今回も同じようにドラムを直し始めます
では第27話始めます
目覚めは突然でいつもよりも何故か頭がスッキリとしていた
理由はわからない
ただただ、気持ちがいい
こんな気分で朝を迎えたのは久々かもしれない
そんなことがあったのはもっと遠い昔
まだ父親が生きている時だったか
新しい朝に、何も知らない無垢な自分は、毎日新しい出来事があると信じていた
そんな日常が崩れてからは朝が清々しいと思えるようにはならなかった
全てはあの日
あの日がなければ、自分の人生は急降下することなく平穏無事で過ごしていたのかもしれない
(...清々しい朝だったはずなのに、起きてからなんてもの考えていたんだろう...)
自分はいつも通りになってしまった愚かな心情に、ひどく肩を落とした
今日は土曜日
学校がない日
こんな日は一日中家でダラダラ過ごしていたい
部屋の外に出ても何もすることがない
なによりも、人の目を見ることなく過ごせる日
今日の休日について頭の中で色んな思考を巡らせる中で、まだ早朝だった自分の瞼がだんだんと閉じられていった
そのまま流れるように二度寝をしてしまった
次に目が覚めた時、外は青空に包まれ太陽はもう南中付近に来ている
5月というのに妙に暑い
もう春の日差しを通り過ぎて初夏の陽気になっている感じがする
布団の中にいることに耐えられそうに無くて、自分は布団から這い出た
少し億劫になりながら、汗で湿った寝間着を普段着に着替える
いつもと違う服を着ることに慣れてはきたが、まだまだ種類は少ない
…この服は2週間前も着た気がする
暑さのせいか、それとも眠気のせいかまだ頭がぼーっとしている
無意識のうちに自分の体は涼を求めるかのように、冷蔵庫へと歩いていた
冷気が気分を一新させてゆき、自分はある一つのことを思い出した
ある決意と約束
思い返すとなんだか妙に恥ずかしくなってしまうが、あの時の自分はとても行動的だったと思い返せた
(「はい!これから先、何年もこのドラムを吹奏楽部で使って欲しいと思っています。それが私の目標である『未来の音』を奏でる事だとさっきの話を聞いて思ったのです」...かぁ...また大層な事を言ったな...)
自分が自分じゃないような感覚
ただ、それが全く嫌なことだとは思わず、むしろなぜか楽しく感じるまでになっていた
変わろうとしている自分に、まだ戸惑いがある
それに慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうだ
(そして、今日は行かないといけない場所があったな...早く支度をするか)
もう一つの約束をぶつぶつ唱えつつ、自分は財布を持って家を出た
やっぱり、暑い
二度寝して今更用事思い出した自分にはいい毒なのか、今は14時過ぎだ
地面からの熱気が自分を焦がしていく
こんな中、歩いている人は無邪気な子供くらいなもんだ
そう自分に言い聞かせつつ、自分は近くの楽器店に向かう
(やっっっと、着いた)
初めて来た場所だ
昨日、先生から聞いた場所
自分には縁がなかった場所
そして、少し憧れだった場所
大きな店ではないが、ショーウインドーにはいろんな楽器が置いてある
どれもとても光っていた
この楽器達には今にも弾いて欲しいそうにしていると感じてしまう
まだ魂は篭ってないはずだが
そんな事を考えながらショーウインドーの楽器を眺めていたら、楽器の小さな隙間から店の様子が見えていた
その隙間に人が目に入り、くるりと自分に向いてきた
自分は咄嗟にしゃがんでしまった
これが根暗者の反射行動だ
外から見ていた自分は、店の中からはどう見えたのか?
例えば、初めて楽器を買いに来た子供の初々しさがあったのか?
それとも、値段をみて、手が出しにくく少し悔しそうな人に見えたのか?
はたまた、楽器を買う予定もないのに冷やかしている通行人に見えるのか?
無駄な思考ばかりが渦巻く
そもそも店員かお客さんかもわかっていない
自分は恐る恐る顔を上げてみた
そこにはさっきよりも近い場所に、満点の笑顔で見ている少女がいた
「うわっ!?」
その声と共に、自分は仰け反り尻餅をついてしまった
今日は本当に暑い昼で良かったと初めて思ったのだった
「まさか、君もきてくれるなんてねー。どういう風の吹きまし?」
「すみません、良子さん」
「ん?なんで謝るの?」
「もしかしたら迷惑だっt「迷惑なんじゃないよ!むしろ君がきてくれて嬉しい」
笑顔を見せたのは喜多見良子だった
正直な事を言うと、もう彼女はいないと思ってた
もう昼を過ぎ、お昼どきを回っているからその前に買い終えているのだとて勝手に思い込んでいた
そう思うと、お昼を食べてから買い物をし始めたのかとも思える
流石に自分と同じ寝坊ではないとは思うが...
色々と考えているうちに、また話しかけたのは喜多見良子からだった
「いやね?色々みて回ってるんだけど、どういうのがいいのかなって思って」
「どういうとは?」
「音楽室のドラム、直し終わったら君が演奏するんだよね?」
「はい、そのつもりですけど...」
「じゃあ、君が選んでよ!本当は君に連絡してきてもらいたかったんだけど、君の連絡先聞いてないから...」
「ええっ、でも私ドラムのスティックの良し悪しわからないですよ!?」
「大丈夫大丈夫、私もわからないけどどうにかなるって」
にしてもこの人は楽観的だな
というか、私も人任せにしたのはまずかったとは思う
仕方なく、私はドラムコーナーにあるドラムスティックを見ることにした
それにしても一番驚いたのは大量のドラムスティックの量だ
材質、形、太さや長さ、色々な違いがあるドラムスティック
素人の自分にはほとんど違いが分からないものもいくつかある
あたふたしながら、まずは目測で一つずつ吟味していく
やっぱり、全然わからない手にとってみればいいのだが、何となくこんな自分が手を出しずらい雰囲気を感じてしまった
「苦戦しているようだね、私もここに来て初めてびっくりしたから。今まで楽器店に来ても自分の楽器以外はあんまり見ないし」
「これは...相当大変な作業なんですね...」
「まぁどんな楽器でも一番最初は大変だからね。でも、最初が肝心!ここから君の相棒を決めるのと同じことだからね!」
「そ、そういうものなんですかね...」
「だから、私とこんな会話するよりもやることがあるんじゃないかな?...例えばほらっ、そこのステックコーナー、あの辺が初心者にも使いやすいドラムスティックみたいだよ?」
「あっ、はい!ちょっと行ってきますね」
なんというか、彼女にいい風に弄ばれているように感じる
彼女は言いたいことを全て言いつつ、本題は外さない
なんというか、彼女はすごいと思う
自分にはこんな取り柄がないからこそ、こういう性格に憧れているのかもしれない
それが喜多見良子であったり、弦巻こころであったり
私がドラムスティックを見始めてからかれこれ20分以上経ってしまった
初心者用のドラムスティックを、手にとっては戻し、手にとっては戻しを繰り返しているだけなのに、どうしてこんなにも時が進むのが早いのだろうか?
自分が普段、何かに没頭することがないのが原因なのだろうか?
普段の生活の中で、一つのことを集中してやることなんて本当にあったのだろうか?
全部成り行きで行動している気がする
だからこそ、こういった単純作業に集中してやることがないからこそ新鮮な感覚なのだろう
いかんいかん、こんなことを考えている前に、早く自分に合ったドラムスティックを探さないと...
ほとんど一通り手にとったはずなのに、いいものが見つからない
初心者用のスティックの違いが手にとってもほとんどわからない
それでも、だんだんと雰囲気的に伝わるものがあるのかもしれない
そんなこと言っても、誰も信じてはくれないだろうが...
そして、ドラムスティック初心者コーナーの最後の棚のスティックを手にとった
何故だろう...触った瞬間になんだか直感的に感じるものがあった
これだ!
この最後にとったドラムスティックで妥協したわけじゃない、これがいいのだ
最後の最後まで選ばれない辺り、なんだか自分に似ている
「良子さん、決まりました」
「おー!ようやく決まったのね。どれどれー。...本当にそれでいいの?」
「えっ...といいますと?」
「そのスティック、初心者用って書いてあるけど結構使いずらいかも...。普段そんなスティック使っている人って部内でもあんまり見ないし...」
「そ、そうですか...じゃあ、戻してきますね...」
「いやいや、それでいいと思うよ!君が決めたのなら私は何も言わないし、最後に決めるのは君だからね!」
「...!じゃあ、購入してきます」
「いってらっしゃーい」
本当に、喜多見良子がいてくれてよかったと思う
自分一人では、いつものように逃げ出してしまう可能性もあった
でも、楽器店に入る前に喜多見良子に話しかけられて良かったと思う
こういう時に、誰かに助けてもらうことの大切さを最近大いに感じられるようになった
それも弦巻こころや喜多見良子のお陰だ
無事に、今日の目的を果たした
楽器店を出る頃には、一番暑い時間になっていた
やはり今日は暑い、5月というのにはおかしい
今日が7月と言っても誰も文句は言わないだろう
だが、それもいいかなっと思うことがあった
自分と喜多見良子が別れる際に見た、彼女の笑顔が今日の暑さと同じくらい似合っていた
彼女からすれば、こんな暑さをなんとも思わないのかもしれない
第三者の私から見れば、それがよくわかる
彼女の笑顔は、嫌なことを全て忘れてしまうような、向日葵みたいな笑顔だった
自分はそのまま家に帰った
部屋の中も暑い
本当に今日はなんなんだ
そして自分の目の前に広がる光景は、自分の今日の心情を表してるかのようだった
脱ぎっぱなしの寝間着
吹っ飛んでいる掛け布団
コンロの上に置かれっぱなしのフライパン
水に漬けておいただけの食器
全てが嫌になった後の惨事
本当に自分のダメなところが凝縮されている部屋と化していた
自分は軽い溜息をつきながら、平穏時に戻し始める
今日始めた何かに集中したら時間を忘れることを思い出して
そうすれば、今日のこの暑さを忘れることもできるのだろう
大変お待ち致して申し訳ございませんでした!!!
約1年半ぶりくらいの更新です...本当に長いです...
小説を投稿してない間に
・バンドリ全曲制覇とかいうわけわからないドM企画
・ゆっくり実況を初ニコニコ投稿
など、いろんなことをしていました
特に、2019年は気がついたら東方関連のことばかり追いかけていたように感じます。
ただ、今までバンドリをしてなかったといえば違います。
ちゃんとずっとやってます!
全部のイベントに参加して☆3報酬取るくらい頑張ってます!
なので、これからもバンドリ小説を書いていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いしますね!
(今回は久々の復帰なので、お気に入り登録者様や評価してくれた方への感謝は次回以降にします)