記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回は弦巻家に頼みの電話を入れたところまででした

さて...誰を呼び出したのか!?

では第16話始めます



第16話 逸る気持ち

授業の内容なんてものは今の私にとっては本当にどうでも良いことだった

重要なのは放課後、来てもらえるかはそこまでわからない

開けてからお楽しみの状態で、私は浦島太郎になった気分であった

 

まぁ、弦巻家の黒服の人達だから全く問題はないとは思っている

なんせ、この広い日本全域の中から特定の人を探すわけでないし、私がこの世界で出会った人に限られる

その時点で片手で数えられる程度しかいない

まぁ弦巻家の事だから前者でも探し出しそうだが...

 

 

そして時間が過ぎて行き...昼休み

私はそそくさと教室を後にした

真っ先に行きたかった場所があった

昨日の別の世界とまた違う場所

 

もうこの時代では使える人も少なくなった、存在すら忘れ去られて来ている

 

 

公衆電話

 

学校の来賓玄関口に一箇所だけ設置されている

殆ど誰も使わない取り残された機器

私は携帯電話を持っていないからたまに利用する

前は三者面談の日程表を出せずに先生に怒られておばさんの家にかけたっけ...

 

そんなことを思いながら私は財布の中から銅色のコインを取り出す

受話器を取り、耳に当てる

流れる音はずっと一定で意味のない音

そこに命を吹き込むかのように十円玉を投入する

 

 

.............

 

私の中で数秒の間が流れた

忘れていたことが一つあった

電話番号の控えを取っていなかったのだ

従って、弦巻家の電話番号がわからない

 

 

私はダイヤルを回すことなく受話器を元に戻した

ガチャンと音と共に魂が抜け落ち、返却口へ帰ってきた

吹き込まれた「生」は私の不注意によって「死」へと変わってしまった

 

 

(...仕方ないか...)

 

もう一度受話器を取り、命を授けた

今度は迷うことなくダイヤルを回している

 

クルクル...カチン...クルクル...カチン

 

微小な産声が誰もいない玄関に鳴り響いた

そして、全ての番号を打ち終わると漸く動き出した

 

プルルルル...プルルルル...プルルルル...

 

泣き始めた

子供が親を探し出すために

必死に呼びかけた

そして...

 

「おかけになった電話番号は現在使われていないか、電波が届かない....」

 

帰って来たのは虚しい山彦だった

誰もいないことを示すだけの定型文

私は少し溜息をつきながら受話器を戻した

 

魂は2度抜かれ、もう生き返らなかった

 

 

私は財布にお金を戻し、教室へ戻る

足を進めて前へ前へと前進する

ただ、気持ちはどんどんと後退していくのを感じ取っていた

 

まるで「公衆電話」が「過去の自分」のようで

「公衆電話」が「現実」みたいで

 

そう考えて歩いていると身体までもが反応を見せ始める

足が震えてまっすぐに歩けない

 

私はどうにか窓枠と壁を使って教室戻る

その道中聞いたことある声が聞こえた

 

「大丈夫かい?」

 

その声の主は音楽の先生だった

現実では私のことを待っている先生

ただ、この世界では全く関わりのない人

もし、ここで現実での話をしたら余計に面倒くさくなりそうで

 

そして、今の私は一歩先に進めた私

だからここで足踏みをしたくなかった

私は先生の問いかけに

 

「大丈夫です。問題ないですよ」

 

と虚勢を張りながら、震える足に勇気付けながら空元気で先生の前を通過した

通り過ぎた時に見えた先生の不思議そうな顔が印象に残った

 

 

 

放課後

授業を受けている間にすっかり元に戻った私は、授業終了のチャイムと同時に荷物を持って教室を急いで出た

靴を履き、昇降口を出て、校門を出る

 

そこにはいつからいたのだろう?またまた黒服の人がリムジンのドアを開けて待っていた

いつも通りの弦巻家の対応に少し安心してしまっていた

まだここに来て数日だというのに

もう私の中では日常に化しかけていた

 

 

「クロ様、頼まれていた件ですが、先程到着されたとの連絡を受け取りました。そして、今は昨日クロ様が楽器を運んでいただいた部屋にいてもらえるように手配しました。」

 

「ありがとうございます。すみません、今朝あんなこと頼んでしまって...」

 

「いえいえ、これは昨日こころ様のご要望にクロ様を巻き込ませてしまいましたので、今回はそれの感謝の印として受け取ってもらえれば幸いです」

 

「いえ...あれは私から進んでこころの元に行ったので...でも、ありがとうございます」

 

そのような会話を続けているとすぐに弦巻邸についた

そこにはこころが寒い中待ってくれていた

まだ肌寒い4月下旬の夕方に

こころは私と彼女のことを心配しているのかもしれない

 

 

「来たわね!クロ!さぁ入って入って!」

 

「ありがとう、こころ...で、もう来てるの?」

 

「さっき私と一緒に着いたところよ?

クロは花音に大事な用があるのよね?」

 

「そうだね...ごめんこころ...」

 

「クロがそんな悲しい顔してたら誰も笑顔にできないわよ?クロ!一緒に言いましょ!世界を笑顔に!」

 

「ふふっ...世界を笑顔に...!」

 

寒空の下こころと交わした会話は無意識のうちに行われていた

私は全く気づかなかったがこころは気づいてのだろうか?

私が一言話すとこころの顔がパァッと明るくなったような気がした

 

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そして

 

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まだちゃんと知り合ってからは1日しか経っていない

ただ、やはりこころの存在が私をどんどん変えて来ているようで

 

その変化は私だけなのだろうか?

もしかしたらハロハピのメンバーにも変化が出ているのか?

ただ今は私自身の変化を見ることもできていない

まずは私自身の変化を見極めてからみんなを見直そう

 

 

そんなことを考え続けていたらこころが「じゃあ、頑張ってね!クロ!」と一言言って私の横から離れていく

さっきまで隣で並んで歩いていたようだ

気づかないくらい考え込んでいた私が少し恥ずかしく感じた

 

ただここからは気持ちを切り替えなきゃいけない

ここから会うのは「こころ」じゃなくて「花音」(先生)だから

そして花音さんに嫌われるかもしれない

でも、私は進むしかないのだから

 

 

夢を現にする為に

幻想を実現させる為に

 

 

私は大きな扉を開けて、新しい空気を取り入れる

その風はすごく優しく温かい風であった

 

 




まずは一言謝罪いたします


本当に遅れてしまって申し訳ありませんでした!!!

1ヶ月くらいの更新できない時期が続いたのは私の精神面での不良、モチベーションが上がらない、体調不良といろんな問題を解決しなくてはいけなかったからです...

特に、モチベーションの低下が痛いです。私の小説は私の過去を一部、基にしています。なので書いてる最中に気分が悪くなったりして全く筆が乗らなかったのです...

今回はリハビリ回ということで
すごく短く、展開もなく、そしてこころしか登場人物が出て来ませんでしたけど
この話はとっても重要な役割を果たします(多分)
なので、結構気合い入ってます!w

次の話では必ず、花音ちゃん書きます!!!

バンドリは1ヶ月の間に結構変わりましたね。

花音イベ
年末年始5曲連続カバー曲追加
新イベによる曲解放、
メインストーリーによる曲解放、
そしてONENESS追加
と曲が一気に増えましたね!
もう堪りません!!!w

特に花音ちゃんイベやばいっす!
ペンギン好きと花音ちゃん好きの私には威力高すぎます...w
ペンギンそこ代われ((
そしてイベント順位も2525位くらいだったので大満足です!(星4花音はあたらないよねぇ...)


さて、次は1週間以内を目標に投稿いたしますので次回も楽しみに待ってください!!!

それではまた次の話も楽しみに待っててください!

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