記憶の片隅にある天国   作:パフさん♪

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前回はこころと一緒にスタジオに向かっているところまででした

今回から台詞部分の前にキャラ名を書いていこうと思います
(例: こ「○○〜〜」→こころの台詞
  は「○○〜〜」→はぐみの台詞
  美「○○〜〜」→美咲の台詞
  薫「○○〜〜」→薫の台詞
  花「○○〜〜」→花音の台詞
  ミ「○○〜〜」→ミッシェルの台詞
  ク「○○〜〜」→クロの台詞 etc)

さて、今回はハロー、ハッピーワールド! 第1章 第9話を元に進めていきます

では、第37話始めます



第37話 ハロー、ハッピーワールド!

LIVEHOUSE CiRCLE(サークル)

都会の真ん中にあり、人通りの多いところに建ってある小さなライブハウスだ

そんな場所に、厳かなリムジンが登場したのだから、必然的に周りからの視線が一点集中に集まるわけなのだ

ライブハウス前のオシャレなカフェテラスの隣に、黒塗りのリムジン

この図だけを見たら、この車の恐ろしさというものは考えることすら拒絶したくなる程だ

 

そんな冷たい視線を車の窓の中で感じながら、私はこの空間から出る頃合いを探っていた

このまますぐに出てしまえば、この気持ち悪い感覚を背負い込むことになるのだ

況してや、私はこんなスタジオに来ることなんて知らなかったのだから、私に責任はないはずなのだ

...って考えていたが、こころと行動を共にしている時点で答えなんて見つかっていた

 

ふんふふふーん♪

 

こころは鼻歌混じりでリムジンから降りていった

周りの視線なんて気にしていないのか、そもそも眼中にないのかはわからないが、こころは平然とこの空気の中を駆け出そうとしていた

そんなこころの姿を見ていると、私の考えていることの小ささに馬鹿馬鹿しくなっていた

 

私は、こころの次にドアを開けてくれた黒服の合図と共に外へ出た

幸いにも、第三者達の視線は私にはほとんど向いておらず、こころの方に向けられていた

それでも、私の中の苦い記憶が少しの恐怖を煮えたぎらせるのを感じ、こころの護衛について歩いている黒服の死角へと逃げ込んでいた

 

10mほどしかない華やかな空間が、私にとってはファッションショーのランウェイのように感じられた

華やかさのベクトルの違いが、私を影へと引き込まれたようだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こころ「あれからまた1週間ね!それじゃあみんな、自主練の成果を見せてちょうだい!」

 

5人と私が揃うと、こころから話を始めた

何やら、私が夢の世界に来ていない間に色々と変わったことがあったようだ

まず初めに、私との再会時のみんなの反応だ

 

こころは言わずもがなだが、他の4人には多少の差異が見られた

 

花音は、始めて顔を見合わせた時に比べて私に対して柔らかな笑顔で応えてくれた

あんなにおどおどしていた彼女からの笑顔というのが、なんとも心を暖かくさせてくれる

他の4人の中でも、今のところ一番彼女とは親密な関係になっていると言える

 

はぐみは、私のことを覚えているのかどうかわからないが、私に対してとてもいい声で挨拶をしてくれた

初めて会ったのは、商店街でぶつかった時だった

その際、私の事を気にも留めるそぶりも見せなかった

ただ、今は私のことを仲間だとは感じていてくれているようだ

 

薫は、前と殆ど変わっていなかった

私の姿を目にしては、一言

「王子様のご帰還とは...儚い...」

と言い、目を閉じて手を前でクロスさせていた

私にはそのポーズの意味がよくわからないのだが、彼女なりの感情表現なのだろう

だが、私のことを王子様と誇張するのはどうなのかとは思う

私は、ただのこのバンド唯一の男ということだけなのだから

 

最後に、美咲

彼女には私に対して警戒心があるのか、私がスタジオのラウンジに入って来たのを見て、目を大きく見開いていた

そこまでは第1回の会議とは同じだった

違った点はここからだ

私に対し、目を細めていた

先程感じた一般人からの冷たい目ではなく、疑念を抱くような目だった

痛いというわけではない、何か私の心を読もうとしている動きに見えた

もしかしたら、彼女は私のことを嫌っているのかもしれない

私が、美咲と同じように後からの部外者だと感じており、わたしはとうの昔にハロハピから脱退しているのだとでも思われていたのかもしれない

そうなると、私がこころと一緒にスタジオ入りして来たことはとても不思議なことだと感じたのであろう

...彼女とはいつか、私の本心を話してみたいと思った

 

 

それから、5人の少女達は奥の控え室へと入っていった

これからバンド衣装に着替えるようだ

私に、一言

「それじゃあ、クロはゆっくり待っててね」

と、こころが話した

少し置いていかれたような気持ちが、心の奥でひっそりと出現して来たが、その気持ちを表に出さまいとラウンジの中を見回した

 

私が初めてこころの家で運んだ楽器が並べられている

 

黄色にリボンのついたマーチングマイク

白地に金色の金具が付いたギターと、茶色を基調としたギター

黒色に銀色の金具が光るベース

記憶に新しい水色のドラム

 

そして...黒い箱...???

この一つだけ見たことがなかった

それもそのはず、あの時には運んでいなかった楽器だからだ

というか、これ自体が楽器かどうかもよくわからない

だが、ここに置かれている以上、これも楽器なのだろう

そしてこれは残りの一人、美咲が担当する楽器だということまで推測できた

 

一つ一つの楽器がピカピカと光っていた

このスタジオの照明が原因なのか、はたまた私自身がこういう楽器を見るのが嬉しいのか

とても生き生きとしていた

正直言って触りたい

触りたい!...が、今はよしておこう

当人達が来る前に触って壊してしまっては元も子もない

私はショーケースの中に入った目打ち物を見るかのように、少し離れた位置から見るしかなかった

 

 

そうしていると、黒服の人が一人私に声をかけて来た

お互いに軽い会釈を交じらせ、私がいない間の1週間に起きた5人の行動を伝えてくれた

 

私が消えた次の日、私以外の5人はこのスタジオを訪問した

そこで今後の方針を決めたようだ

こころの「ライブがしたい!」という鶴の一声で、薫と共にライブができるスタジオを探していたようだ

知識が殆ど無い彼女らに助言を出したのは美咲であった

美咲の助言は、曲の練習をし、4、5曲演じれるようになる必要があるということだ

 

そこで黒服の人達は、美咲がラウンジから出て来たところで美咲にミッシェルの着ぐるみを渡したそうだ

曰く、ミッシェルは商店街のマスコットの任を解かれ、このバンドの為に買収したようだ...

そして、その中に入っていた人が奥沢美咲だった

 

その他にも、黒服の人達は日本一有名なロックバンドの出演交渉、演奏曲の作詞作曲アレンジ、バンドの宣伝など、根回しの準備をしていた

だが、その全てを美咲は断ったようだ

理由は本人から聞いていないが、黒服の人の考えではラウンジの中から聞こえたこころの言葉

 

「だめよっ。これはあたし達のバンドなのよっ。バンドはライブの演出も、衣装も、全部自分たちでやってからこそよ!」

 

この言葉が彼女の何かに刺さったようだと推測した

そして、彼女はミッシェルを着て、みんなの前に立ったのだ

それから2、3日後、ミッシェル(奥沢美咲)はライブハウスでのイベントに出られるように交渉していた

初心者のバンドが出れるイベントで、このバンドも出れる事になった

ミッシェルの大手柄に対して喜ぶメンバー達だったが、ここでこころがまた素晴らしい提案を話した

ミッシェルの担当楽器をDJにする事を決めたのだ

 

 

ここまでが、私がいない間に起きた出来事だ

黒服の人との立ち話は10分も続くくらいに壮大なお話

私は、その話を聞き漏らさないようにじっくり聞いていた

その時の私の反応はどうだったか、私には見えていない

見えているのは目の前にいる黒服の人だけ

ただ、黒服の人は全く表情が現れない

従って、私がどんな表情をしていたのかを判断することはできなかった

 

しかし、簡単に想像できる

私がいない間に、確実にスタートラインから進んでいたのだ

ライブの日程を決め、全員の楽器担当を決め、ライブ衣装も決めて着替えている

私一人だけが置いていかれている、そんな気持ちが湧き上がった

1週間のブランクが、他の5人との温度差を感じてしまう

 

バンドのライブを見てみたいという嬉しい気と

私が居なくても、大丈夫なバンドを見ている悲しい気が

交錯した

 

モヤモヤと、霧がかかったように心が受け付けにくい

そうして、私は話が終わった後、下を向きながら考えていた

 

その場から私は動いていない

見えているのは綺麗に光っているフローリングの床

楽器と同じく、ピカピカに光っていた

私に見える光沢の差が、私の無力差を物語っているのだと考えてしまったのだ

 

そんな無駄な事を考えていると視界に一つの物体が映り込んできた

黒服の人が、私にある紙を見せてきたのだ

視点が自然とそちらに合っていき、虚像が実像へと変わった

それは、白い紙だった

白い紙には黒い線が引かれていた

その線は曲がったり、点が付いていたり、撥ねていたり、といろんな形をしていた

そこから、もう少し視点を遠ざけてみた

全体像が浮かび上がる

線は文字へと変わった

そうして見える言葉を私は呟いた

 

「...クロ...様の...衣装......案...?」

 

私の為に作られた計画書だった

私用に考えられた...

クロ専用の衣装...

 

本名では無い、このバンドメンバーとしての

ハロー、ハッピーワールド!の一員としての衣装

 

一文を理解しきったタイミングで、私は紙を両手で握っていた

何故か用紙に描かれた文字が揺れていたが、気にしない

私はこの紙を強く握って、目の前に顔を上げた

黒服の人の表情は変わらない

冷たく光るサングラスをかけ、私に一言

 

「クロ様のライブ衣装をご用意させていただこうと思うのですが、どちらの衣装がよろしいでしょうか?」

 

と、私に聞いてきたのだった

思いがけない質問に、私の目が熱くなるのを感じた

しかし今このままそれに負けてしまうと、この紙の内容がよく見えなくなってしまう

私は必死に堪えて、もう一度下へ顔を落とした

 

クリップで止められていた何枚かの紙

その一枚をめくろうとし......

 

 

(だめよっ。これはあたし達のバンドなのよっ。バンドはライブの演出も、衣装も、全部自分たちでやってからこそよ!)

 

 

「.......ごめんなさい、まだ私の衣装については全然考えていませんでした...。こんなにいいものを作ってもらって嬉しい限りなんですが、こころ達のライブ衣装を見てから自分で決めてもいいですか?...一人だけ浮いた衣装を着てしまったら、みんなに迷惑がかかりますし」

 

めくろうとした指を止め、瞬時に向き返し回答した

私の放った言葉からは強い意志が篭っている

 

私がハロハピのメンバーだと自信を持って言えるのであれば、

私が考えた物を作りたいと

自分達でやるからこそ、

わたし達のバンドであると

 

私はこころの言葉を思い返しながら、強く訴えた

強弱に差はあるだろうが、数日前の美咲と同じように

私は自分で決めようと決意したのだ

 

 

黒服の人に紙を返し、私に軽いお辞儀をしてからこの場を去った

再度、私一人の空間へと戻った

シーンとした閑寂な空間

そこには、先程と異なった自分がいた

 

楽器を憧れとして見ていた数分前の私は、

控え室へと繋がるドアを見ている私へと変わった

 

いち早くみんなのバンド衣装が見たくて、

みんなと同じような衣装を考えたくて、

ドアが開くのをジッと待っていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

こころ「あれからまた1週間ね!それじゃあみんな、自主練の成果を見せてちょうだい!」

 

そして今へと戻る

5人の煌びやかな少女達が自分達の楽器を手にし、演奏の準備をしている

一人一人、とても可愛い

 

赤色のシルクハットのように高く、黒いつばのついた帽子に

白い上着に、赤いチョッキ

金色の肩章とボタン

黒い襟元に、肩帯、腕飾り

白いフリルのついたスカートに

赤いロングブーツ

 

どこから見てもマーチング衣装だった

私の第一印象からすると、いつの間にかテーマパークに来たのかと勘違いしてしまう程賑やかな顔合わせとなった

この衣装を見て、私はどんな衣装を着なければならないのか考えなくてはならない

そこに至るまでに、恥ずかしさの方が先行してしまったのだった

 

 

こ「ミッシェル、音楽を!」

 

こころはやる気満々だった

 

 

ミッシェル「えっと、......こう?」

 

そう言って、ミッシェルはターンテーブルを使って音楽を再生した

音楽が流れ始める

とっても明るく、弾むような曲調

私は目を閉じながら聞いていた

 

 

ミ「えっ。なんだ、結構......」

こ「いえーーいっ♪」

はぐみ「えいっ、そいやっ!」

薫「ことばは宙に舞い、思いは地に残る........儚い...」

花音「...........」

 

音楽が掛かり始めてから、一人一人真剣に演奏に入っていく

真剣に弾いている人もいれば、

自分の世界に入っている人もいる、

意外だと思っている人がいれば、

音楽に合わせて元気いっぱいな人もいる

みんな曲に対して一生懸命だった

 

私は目を閉じながら、一人一人の練習過程を考えていた

経験者もいれば、未経験者もいる中で1週間足らずでこんなにも上手に弾けるようになるまでの努力を感じ取っていた

誰一人として、軽い気持ちでは演奏していなかった

 

演奏が終わった

私は音が止むのを待って、大きく手を叩いた

目を開けて、5人の動きを確認した

 

こころと薫の二人は演奏前と演奏後に違いはないが、はぐみには少しの違いがあった

最初は緊張した面持ちで始めていたが、終わった後はいつもの笑顔に戻っていた

花音も、はぐみと同じように私の拍手に照れながらも軽い笑みを浮かべていた

......ミッシェルは...表情が変わらないのでよくはわからないが、中の人も終始案外上手くいっていることに感心していたのであろう...

 

 

こ「やっほーーーーーーっ♪クロも盛り上がってるっ?るんるんいえーーいっ!」

クロ「うん、とっても良かったよ!」

 

と、私の本心をそのまま伝えた

その言葉に嬉しかったのか、はたまたいつものことなのか、急にバク転を始めた

できれば、バク転した後に楽器とかに当たって壊れないかとか、

スカートの中が見えてしまうことに注意して欲しいとか、

元気すぎてこころを止められる人がいないから少し落ち着いて欲しいとか、

いろいろ言いたいことはあるが、まぁ今はどうでもいい

こころは心の底から音楽を楽しんでいる

それが伝わってくる、楽しそうなバク転だった

 

それから何度か演奏を繰り返して、どんどんと良くなっていった

全体的に演奏ミスが減ってきており、数名の緊張感から少しの余裕を感じられるようになってきた

 

 

こ「すごいわみんな!これでライブ本番も完璧ね!」

は「すごいよ!このバンドって、最強だよ!」

薫「音楽とはなんと美しいのか、素晴らしき新世界......!」

こ「でしょーっ♪クロはどう思ったかしら?」

ク「とてもいいと思うよ」

ミ「って、まだ1曲しかできるようになってないから」

 

鋭いツッコミが入った

そりゃそうだと、納得していたところ

 

 

こ「1曲できたってことは、何曲だってできるっていうことよ!!」

 

流石だ

こんな考え方は私にはできない

 

 

ミ「.......本当、スーパーポジティブ。まぁでも、結構よかったかもね」

 

やはり、ミッシェルも手応えを感じていたようだ

 

 

花「美咲ちゃん、本当っ?わ、私、ちゃんと叩けてた?」

美「花音さんは、もっと自信を持った方がいいよ。みんなの演奏、しっかり支えていたと思う。あたし、プロじゃないし、そんなにわからないけど。.......ドラム辞めなくて、良かったんじゃない」

花「はわ......!?う、うん......!」

 

...美咲はとても感想をいうのが上手だ

花音のドラムを聴き分けて、適切なアドバイスを送っている

そして、最後に一言相手に一番思いやりのある言葉をかける...

こちらも今の私にはたどり着けそうにない

 

 

は「よーしっ!この調子でこのバンドでライブハウスを盛り上げちゃうぞーっ!......ってこのバンド?」

こ「バンドがどうしたの、はぐみ」

は「こころん。このバンドの名前ってなーに?まだ決めてなくない?」

ク「あっ...」

花「そ、そういえば......?」

 

そういえばそうだ、このバンドの名前なんてこころから聞いた覚えがない

その考えは、他の人も同じようであった

 

 

ミ「あ、ようやくお気づきのみなさん。あたしが気を利かせて、バンド名は未定で出演申請してますから、どうぞご心配なく」

 

なんというか、全てを察して対処してくれている美咲が一番すごいのではないだろうか

というか、そうとしか提出できなかったという可能性もあるが...

 

 

こ「バンド名は決まっているわっ」

ク「えっ」

ミ「決まってるなら言おうよ!」

 

ごもっともなツッコミだ

にしてもこころが考えそうなバンド名か...

ハッピーとか...ハローとかつけそうだ...

そう例えば...ハロハ...

 

 

こ「ハロー、ハッピーワールド!

  世界を笑顔に! って意味よ」

は・ミ「ハロー......」

薫・花「ハッピーワールド......」

ク「えっ...!?」

 

(やべっ...少し声が大きかったか)

今までの一音よりも大きな声で驚いていた

そう...私の今考えた候補の言葉が両方とも入っているのだ

「ハロー」と「ハッピー」

何故か、一致してしまった

...というか...よくよく考えてみると......

 

私は、いつからこのバンドのことをハロハピだと呼んでいたのだろうか?

 

(わからない...いつだ...)

考えているうちに会話は続いていた

 

こ「誰かを笑顔にするには、まず自分から笑顔になって、話しかけないとってこと。『ハロー』ってね!」

は・薫「うん、すごく......!」

花「こころちゃんらしいし、私も好き、かな......」

ミ「なんかそのままって感じだけどね。」

 

みんなこころのバンド名に賛成していた

私もこのバンド名には賛成だ

だが、私の中の何かが否定したいと叫んでいた

それが何かがわからない

そんな得体の知れない者が私を縛り付けた

『ハロハピ』という四つの音の意味に

 

頭の中での葛藤が心にも影響したのか、それとも心の中での葛藤が頭にも影響したのか

視界がゆっくりと回り始めた

身体が揺れているように感じ、お腹から変な音と熱を感じ始めた

何故か喉を掻き毟りたくなる衝動を感じ、私はゆっくりと手を上げた

 

それに花音が気付いたのか、私に声をかけてくれた

 

 

花「ク、クロさん...?何か、こころちゃんに言いたいの、かな......?」

こ「そうなの?クロ、このバンド名とってもいいと思うのだけど、どうかしらっ?」

ク「い、いや...そっちは全然問題ないと思うよ......ちょっと、喉乾いたから外に行ってお茶飲んできてもいいかい...?」

こ「いいわよっ!クロはゆっくり休んでてて。」

ク「じゃあ...」

 

 

そうして、みんなの視線を尻目に私はラウンジ入り口のドアの方向へ向き、歩き始めた

フラフラした足取りではなく、真っ直ぐに

歩幅も小さくなく、いつもと同じ感覚で

普通にそのまま出ていった

 

花「クロさん、大丈夫...かな...」

薫「心配ないさ。王子様は必ず...

は「はぐみは少し心配...」

ミ「あっつ。ちょっとあたし、コーヒー飲むから、これ、脱ぐわ」

 

 

スタジオの玄関ホールで私は天井を見上げた

白い天井が私を照らしていた

何故か来た嫌な苦しみと戦いながら、ここまで一人で来れたことに少し安堵した

耳から入ってくる数名の悲鳴には注意を向けることはできなかった

小さくふぅっと息を吐いた

息を吐いて軽く目を閉じる

目を閉じると、先程のみんなの演奏が聞こえてきた

みんなの楽しそうに演奏している風景も目蓋の裏側から視えている

そう、それは

数人が入った真っ暗なステージの中

急にステージライトが5人を照らし出し

演奏を始める

マーチン...

 

 

ここまで考えて、私は頭を大きく左右に振った

もうこれ以上先のことは考えたくなかった

頭を振り切って、目を痛くなるくらいに見開いた

それで、ようやく気持ち悪さが無くなった

目の上下がヒリヒリと痛い

それでも、目の前に見えた現在()を真実として受け入れると決めつけた

 

もう一度、今度は大きく息を吐いてスタジオの外に出た

リムジンから降りたときに見えた、スタジオ側の自販機でお茶を買いに

 

入り口の自動ドアが開き、外の空気が流れ込んでくる

空はこれでもかというほどの青空で

雲なんてこの世にないのかと思うくらいの晴天であった

近くに流れている小川のせせらぎの音を小耳に挟みつつ、これからの予定を考えた

 

このスタジオを練習が終わったら、花音とこころと一緒に、私の練習を始めたいと思う

はじめての三人の練習

それは私の記憶の中に留まり続けてほしい

はじめての挑戦なのだから

 

 




...あけましておめでとうございます(2月中旬)
今年もよろしくお願いします

毎度毎度遅くなってしまって申し訳ないです...
1月中は携帯の充電コードが壊れたり、携帯の調子が悪かったり、PCの調子が悪かったり、給湯器が壊れたり、ガスコンロが壊れたりと中々大変な1ヶ月でした
そんなこんなで執筆している余裕がなかったのが遅くなった理由です
(書くやる気がなかなか湧かなかったのも一理ある)
しかし2月に入り、ハロハピの第3章イベント開催を聞きつけ、私の小説へのモチベーションが上がった結果2日間、計6時間で書き上げました!(最初からやる気を出せと言ってはいけない)


今回の第37話を書くに至り、前書きでも書きましたが、ハロハピ1章9話を引用しております(8話の一部も引用しています)
1章のバンドストーリーを見返すと本当に懐かしい気持ちでいっぱいでした!(1章はどのバンドも好き)
そして、もうハロハピ3章イベは始まっていますが、全ての話を解放していますが現在まだ1話も読んでおりません
話がごっちゃになるといけないと思ったので、この第37話を投稿してから読もうと思っております
(でも、次の第38話も1章を引用する気満々なんで、どうしようかなと思っている次第です)

最後になりますが
この小説をお気に入り登録していただいた

『inubasiri 様』

本当にありがとうございます!
亀のような投稿ペースですが完結までしっかり書くつもりなので、ご愛読のほどをよろしくおねがします!!

それでは、次の話は1週間を目標に書くつもりなので第38話を楽しみにしてください
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