俺は目を開けるとそこはどこかの町の上空らしく足元には住宅街が広がっていた。
「ここはどこかの町か……それより俺は空を飛んでいるのか?」
どこかの町に急に来たことより俺は自分が無意識で空を飛んでいたことに驚いた。
「さて、これからどうするか、来たの初めてだし行き場所もないぞ」
そんなことを考えていると遠くから何かが集団で飛んでくるのが見えた。
「どうやら俺は歓迎されてないらしいな」
現界したばかりで自分の力すら把握していないし万由里が言っていた俺が1日に生成できる霊力の量もわからないからできることなら戦いたくはない。
「まあ、無理だろうなぁ……」
普通に考えてこの世界の人間……それどころか人間ですらない俺が歓迎されるはずがない。考えても仕方がないので飛んでくる奴らの数を確認することにした。
「隊長らしき奴が一人、装備がほかの奴と違うのが一人、同じ装備の奴らが十八人……合計二十ってところか、それにしても装備の違う奴以外女性ってどうなんだ」
見た感じ装備が違う奴も十三歳ぐらいに見える、この世界の軍隊は人手不足なのだろうか。
「殺したくもないし面倒なことになりそうだな……」
溜息を吐きながらそんなことを言っていると近くまで集団が来ていた。無駄だとは思うが話をして敵意がないことを言ってみるか……うまくいけば戦闘しないで済むかもしれない。
そんなことを考えていると集団が話せる距離に来たのを確認できたので話してみることにする。
「お前ら、見た感じこの世界の軍隊か何かだろ?俺は戦う気がないから話しを聞いてほしい」
そう言った後に違う装備の奴が口を開く
「それは無理な相談だ、あんたは特殊災害指定生命体だ、俺達にはこの街を守る義務がある」
やっぱりそうなるか……普通に考えて俺みたいな存在を軍が見逃すはずがない。仕方ないがこれは力尽くで突破するしかない。
俺は、背負っているロングブレードの持ち手を握る
「見逃してもらえないなら仕方ない、安心しろ殺しはしない……少し下に落ちてもらうだけだ」
こうして俺の初戦闘が始まる。
[戦闘開始後 天宮市上空 少年視点]
戦闘が開始して十分がたったが、力の差は歴然だった。部隊の人達は次々にあいつが作り出した八本の剣でCR-ユニットを破壊され地上に落ちて行く、どうやらこの精霊は本当にこちら側を殺す気がないらしい。そしてとうとう最後に戦っていた隊長も下に落ちていく。
「残ったのは、お前だけだがそれでも戦うか?」
そう奴は問いかける。たしかにあいつは強いだけど俺には守りたいものがある。ならばやることはただ一つ
「俺は戦う、勝てない戦いでも戦わないといけないんだ」
それが俺の生きる意味なのだから
[天宮市上空 隼翔視点]
「俺は戦う、勝てない戦いでも戦わないといけないんだ」
目の前の少年ははっきりと答える。勝てない戦いでも戦わないといけない……か、面白い奴だな。
さっきの十九人との戦いで俺はいろいろと把握することができた。一つは自分の能力。どうやら霊力を使ってものを作り出せるようだ。問題は、作り出すものの構造や性質によって消費する霊力が違ってくること。これを把握しなければすぐに霊力がなくなってしまう。
そしてもう一つ、いま俺が使っているロングブレード。こいつはどうやら未来の俺が作ったものらしく魔力や霊力で作られたものを切り裂く、つまり相手の魔力などによる防御を無視して攻撃できる剣だった。そしてこいつは外見ならば複製できるが能力までは、再現ができないらしく複製したものはただの剣になっている。それを考えると刀のほうも複製はできるだろうが能力までは無理そうだ。
とりあえず能力についてはあとで試しとして今はこいつとの戦いに集中しよう。こいつの武器は見た感じだと両手に持っているガンソード二本のみ、それに比べてこちらの能力はあいつに把握されているはずなので普通に考えたらまずこちらは不利……だが
「俺に見せてみろ、お前の実力を!」
[戦闘開始後 天宮市上空 少年視点]
とうとう俺の戦いが始まった。俺は先手を取りガンソード2本で連射しあいつの周りを守っている剣八本を撃ち壊しながら突撃し近距離の間合いに入った瞬間に切り裂く。奴の手に持っている剣は魔力で作られたものすべてを切り裂いているが、作り出した剣はオリジナルより劣るらしくこのガンソードの魔力弾でも破壊できる。だがオリジナルの剣には、随意領域《テリトリー》での守りは意味がない。ならば俺が勝つための手段は……
「連続攻撃による高速戦闘ッ!」
俺は二刀流の最大の利点である技の手数で押すことに決め斬りつける。それをあいつは剣を使って受け流すか防いでカウンターを仕掛けてくる。そんな攻防が続く中で俺は気づいた。奴はこちらの攻撃を防いでカウンターしかしてこないし俺が隙を見せても攻撃をしてこない……こいつは俺のことを試しているのか?
ここで俺はこの疑問を無くすべく一旦奴との距離を置く。
「お前……俺を試してなんのつもりだ」
「試していたのに気づいていたか、意外と勘が鋭いな」
「俺が聞きたいのはそんなことじゃない。答えろ、どうして俺を試していた」
俺は奴に銃口を向けて言う。
「お前は俺のことを倒せる可能性がある人間だからだ」
「俺が……お前を?」
「ああそうだ、お前名前は?」
「二階堂零《にかいどうれい》だ」
「二階堂零……か」
そう言って奴は手に持っているロングブレードをこちらに向かって投げる。それを俺が手に取ったのを確認する。
「その剣はお前に預ける、次に会える時を楽しみにしている」
そう言ってあの精霊は手のひらの上で球体を作りこちらに投げる、するとその球体が急に発光する。おそらく目眩ましだろう。俺は渡されたロングブレードで光から目を守る。
発光が収まったのを確認してから回りを見渡すともうあの精霊はどこにもいなかった……。
[天宮市 高台 隼翔視点]
俺は零との戦闘が終わったあと近くに見えた高台に降りた。初めての戦闘ということもありかなり消耗が激しかったが倒れるほどではないのでこれからのことを考えていた。
「さて、これからどうするか……」
少し考えてから俺はこの独り言を聞いているであろう人物に話しかける。
「万由里、聞こえてるんだろ?」
そういうとどこからか声が聞こえる。
『よく私が聞いてるのがわかったわね』
間違いなく万由里の声だ。
「聞いてるどころか見てるだろ。それに俺の作った八本の剣、あれの細かな操作までしてたよな」
『そこまで気づいてたのに今まで無視してたってわけ』
万由里が不機嫌そうに言ってくる。
「悪かったって、それに戦闘中に話なんかできないだろう」
『それもそうね、それよりお客さんみたいよ』
万由里がそう言って初めて後ろのほうに人がいるのがわかった。
「誰だ?」
「初めまして、私はラタトスクの副指令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」
神無月と名乗った人物を見ると軍服らしきものを着ている。おそらく組織に属しているのだろう。
「先程の戦闘見事でした。戦闘を御覧になった指令が是非話をしたいと仰っていますので御迎えに上がらせてもらいました」
「お前たちの組織に入れと?」
「来るか来ないかはあなたにお任せします」
今後のことを考えると行かないよりはいい……か
「いいだろう、行ってやるよ」
俺は神無月に言い放つ
「分かりました、それではこちらにどうぞ」
俺は神無月のほうに歩き出す。
この先どんなに試練が待っていようと、俺は万由里を助けるために前に歩き続けて行こう。
まだまだ書き方などが安定しませんが次回もよろしくお願いします。