記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回は弦巻家に行ったところまででした(みじけぇな!)

やっとあの方に会えます!

では第17話始めます


第17話 満たされた温もり

ガチャ

 

その大きな音と共にだんだんと視界が変わっていく

茶色一色だったものが光によって私の目を惑わさせる

そしてその中心にはラムネのような色で、ふわふわ綿菓子のような優しい色が入ってきた

 

扉を完全に開け切った

水色の髪がなびき始め

私に表を見せ始めた

 

そこにいたのは松原花音

と偶然のように言っているが、私が呼んでいたので必然である筈だ

私はここでようやく胸を撫で下ろすことができたのだ

 

「ふぅ...よかった...」

 

心の内でしか言ってない言葉が勝手に口を動かし、小声で呟いていた

 

「ふぇぇ...ど、どうしたの?クロさん?」

 

私の音はこの広い部屋を流れていくには十分以上に静かだった

その気になればもっと小さい声でも響いて聞こえるのではないかとも思えた

そして、花音は私の音を聞き取って私に疑問を投げかけたのだ

 

「いえ、私の独り言ですのでごめんなさい」

 

私は一言謝りの言葉を呟いた

独り言と言ったがただの安堵の声なのだが

 

「ク、クロさん?あの...どうして私はここにいるんですか...?そして私に...何の用ですか..?...放課後こころちゃんに手を引っ張られて...気がついたらここに連れられて...私...クロさんになにかされるんですか.......?」

 

「ちょっと待ってください...花音さん落ち着いて...」

 

花音さんはすごくおどおどしている性格だっていうことを忘れていた

もしも私が花音の立場になって今日のことを振り返ると

 

学校の放課後

こころが教室に来る

何も言わずにこころに手を引っ張られる

リムジンに乗せられる

弦巻家に一人で待たされる

 

...これは普通の人でも怖いだろうな...

普通に知らない人だったら完全に誘拐事件だ

私が内容を教えなかった私の責任だ

...少し花音に罪悪感を覚えた

それとなんだか可哀想に見えてきた

 

 

花音は未だこの状況を受け止められていないのか周りをキョロキョロして、挙動不審な動きをしていた

花音の額から汗が流れている

私は何もできずにその花音さんを見ていた

すると突如としていい閃きが出て、咄嗟に行動していた

 

「ごめんなさい!」

 

先ほどの謝罪の言葉よりも強く早く言った

そして、私はこの生涯で1番早いであろうお辞儀をしていた

まるで、何かを瞬時に避けるかのように

その上、綺麗な90°で

 

「ふえぇ...!?ク、クロさん!?どうしたんですか...!?」

 

あっ...これは絶対逆効果だ

花音は私の行動を見てついには泣き出しそうな顔になっていた

ここで私が一つ思い出したことがあった

 

それは、今までに困った人を助けることをしていないこと

今回は特に二人っきりだ

ここで私がこころを呼びに行けばすぐに解決し、このまま円滑にことを進めてくれるだろう

ただ、ここは私の我儘で進めた話

ここは何としても私で解決しなくては...

 

「あの、花音さん!」

 

「ふえぇ?」

 

「ドラムを教えてください!」

 

「ふえぇー!?」

 

うん...これはないわ...

急に本題を切り出したところで花音の動揺を鎮られるわけじゃない

それどころか「ふえぇ」しか言わなくなったし...、おまけに花音は目を回し始めて今にも白眼になりそうな雰囲気が漂っていた

 

「...きゅぅ〜...」

 

その小動物みたいな声と共に花音の顔から生気がなくなり後ろに倒れて行く

 

「あぶない!」

 

私のとっさに取れた行動は手を出し、花音のどこかを掴もうとすることだけだった

正直捕まえられるなんてことは思っていなかったが花音の手首を掴んだ

 

花音が床に頭を打ち付ける前に花音の動きが止まった

止まったのはいいが気を失っている人の体重は普段よりも何倍も重く、そして支えている部分が小さく、今にも私諸共落ちそうになる

 

(花音さん...ごめん...)

 

私は勢いをつけて一気に花音の腕を引っ張り上げ花音を床から遠ざけた

すると、花音の体が私の方に近づいて来ている

今の花音の顔を見ている余裕はなく

 

そっと花音を抱きしめた

 

花音の体は私全体で支え、安定している

ふぅ...と息を吐きながら花音の上から覗く

私から見えているのは水色の髪だけ

顔は見えなかった

そして軽く先程の気持ちを言葉で表す

 

 

「...花音さん、ごめんなさい。私が呼んだせいで色々巻き込んで」

 

その言葉は伝えたい本人には届かず、この広い部屋だけが聞き取っていた

それと私の心の中を痛いほど聞き取っていた

 

 

 

 

 

 

「うぅ......うーん.......ん......???」

 

倒れてから30分近く経って

眠り姫...いや、被害者の花音さんが目を覚ました

彼女の素の声を聞いて少しドキッとしたが、頭を振り花音の顔を見た

 

「あっ、花音さん。目覚めましたか?」

 

「......あれ......?わたしの部屋は...?」

 

寝惚けてる?

どう見てもここは花音の部屋ではないとは思うんだけど...

 

「え?ここは弦巻家の楽器部屋だよ...?」

 

「ふえぇ?...じゃあ....なん.......ク、クロサン...!?」

 

漸く今までの事を思い出したのか、私の名を呼びながら飛び上がった

その光景はまさに遅刻ギリギリに起きた学生みたいで

 

「おはようございます。花音さん。それとこれ、この前借りてた花音さんのタオル返しますね。」

 

私は隣に置いてあった花音と同じ色のタオル

昨日、花音が勇気を出して渡してくれたタオル

その勇気のタオルを私は、タイミングを間違えて渡してしまっている

それはある意味、花音のくれた勇気を殺してしまった

ただ、今は先程の失敗をもう一度しない為にもお互い知っている事から話したかった

 

「あっ、ありがとうござ...冷た!?」

 

忘れてた

さっきまで花音の額に乗せていた濡れタオルがずり落ちて来た

その冷たさが顔を伝えながら今は花音の服の上まで動いた

 

「あー!今取ります」

 

幸いなことに花音の服は濡れていなかった

私は濡れタオルを水の入った容器に戻した

 

「これで大丈夫です。身体のどこか痛いところとかありませんか?」

 

「うん。大丈夫だよ?あと、タオルありがとう...わぁー!このタオル...きもちいいっ...」

 

花音はタオルを頬に当てスリスリし始めた

母さんが洗濯していたからその洗剤やら柔軟剤の匂いや肌触りがとてもいいのだろう

ただ、花音

私の前でそれはしないでください!

こっちが恥ずかしくなるから...

私は何も言わずに花音の顔だけを見ていた

花音の顔はすごく柔らかい表情を浮かべている

見ているだけで癒されそうなその様子を真顔でいることなんて出来なくて

私はスッとそっぽを向いてしまった

 

それに花音は気づいたのか

少し顔をうずませていた

 

「あっ...ごめんね...。いつもの癖で...」

 

と言ってきた

その言葉を聞いた私は顔を戻し、首に手を当てながら

 

「ははー...花音さん大丈夫ですよー」

 

と優しい声を掛けたのだった

俯いている花音の顔はよく見えなかったが、少し赤みががっているようにも見えた

 

「花音さんが落ち着いたと思うので、ここに呼んだ理由教えますね」

 

「う、うん。クロさん、私に何かあるの?」

 

「あの、ドラムを直す方法とドラムをできるように教えてくれませんか?」

 

「えっ...無理ですよぉ〜!私が教えるなんてこと....」

 

「花音さんに以外にドラムを教えてくれる人がいないのです!お願いします!」

 

深々とお辞儀をした

花音が引っ込み思案ということは分かっている

 

だけど...けど...

 

私に頼れる人がいなくて

現実世界では教えてくれる人がいなくて

夢で会えたドラムができる人は一人しかいない

 

(おねがいします...おねがいします...)

 

私は心の中で何度も願い続けた

 

 

花音はそれから長い間沈黙を保っていた

目を閉じて何かを考え込んだり、急に頭を振ったりしていた

多分、色々と思考整理をしているのだろう

そして重い口を開いてくれた

 

「......私じゃうまく...教えられないかも...だけど...こころちゃんやみんなに会えて...ドラムが楽しくて.......うん...クロさん、私でも良かったら」

 

「やった!ありがとうございます!」

 

すごく嬉しかった

その言葉だけでは言い表せないほどの歓喜

心を飛び越えて身体にも影響を及ぼしていた

 

ギュッ

 

無意識のうちに花音さんの手を握っていた

 

「ふえぇ!?」

 

裏声になっている声にも気づかないくらいに

いつもの私なら絶対にありえない事をしていた

突然の不意打ちを喰らった花音

それはもう顔中が林檎のように真っ赤でなによりも可愛い

 

ただこの時の私は知らなかった

花音の姿を

 

 

 

ガチャ

 

一段と大きな音がした

と、その音源に二人とも顔を向くと

その音と共に、天真爛漫な笑顔で出迎えてくれたこころがいた

 

「おめでとう!花音、クロ!」

 

突然のことで何が起こったか理解できない私たちは、頭の上にはてなマークがついたかのようにポカンとしていた

 

「二人とも友達になれたのね!あたしも嬉しいわ!」

 

うん...?何言ってるか全くわからない...

花音も同じような反応を見せていた

 

「だって、花音とクロは握手してるでしょ?それってお友達の印じゃないかしら?」

 

「えっ...?握手なんてしてる.....!?」

 

この言葉でようやく気がついた

私が花音の手を握っていた事を

その握手はお互いの意志でしたわけではなく、私が勝手にしでかしたこと

私はすぐさま手を離し、引っ込めた

 

「ごごご、ごめんなさい花音さん!」

 

「...いいよ......だって、友達でしょ...?」

 

「えっ?......あっ、はい!」

 

花音の顔は優しい笑顔だった

 

「二人とも!ずるいわよ!あたしは握手をしてないけど友達よ!」

 

「そうだな」

 

私は少し苦笑しながら答えた

 

「じゃあ、あたしとも握手してくれるかしら?クロ、花音!」

 

「ああっ、こころ」

「うん、こころちゃん」

 

心が伸ばした両手のうち右手を握った

そして一回離してしまった花音の手も握る

 

右手にはこころ

左手には花音

 

二人の手はとても暖かかった

そして気付かされた

私はいかにマイナス思考だったのか?

最初からほとんど疑ってばっかりで、信じていることは少なかった

 

そんなことはもうどうでもいいくらい

この空間には色々なものが詰まっていた

それは今までに味わえなかった感情

感じたことのなかった感触

 

 

いつしか3人の繋がった手の輪には3つの笑顔に満ち溢れていた

 

 

 

 

 

外は大きな太陽が山際に消えてきている

いいオレンジ色の空

その空には一つの雲も見当たらない

昼までは黒い雲がかかっていた空とは大違いだった

 

「じゃあ、花音さん。また明日ここで」

 

「うん、またね。クロさん」

 

花音と私は途中まで同じ道を歩いていた

道中は二人でたわいもない話を続けていた

私がドラムを始めたい理由

花音の友達の話

 

10分くらいしか同じ道を歩けなかったが、ずっと話は続いていた

というか話したいことがありすぎるくらい時間が足りない

だけど、ここでお別れ

また明日会える

 

私は花音が見えなくなるまでずっと分かれ道に立っていた

その余韻に浸りたかった

 

この世界での記憶は、あちらの世界では消えるかもしれないから

 

消えることはこれが無かったことになってしまうから

 

 

 

 

そこからの記憶はあまり覚えていない

どうせ、今日の花音さんとの出来事よりも重要なことはないのだから

 

 

もし、

重要なことがあったとしたら、夢でも忘れているような意味のない事なのだろう

 

そう思っていた

 

 

今はあの時の温もりを忘れないように消させないようにずっと思い出しながら眠ろうと

 

 

 

 

 

 

 

夢の物語の本にセーブをして

自分は夢から覚めた

 

 

現実にはない温もりを探そうとして

自分のやるべき事をし始める

 




すっごい長いのに内容ない!w

簡単に言いますと書いてる間花音ちゃんが想像の中に出て来て、その度に小説書く手が止まって...気がつくと

この始末☆

申し訳ありませんでした!(泣)


バンドリは最近、ガルパーティin東京ありましたね
ハロハピ放送局だけ生放送見れたのですが

彩ちゃんと麻弥ちゃん可愛すぎる

1番は花音ちゃんなんですが!


アプリでは次イベにりんりんとあこちゃん来るみたいなので頑張ります!
目指せ!2000位以内!(無理)



そして最後に、この小説をお気に入り登録してもらった
「朧桜さん」
「Khanさん」

その上、なんと高評価をつけてくださった
「黒音195(kurone)様」

本当にありがとうございます!
これからも精進して頑張りますので応援お願いします!

それでは次の話も楽しみに待ってください!

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