
超素敵な味だよ。それは認めよう!」
「急に上から目線ね……」
「おー、ミノさん偉そう〜♪」
「いや、偉そうって……コホン!
でもね、お二人さん!このフードコートで最強は、
アタシが食べてる────」
「醤油味のジェラート。って言いたいんだろ、銀?」
知ってる。オレがイネスに買い物に来てる時
たまにお前を見掛けてたけど、
見掛ける時、基本醤油味のジェラート食べてるよな。お前。
「だぁっ!?……私の台詞取るなよ〜……しろう〜
……まあ、良いから食べてみなさんなって!」
銀は少し、いじけてから
園子と鷲尾の口に、その醤油味ジェラートをねじ込んだ。
「どうどう?ピッカーンときた、乃木さん?」
「……うぅーん〜……なんだか難しい味だね〜」
「いい味だけど大人向けかもしれないわね」
「あんれぇ?鷲尾さんまで、それ言う?」
高評価は貰えなかった銀だった。
でしょうね。
ちょっと醤油の独特の味全面アピールでなんかね……
雪見な大福さんの中に入れるのをバニラじゃなくて
醤油味ジェラートにすると案外行けるかもしれないけど。
おじいちゃんおばあちゃんには喜ばれそうだよね。
「まあ、そりゃそうだろ。
ちょっと醤油味は独特過ぎるっていうか……
辛い物好きじゃないと食べなさそうだし」
辛い物と言えば……
昔あった、レッド麻婆味ジェラートっていうのは
思わず口元が引き攣った記憶がある。
誰だよ、あんな地獄のジェラートの作ったヤツ。
顔知りたい……いや、知らなくても良い気がしてきた。
なぁんか、ラスボス臭がしてきたぞぅ!
「士郎まで言うか!っていうか士郎は何味なんだよ!!」
「何味って……抹茶チョコだけど」
そう、抹茶チョコ。美味しいよね。
最初は食わず嫌いしてたけど、
親父に食べさせて貰ってから好きになった。
「抹茶チョコ味ィ?……また珍妙な」
「銀、珍妙とか言うけどな……
一応、抹茶チョコはお菓子になって商品化されてるんだぞ?」
「……まじで?」
「……まじだよ。キットなカットさんとして売られてるぞ?」
「マジかぁ……知らなかった」
どうやらお菓子方面はオレの方が詳しかったらしい。
親父がたまに食べてたからだろうけど。
む、そういえばそろそろ時間だな。
「さてと……」
「お、なんだもう帰るのか?」
銀がそんな風に聞いてくる。
帰る訳では無い。だが……
「あー、今日特売でさ……」
「なるほどな、流石オカンだな」
そう、イネスの特売日が今日なのだ。
買わなきゃ行けないのだ……というか。
「誰がオカンか。誰が」
「衛宮くんが買い物をしてるの?」
「あー……まあな、
うちは両親が共働きで中々家に帰ってこないから
基本、オレが買い物して、家事もしてるんだよ」
「そうだったの……」
意外そうにこちらを鷲尾は見る。
まあ、そうだよなぁ……男が家事してるって珍しい印象があるし。
「よし……じゃあな、三人とも……また明日な」
「ああ、また明日な、士郎!」
「ええ、また明日」
「またね〜えみやん」
三人と別れを告げ、買い物に行くのだった。
さて……今日の献立はどうするかな。
────未だ、壊れる音は聞こえていた。
ニガヨモギ
「平和」「苦しみ」「悲しみ」