記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回は喜多見良子の質問に返したところまでまでした

さて、今回はこころが出てきます

では第23話始めます



第23話 二人の関係

授業が終わりを告げ、今日も私は帰り支度をし始める

 

今朝、喜多見良子に連れられて話をしてからまだ話をしていない

 

隣の席にいるのにかかわらず、私が目線を彼女に合わせようとすると、彼女は私からの目線を外す

そして、何故か私が視線を外すと、彼女は私に視線を向ける

 

それが何回か繰り返された

 

休み時間になると彼女はすぐに廊下に出て、何処かに行く

追いかけようと廊下に出ると、彼女の姿はもうなくそのまま次の授業の開始まで姿をくらます

 

こんなにも他人に話をしたくなったのは初めてかもしれない

それほど彼女の行動、言葉を気にしているのだろう

私の中に引っかかる部分があるのだろう

 

 

(...何故だ...喜多見良子は何故こころのことを聞いたんだ?)

 

 

考えが纏まらず、うーんと声を漏らした

その音に反応したことで、漸く私が一人ではないことに気がついた

 

 

「さっきからどうしたのかしら?クロ、お腹でも痛いの?大変!お医者さんに診てもらわないと!」

 

「ふえぇ...!?ク、クロさん大丈夫ですか...?」

 

「い、いや!?二人とも落ち着いて!?」

 

そういえば今はこころの家に向かう最中だった

今はリムジンの中に私とこころ、花音がいる

当然もう一人、運転手の黒服がいるのだが...

そんなことよりも、こころにまた誇張されてしまった

そして、それを素直に受け取る花音も大概だ

 

 

「はぁ...、ただ考え事をしていただけだ」

 

と、しっかりと真実を伝える

このままこころのことに否定しないとこれ以上に全く別なことに発展していきそうだったからだ

そして、その勘違いは止まることなく増え続け、止める人がいない

 

また新たな悩み事を抱えた私はもう一度軽く溜息を吐いた

 

 

「そうなのね?クロ、何かあたしが出来ることがあるかしら?なんでも手伝ってあげるわよ?」

 

と、何も知らないこころは無垢な笑顔で尋ねてくる

それに乗っかるように

 

 

「ク、クロさんの...悩み事......わ、私にも手伝わせてください...!」

 

と、花音も言ってくる

 

二人の顔は対照的で笑顔と真顔、悠長と真剣で同じことを聴いているようには感じなかった

だけど、二人とも私の事を思ってくれていることは理解できた

 

 

「いや...まぁ...学校のことで......」

 

と、少し流しめに答えた

理解していても直ぐには悩み事を話せなかった

それは今までに頼られていないことに対しての戸惑いだった

私は、二人の思いに応えることなく逃げようと言葉を濁したのだった

 

しかし、それでこころはまた違うように解釈をしてしまった

 

 

「クロ?もしかして、転校しちゃうから悩んでいたのかしら?どこに引っ越すの?海外なの?」

 

「ふえぇ...!?ク、クロさん!?引っ越すんですか...!?」

 

「ちーがーうー!!」

 

何故、そうなるんだ!?

そんなに深刻な問題ではないし、第一引っ越すとか言った事もない

一人暮らしの私が引っ越すことなんてない、況してやまだ新生活が始まって1ヶ月も経ってない

 

これ以上、話を大事にされるとややこしくなりそうだ

何故なら、運転手の人がこころの予想を聴くたび身体をビクッと反応させているからだ

 

 

「ああっ、もう...私のクラスにいる女子が今日、気になる事を言っていてね」

 

「なるほどね!クロはその人に興味があるのね?」

 

やっとこころも分かってくれたようだ

花音はと言うと少し頬を赤らめ、俯いていた

花音的には、私の趣旨を深めすぎてる可能性がありそうだ

 

 

「その子がね、休み時間中に質問してきたんだよ。こころと花音のこと聴いてきたんだ」

 

「わ...私のこともですか?」

 

「そう、その子は二人に興味があるんだと思う。そういえばこころの名前を言ったら知ってるような反応してたな」

 

そう、こころの名前を言った後、彼女の反応は舌打ちだったがそこまでは言わない

 

 

「それで、その女の子は誰かしら?名前はなんて言うの?」

 

「喜多見良子さんだよ」

 

「喜多見?良子...?」

 

名前を聞いてからのこころの反応を私は知りたかった

わかったことは、こころは全く知らないようだ

その名前に心当たりがあると考えているのか、それとも何も考えてないのか

どちらにしても、こころは喜多見良子という名前にピンとくるものはない感じに捉えた

 

そして、少し待つとこころの顔が笑顔に変わり、高揚させた声で言った

 

 

「あっ、クロ!わかったわ!」

 

「本当か!?こころ!」

 

「こころちゃん...?その人のこと、知ってるの?」

 

「そうね!喜多見良子ね!たしか「クロ様、到着しました」」

 

「えっ...あっ、はい」

 

黒服の人が咄嗟にこころの声を遮った

これは偶然なのだろうか?それとも必然なのか?

私の思い過ごしだといいのだが...

 

弦巻家に到着して、私たちはリムジンから降りる

こころと花音は平然と降りて扉の中に入っていった

私はというと、運転手の黒服の人に止められてしまったのだ

 

 

「クロ様、先程は大変申し訳ございません」

 

「いえ、大丈夫です。私をここに残したということは、こころや花音には言えないような事情があるんですね?」

 

私はそこまで疎くはない

残された意味と黒服の人の言動を見るとあからさまだ

私の質問に黒服の人は、サングラスに隠れている表情を変えずに応えた

 

 

「はい、その通りですクロ様」

 

「それで、こころは喜多見良子を知っているのか?」

 

「こころ様にお仕えしている私達に、こころ様の事について深くは応えられません」

 

やはりか、と思いながら私は引かない

ここで引いてしまうと喜多見良子と明日会う際、今日と同じような事を繰り返してしまうからだ

 

私は強く前のめりになりながら声を出した

 

 

「喜多見良子を知っているか」

 

「.........」

 

相手側も分かっているはずだ

こんな嘘を貫き通すことが出来るわけない

そして、私の要求を断っても直ぐにもう一度聞いてくる事も

全ては黒服の人の掌握された会話である事を

 

 

「......はい」

 

と、間を置いて回答をする

ここまでは私にも想像ができる

だが、ここから先の内容は全くわからない

私は、どんなことがあってもいいようにグッと身構えた

 

 

「喜多見良子様は、こころ様とクラスメイトだったお方です」

 

「......えっ...?」

 

「そして、喜多見良子様は.........こころ様を変えられたお方です」

 

「.........????」

 

 

私の頭の中では全く話が繋がらなかった

それもそのはず、私が考えていた答えの遥か上であったからだ

私の予想では、単純に一目で気になった程度で私と同じような事だと思っていた

それが蓋を開けてみれば、元クラスメイトだというではないか

私は衝撃の言葉を繰り返すことしかできなかった

 

 

「こころと......喜多見良子は......クラスメイトだった......?」

 

「はい、その通りです。」

 

「...じゃあ、なんで止めに入った?そんな事」

 

「はい?と仰いますと?」

 

「私が知ったら何か不利益があるのか?」

 

「....いえ、何も」

 

「...そうか」

 

私の中で一つの核心を得た

それは私に何かを隠している事だ

それが何かは分からないが、おおよそこころと喜多見良子が関係しているのだろう

クラスメイトという関係上に

こころを変えたという存在以上に

 

「さいg「クロー!早くー!花音が待ってるわよー!!」

 

「クロ様、こころ様をよろしくお頼みします」

 

と、こころに話をぶった切られたのでこれ以上のことを聞けなかった

黒服の人は私の前に出て、催促をしてきたので悪足掻きもできない

私は今回もまた、軽く溜息を吐きながら、弦巻家の玄関の扉を開けた

 

 

一層と黒くモヤモヤとした雲が世界を覆い、雨は強さを増した

雷は鳴り続いているが、扉の先は音がしなかった

 

そして、今日も長い授業が始まる

 




まずはじめに投稿遅くなって申し訳ございません


私生活が安定するまでの4月いっぱいにお休みしていました
おかげさまで大分と安定してきましたので今日から投稿開始です!
いつものようの週1、2の日曜日を目標に更新して行きますね!
(本当はGW1日目に投稿したかった...)


それに伴いまして、この小説の続きを待ってくださった読者の皆さん本当にありがとうございます!
しっかりと完結させるまで書きますので、これからも応援をよろしくお願いします!


それと、この1ヶ月の間にもお気に入り登録者様が増えました!

「紅魔王 ゆいゆい様」
「柚子茶。様」
「しらすの素様」

本当にありがとうございます!

そして、「しらすの素様」からは評価もいただきました!こちらも今後の励みになります!

コメントや評価もいつでも待っています!


最後になりますが、これからも「記憶の片隅にある天国」を楽しんでください!


それでは、次の話も楽しみに待っててください!

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