記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回は「世界を笑顔に」というテーマを書きました!

さて、ここからスタートです!

では10話始めます


第10話 1歩の勇気

「あらっ?あなたは誰かしら?」

 

確か昨日の文化祭の時に声をかけて来たのは薫だった

今はこころだ

こころは首を傾げながら私の方を見る

 

その顔は何も穢れを知らない澄み切った顔だ

 

 

身体はずっと恐怖を示している

それは今まで経験した過去があったから

そして絶望した

 

 

ただ今は違う、「この世界」でやりたいことがある

 

このバンドについて行きたい

 

私の心は内に秘められた感情、意思、希望、その全てで埋め尽くされている

そこには何も恐怖なんてない

そこに絶望もない

何も恐れることがない

 

私に課せられた「試練」

その試練は「私の素直な気持ちを言う」

 

それは今までして来なかった

そんなことする機会がなかった

しようとも思わなかった

それから逃げていた

そしていつしか忘れてしまった

 

 

ここで一歩前に踏み出さなかったらいつもの私と同じになってしまう

これが最初で最後のチャンスだ

ここで活かすか逃すかは私次第だ

 

(私の今すべきことは一つ!)

 

 

皆が私の方に向く

全員の顔なんて見れる余裕なんてない

今は私自身のことを見るのに必死で、一つの結論を出す事だけで精一杯だった

 

全員が向いてから何秒間経ったのか

私にはわからない

10秒か、はたまた30秒か

私には一瞬の出来事だった

 

 

 

そして身体の震えが止まり、秘めていた心を解放する

 

 

「あの...昨日は...すみませんでした...。それで今日は黒服の方々に...こころ...さんに頼みごとがあったと聞いてここに来ました」

 

ぎこちない返事だった

その上これは返事になっていない

私はまだこころの「あなたはだれ?」の答えを返せてはいない

それでも今は私が今までして来なかったことを言うことしか考えてなかった

 

「で、今さっき聞いたこころさんの『世界を笑顔に!』その言葉が私の心を動かされてしまいました。私もその意見に賛成です!」

 

言えた...口にした言葉はそこまで多くはない

こんな簡単なことが今まで出来なかったのが不思議なくらいだ

そして言った後に来る満足感、達成感に少しの間浸っていた

 

 

その言葉を聞いてようやく周りの人の様子を観れることが出来た

 

昨日に会った人達はほとんど同じ反応だった

驚いているが目を瞑っている 薫

少し慌てている 花音

 

そして昨日会ってないはぐみ、奥沢さんの反応は似ていた

 

驚いた表情で不思議そうに見ている はぐみ

口をぽかーんと開けて見ている 奥沢さん

 

みんなほとんど同じ反応をしている中で一人だけ違った反応を見せた人がいた

その人は私が最近追い求めていた目標の人

 

「ええ!もちろんよ!!なんだってあたしたちは世界中の人を笑顔にしてみんなで楽しくなる最高なことをするわ!!!」

 

そう言ってくれた

そしてそこにいたのはずっと遠目からしか見れなかった

こころの満面の笑み

それは今まで見てきた全員の笑顔とは比べる事が出来ない

 

最高に美しく、そして明るい笑顔だった

 

 

私はこころの表情を見て少し笑顔になった

それは青年になってから「2つの世界」で出したことがない

 

何も偽りも飾りもない表情だった

 

 

「って...あなたは誰ですか...」

そう言われるまで私の顔が緩いんでいたのだったが、奥沢さんの真っ当な質問で慌てて元の顔に戻した

 

 

「私は............です」

 

「はい...?よく聞こえないんですけど?」

 

あれ...?名前を言ってるよね?

なぜ聞こえないんだろう...

私はちゃんと言ったはずだけど

 

 

「すいません...。私の名前は.......です...」

 

「だから聞こえないですよ?」

 

何故だ...名前を言ってるはずなのに...

2回目も奥沢さんには聞こえず他の人に質問していた

 

「花音さん、名前聞こえましたか?」

 

「いや...聞こえなかった...です...」

 

「じゃあ北沢さんは?」

 

「はぐみにも聞こえなかった」

 

おかしい...誰も聞こえてないはずはない...

質問を聞いて「......です!」と何回も言っているのに誰も聞こえない

最終的に私の名前は最後まで伝わらなかった

 

 

「もしかして、名前忘れたとかじゃないかしら?それじゃあ...黒い服着てるからクロにしましょう!よろしくね!クロ!」

 

とこころが勝手に提案してきたのだ

今私の服装が制服で黒のスーツを着用している

そこから「クロ」と言う名前にするのは安直すぎませんかね...

 

「だから...「クロ!!いい名前ね!」」

 

もう訂正できなさそうだ

こころの提案は私が異議を申し立てる前に薫、はぐみによって賛成されてしまった

 

(もう...どうにでもなれ...)

 

はっきし言って今ここを訂正しなかったらやや面倒くさいことになるのは分かっている

ただ、今は一歩進めたその喜びで十分だったからだ

 

 

「はい、名前はクロです。よろしくお願いします」

 

「一緒に頑張りましょう、クロ!」

「よろしく頼むよクロ」

「クロさんよろしくー!」

「クロ...さん...よろしく...おねがいします...」

「はぁ...クロさん変なのに興味あるんですね...とりあえずよろしくお願いします」

 

5人全員からの歓迎の挨拶をしてくれた

そして今までの遠くから見ているだけの傍観者としてではなく、みんなと同じように笑顔を創り出す当事者に変わった

 

 

ここから「クロ」として「私」としての小さくて大きな一歩を踏み出すことが出来たのだ

 

 

「じゃあ、今度はあたし達の紹介をしないとね!あたしは弦巻こころ。こころで良いわ。そして...」

 

「はーい!はぐみ!北沢はぐみだよー!うちの家はコロッケが有名なお肉屋さん!」

 

「こんにちは、名乗らせて貰っても構わないかい?私は薫。瀬田薫だ。」

 

「ふぇぇ...えっと...松原花音と......言います.........私...話すのが苦手で......」

 

「えーと、奥沢美咲です。よろしくお願いしまーすっ」

 

 

各々の自己紹介に私は殆どの人の名前を知っている事は言えなかった

もしも言ってしまったら不審がられる

そして今日やってきたことが無駄になってしまうかもしれない

今はそっとしておくのが1番いい

 

皆私の想像通りの人だった

初めて知ったのは奥沢さんの名前が美咲ということぐらいだった

なんともまぁよく皆私のことを承認できましたね...

 

 

「みなさん、よろしく...お願いします...」

 

そしてもう一度した挨拶いつもと同じように間が多くなってしまっていた

それほど私が出した結論に勇気を使ってそして今切れたことだと気付かされた

みんなには私のことをどう思っているのか

 

他人から見た私の評価を知ろうとしたのは初めてだった

 

 

それができたのはここにいるみんなのおかげ

そして普通の人と初めて対等な関係が出来たこと

「この世界」がくれた最高の記憶

 

その全てに感謝して...

 

 

「クロはあたし達のバンドの6番目のメンバーね!あたし、はぐみ、薫、花音、ミッシェル、キグルミの人...?美咲ね!、そしてあなたのクロね!」

 

「いや、ちょっと待って!私はやるなんて一言も...「それじゃあ、もっと世界中を笑顔にするためにみんなで話し合いましょう!」」

 

「「おー!!」」

 

美咲のツッコミを私は聞き逃さなかった

そこに気づいたのは私と花音だけなのだろう

美咲の話に無意識に話を被せたこころに薫とはぐみが掛け声をあげた

3人ともやる気満々で皆楽しそうだった

その様子がコントのように見えて少し面白く

 

私はクスッと笑ってしまった

 

美咲は私の方を見て目を見開きながら少し頬を赤らめている

年頃の女の子は人に笑われるのはすごく傷つくのだろうか

そのことに申し訳ない気持ちになって

私は美咲に手を前に出し軽く頭を下げた

その様子を後ろから見ていた花音は少し顔が柔らかくなっていることには気づかなかった

 

 

窓からは廊下で見た一筋の光が大広間全体を明るく照らしている

そしてその光をくれた太陽が何か神々しく見え、眩しく1番の明かりをもたらしている

 

 

もう昼を過ぎて1日の半分は過ぎている

しかし、私の今日はまだ始まったばかりだ

 

 

これから起きる今日を大切に、そして楽しく笑顔に過ごしていく

そう私は誓ったのだ




主人公ようやったぞ!
やっとハロハピのメンバーと話せるようになりました!
(ただハロハピという名前は出来てない)

こう1歩を踏み出すのって本当に難しいですよね
その表現を考えているといつの間にか寝てしまって起きたらどう書きたかったか忘れて慌てたりしましたw

前話で宣伝したバンドリIDを乗せたところなんとこの小説を見ている方からのフレンド申請が来てました!
それにびっくりしたのと誰なのかすごく気になっています!よければ感想に「私です!」と名乗り出て来てください!お話ししたいです!


長くなりましたが次も楽しみ待ってください!




p.s 今回のイベント星3花音ちゃんゲットしました可愛すぎて萌え死にそう...

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