柔らかく、そして濡れているデク   作:海棠

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マスコミは、ペンで人を殺せる。
              野村克也






いつの世の中でもマスコミは迷惑なもの

「オールマイトの授業はどんな感じですか!?」

「えっ?えっと・・・実戦を交えた素晴らしい授業ですわ」(八百万さん)

 

「『平和の象徴』が教壇に立っているということで、様子などを聞かせてください!」

「様子!? えーと……筋骨隆々のマッチョマンです!」(切島君)

 

「教師オールマイトについてどう思ってます?」

「最高峰の教育機関に自分は在籍しているという事実をさらに意識させられますよ。威厳や風格はもちろんですが他にもユーモラスな部分等、我々学生は常にその姿を拝見できるわけですから。トップヒーローとは何をもってしてトップヒーローなのかを直に学べるのもまたいいところだと思います」(飯田君)

 

 

 

・・・皆クソまじめだなぁ。僕は少し離れてその光景を見ていた。目線の先にはマスコミにもみくちゃにされて質問に答えているクラスメイトの姿が!

 

・・・これはすごく個人的な話だけど、僕は元来マスコミというものがあまり好きじゃない、というより嫌いだ。奴らは真実を曲げて(脚色して)全国民に伝えるからだ。情報の信憑性(しんぴょうせい)で言うとツイッターやラインの方がまだ高い方だ。ま、ネットの情報も丸のみにしちゃいけないけど。しかもインタビューするとき本人の意思を無視して話しかけてくる。そして断ったらまるで悪い者扱いだ。言論の自由とかほざいてずかずかと言いたくない部分にも上がりこんでくる。これだからマスコミは好きじゃないし、むしろ嫌いなんだ。

と言ってても仕方がない。行くしかないかぁ・・・。うわぁ・・・、やだなぁ・・・。

 

「オールマイトの授業はどんな感じですか!?」

ほら来た。

 

「すいません。急いでいるので後にしてもらえませんか?」

「そこをなんとか・・・」

「いや、ほんと。急いでるんで・・・」

「お願いします!一言だけ!一言だけでいいんです!」

 

イラッ「やかましい! うっおとしいぞこのアマァ!!」

 

『『『?!!!』』』

よし、みんなビビったな。今のうちに学校に入ろう。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことはあったけど、僕は教室に先生が来るまでソフト&ウェットと指相撲をしていた。今のところ50回中25回が僕の勝ちである。友達がいなかった僕にとっては中学校はまさに格好の個性を研究できる時間だった。そして個性と一番向き合える時間が長かったともいえる。

 

「緑谷・・・、何してるんだ・・・?」

するとそこに上鳴君が話しかけてきた。後ろには耳郎さんも一緒だ。

 

「指相撲してる」

あ、指押さえ込まれた。これはまずい。

 

「なんで・・・?」

「これ意外とトレーニングになるんだよ。指先の動きも細かくなるしね」

あ、これなかなか外れねぇ。

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」

「「?!!」」

あらやだ。思わず叫んでしまった。あ、負けた。

 

「・・・」ドヤッ

「・・・」

なぜかむかついたので軽くペチンとビンタしてやった。するとそこに相澤先生ことイレイザーヘッドがやってきた。

 

「お前ら席につけー」

すると皆ガタガタンと席についた。

 

「突然だがお前らに学級委員長と副委員長を決めてもらおう」

『『『よっしゃあああああああああああああああああ!!!!!』』』

すると教室が沸いた。

そして口々に叫ぶ。峰田君が破廉恥(ハレンチ)なことを言っていたが女子に制裁されていた。

 

「静かにしないか!」

全員が静かになった。ぅゎぃぃだくんつょぃ。

 

「人を牽引(けんいん)する重大な仕事だぞ。やりたい者がやれる仕事ではないだろう!真のリーダーを皆で決めるというのなら、これは投票で決めるべき議案のはずだ!」

そうだね、確かにその通りだよ。だけどね、だからこそ僕はあえて言わさせてもらうよ?

 

「・・・なんで手ぇ挙げてんの、君」

やりたいって気持ちが行動に駄々洩れだよ。それさえなけりゃあかっこよく決まってたのに・・・。

結局、多数決で決めることになった。投票制だ。資本主義の典型例だな。そんなことはどうでもいい。それよりも・・・。

 

 

 

「すいません・・・。僕、辞退してもいいですか…?」

この状況をどげんかせんといかん。

 

「だめだ」

「だめぇ?!」

「・・・仕方がない。非合理だがなんか理由を言え」

「へ?」

「理由次第では保留ということにしておいてやる」

「あの・・・、学級委員長は飯田君が言うようにホントに責任重大な仕事なんだってことは僕も理解しています。だからこそ、僕じゃ力不足だと思うんです。それに」

「それに?」

「まだ個性の研究をしなくちゃいけませんし・・・」

「・・・」スッ

するとS&Wが僕の頬を後ろから軽く撫でた。

 

「・・・なるほど、いいだろう。保留にしておいてやる。ただし、下校時刻までに委員長を譲る人は決めておくように」

そう言うと相澤先生は授業に移った。というよりあんな理由で本当に大丈夫だったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして授業も終わって昼休み。

 

「今朝のデク君すごかったねぇ」

「見てたの?麗日さん」

「うん、見てたよぉ」

「その、何があったんだい?僕はよく知らないんだが」

「あ、俺も俺も」

「私も気になる」

「・・・(スッ」←手をあげる。

すると麗日さんは話し始めた。

 

「マスコミのリポーターさんがねぇ、デク君に話しかけるんや。それに対してデク君あまり乗り気やなかったんやけど話を聞かずに詰め寄ってなぁ・・・そん時なん言うたと思う?」

「「「「?」」」」

『やかましい! うっとぉしいぞこのアマァ!!』って言うたんよ~」

すると皆が僕を見た。キャッ、恥ずかしい。

 

「マジで?!すげぇ漢らしいなお前!!」

切島君、いつの間に隣に座ってたの? あと顔近いよ。むさくるしい離れろ。

 

「それなかなか言えないよぉ? 私なんか個性使おうって考えたもん」

君は警察やプロヒーローにお世話になりたいのかい?少なくとも僕は嫌だよ。

 

「私もそれくらい言えるようになれたら…」

八百万さん、別に目指さなくていいと思うよ。

 

「ところでさ、飯田君」

「?なんだい?」

「さっき自分のこと『僕』って言ってたけど・・・飯田君って坊ちゃんなん?」

その言い方だと僕も坊ちゃんってことになるんですかねェ…?

 

「ウッ?!そ、その言い方は少しやめてくれないかな…?」

本人にとってはけっこう図星だったみたいだ。

 

「ゴメンゴメン。ウチ、思ったことがつい口から出ちゃうけん、許してな?」

「いいよ、大丈夫。隠してたのは僕の方だしね」

すると飯田君は話し始めた。自分がかの有名なヒーロー『インゲニウム』の弟であることを。

まぁ、少しテンション上がるよね?まさか近いところにヒーローの身内がいるって聞いたら誰だって少なくともテンション上がるだろう?

 

「わっわっ! そんな! こんな身近に有名人の親族の方がいるなんて! 流石雄英やね!」

「良ければ今度、遊びに来るかい?」

「え、いいん?! うわぁ、緊張するわぁ…!どんな服で行けばええんやろぉ…」

「自然体でいいんじゃないかな? 兄さんも結構フランクな人だしね」

「ねぇ、デク君!」

「ん、え、なに?」

「デク君も一緒に来てや!」

「えっ?」

なんで僕に?

 

「うちだけじゃ不安やし、それにデク君も行ってみたいって顔してたで?」

「せやろか・・・」

「せやせや!」

するとサイレンが鳴り響いて放送が流れる。

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

・・・・・・は?

僕がそうして少し呆然としている間にも皆は大混乱に陥っている。

 

「で、デク君」

「へ?なにかな?」

「ど、どないすればええん・・・?」

「さぁ・・・」

「皆、ここにいたのか!」

するとなぜかこっちに戻ってきた飯田君が僕たちに話しかけてきた。ついでに上鳴君と耳郎さんは人ごみに流されていた。

 

「この騒動の原因はマスコミだ! マスコミが流れ込んできたんだ!」

・・・そうか、ふむ・・・。

 

「・・・飯田君」

「なんだい?」

「この場を収めるいい方法を思いついた」

「え?!」

「それは本当かい?! それでいい方法って言うのは・・・?」

「麗日さん」

「ヘッ、ウチ?!」

「君の協力が必要不可欠なんだ」

僕は手を取りながら言った。

 

 

その後、飯田君は非常口(のポーズ)になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕、飯田君を委員長に推薦します。もともと飯田君に票を入れていましたし、それに彼なら委員長にふさわしいと考えたからです」

飯田君なら規律を重んじてくれるだろうと考えた結果でもあるけれど、もっともいうべきところは飯田君の声で皆が収まったということだ。

 

「・・・いいだろう。飯田」

「はい!」

「やれるか?」

「やってみせます!」

「・・・お前らの中で異論は?」

「あ、良いんじゃね?! 非常口飯田なら大丈夫!!」(上鳴君)

「いいぞガンバレ非常口!」(耳郎さん)

「大丈ー夫!! 飯田くんならどんな非常時も非常口になってくれる気がする!」(芦戸さん)

こうして飯田君は委員長の地位と非常口という非常に分かりやすいあだ名を手にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、僕と麗日さんと上鳴君と耳郎さんでマックに寄っていた。

 

「今回のあの騒動、僕は何か裏があると思うんだ」

「え?裏?」

「うん。平面の紙に表や裏があるように物事にも『裏』『表』があるんだ。だからたぶん今回の騒動、何か裏があると思うんだ」

「例えば、どんな?」

「んー・・・、例えばって言われてもなぁ・・・思いつくもので言ったら何者かがセキュリティーを破壊してマスコミを誘導した、とか?」

「・・・それってありえるのかぁ?」

「ありえないことはありえないだよ、上鳴君。今は個性が普通に社会でてんやわんやしてる時代なんだ。それくらいあっても不思議じゃないよ」

「でも・・・、雄英のセキュリティーは世界的に見ても最高クラスやろ?それを破るなんてできるん?」

「それによ、誰が誘導したんだよ、マスコミを。それにその理由ってなんだ?」

「そこなんだよねぇ・・・」

「マスコミダロウガナンダロウガ結局ハ倒セバイイダロ!!」

「・・・」パチンッ

「――――――」パクパク

「ちょっと君は黙っててくれるかな」

「え、今なにしたん?」

「声を奪っただけだけど?」

「・・・やっぱりその個性強すぎるよ」

せやろか?

 

 

 

続く




上鳴(かみなり)電気(でんき)
パワー:C
スピード:B
知力:D
持続力:D
射程距離:D
精密動作性:D
成長性:A
個性は「帯電」と「レッド・ホット・チリ・ペッパー」。二つとも使いようによってはなかなかに強い個性だが同時に使うことはできないという欠点がある。
尊敬しているバンドは「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」。
作者的に彼を見た瞬間、このスタンドを持たせようと決めた。

レッド・ホット・チリ・ペッパー
破壊力:A
スピード:A
射程距離:A(少なくとも町一つ分は余裕)
持続力:A
精密動作性:C
成長性:A
スタンド像:人以外の生物型
パワー分類:遠距離操縦型
上鳴の個性。電気が主食。取り込めば取り込むほど強くなる。
お調子者でひょうきん者だが一度反省するととことん慎重になる。
塩分の入った水が苦手。理由は電気が分散してしまうから。

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