記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回は、スネアドラムを直したところまででした

今回は、帰り道のお話です

では、第30話始めます



第30話 喜多見良子という少女

あの日、自分達が目標の一歩を確実に踏んだ日

自分達の感情を映した一枚の記憶を取り付けた日

この映像はまだ終わっていなかった

 

空はもうすっかり暗くなっていて、街灯が自分達を照らし出す

土曜日はあんなに暑かったのに、今日は少し肌寒い

太陽光がなくなった世界では、急激に温度が下がったのだ

今朝、もう早く制服移行期間が来て欲しいと願っていたことを、今すぐに訂正したくなるくらい冷えている

 

これが、1人だったらもっと辛かっただろう

何もすることのない帰り道に

ただただ歩いて

人工の冷たい光に当たり

月が登る頃に、もっと寒い家に着く

こんなことをしていると、先程の行動を忘れてしまうだろう

 

(...なんだかんだで、こういうことが辛いって考えるようになったのは成長なのかな...)

 

と、自分に説いてみた

1ヶ月前には、こんなことを考えている自分がいることを知らなかったのだ

 

『月』と『太陽』のように

『夜』と『昼』と同じく

『裏』と『表』みたいな

『見ない』と『見る』感情

 

どちらをとっても、自分という存在になり得ないのだと、少し気付かされたのだ

自分も人なのだと改めて直視させられてのだ

 

 

その原因を作った片割れが、私の横を一緒に歩いている

彼女の動きは何だか、舞踏館でワルツを踊っている人のように見えた

自分と違うリズムを地面に響かせる

そのリズムは自分と違って、跳ねるようなリズムで楽しそうだった

そのリズムが脚以外にも、全ての部位に届いているかの如く、彼女の感情を表していた

 

 

「ねーねー!君が笑っている顔ってとっても素敵だったわ!」

 

「そりゃあ、どうも」

 

これに似たような言葉を、どこかで聞いたような気がする

 

 

「誰かの笑顔って、なんだか心落ち着かせる効果ない?例えば、普段見たことない人の笑顔なんて抜群の効力があると思うけどなー?」

 

「そんなもんなんですかね?」

 

濁した答えが、その答えを自分は知っている

知らないはずがない

この世界ではない違う世界で、最近知り合った女子高生

2人の笑顔に癒されなかった日なんてない

2人の顔がだんだんと脳裏に鮮明に映し出されていく

だが、彼女は話をやめない

 

 

「私もねー、先生もねー、君のことを誤解してたんだと思う。君って、本当は笑顔を作ってしまうタイプなんじゃないかな?って話してたんだ。」

 

「そ、それは初耳ですね」

(...そんなこと思われていたのか...)

 

と、2人の事よりも自分のことを考えさせる話をされたのだ

でも、側から見たらそう見えるのも無理ない

自分がこの世界で見せた笑顔なんて、今日のことくらいしか思い出せないのだ

そうなれば、自分が笑えない人間だと勘付かれるのは当たり前なこと

とは言っても、何故作り笑いができないとなるんだ?

 

 

「でね先生と一緒にいつか、心の底から笑わせられるように、っていうことを話し合ってたんだ。でもその目標は今日すぐに叶っちゃったけどねー」

 

「あはは、なんかすいませんね」

 

いや、そんなことしようとしてたんですか!お二方!

ある意味それを聞かずに今後、どのような展開が待ち受けているのかと思うと、ゾッとする

この喜多見良子のことだ

絶対に普通じゃない方法で来るに違いない

ましてや、そこに先生までもがいるとなると問題は肥大化する

その気になれば、吹奏楽部を動かすこともできるのだ

そうなる前に、自分は決定打を出せたということに安堵した

 

 

その後、珍しく自分から話を振っていた

会話を続けたい訳ではなかった

それなのに、自分の口が動いていた

 

 

「そういえば、良子さん。今日あんな物を用意しているなんて思ってませんでしたよ。良子さんのお父さんはどんな人なんですか?」

 

何故だ?

自分は何故、喜多見良子の父親のことを聞いたんだ?

あの時、自分は喜多見良子の発言からは、何も示さなかった

なのに今更、あの長い至福の時のほんの5文字(おとうさん)

自分は聞いていた

 

それを聞いた喜多見良子は、自分の方を振り返り、目を大きく見開いて、自分を見つめていた

相手からしても、自分の言葉の意味がわかってないのだろう

喜多見良子の目に、自分の顔が写り込んでいる

自分は、喜多見良子に全てを見られているようだった

 

周りの時間が止まった感覚に陥った

実際、自分達は急に立ち止まっていた

どちらが先に止まったのか、覚えていない

ただ、自分を見つめている喜多見良子の眼から逃れられない気がして、

逃げてしまえば楽なのにという、いつもの作戦が通用できないと感じる

相手のせいと思いつつも、自分自身もこう思ってしまった

 

 

喜多見良子のことを、もう少し踏み込んでみたいと

 

 

 

あれから、何分経っただろう?

自分達は未だに、目を離さないでいた

正直、こんなに見られていると恥ずかしくて堪らないが、ずっと我慢している

質問をしたのは、自分の方なのだ

発起人が先に動いてはいけないと、何かが自分を止めている

 

誰も通らない裏路地の端っこで

電灯がない狭く暗い場所で

東からの月光だけを受ける

 

 

ようやく、彼女が動いた

この鎮静を動かした

 

喜多見良子は、自分の眼から一瞬で目を逸らすと、今の場所から1歩2歩...

3歩と歩いていく

自分の見える世界には彼女はいない

だが、革靴の音だけがコツコツコツと、3拍を奏でている

確かに彼女は動いたはずなのだ

この路地裏は一本道だ

近くに交差点もない

従って、彼女がいるのは...

 

自分はゆっくりと振り返った

視界が、急に明るくなってそこからまた暗くなる

その一瞬に、月を掠め見た

 

BINGO

喜多見良子はまた姿を現した

自分よりも後ろにいたのだ

家に帰る道を、学校側に戻っていた

理由はわからないが、そこにいる

 

そして、彼女の姿がしっかりと見えるようになった

そこに見えたのは、先程自分を凝視している彼女ではなく、月が出ている方向に顔を上げ、ボーっと見ていた

月に照らし出された彼女の姿は、何故か寂しげで、白い百合の花のように美しく見えた

 

自分はその姿が美しく見える反面、痛々しくも感じた

顔全体が見えていないが、あの雰囲気を知っている

父親が死んだ時に、小さい頃の自分を思い出すようで...

 

(ウッ...!)

 

何かが込み上げてくる感覚がする

身体の中から何か熱い物が吹き出しそうになってしまった

少し息が苦し...

 

(まずい...このままでは...)

 

自分の何かが壊れてしまう

誰かがいる前で、こんな姿を見せるわけにはいかない

逃げなきゃ

逃げてこのまま、家で倒れたい

 

そう考えた

こうなってしまった以上、喜多見良子に触れる暇もない

自分は震え始めた脚をなんとか動かそうとした

 

 

「私のお父さんのこと聞かれるとは思わなかったよ」

 

と、喜多見良子には言い出した

その言葉を耳にして、私の身体は動かなくなってしまった

手で口を押さえ、もう一つの手で胸を押さえているのに

少し苦しくなってきてるのに

首にまできた酸い物を感じているのに

 

(ここで倒れてしまうのかな...)

 

なんて弱音を吐きながらも、立ち尽くしている

最悪、喜多見良子に助けてもらえるんだと思うと迷惑だと思いながらも、有難いという思いも湧いて出た

だけど、それも倒れてからの方が数段マシで...

 

こんな馬鹿なこと考える事しか出来ない

自分自身を嘲笑いながら、彼女の方に目をもう一度傾けた

もうこんな姿を見られているか、という勝手な思い込みをしながら

 

...彼女はまだ月を眺めていた

というか、彼女は動いていなかった

 

白く可憐な百合の花は、痛々しさを感じなくなった

 

 

「私のお父さんはね、昨日また違うところに行っちゃったんだ。ここよりももっと遠い所にね」

 

彼女は自分の質問に答え始めた

自分を見ながら話すのではなく、月と夜の空を見ながら

 

 

「だから、私とお父さんが会えるのは1ヶ月に3、4日くらいなの。場合によっては、1年以上会えないこともある。昨日はね、たまたま会える日だったの」

 

自分が入る隙もなく、語り続ける

 

 

「お父さんのお仕事は、医者なんだけど、世界中を旅しててね。世界中の人を救ってるんだ。ある時は紛争地域に行って、怪我している人を治療したり、またある時は飢饉の国に行って栄養治療をしたりもするんだ」

 

自分は、それがどういうお仕事なのか知っている

多分、国境なき医師団という組織だ

 

 

「だからね、お父さんは世界中のいろんな人を助けてるんだ。私はね、そんなお父さんが大好き。でもね、最初はそう思わなかったんだ。小さい頃は、お父さんがいつの間にかいなくなってて、一人で寂しい気持ちで遊んでいたんだ。幼稚園に行ってた頃は、周りの子とも話すのが苦手でね。その理由はつまらないんだけど...その子たちはね、お父さんが迎えにきてくれるの。嫉妬なのかな...?でも、そんな子が羨ましいって思ったんだ」

 

...自分と似たような状態であったことに少し言葉を詰まらせた

吐く息は、先程の苦しいという思いではなく、何を言えばいいのか迷っている息だった

彼女も小さい時は寂しかったんだと思うと、同情する

悪い意味ではない、いい意味でだ

というか、自分の過去を引きずったままの自分が情けない

そう思うと、だんだんとしんどくなくなっていく

少しの間があったが、また喜多見良子が話を続けた

 

 

「そんな悪い子になってから、2年くらい経ったある日だったけな...私は年長さんになりたてで、今までと同じように家に帰ったんだ。そうしたらお父さんが久々に帰ってきてたんだ。私はすっごく嬉しかったんだ。だから、お父さんに抱きつきに行こうとしたらね、お父さんがとても怖い顔でダメだ!って言われちゃったんだ。その声に怒られたって思って泣きそうになったんだけど、そのお父さんは包帯をいろんな所に巻いていたんだ...

そこから、初めてお父さんのお仕事について聞かされたんだ。お父さん、紛争地域で現地の人を助けようとしたら、建物が倒壊してきてね...。助けた人はお父さんのお陰で、難を逃れたんだけど...お父さんは、脚を挟んじゃって、動けなくなっちゃったんだ...。そのまま、数時間助けが来なくて、血もどんどん出てくるから、最悪脚がなくなってるくらいの大怪我だったんだけど、幸いなことにそこまでの大きな怪我じゃなくて、足の骨を折ったり、輸血をしたりしたくらいだったんだ。だから、怪我人をそんな場所に置いておけるわけにいかないから、日本に返されたんだ。」

 

...壮絶な過去だ

自分の父親は、人を助けて、電車に轢かれて死んだ

それに対して彼女の父は、人を助けて、大怪我をしたが生きている

お互いに似ている...そんな風に彼女からは見えなかった...

ではなんで、わたしとこんなに彼女は違うんだと考えていたら、すぐに答えを出してくれた

 

 

「最初はそれを聞いて、怖かった。お父さんが、もしかしたらもう会えなくなっちゃったらって考えると、怖くて怖くて泣きそうだった...。でもねそのあと、初めてお父さんの強さを知ったんだ。電話でお父さんが笑顔になっていたんだ。私は怪我してるのに、なんで笑顔になれるのかな?って思って聞いたんだ。どうして、そんなに嬉しいのって。そうしたら、お父さんが言ったんだ。

 

俺が助けた人が元気になってくれて、新しい居住区で新しい生活が出来てるって聞いたんだ!これ以上の喜びはない!

 

って言ったんだ。お父さんは死にそうになったのに、その助けた人を恨むこともなく、逆に喜んでる。それは私と違って凄いことだって気付いたんだ。だれかを妬ましく思ったり、恨めしく思ったりするのは簡単だよね。だけど、お父さんのように誰かのために頑張って、幸せにするって言うのは難しいんだって思ったんだ。そして、誰かを幸せにしたら、そのあと自分自身も嬉しくなるんだってね。

だから、その日私は決めたんだ。私がいっぱい頑張って、お父さんを嬉しくさせようって」

 

ああっ...ここだ...

ここが違うんだ...

自分は、喜多見良子の話を聞き入っていた

彼女の考え方は、父親が生きてるから生まれた気持ちなのだろう

そして、彼女のはじめての目標がこれなんだろう

 

 

「その電話以降、お父さんは全然楽しそうじゃなかったんだ。あの時の笑顔以来、お父さんの顔はほとんど変わらなかったんだ。私がきても、今のお父さんは何も出来ないからって言われちゃたし。それでも、私はめげなかった。お父さんにいろんなことを、一緒にやろ!って誘いまくったんだ。塗り絵や、パズル、お歌に、あやとり...出来るだけ、脚を使わない遊びを探してきては、お父さんと遊ぶ、そんな生活をし始めたんだ。そうしたら、だんだんとお父さんの顔が解れていって、私との時間は辛そうな顔をしなくなったんだ。そうやって、頑張っているとね、幼稚園でもいろんなことに挑戦し始めようになって、今まで興味がなかったことも、楽しくなるまでやってみ始めたんだ。その様子を、周りの子達も見ていたのか、だんだんと私の周りに集まってきてね。その子達と話して、お友達になって、みんなで楽しく遊べるようになったんだ!」

 

彼女の話は止まらない

というか、止めたくなかった

自分はと言うと、もうすっかり元に戻っていた

酸い物は消え、体の震えも止まり、手も強張っていなかった

自分とは違う神様を見ているつもりで

説法を唱える聖職者の話を聞き入っている

 

 

「でね、ちょうど今頃だったかな...鍵盤ハーモニカを幼稚園で吹いたの。最初は音がうまく出せなかったけど、だんだん音が出せるようになって、私は、これをお父さんに聞かせたいって思って、家に持ち帰ったんだ。それから、お父さんの目の前で鍵盤ハーモニカで、簡単な音楽を弾いてみたの。曲名までは思い出せないけど、今振り返ると、とても上手だと思えないくらいだったけど、一生懸命弾いたんだ。そうしたら、お父さん、あの電話の時以上の笑顔を私に見せてくれて。

 

良子、お前はすごくいい音楽を奏でてくれたね!お父さん、とっても嬉しいよ!

 

って言ってくれたんだ!その時の笑顔は、今でも覚えているよ!お父さんの笑顔を見た私も、釣られて笑顔になっちゃうくらいとても嬉しかったんだ!だからね、今も音楽を続けてるんだ。あの時見せてくれたお父さんの笑顔を、他の人にもしてほしいなって思って」

 

彼女は、はじめての目標を達成させられたんだ

だからこそ、今の彼女ができている...

こんな経験ができれば人が変われるんだと、いい体験例を聞けた

そして、自分もこうなれるんじゃないかと改めて感じた

 

人を笑顔にすることは、自分には重すぎると思い込んでいた

夢の中で出会った二人を笑顔にすることができたのだが、あれはあの二人だったからこそだと勝手に思い込んでいた

だが、そんなの関係ない

わたしが頑張ったからこそ、二人が笑顔になれたのだ

そうだ、あの二人もそんな気持ちで私に接してくれていたのかも知れない

 

そう思えると、自分でも頑張れそうという活力を生んだ

 

自分のことに気を取れていて、彼女の方を見ていなかった

そして先程まで冷たかった肌触りが、暖かい風が私の頬を、優しく触れていく

風が吹いた方角を見ると、喜多見良子が月から私の方に向き直そうとしていた

横顔が正面になろうとしている

その時、小さな雫が月光に反射してキラキラ光った

それはまるで、過去を洗い流した結晶のようであった

 

自分の方に完全に向き直った喜多見良子は、

夜にも関わらず、向日葵のような笑顔で満開に咲いていた

やはり彼女には向日葵のような笑顔が似合う

 

 

「ごめんね、ずっと君の言葉も聞かずに、私の過去話ばっかりして。こんなに話し込んだのは久しぶりかな?」

 

「いえいえ、とんでもないですよ。こちらこそごめんなさい。」

 

「君はずっと私の話を聞いてくれたんだもん。謝る必要はないよ?それとね、君には本当に感謝してるんだよ?」

 

「と、言いますと?」

 

「私が君のことを先生に聞いた時、なんだかとっても懐かしい感じがしてね。君が、壊れた楽器を直して、演奏したいって言う気持ちがとっても素晴らしいことだって分かったから、一緒になって手伝いたいなぁって思ったんだ!」

 

「良子さんの過去と同じ目標持ってたんですね」

 

「うん!だから、君のこともっと近くで見ていたいなって思うんだ!いつもありがとうね!君は最高の友達だよ!!」

 

「ひゃっ!?友達!?」

 

また変な声が出た...

動揺しすぎなんだよ自分

もっと喜べ

 

 

「うん!君は私のことどう思ってる?」

 

ここで、頑張れ勇気を出せ!!

 

 

「と、友達です」

 

声が小さいぞ!

喜多見良子は遠いんだから聞こえないぞ!

 

 

「んー?きこえなーい!」

 

ああっ、だから言わんこっちゃない!

もっと大きな声で!

 

 

「友達です!」

 

よし!よく言えた!

 

 

「おっ!聞こえたよ!嬉しい!」

 

その一言に、自分は安堵した

自分の中で鼓舞してきたことが報われた

そして、大きな声で言ったことに、今更後悔し始めた

頬が熱くなってきた

その熱さは、恥ずかしさなのか照れなのか

その二つの選択肢で迷う前に、自分の顔は左下を見た

 

そうすると、勢いよく喜多見良子が掛け寄って来た

離れる時よりも2倍くらいの速さで全力で来た

走りながら鞄の中から、今日使ったポラロイドカメラを取り出している

ポラロイドカメラを取り出しきった後、自分の目の前に急停止した

 

その勢いと、急に近くなった喜多見良子に、自分はまた正面を見てしまった

目がまた喜多見良子で一杯になる

彼女の笑顔で釘付けにされる

そんな光景のせいで、もっと頬が焼けるように熱くなった

選択肢の答えが決定してしまったのだ

 

そして、彼女は言い始めた

 

 

「このポラロイドカメラはねー。うちの家でもとっても大切にしてる奴なんだ!さっき話した、お父さんに聞かせた鍵盤ハーモニカを聞いてくれた日に、写真を撮った時に使ったポラロイドカメラなんだ!もう10年くらい私の家で使ってるんだけど、こうやって家族以外の人を取ったのは初めてなんだー!お父さんは、お仕事でいろんな国で仕事用のポラロイドカメラを使うんだってー。でね、いつも同じ写真を二枚とるようにしてるんだって、一枚は自分用で、もう一枚は現地に残す用。

そうしたらスマホのカメラで撮った写真じゃ味わえない、オリジナル(原画)の写真が、両方とも手に入るでしょー?それがいいんだって、だからほらっ!」

 

と言った瞬間、彼女はポラロイドカメラを持った手を、空へ向かって伸ばし、自分にくっついて来た

彼女が触れてきたことに対して、びっくりする暇もなく、空に出されたカメラを見上げると、

急に二回の新しい光が発射された

 

思わず、目を閉じてしまった

そして、ジーっという音と共に、この空間を切り取った生まれたての写真達が出てくる

彼女は慣れた手つきで二枚の写真を受け取り、自分に1枚渡した

 

写真を見てどんな感じか認識する前に、大きな声で喜多見良子が笑いながら言った

 

「はははっ!!!君、めっちゃ目閉じてるね!それになんだか変な表情っ!!!」

 

「や、やめてくださいよ」

 

「でも、同い年の二人でのツーショットなんて初めてだったけど、なんかいいね!これ記念に飾るねー!」

 

なんて言ってきた

その言葉を聞いてから見ると、本当にそう思う

目は閉じているし、口は半開きだし、なんか顔も無表情を隠そうとしてるけど、なぜか焦ってる感じがする

それに対して、彼女の顔は最高の笑顔で顔の横にはピースまでされていた

 

こんな雲泥の差を見せられた写真は初めてだ

これが経験の差なのかと、変な感想を考えていたら、近くの家の電気がついた

これは偶然かもしれないが、喜多見良子の大きな笑い声に反応してついたのかもしれない

そうすると、こちらを窓ガラス越しに覗き込まれるかもしれない

 

そんな風に考えていると、彼女も同じことを考えていたのだろう

こんなことを言いながら、走っていく

 

 

「あっ、もうこんな時間!?じゃあね!私、今日夕ご飯の当番だったのー!君も早く帰りなよー!!」

 

と、また大きな声を出して帰っていく

先程来た道を戻って歩いていた道を、次は帰るべき道に進んで走っていった

彼女の奇想天外な行動に、やれやれと少し息を吐いた

下げていた顔を上げると、近くの家から窓ガラスを開けて自分を見ていたのがわかった

自分は軽く会釈をした

そうすると、相手も釣られて会釈をする

そして、私も同じ方向へと歩き出した

 

感じた晩春の夜風の冷たさと、手に残った出来立ての写真の暖かさに、困惑しながら

写真を大切に生徒手帳に挟んで、胸ポケットにしまった




...本当は下校風景を書く予定はなかったんですけどね!
最初の計画では、このまま次の日の学校でのお話を書くつもりが、気がつくと下校シーンを掘り下げてしまってました!!

最近いろんな人に私の小説を読んでもらえる機会がありまして、その方々に感想を聞いてみると

「喜多見良子のことが気になる」

と、言われましたので書いてみました
一体いくら書いたんですかねぇ...(約8000字)
というか、ひさびさにシリアス(?)な内容かけて満足です


バンドリでは3周年に入りましたね!
いっぱいガチャ回しました!結果、星4いっぱい当たりました!!

でも!!ドリフェス花音ちゃんは出ませんでした!!!!!

なんでや!!
というわけで、有償2500個で星4選択チケットで花音ちゃんを書いました(1年ぶり3回目)

そして、カバー曲にまさかの「Bad Apple‼︎feat.nomico」が追加されました!!
東方好きの私からしたら本当に嬉しすぎて堪りませんでした!!
Roseliaカバーも好きになりました
ありがとうバンドリ運営様!

最後にこの小説をお気に入り登録していただいた
「雷鳴滝 様」
「hanajan4 様」
「はるv 様」
「山山山山 様」
「小鴉丸 様」

そして、評価していただいた
「小鴉丸 様」

本当にありがとうございます!!
私個人、第29話はとっても好きなのでいろんな方に読んでもらえて本当に嬉しい限りです!!
そして何よりも、ハーメルンに小説を投稿するキッカケにもなった「小鴉丸様」に読んでいただけたことが何よりも嬉しいです!
ずっと目標にしてる方からの高評価なんて私死んじゃいます((
これを励みにもっと精進いたしますのでこれからもよろしくお願いします

それでは、次の話も楽しみに待ってください!
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