では最新話をどうぞ。
ロアーヌは現在、厳戒態勢にある。その理由は言うまでもない、四魔貴族ビューネイの強襲を受けたからだ。
四魔貴族であるビューネイの拠点はタフターン山。ロアーヌの領地と隣接している土地である。であるからして、15年前に起きた死食にて四魔貴族が復活する可能性は当時のロアーヌ候であったフランツも持っていた危惧である。
代は移ろい、現在のロアーヌ候はフランツの息子であるミカエル。彼は冷徹ともいえる容赦のなさで周囲を、タフターン山を見据えていた。その激しい政策は民にも負担を強いて、ロアーヌのどこかで愚昧が当主になったと嘆きの声が聞こえない晩などない程であったという。
だが違う。ミカエルは愚昧などではなく、名君であった。四魔貴族の恐ろしさをしっかりと識別し、備える事こそがロアーヌ候としてやるべき事だと。実際、彼はそれほど私腹を肥やしていない。もちろん貴族であるからして民草の犠牲の上で成り立っている側面はあるが、悪辣では決してなかった。それはゴドウィン元男爵などを見れば明らかであるだろう。彼の政策は、四魔貴族や列強国に対抗する為に必要な荒療治であったのだ。
そしてそれは実る。四魔貴族とはモンスターの頂点であり、わざわざ人間に宣戦布告などする訳がない。故に起きた数千を数えるビューネイ軍の強襲だったが、ロアーヌは見事にその初撃をしのぎ切った。
死者、384名。
たったそれだけの被害でビューネイ軍の侵攻を防ぎ切ったのだ。称賛に価しても、無能と謗る人間はほとんどいなかった。むしろ四魔貴族を相手にしてさえ軍として勝利したミカエルは、世界にその名を轟かせたと言っていい。
しかし、これには幾つかの情報が抜けている。そのうちの一つが、ビューネイ軍の被害もその程度だったという事。初戦は挑むだけ挑んで、ビューネイ軍はタフターン山へと全軍退却してしまったという事。ロアーヌは勝利を喧伝するが、戦としては引き分けに近い。そして実質的な損失を計上すれば負けである。
何せ、ビューネイ軍は未だに数千の軍勢を保有しており、向こうはいつでもロアーヌを攻められるのに対し、ロアーヌはタフターン山を包む霧の結界を突破する方法がないのだ。ビューネイ軍はしっかり休めているのに、ロアーヌは厳戒態勢で守り続けなければいけないという緊張。この状況を構築されて負けでないと何故言えるのか。
しかし負けたとは言えないのが為政者の痛いところだ。声高に勝利を叫び、次はビューネイの首を獲ると言わなくてはならない。
実際、一方的に攻撃を受け続ける余裕はロアーヌにない。次の戦いで勝利を得なければならないのだ。背水の陣、そう呼ぶに相応しい位置にいるといっていい。
(さて)
執務室でミカエルは考えをまとめていた。今現在、ロアーヌがひっ迫した状況に置かれているのは他ならぬミカエルが一番よく分かっているが、だからといって慌てても何もならない。土壇場で落ち着ける坐った肝を持つのは才能の一種だろう。
まずは実際の兵力。現状、ロアーヌが滅亡の危機に晒されているからして、守備兵まで攻撃に回す必要がある。守りは薄くなり、治安が乱れたらそれを正す事ができない薄氷の状況。それにて集められた兵は5000。先のビューネイ軍が全軍でなかったとしても、数で大きく劣る心配はしなくていい。これには四魔貴族を討つべしの檄によって集められた義勇軍も含まれている。おそらく、兵はこれ以上減ることはあっても増える事はない。貯蓄は出し尽くした。
次に兵に食わせる兵糧や賞金だが、これも大きな負担だ。金を持つ所は強い集団であり、そういった集団はもちろん情報戦にも強い。ロアーヌの弱り目もしっかりと見据えており、負け戦に乗るのはごめんと言わんばかりにフルブライト商会やラザイエフ商会からは小さな支援だけで済ませられてしまっている。彼らは彼らとて西部戦争で疲弊した実質もあるのだろうが、聖王に依るフルブライト商会からの後援が得られないのはミカエルとして痛いとしか言い様がない。四魔貴族との戦いには手出しをしなければいけないはずのフルブライト商会だが、現在はアウナスを攻略中だという。間が悪いというか、
一方で西部戦争で大きく儲けたトーマスカンパニーなどは大きな支援をしてくれている。社長であるトーマス・ベントもロアーヌ地方の出身という事もあり、故郷を守るという想いもあるのだろう。もちろん四魔貴族撃破の名誉を得る事やロアーヌに恩を売る事を忘れてはいないが、それを呑める位の器の大きさはミカエルにもある。というか、この状況でそれを呑めないのはただの馬鹿だろう。
総じて軍隊維持に当面問題はない。問題は如何にして勝つかだ。
(まずはタフターン山の霧の結界を突破するしかあるまい)
これができない限り、ビューネイの討伐など夢のまた夢だ。その方策として、ロアーヌのブレーンは幾つか作戦を考え付いていた。しかし、そのどれもが穴のある作戦だった。
例えば人海戦術。兵を軸とし、数を頼りにタフターン山の霧を通り抜けようというもの。杭や縄などを使って位置を明確にし、霧の始まりから終着に向かって道を作り、進んでいくというもの。これで順路を作ればビューネイの巣まで侵入できるだろうが、敵陣の真ん前で土木作業をやるのである。しかも視界の悪い霧の中。多くの犠牲が予想されるだろうし、減った兵力でビューネイを討ち取れるというのも楽観が過ぎる。これは最終案の一つとなった。
例えば後追い。ビューネイ軍が引いた時、追撃してその軍の後ろについたままビューネイの巣に乗り込もうというもの。だがこれもビューネイに軍を捨てられて死兵にされては届かない。ビューネイ次第で崩れる作戦など恐ろしくて主軸にはおけない。あわよくば程度の期待値しか持てていない作戦である。
例えば聖王詩の再現。巨竜ドーラの子、グゥエインに協力を頼むというもの。しかしこれにも問題は多く、そもそもロアーヌとグゥエインが住むルーブ山地は地理的に遠い。更にはドーラはビューネイ討伐後に聖王に殺されたとあるし、そんな人間の頼みを竜であるグゥエインが容易く聞くとは思えない。近年グゥエインが凶暴化したという情報もあり、無理に接触すれば敵が増えかねない。下策。
(やはりどの作戦にも穴がある。状況を鑑みて最善手を選ぶしかなかろう)
特にビューネイの巣に突入できても、ビューネイを討伐できなくては話にならない。四魔貴族とは数の暴力が通じない相手であると考えた方がいいからして、個の力をミカエルは最も欲していた。カタリナがいない現状、ロアーヌが保有するビューネイに通用しそうな戦力はハリードのみ。しかしロアーヌに思い入れのないハリードは単独での突入は絶対に受けないだろう。
その点は実績があるフルブライト商会の手駒を借りる事を想定している。フォルネウスを倒したエレン・カーソンの情報くらいはミカエルも掴んでいる。アウナスも討伐できたとするならば、その力を是非とも借り受けたいところだ。他にも討伐実績があるというエクレアという偽名の少女や、彼女らを鍛えているらしい詩人も候補に挙がっている。カタリナを捕捉できれば、現状ならば呼び戻してもいい。マスカレイドを奪われたという醜聞を晒すリスクはあるが、ロアーヌの滅亡には代えられない。大きなリスクだが、払う価値はカタリナには存在する。
戦力を集めて適時ビューネイにぶつける。それがミカエルの仕事だが、それが難しい事を説明する必要はないだろう。その難しい仕事をこなす為にミカエルは思考を回す。
そして想定する、ビューネイの思考を。
情報は幾つかある。過去の文献もそうであるし、今回の戦いでも思考は透ける。いや、透けさせるのがミカエルがやらなければならない事だ。
まずは
一つは単に準備期間に15年が必要だった、というもの。世界中のモンスターが徐々に強くなり始めたのは死食の後から。つまりゲートは徐々に開いており、今までは力を蓄える期間でありそれが単に15年だった。しかしミカエルはそうは思わない。ビューネイの軍は十分な攻撃力を持ち、霧の結界を利用した戦略まで利用している。今以前にこの戦略を取れないレベルの軍ではなかった。被害は大きくとも、もっと以前に行動を起こしても良かった筈である。
次の可能性はゴドウィンが失敗したから自分が出撃した。これが一番有り得ない。人を影から操り、軍を持つビューネイは明らかに支配者の気質を持つ。人間の手駒が一つなくなった程度で支配者は軽々に自分から動くことはない。それは自身を軽く見る事にも繋がるからだ。魔王が没した後の300年、世界を支配した自負と自信は普通ではない。故にゴドウィン程度が敗れてビューネイが動くというのは有り得ないのだ。
四魔貴族であるフォルネウスが撃破されたから。これは無くはないが、タイミングがおかしい。四魔貴族の情報伝達速度は分からないが、ゴドウィンを支配下に置いた辺り確実に人間世界の情報は手に入れているだろう。つまりビューネイがフォルネウス撃破を知ったのは、どんなに遅くともミカエルがそれを知った直後の筈なのだ。しかしフォルネウス撃破の報をミカエルが聞いてからビューネイ強襲までにタイミラグが存在する。準備にもたついたと考えても不自然さが残る。
ならばこれしかない。
だとすれば持久戦はない。おそらく、ビューネイは西部が完全に落ち着いてロアーヌに手を貸す前までに勝負を決めたいと思っているはずだ。ミカエルとしてはビューネイを倒せる討伐者が集まるまでくらいは時間の猶予が欲しいが、それ以降の時間は邪魔である。例え西部が落ち着き、ビューネイを撃破できてもロアーヌが疲弊させて倒したのがフルブライト商会などでは目も当てられない。人間同士でもやはり競う部分というのは出てくる。協力しましょう、とは簡単にいかないのだ。
攻めるビューネイをかわし、討伐者が揃った所で電撃的に攻勢に転じて勝利する。これが理想。その理想が、遠い。
(しかしやるしかあるまい……)
泣き言を聞いてくれる相手が居る訳もなし、為政者とは孤独な者だと自嘲の笑みを浮かべるミカエル。
せめて伴侶や家族が居たのならば――
「報告いたします、ミカエル様っ! モニカ様がたった今、ロアーヌに帰還為されました!!」
ドアの外からかけられた、余りにタイミングの良すぎる報告に。ミカエルは一瞬思考が停止するのだった。
「お兄様っ! ビューネイ侵攻の報、聞きました!」
「モニカ、戻ったか!」
最低限の手続きを経てモニカがミカエルの執務室に飛び込んでくる。
武器の携帯だけを禁じ、供の者を禁じないその手続きはモニカが望んだものである。如何なる理由があるのかはミカエルに分かったものではないが、今さらモニカを疑う訳もない。ツヴァイクを超える価値を示せとは言ったが、この状況ではそれを為してなくても怒るわけにはいかない。最悪の最悪、ロアーヌが滅ぶ前にツヴァイクへフェルディナンドの子孫を届ける事さえできる。貴き血は絶やしてはいけないという考えくらい、ミカエルも持っていた。
そしてモニカに着いてきたのはロアーヌを出奔する前より逞しい顔つきになったユリアンと、奇妙な着物を身に着けている女性。
(ユリアンは強くなった。――この女も強いな)
この手勢をモニカが連れてきたというならば、ビューネイとの戦いにも勝算は十分出てくる。この上でエレン・カーソン達さえ引き入れればハリードも動くかも知れない。
そう思いつつ、ミカエルは久しぶりに会った実の妹に厳しい視線を向ける。
「よく戻った――。と、兄として言いたいところではあるが、先にロアーヌ侯爵としてお前に聞かねばならぬ事がある」
「はい、なんなりとお兄様」
「私はお前に言ったな、ツヴァイクを超える価値を示せと。お前はその価値を示せるか?」
尋ねるミカエルだが、実際にはもう既にモニカはツヴァイクと同等レベルの価値を示している。ツヴァイクの国力を下げ、白紙の小切手までロアーヌにもたらしたのだ。ここまでして、モニカがツヴァイク以下だとは言えない。
しかしこれは恐らくモニカが知る事のない成果だ。他に成果があるとすれば、どんなものでもモニカを庇う理由になり得る。ミカエルの想定としては、白紙の小切手でモニカの嫁入りの話をなかった事にするというもの。国力が低下したツヴァイクならば、うまく立ち回れば対等以上には持っていけるはず……。
「四魔貴族のアウナスを討伐しました」
「――は?」
モニカの想定外過ぎる言葉。
ユリアンはミカエルの呆けた顔を初めて見た。いつも凛々しく彩っていた威厳がなくなったその表情は、思っていたよりもずっと愛らしい好青年だった。
ミカエルとて心に痛みを感じない者ではないと、初めてユリアンが気が付く。為政者として人の上に立つとは様々なものを奪ってしまうと、容赦なく辣腕を振るっていたミカエルを知るユリアンには主君の意外な一面を垣間見た気がした。
そしてそのミカエルを見て瞬時に顔を真っ赤に染めたリンには気が付かなかった事にしたい。この女、今のミカエルに一目惚れしやがった。絶対に襲い掛かってくる面倒事に、今から頭痛の先取りをしてしまうユリアンだった。
それはともかく。今、モニカは何を言ったのか?
「――モニカ、もう一度申せ」
「四魔貴族のアウナスを討伐しました。合わせて四魔貴族討伐に限り、エレン・カーソンさま他数名の助力を確約しています。
その折、西部戦争にも参加しましてフルブライト商会の助力を確約しました。
またフォルネウスを討伐したウンディーネ女史にも個人的な縁を結びこちらも助力を確約しましたが、こちらはモウゼスではなくウンディーネ女史のみの助力です。
他にもトーマスカンパニー内部に発言権を持ち、ロアーヌの発展に尽力をいただける約束もあります」
どれか一つでも起きれば奇跡であるレベルの価値をつらつらと口から並べ立てるモニカに、ミカエルの目が丸くなる。
そのままユリアンを見るミカエルだが、ユリアンは頷いて是である事を答えた。適当に言って誤魔化す理由もないが、流石に信じ難かったのだろう。傍で聞くユリアンでさえその心境が理解できたのである、実際にそれを目にして実行したユリアンでさえ。
きょとんとしたモニカはおそるおそる口を開く。
「あの……まだ足りませんか?」
訳あるか。
己の実妹の天然さに一番呆れたのはミカエルだけの秘密である。
僅かに絶句した後、自分を立て直したミカエル。
「それで、アウナスを倒したのは誰だ? 一人や二人で為しえるものではあるまい」
「エレン・カーソンさま。エクレアと名乗る少女。そこにいるリンさま。一人の妖精族。それにユリアンとわたくしですわ」
「――そうか。ユリアン、お前もか」
「微力ながら、尽くさせていただきました」
まあ主君だけ四魔貴族の前に出して、護衛が戦わないというのはないだろう。少し考えればわかるそれに気が付かない辺り、今のミカエルは相当鈍い。
しかしながらそれも当然、ビューネイの危機に関して対応できる手札がここまで一気に転がり込んできたのだ。感覚鈍麻を起こさない方が無茶というものだろう。
こうなるとトーマスカンパニーがロアーヌに協力的だというのもモニカに手柄があるだろう。ロアーヌ発展の尽力を約束してしまっているならば、まさかロアーヌを見捨てる選択もできまい。
そしてなによりアウナス撃破の栄誉が今は何よりも嬉しい。四魔貴族の一角を落としたというならば、ビューネイもまた同じ四魔貴族。士気高揚にこれ以上ない役割を果たす。ミカエルとしてはこのままモニカにビューネイも倒して欲しいというのが喉まで出かかるが、ユリアンはともかくモニカはそんなに強くなった気配がない。これで四魔貴族を倒したというのは疑問が残る。
「モニカ、尋ねるがお前もアウナスと戦ったのか? ただ一緒にいた訳ではなく?」
「はい。しかしその際、使い捨ての術具を幾つも使用してしまいました。お兄様の命令であればビューネイの前に立つ覚悟はありますが、結果は芳しくないかと」
なるほどとミカエルは思う。モウゼスのウンディーネはフォルネウスを倒す程の術者である。そこから対アウナス用の術具を預かっていたのだろう。
アウナスの一戦のみに特化した作戦をモニカは組み立て、実行した。そう考えればミカエルにも納得がいった。ならばモニカの扱いは決まっている。
「分かった。モニカ、お前はロアーヌに留まり四魔貴族討伐の旗を掲げよ。勝利の女神はロアーヌに在りとな」
「承知いたしました」
「ユリアン。お前には悪いが、もう一度死地に行って貰う。ビューネイの首、見事挙げてみせよ」
「御意」
「それでそなたは――」
「
あまりに艶のある声にモニカもそこで察した。実際、兄の色気にほだされる女というのは少なくない。妹をやっていればそんな事など数多くあった。
しかしそれが共にアウナスを倒したリンから漏れ出たとなれば微妙な気分にもなる。モニカには珍しく表情がヒクヒクと引きつっていた。
そしてそれをミカエル本人が気が付かない訳がない。だが彼はこれを好機と取った。この際、使えるものは何でも使わなくてはならないのだ。そう、己の美貌でさえ。
「リンか。好い名だ、心に響く」
「お褒めに預かり、恐悦至極…」
「しかもアウナスを倒す程の手練れだとか。報酬は十分に払う、我がロアーヌを襲う四魔貴族のビューネイの討伐にリンも参加してはくれぬか?」
「報酬にもよりますが、喜んでっ!」
惚れた相手におだてられ頼りにされ、リンは報酬はさておいてビューネイ討伐を確約した。
この娘、チョロ過ぎである。
まあチョロくても問題はない。強いかどうかだけが問題なのだ。さて、そこで問題が一つ。フォルネウスとアウナスの両方を討伐したエレン・カーソンとエクレアは今現在どこにいるのか?
「ところでモニカ、エレン・カーソンとエクレアとやらは――」
ミカエルの言葉は最後まで口にされる事はなかった。何故ならば、執務室の窓から見える中庭に突如として巨竜が舞い降りたのだから。
中庭で作業していた者たちは当然悲鳴をあげながら逃げ惑う。兵士は武器を手に持ち、巨竜を囲む。
そんな雑多な人間を無価値なものと断じ、舞い降りた巨竜はその場で寝そべる。どうやらふて寝したようにも見えるが、あれは一体?
いや、分かっている。分かっているのだ。この状況でアレが何であるかくらいは分かってしかるべきなのだ。だが余りにミカエルに都合のいい状況が続きすぎてしまっている為、これが現実なのかという疑問が降ってわく。
「エレンさまとエクレアさま、そして詩人さまはグゥエインの説得に向かったのですが……成功したようですね」
モニカの言葉を肯定するように、グゥエインの背中から三人の人間がロアーヌの中庭に降り立つ。エレンとエクレア、そして詩人。
苦しい戦いから一転、過剰ともいえる戦力がロアーヌに転がり込んできた。
報酬の話はしなくてはいけないだろうが、勝ち目は大きいと思わざるを得ないこの幸運に。
ミカエルはようやく柔らかく微笑むことができるのだった。