今回から待ちに待った夢パートです!
それでは第35話始めます
第35話 夢への帰還
この1週間、特に変わったことのない朝を毎日迎えていた
高校生となって早2ヶ月半
段々と一人暮らしに慣れてきたのか、それとも一人の時間をそんなに憂いに感じなくなったのか
無意識に作り込んだルーティンを送っていた
そして奇妙なことに、1週間のうち寝ている間の夢についての記憶がこれぽっちも残っていなかった
それについて最初の数日間は不思議に思ったこともあったが、最近の忙しさにそこまで気にならなかった
それから今日を迎え、一つ心残りを抱いてしまった
どうしてもハロハピのメンバーに会いたかったのだ
最初は自分の傲慢によって繋がった奇跡の人達
そして、その一員になってしまった私
メンバーの私がいなくても、ハロハピのメンバーなら何かをやっていると思う
奥沢美咲に、
北沢はぐみ、
瀬田薫、
松原花音、
そして、弦巻こころ
...ちょっと心配だ...
でもまぁ、黒服がうまく
でも、そこに何か私も混ざっていたいと思う
そして、ハロハピで何らかの『未来の歌』へのヒントを見つけ、作っていきたい
そんな願いが功を奏したのか、微かに聞き覚えの少ない音が入ってくる
「...ぉぃ...大丈......?......下が...たか?」
そう、一人暮らしの私には寝室で他人の声が入る事はまずあり得ない
ということは...?
私は、ガバッと布団を強く蹴り上げた
足元から少し涼しい風が流れ込んでくる
新鮮な空気は、私の首元を通り過ぎ、目蓋を掠め取り、頭の先を抜けていく
風によって眠気を和らげ、そのまま上体を起こした
起き上がる間、妙におでこが冷たいのを感じ取った
やはり、ここは自分の寝室ではない
私の寝室なのだ
その証拠に、きっちりと制服などの服が整頓されてハンガーに掛けられているのが見えている
これは大雑把な私にはできない芸当なのだ
その事を瞬時に把握し、首を横に向けてみた
...そこには尻餅をついた母親がいた
「!!びっくりした!!あんた、元気そうじゃないの?」
母親の顔は、私を幽霊と同一人物だと思っているかのように、あり得ないものを見ているかのような反応だった
私はそういう反応になる理由が全くわからなかった
軽く頭を傾けて、尋ねてみた
「どうしたの?」
この一言くらいしか掛けれる言葉がなかった
私は何も悪いことしてないはずだから
そう聞いた目の前の人物は正座をし直して、私の方に不思議そうな顔をしていた
「あんた、1週間も高熱出してたのよ?学校もずっと休んでたし、お薬飲ませても全く起きる気配がなかったから、急に起き上がったからびっくりしちゃったわ。あんたもう熱はないの?」
(へ...?どういうことだ??
私はこの1年間風邪は引いていない筈だが?
しかも、風邪気味というわけでもなかった
なのに...何故高熱を出していたんだ?
今の私はピンピンとしている
それに、1週間ずっと起きていなかったのは何故なのだ?)
疑問文を提示し、その疑問文の応答がそれ以上の疑問を産み出されてしまった
...ただ...母親が言ったことは真実であったと思い込むしかできない証拠が出てきた
起き上がった際に布団の上に転がっていった証拠品
しっとりと濡れているタオルがあった
タオルから染み出した水が、布団を濡らし、挙げ句の果てに私の上着のヘソの辺りをも冷たい水が侵入してきている
肌に触れた水が、冷たすぎて少し身振りを起こしそうになった
これは、私の体温が高いせいなのか?
それとも、水が冷たすぎるからなのか?
...それを考えても答えは見つからないような気がする
そして、他にも裏付けられる物が母親の足元に置かれていた
水が入った小さな洗面器に、縁に半分に折られ掛けられたタオル
二つとも平常時にはなかなか使わないものだろう
使うとしても風呂場などの水回りのところぐらいしか洗面器は使わないのだ
なのに、寝室に水が張った状態のまま置くことはない筈だ
最後に、肯定を約束された確実なものがそのもう一つ隣にある
私の名前が書いてある、処方箋が置いてあった
そこには長期の病気を考慮されてか、『七日間』という文字が書き記されている
ただ、7日間にしては処方箋袋は膨らんでいない
そして、その周りに錠剤を出し切った残り物が何個か落ちていた
ということは、7日間の薬を全部使い切ったっということなのでは?
ダメだ、やはり解決できるはずの事件のはずなのにこのまま肯定したくないという身勝手な感情が生まれていた
やはり最大の欠点は私自身に自覚が全くないのだ
このボトルネックを解決しない限り、この問題を解決する方法はないだろう
しかし、このままずっと布団の上で生活する必要はない
何故なら、
今すぐにでも、こころ達と行動したいのだ
(それじゃあ、やることは一つだよな)
「お母さん、体温計出して」
そう、まずは私自身が元気なの事を示さないといけない
そうしないと、この場所から出してはくれないだろう
この身体は、私だけのものではないのだ
ここには、本来なら存在しないはずの両親がいるのだ
両親からすれば、私の存在は相当大切なはずなのだから
そんなことを噛み締めて考えていると、母親が体温計を手渡ししてきた
私は、妙に先端が冷たい体温計を腋の下に挟んだ
結果は1分くらいで出る
その間に、熱があったらどうしようかと微かに考えてしまう
その小さな焦りが原因で体温を上げるのは本末転倒だ
結果が出た
36.2℃
全くもって普通の平熱だった
心の中で小さくガッツポーズをした
というよりも、心の中でしかガッツポーズをできないからである
身体に出してしまえば、もっと不自然で目をつけられそうだったからだ
ただ、全てを隠しきれなかったのか
気づかないうちに拳を軽く強く握っていた
「あらっすっかり、熱が下がったじゃないの?これなら大丈夫そうだね。それじゃあ、寝ている間に来ていたお客様を会わせても問題ないかな」
「お客さん?」
(私みたいな人に訪ねてくる人なんていないと思うのだが...
お見舞い...?だとしたら普通に私の前に通せるだろうし...)
やはりこの世界では謎はつきそうにもない
そんなことを考えていたら...
ピンポーン!
と、寝室まで届くピンポンの音が響いた
「おっ?噂をすれば、そのお客さんかな?それじゃあ、あんたは普段着に着替えて少し水でも飲んでおきなさい」
っと言って、母親は立ち上がり、寝室を出ていった
意外にも早い話の展開に、私は軽く驚きつつ、布団から立ち上がった
布団の隣には、いつ私が起きてもいいようにという母親からの優しさだろうか
普段着一式分が畳まれて置いてあった
その服を一つ取ってみると、どの服にもシワひとつもなかった
倒れている私がいる間、アイロンまでかけて待っていてくれたと心の奥底で想起され、私は小さく暖かい水を流した
この場所ならではの私の扱いに嬉しくもあり、尊いものだと改めて感じ取った
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「おーい、早く玄関口においでー」
母親のこの一言で、私は寝室を出た
玄関口に通ずる廊下で母親とすれ違い、母親の含み笑いが見えた気がした
母親の姿が近づき、すれ違う
そして母親が消えた後、玄関口には新しい人物が姿を現した
その人物は私に向かって軽くお辞儀していた
この人は私の知っている人だ
「クロ様、お身体はもう治られましたか?」
「はい、だいぶと時間がかかりましたが、もう大丈夫だと思います」
真っ黒なスーツを見に纏い、サングラスをしている女性
間違いなく、これは弦巻家の遣いだ
もしこれを知らない人に認定してしまうと、借金取りに見えるだろう
それほどこの建物の中で異彩を放つ存在なのだ
私は、黒服が来た理由を軽く察していた
「クロ様、今すぐにでもこころ様の元へお連れしてもよろしいですか?こころ様がクロ様を心待ちにされております」
(やっぱり)
いつものことなのだが、この方々の行動力は唐突すぎるのだ
こころの提案に真っ先に実行する即時的な行動力は群を抜いている
だが、それを知らない一般人からするとただただ不気味なのだ
普通の人なら、この状況を飲み込むまで時間がかかるであろう
実際に初めて保健室であった時は困惑した
だが、二度目となると慣れたのか
私の方も即時に反応した
「はい、今すぐ行きます!」
二つ返事で承諾した
幸いなことに、今からでも自力で向かおうとしていたのだ
渡りに船の展開に、今日は何かいいことがあるのかという謎の自信も湧いてくる
「では、この真下の道に車を止めております。準備ができましたら車の前までおいで下さい」
「もう準備はできていますので、今すぐついていきますね」
黒服は私に向かってもう一度お辞儀し、踵を返し玄関のドアを開けた
私は開けて置いてくれた扉を、靴のかかとを踏みつつ急いで駆け出た
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「大変お忙しい中、こころ様にお会いしていただき誠にありがとうございます」
「いえ、大丈夫です。もし、黒服の方々が来られなくても、向かう予定でしたから」
現在、私は黒服の方々が用意した車に乗ってこころの豪邸に向かっている
...やはり、この空間には慣れない
小市民の私にとって、このリムジンは出来すぎた車なのだ
多分、あと何十回乗ってもなれることはないのだろう
これに乗るんだったら、この前に乗った先生のワゴン車の方がいい
私と黒服との間には3人くらいの幅がある
こんな広々とした空間をまだ少し怖くも感じる
そんなことはないだろうが、この空間が無限に伸びてしまうんじゃないかという気持ちがどこかに引っかかっていた
「クロ様、実のところここ数日間毎日クロ様のお宅にお邪魔させていただきました」
「はい?」
それは初めての情報だ
というか、この数日間のことは母親からしか聞いてないのだから当たり前か
「近頃、こころ様がどうしてもクロ様を必要とおっしゃっていました。その言葉に我々は毎日クロ様のご住所にお伺いしました」
「そのことは母親から聞きました」
「本当でしたら、こころ様をお連れしてお伺いするべきなのですが、我々の見解によりこころ様をクロ様の所に接近なさらないようにと結論づけさせていただきました。誠にご勝手ではございますが、ご了承をお願いします」
「は...はい、わかりました...?」
今の言葉の半分くらいしか理解できなかった
私に対して何らかの謝罪をしているのだろうが、私は何も悪いことはしていないと思うのだが
と、適当な返事しかできなかった
それよりも、こころが私を必要としていることが何よりも嬉しかった
やはりこころは最高の友達なんだと感じる一幕だった
「それでは、あと3分くらいで到着いたします」
「わかりました」
リムジンは着実に目的地に近づいている
あと3分で待ちに待った人物と再会できるとなれば自然と浮かれてしまう
前回と違って、リムジンを降りる際の感情は全く正反対になりそうだ
私の高揚感とは裏腹に、黒い車のスピードはいつまでも一定であった
久々の夢パートでした!
いや、夢パートなのだからハロハピメンバーは!?
って感じでしょうけど、次の話ではしっかりと出ます
(そして5人の台詞はハロハピ1章が元になると思います)
そして、2ヶ月間お待ちしていただき誠に申し訳ない...
リアルでF1にどハマりしてしまい、過去30年くらいのベストレースを見尽くしていましたw
しかし執筆しなきゃとずっと考えていたところ、やる気が出てきて一気に書きました
次は1週間を目標に書きたいと思います
バンドリではハロハピのコラボ始まりましたね!!!
『おジャ魔女どれみ!』とのコラボ、ある意味予想外でしたw
でも、みんな衣装が可愛すぎて私は死にました(特に花音ちゃん)
カバー曲には『おジャ魔女カーニバル‼︎』
めっちゃテンション上がって楽しい曲です!
(聞く度にZ会MADの歌詞が流れますが)
それでは、第36話を楽しみにしてください!